メル達はサリバン達が来るのを待つ
その間メルは一人回復薬をツムルから一つ貰い
その回復薬を飲み干し息を吐いて女性の方に歩く
『“
永久と無限をたゆたいし 全ての心の源よ
四界の闇を統べる王 汝の欠片の縁に従い
汝ら全員の力もて 我にさらなる魔力を与えよ”』
そう言ったメルに、
腰に付けていたタリスマンと
両手そして胸元に付けていた
タリスマンが光り輝き始める
何時しかメルがイフリート達に言っていた
威力を増幅するのを実際見るのは初めて。
使用するのも恐らく初めてだろう。
メルの声が震えていた。
キュインと光り音が響いた
タリスマンは元ある色をさらに輝かせる。
『“
そうゆっくりと歩きながら唱える詠唱に
待てと言ったイフリートをツムルが
肩を掴み首を振り止めた
『“大地の底に眠りある 凍れる魂持ちたる覇王
我に与えよ 氷結の怒り”』
そう目を細めて言うメルの手には
白く青い光が渦巻いていた
汝の暗き祝福で 我が前にある敵を討て
『“
そう唱えた手を大きく上から下に振り下ろす
すると女性は瞬時に凍結し氷塊として姿を維持した
「メル様!!!」
ご無事ですかそう言った
オペラがぴたりと姿を見て止まる
銀色に光り輝くメルの姿、
殺意を持ったその目に見た者は固まる
「…メルちゃん」
そう言ったサリバンの声に
メルの目がほんの僅かだが揺れた
『…不審者確保しました。
一応生きて捕らえています。』
殺すにも値しないでしょう。
そう言っているメルの声は
何時も聞いている声よりもあっさりしており、
何処か冷えた感じがした。
それは目の前の女性を
凍らせているからだと言い聞かせる。
「そう。原因とか何で来たのか聞いてる?」
『聞いてませんが
…恐らく魔女の暴走でしょうね』
そう言ってメルはポシェットに
空になった瓶を仕舞い蓋をする。
パチンと鳴ったと同時に
メルの目は青い色に戻り、
顔も何処か落ち着いた表情を見せた。
『容赦なく叩きのめされそうになったので
殺さない程度に動き回って…ふぅ
疲れましたが、ひとまずは動きませんよ。』
増幅効果使って捕らえてるので
これで僕本当の本当に魔力すっからかんです。
もう駄目使えない動けない。
そう言ってメルはサリバンの背中に縋りつく
首を横に振りながら甘えるメルに一瞬驚いたが
サリバンはふふっと笑い背中を叩いた
「お疲れ様」
その言葉でメルはクスリと笑った
嗚呼何時もの姿だと。
++++++++++++++++++
場所は代わり、バビルス地下3階
生徒はもう緊急で家に帰らせ終末日近かった為
明日もお休みにして終末開けに来てもらう事にした。
そうしないと魔女がいつ
女性たちを取り戻しに来るか
分からないからだ。
メルはフラクタルを使用してもらい
女性と共にオリアス達と地下に入っていた
「さて、この子どういう状態?」
『
同じ効果を持っていますよ。
魔女専用でちょっとアレンジしていますが。』
多分僕以外使ってないんじゃないですかね?
こんな消費半端ない魔法なんて。
そう言っては組んでいた腕を放し
片手を腰に当て片手で聞かれた事に
説明として人差し指を立てた。
『効果はまぁ彼女の命が尽き果てる迄…
と言ってもその前にイフリート先生の火炎で
燃やして開放しますが。』
「え?そんなことしていいの?」
『ご安心下さい。リン!!』
そう叫ぶメルに「はい」と
リンが何処から来たのか
メルの背後から現れ、説明の為前に出る。
「
いざとなれば血を流した後
『おおぅふ…我ながら恐ろしい護衛付けちゃったかなぁ。』
「と言うか前に魔女集会で私だけでなく
貴方に喧嘩を売った魔女ですよ?」
えええええとメルが叫ぶのに
リンが嘘でしょとドン引く
何々知り合い?と
マルバスがワクワクした姿で
メルに聞くもリンがええそうですよと答えた。
「私がメル様、を案内するために入った途端
攻撃吹っ掛けてきやがったクズ野郎です。」
『リンちゃん?待って?
