指が鳴り響くと光はキラキラと光る世界
空には星が輝き地面には白い靄が広がる。
痛いと言っている中高い声が聞こえて何かと振り返る
『ちょ!?入間君にバラム先生!?』
「メルお姉ちゃん!?」
「皆なんで!?」
『っ!!話は後だ!!ごめんオズ!!!』
はぁいと言ってオリアスが手を振る
「入間君は勿論、君達全員埃一つ当たらないよ。」
『イチョ君!ツムル君!!攻撃来たら相手頼む!!』
「「了解」」
『マルバス先生!ダリ先生はツムル君のサポートを!!
モモノキ先生とスージー先生はイポス先生のサポート!
バラム先生は入間君を守ってて!!』
「了解」
あらぁお芝居でもするの?そう笑う声に目を向ける
この場所がどんな意図をするのかもう分かっていた。
『…入間君使い魔呼べる?』
「え!?あ、はい!!」
『呼んで彼に一部始終報告しておいて。』
分かりましたそう言って入間がカルエゴを
呼び出す準備に取り掛かる間。
メルは声をなるべく高くして話し出す。
『いやぁ!素晴らしい世界をお持ちですねぇ?
一体どうやってこんな場所を作れるようになるんですか?』
そうニコニコと笑うメル
オリアス達に一度も見せた事のない
その作り笑顔に思わずダリもぎょっとする
「あらぁ!良い空間でしょう?
誰も邪魔しない誰も傷付かない崇高な世界よ!!」
『…それは貴方のことでしょう?
早くこんな世界から出してもらいたいんですよ〜』
「そんなわざわざ捕まえたのにする訳ないでしょう?」
『…複数の悪魔を捕らえ
生徒を傷つけず特定の教師だけ狙う。』
「メル、ちゃん…?」
『それだけならまだしも僕を捕らえて
おびき寄せまとめこんな世界にぶち込んだ…』
『魔女の暴走?それとも僕を殺す?
いいや違うどれも全部不正解!!』
『…まさか
そう言ったメルに女性が
にやりと笑いメルの顔がしかまる
頭の中に、ただ笑って会話する何時もの日常が広がる。
からかわれて笑ってただどうでもいいことを言う。
何時もの世界が、何故かじんわりと波紋の様に。
『っ!!貴様ぁ!!!それがどれ程の罪か
分かってやろうとしてんのか!!!!』
そう怒り手を上げ勢いよく下げ前に出すと
赤黒いドロドロした溶岩が女性を包み込もうとするも
女性はゆらりと揺れて指をはじき消し飛ばす
逃がすか。そう低い声で顎を上げ目だけ
下に向けたまま手を横に切る。
かかってきた攻撃にイポスたちが構えるが
メルが左手をすっと横に切るだけで消えて無くなった。
「嗚呼怖い顔をしてるよ?そんな睨まないでよ〜」
『……』
手を上げて振り下ろし空から数多の槍を振り下ろす
その量は確実に避けられない。
何なら何本かうねうねと動き出したまま
女性に四方から攻撃は入る。
「っやったか!!」
そう言ったツムルだったが、多少焦げはしたものの
まだまだ大丈夫そうな女性にメルは顔をしかめる。
『…っ』
「ふふっ!!ならこれはどう!!!」
そう言って風と氷を使って攻撃をしてくる
間違いなく自分以外を狙っていると察知したメルは
急いでオリアス達の方に駆け足で戻りながら力ある言葉を唱えた
『“
そう唱えたメル、両手を前に突き出した周りを大きく囲み
入間達を入れて風と氷の嵐を耐える。
『ぐっ…はぁあああああああ!!!』
来る風と氷が強化されていくのにメルが
叫ぶと風の威力が増し周りが見えなくなっていく
「…すごい、メルお姉ちゃんこんな」
「うん、見たことない威力だね。」
「駄目です!やっぱり魔術使えません!!!」
外からの攻撃が無くなったと同時に
息を切らしながらメルが膝をつくのに
オリアスが近寄り肩を持つ。
「守る者が多いと困るわよ…?
