Novel - Paola | Kerry

it's just you


朝露に星空3

20/09/15
45

『(っ!不味い…本当にこのままだったら)』

そう幻影具現化モル・レヴァを出しながら
攻撃するのに息が切れて地面に降り立つ
オリアス達を作り出して攻撃を入れ出した
メルににやりと女性が笑う。

今まで何故本人たちと死に物狂いで戦ってきたんだか。
そうキッと目を光らせて身体を動かすように指示をする

『(だが手持ちはもうほぼ居ない
…オリアスと後は)』

チラリと白い光が見えて向いてしまいそうになったのを抑えた


隙が見えるのは不味い。



メルはぐっと身体をよろけて無理矢理意識を現実に戻した。



危ない、多分…あれ、何だろう。
少女の姿がふわりと消えていなくなる感覚。
溶けて泡となって二度と触れられなくなる。



『…まさかお前』



あの子を殺すつもりでずっと手招いている?
それが本来の目的ならちょっと話が変わってくる。
血を流す女性に煩いとも声すら出ない。

ふわりと身体をくすぐるシャボン玉の匂い。
嗚呼駄目だ、でもオリアスを出して
傷つけるような姿を見る位なら…



それなら君を差し出そうと思ってしまった自分が…嫌だ。





嫌だ嫌だ嫌だ。

魔力はもう空っぽで幾ら集中しても
集中力が切れていてこれ以上頭が回らない。
やめろ、やめて、おねがい。

すりすりと頬にすり寄る感覚に
巨大な光が空から落ちてくる


駄目だ確実に当たる

メルは身体を無理やり起き上がり
堕ちる場所に手を伸ばす
間違いなく間に合わない!!!


ー間に合うよ!