勢い余ってとんでもないこと言ってない?』
「いやつい」
ついじゃねぇよ。ついじゃ。
「
何か他にも知らない単語出て来たんだけど…」
『嗚呼要は敵にこの場所を知られない様にするのと
氷を放った後すぐに全身の力を入れられない魔法を使って
回復しながら拷問しますってこと。』
まぁ正確には傷を入れた後、
かなり悪化しても死なない毒を塗りたくって
回復しまくるんだろうが…
毒入りの状態はまず回復よりも
毒を浄化する所からしないと
悪化して最悪死ぬからな。
それにへぇと嬉しそうにマルバスが答える
「そんなこと出来るんだね!!!」
『まぁ私も其処までしなくても
って思ってたんですが…
歯向かってきた相手が相手だからなぁ…?』
そうメルはオリアスやイチョウ、
ツムルやダリをまじまじと見ながら答える。
それに少女が力を使ってまで守ろうとしたのだ。
彼女の力を使わせるなんて、殺すのは流石に可哀想だ。
なんだって…死んでしまえば楽になってしまうからね。
「…貴方の方がずっと怖いわよ」
『そう?僕とっても優しいと思うんだけどなぁ!』
「とりあえずどうします?
吐かせます?それとも吐かせます?」
あの一択一択しかないですよ?ダリ先生。
勢い余って殺しそうな輩がちょっと多すぎて
流石に出て行って貰おうかと言ったのだが、
言うこと聞かない。
待って、本体まで言うこと聞かないと困るんですよ。
ただでさえ貴方達のコピーが言うこと聞かないんだから。
…あれ待って?
コピーが言うこと聞かないんだから
本体も言うこと聞かなくて普通じゃない?
あれ??
おかしいな????
「まま、男性の方も捕らえて
連れて来たしもう良いんじゃない?」
メルちゃん居なくてもいいんだよ?
と言うサリバンに
メルはいいえ居ますよと首を横に振った。
『あの子が出てきて弓矢まで撃たせた輩なんですよ…
皆さんが殺さない様に監視しないと。』
「君は敵の味方なのか
こっちの味方なのか
分からなくなるね…」
『嫌100こっちの味方に決まってるじゃないですか〜!
死んじゃったら苦しまないんですよ?
そんなの駄目ですよ!!』
そう笑うメルに理解したのか
オリアスがゾッと身体を震わせる。
メルは可哀想だから活かすのではないのだ。
確実に苦しめ続ける為に活かすだけだという。
それにマルバスが拷問学しない?と
スカウトを入れるも血なまぐさいのは
これ以上ごめんですとメルが手で断った
『じゃあ解きますよ〜イフリート先生!!』
「はぁい」
メルは指をパチンと鳴らす。
氷に舞っていた霧が消え、
イフリートが手から紫色の炎を出し
手を前に出し、横に振る。
すると氷に付着した炎が氷を包み込み溶かし始める
溶け始めると同時にリンとメルが詠唱する
お互い両手に力を入れ、溶け切った瞬間唱える
『「“
そう言ったメルとリンに、女性と男性が
解き放たれた後すぐに身体に拘束の鎖が現れた
ばたりと落ちた後コツコツと
音を立ててサリバンが前に出る
「気分はどうかな?」
「最悪よ…」
「俺達をどうするつもりだ?
殺すならさっさとやればいいだろ」
それとも喰うか?美味いぞ?
そう言った男性に
ほざけとメルがドス黒い低い声で答える
『貴様らの地肉等
腐敗したそこらの肉よりも不味いわ
この生きる
「メル先輩、落ち着いて。ほら落ち着いて。」
そうどうどうとなだめるマルバスに
煩いと眉をひそめて答えるメル
カリカリしても仕方がないと
ダリがケラケラ笑って答えてようやく
ため息交じりに眉の皺が取り外された
「それにしてもどうしてこの場所を狙った?」
「はっ!誰がアンタになんか教えるもんです」
『…貴様、死よりも苦痛を味わいたいのか?』
「ちょ!!オリアス先生!!退場!!
メルちゃん!!メルちゃん連れて外!!!
外出て!!!今すぐ外!!!」
「はーいメルちゃーん。お外出ようね〜」
煩い私は五歳児じゃない!!!
そう軽く言うオリアスに喚くメルに
はいはいと言いながら
オリアスが首根っこの服を掴んで引きずりだす。
がっつり銀色に光り輝き、
何なら身体に緑色の靄が見え始めたのに
ぎょっとしたツムルが指示をした。
それにオリアスは了解と言わんばかりに
メルの背後にスッと音も立てずに
退場させていたことを
彼女は分かっていたのだろうか???