裏切らないでさっさと
此方に来たら良いのに。」
それとも、一人位潰さないと本気にならない?
そうスッと手を伸ばすのにメルが目を丸める
『っ駄目っ!!!!』
「まぁ待って下さいよ…どうして僕達を狙うんですか?」
そう聞いたダリにあぁ?と女性が言う
「悪魔如きがそんなことも分からないの?」
『…おい貴様誰に向かって言ってんだ』
そうオリアスの傍に居たメルが女性の背後に浮遊した
オリアス達はメルの後ろ姿しか見ていなかったので
メルのキレている姿を見るのは初めてだった。
光を手に纏わせて切りつけるのを避ける
危ないじゃないのと言う女性に向かって
メルは間髪言わずに攻撃を入れる。
目を開いて動きがキレが
バラム達を相手しているよりも速く
攻撃が重い。
「本当に、何にも言ってないのね…!!」
『煩い!!黙れ!!!!』
手を前に出して最大火力の炎をぶちかます
それに風が生まれて斜め上に身体が飛ばされるも
身体をくるくる回して地面に降り立った
『貴様の声すら煩い。消えろ』
そう言ったメルの手からピッと力が飛び散る
それをうざいと言って女性が飛ばす
「貴方が一番想う力を使えば私なんて、
そこにいる悪魔もきれい
さっぱり居なくなるじゃない!!!」
『お前にあの子を?…魔女は馬鹿ばかりなのか?』
鼻で笑うメルだが目が全く笑って居ない
と言うかがっつりキレて目だけで
悪魔を三匹程軽く殺せそうだ。
此処までブチ切れることは初めてで周りも少し戸惑う。
『魔法だけでお前をぶち殺して
此処から出るたったそれだけだろう?
誰もお前みたいな汚らわしい血染めさせるか。』
馬鹿がそう吐き捨てるように言ってメルは声を出す
お前なんてことをと女性が言うが頬に大きな傷が入る
『はっ!!本気になっていないのはどっちだか!!
そこの悪魔を殺すなら私を先に殺せばいいだろう!!!』
それとも、私を殺すのが怖いから弱い悪魔ばかり見るのか?
そう言うメルにブチ切れた女性がメルに向かって走る
++++++++++++++++++
『ねぇイチョウ君〜』
「何ですか?」
『敵を怒らしたりする方法って戦術としてアリなの?』
「まぁ…どれ程かによりますよ?
そりゃあ相手が上なのに煽って自滅するのは良くないですし。」
『えぇ〜だよねぇ…でも僕よく舐められやすいから
多分煽って怒らせた方が隙生みやすいんだよねぇ。』
そう夏のじりじりと当たる太陽に足を上げる。
こら女性がそんな足上げないと軽く
手を横に押し足を降ろさせるイチョウに
えぇとメルがブーイングを入れる
「隙をうませるって怒らせる以外にもあるんですよ?」
『おっ!例えば!?』
「攻撃を仕掛けたりする瞬間とか。
アレ意外と一直線に考えていて
他の事考えられなかったりするんですよ。」
『えぇ…それ殺されに行くやつやん駄目〜無理〜』
「メル先輩自殺行為のような行動を止めてから言ってください…」
身体に直接入り込む貴方も充分殺されに行ってますからね?
そう冷や汗を垂れ流すイチョウにメルはそんなことないもんと怒る。
『それに本当に僕が怒ったらきっと誰も止められないよ。』
「え?あのオリアス先生でもですか?」
『うん!!この世界何処にも存在しない
…たった一人だけ、僕を止められる。』
それは願いそれは望みそれは全て。
コレが無くなれば一瞬で自分が消えて無くなってしまう。
それ程の者が僕の中には生きている。
もし暴走し始めたらきっとそれは答えてくれる。
『もし暴走したら、じっと待っててね?