そう言った声が凛としていて、駄目だと思った。


魔神イフリートモード!ラファイア!!!」

解き放った言葉に巨大な岩が突如風と共に消えて無くなる
暴風の後、ふわりと居た筈の少女が
居なくなっていたのにホッと安心した。



良かった君が守るまでもない。


僕が君ごと守りぬいてみせる。




…二度も君を殺したくなんてないから。





笑って居てくれたあの時間を、僕が作り上げる。
願わくば…君の様に嬉しそうに笑って居られるよう。


『入間くん!!』

「メル先輩!動きますか!?」



そう走ってきたイチョウにごめん無理かもと弱音を吐いた
本当は頑張ったらいけるのだが、ちょっと今無理すると
割とすぐに先程の少女が出て来そうで怖い。

苦笑いでいうメルに、
失礼と言って身体を抱えて走る。


「…よく頑張ったね」

そう頭を優しく撫でるオリアスに
メルは目がうるっと来てしまった。


駄目だ、まだ終わっていない。


この場所から離れる以外方法は



『まだです、まだ終わってないですから。』




これ終わったら沢山褒めて下さいです。
そう言ったメルに
オリアスは了解と言って笑う



「メルお姉ちゃん!」

『全く君も無茶をするねぇ?
此処わるーい大人悪魔が見てるんだぞ??』



そうにやりと笑うメルに入間がえっと言う。
へぇ?誰がわるーい大人悪魔だって?
とニヤリ笑うダリにげっとメルが固まり
そっとイチョウにしがみつく。


ふわりくすぐるシャボン玉の匂いに

嗚呼と答えた



「ー大丈夫だよ!絶対守るから」


そう少女がメルの前に両手を広げて笑い姿を現した
白いワンピース姿の少女にメルは首を横に振る

「ー君を守るだけで僕らはずっと生きていられる」

「…え!?ちょ、誰!?」

「ー僕らは君の望むままに息をするのだから。」

『違う、違う!!僕は、
僕は本体じゃない…!!君が』

そう言って前のめりになるメルに
そっと少女はメルの口元に人差し指の腹をあてる

しぃーそう言ってニヤリと笑う少女は
メルの姿を現し始めた


「ーどうかお願い其処・・に居て、そのまま。」

嗚呼ー

そう甲高い声で叫ぶ少女、否メルの姿を見せた者
声と同時に身体から緑色の光を解き放ちはじめ
手に弓を作り出し女性の方に撃ち放った。

その矢は緑の光を保ちながら女性を貫く

泡沫の記憶 溶けて朽ち果てた その先には
何もないのに。

君は何度でも繰り返し追いかける
その先には何もないのに

独りを願い走り続ける。

追いかけていた兎は其処に居なくて
いや一体何を追いかけていたのかすら忘れて。
忘却の彼方に縋った欠片も追いやって。

永久に願う
君を守りたいだけなのだと。


++++++++++++++++++


ぐにゃりと歪み世界が戻る
廊下に降り立った、
いや既に居た筈の場所に戻ってきただけだ。


強いて言うなら
先程居た入間達は居なくなっていて
恐らく元の場所に戻ったのだろう。

イチョウがメルを抱きしめていたのに
オリアスの前に居た所を見て
飛ばされる前に戻っただけだと判断した。


『君の名前なんて、僕は言わないけど…』

でも、君がこの矢を撃ったということは
それ程君が僕を僕達を守ろうと
強く願ったと言うこと。





それに代わりは無い。

事実は確実に存在していて。


考えが変わった。



『…貴様を殺すなんて勿体ない』

そうメルは吐き捨てて
女性の頭を殴り気絶させた。


「…っ」

くるりと身体を向けて歩くメルに
マルバスは身体が動かずに
固まって見ているしかなかった。


殺意の現れはまるで悪魔の元祖返り
いやそれ以上かもしれない。
今までこんな殺気を感じたことがない。



メルの銀色に光り輝く目に
悪魔の本能が逃げろと警告音を鳴り響かせる。



だが身体が蛇に睨まれた蛙の様に動かない。




『…君が出さなくて良いのに』

「ーううん、だってこうしないと
あの人たち呼びつけちゃうでしょ?」



そう少女、否メルの姿をした者が
オリアス達を指指し言う

それに何処か吹っ切れたのか
ぷっと音を鳴らし笑いながら

メルはそうだねと
生理的な涙を指で拾いながら答えた。


『君は本当に過保護だねぇ…
僕が本体かどうかも分からないのに?』


「ーそうやって微睡まどろみの中だと勘違いし続けていいの?」


『!!…おっと、これは痛い答えが返ってきたもんだ。』


「ー僕も君も、お互い成長し続けて居るんだよ。」


あの場所には二度と帰れないのに。


帰りたいとどうしても願ってしまう。

そう言ったメルの姿をしていた少女が姿を元に戻す。

寂しそうに言う少女にメルは首を横に振りながら答えた。

『それが僕らの願いだから。』

仕方がない。願ったものは。


そう言ったメルに
少女はそうだねと答えた。


「ーそれじゃあね」

そう両手を広げる少女に
メルは嗚呼と言って
手に光の矢を作り出す


引いた腕に何をするのか察知した
オリアスは待てと声を荒げる




少女の胸に一つ


矢を手で突き刺すメル






その姿に全員が固まって動かなくなる



『…うん、それじゃあ、また、ね?』




そうぽろぽろと泣きだすメルに
矢が突き刺さった少女は泡となりながらも
メルを抱きしめ「うん!」と言った


そう答えた後、
綺麗に泡となって
消えていなくなってしまった。



「…今のは」

『…まぁ家系魔術の一つ
とでも言いましょうか。』

アレは恐らく家系魔術よりも、もっと違うものだ。
魔女になる前から出ていた筈だったが
…最近ずっと楽しくて楽しくて忘れていた。



僕はあの子と一緒に居ることこそが、魔女になった理由だというのに。



敵に忘れるなと言われて
気付かせられてしまうとは



…全く愚かなのはどちらだろうか?



『(…僕は、一体何処に居れば良い?)』


君と永久に居る世界にでも旅立てば分かるだろうか?
いいや、それではまた同じ悲劇を繰り返すだけだろう。
だからと言って…これ以上巻き込むか?


現に魔女はオリアス達を狙ってやってきた。


『…ごめんなさい』

そう歩み寄りメルは謝罪する。



傷を負わせていないとは言えど、
校舎は一部半壊しているし
魔女の襲撃に備え切れていない
自分の落ち度がある。



加えてもうちょい戦略を練っていれば
かなり此方が優位で立ち回れていたというのに
勉強不足が至った所もある筈だ。





と言うかある。


絶対ある。



「いや、俺達も魔女舐めてたし
…ひとまずは合流しようか。」



そう言ったオリアスの答えに
メルはほっと安心しコクリと頷いた。

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