きっと君達を殺しちゃって泣いちゃう。』
「死にませんよ」
『ううん、絶対誰かは死んでしまう。
それは…決まりであり約束であり…対価だから。』
それなら。生贄は立った一人しかいない。
『だからその時はオズ達を止めてね!!』
約束だよ!そう小指を出したメルにイポスは首を傾げる。
あれ指切りげんまん知らない?と言ったメルに何と答えた。
『約束を交わす時小指同士を絡めてこういうの』
ゆーびきーり、げーんまん、うーそつーいたーら、はーりせんぼーん、のーます!
++++++++++++++++++
「っ!駄目だ!!行くな!!!」
そうメルの攻撃に加勢しに行こうとした
ツムルの腕を掴んだイチョウに
何でだよと振り払うように叫びながら言う
先程から空中に飛びながら追いかけては
追いかけられての攻防をしている。
確かに大人数で倒した方が効率も倒せる確率も高いが…
「…約束、したから」
「は!?誰と!!!」
「メル先輩と…ツムルお前行ってどうするつもりだよ。
俺達魔術は愚か翼一つも出せてないの分かってるだろ。」
「っでも!!!」
まるでこうなることが分かっていたかのように。
彼女は俺にそう約束を言ってくれた。
それは…何故か守った方が良い気がして。
ついツムルの腕を掴んで引き戻してしまった。
本当は自分だって、なんならこの中で一番
オリアス先生がメル先輩の元に加勢に行きたい筈だ。
だが、オリアス先生がじっとメル先輩を見て動かないと言うことは
恐らく彼女に戦わせるということだろう。
それなら尚更俺達は動いてはいけない。
彼女の決意を揺るがせてはいけないのだ。
「それに本当に俺達全員って訳でもない…ほら」
イチョウにツムルがその方向を見る
オリアスがじっと睨むようにメルの方を
見ていたその目の色が変化していたのだ。
そう、メルは最初の方オリアスと
力を分け合い力を使える状態にしていたのだ。
おかげ様でオリアスは家系魔術を使える状態で
イチョウ達が傷付かないように任せたのだろう。
「な?分かっただろ?」
「…だとしても此処でじっと待ってるだけって言うのも」
それもそうだ。だからこそ考えている。
それに唸るイチョウにあのーと高い声が聞こえる。
ん?と顎を触りながら考えていたイチョウが
声の方向を見る
「僕前この空間メルお姉ちゃんに教えて貰ったことがあって…」
もっと早く言える様にしたかったんですが
ちょっと落ち着かなくてと言う入間に
ツムルが本当か!!と前のめりに出る。
それに落ち着けとバラムが前に手を出す。
「はい!」
「で?」
「えと、この場所は
「っな!!」
「時間経過はないですが、ただ居ればいる程
契約した悪魔は力を失うって…」
それに悪魔の力は基本的に不可になってて。
僕ごめんなさいそう泣きそうに言う入間に
こっちこそごめんねとイチョウが言う
それに入間はいいんですと首を横に振る。
ーオズ!もしどうしようもなかったらコレ使って逃げてね!!
コレどんな場所に居てもその場所に行けるから!!
「…馬鹿、お前を置いて誰が尻尾撒いて逃げるか。」
そうオリアスはメルを見ながら
ポケットの中にあったバッジを強く握りしめた。
今なら確かにメルの言う通り全員を飛ばせる状態ではあるが
ただ何も出来ないわけではない筈なのだ。
入間の言った通り此処は檻の中で、
なんなら相手を倒さないと出れない。
だが相手を見る限り明らかにメルの許容範囲を越えており
なんなら攻撃を交わして体力の消耗が激しいのはメルの方だ。
明らかに分が悪い。
このまま飛んでしまえば
もう彼女と二度と居れない気がしてならない。
どうにかして気を引いて隙が数秒出来れば…
そう考えていたオリアスに入間があのとオリアスに声を掛ける
「ん?どうした?」
「僕に考えがあるんです…これが上手くいけば
きっとあの人を倒して此処から皆で出れます!!」
「…君の星に乗ろうか。」
さぁ、此処から巻き返すよ。
俺達は家系魔術があって
魔術が使えるから強いわけではないことを
煽ったあの者に知らしめてやろう。
君が一人で戦うことのないよう。