「さて…まぁこっちには時間も余裕も
たっぷりとあるし?別に良いよ。」
やっていいよ、マルバス先生、リン先生。
そう言ったダリに二人が了解と言って
男性と女性が叫ぶまであと五秒。
++++++++++++++++++
バタンと扉を閉め、
綺麗な白衣がどこかしら血に塗れた
マルバスとリンがメルの元に歩いて来た
「…メル先生の言ってた通りでしたよ。
魔女の暴走で記憶が無かったそうです。」
『やっぱりそうか』
「最初の記憶を吐かせたんですが、
どうやら別に居るらしくて
そいつらからとある物を食べたとか。」
『…物?』
丸くて錠剤の薬程度の大きさではあるものの
直径1pと割と大きな赤い粒らしい。
それを飲み込んでから
身体の制御が効かず暴走していたとのこと。
「ちゃんと謝ってましたよ。
最初は暴走がまだ切れていなくて
血走ってましたが
途中から目の色が落ち付いて
髪の色も変わったので
…恐らくその薬の影響かと。」
『まぁ許さないけどね。』
『100歩譲ってあの子が出て来たのはまだ良いとして。
…うちの大事な宝に手を出したんだから許す訳はないよ。』
一生謝ってろ。
そう言ったメルに
それは納得するとリンが答える。
『生徒を狙わなかっただけ
まだ安いと思って欲しいわ。』
これで生徒まで狙ったらどうなるか…分かってるのかな。
そうにっこり笑うメルに、
その場に居た者はぞっと背筋を凍らせた。
女性の笑顔程恐ろしいものはない。
怒らせるのは止めておこうと
何人かは心に誓った。
「それで?その赤い薬って一体なんだって?」
「分からないと言ってました。
勿論誰に飲まされたのかも。
全身黒づくめで肌を露出してなかったようで。」
「…君達も同じように黒づくめなんだよなぁ」
「言っておきますが私やメル様の姿は
ほぼ正装なのでこれ以上に
黒づくめってことですからね?」
分かってるよ
そうイフリートが答えるのに
リンはコクリと頷いた
「一応もうひと絞りしたら
吐きそうな予感はしますが、
無ければこのままだと死にますよ?」
『えーそれは駄目だからリンちゃん』
「はぁい。無毒化して回復させて
無理矢理寝かしておきますよ。」
『あと魔法無効化のアレも使っといてね。』
「…本当に容赦ないね、君。」
そう青ざめるイフリートに
ええとメルが嬉しそうに笑って言う
『だってオズ達に攻撃したんですから当然ですよ。
…無傷とは言えない位痛めつけられた者もいますし。』
「だからもう大丈夫だって〜」
回復薬の無駄遣いになるよ?
そう言うダリにだってだってと
首をぶんぶか横に振るメル。
一応あの後ヒールを
ブエル・プルシェンコ先生から受けていたダリ。
それに何かあると行けないと言って
回復薬を二つ程頭からぶっかけていたのだ。
おかげ様で通常よりも元気有り余っているダリに
メルは全く気付いていないまま
更に回復薬をかけようとしていたのだ。
「も〜ソレだってまた作らないといけないんでしょ?
しかも効果的に結構作るの面倒じゃないの?」
『うぐっ…まぁ、そりゃ?』
回復草と詠唱の悪魔用特製回復薬だからな。
そりゃあ割とコストは高いし、
多分リンに言ったら
そんなの多用すんな馬鹿と言われそうだ。
ぐっとこらえたメルにダリが更に言う
「そんな大層なものを振りかけられても
こっちはもういらない
って言ってんだから使わないの」
『うぐぅ…分かりました。』
「言っとくけど俺も要らないからね?」
僕も。
そう先にオリアスとイフリートが
手を前に出して制する。
仕方がないと言わんばかりに
メルはポシェットに回復薬を仕舞った。
「にしても探索不可にするってどんな効果なの?」
『まぁ文字通り探索を不可能にします。
魔女は特定の物とか使って魔力の力が
何処にあるのか突き止めて救出出来るので…』
「おぉ…そんなこと出来るの」
『それを不可能にさせて、
相手が魔法を使えない状態にさせる。
完全隔離の魔法コンボですよ。』
「まぁアレンジとは言えども
そう言って先程席を外していたリンが
マルバスと交代で帰ってきた。
マルバスは僕行ってくるね
と言ってたのにリンがおねがいしますと言って任せた。
パタンとドアを閉めた後
悲鳴が多少聞こえたのに
オリアスやツムルの顔から
血の気がすっと消える。
『ええ?そう??そんなこたぁ…ないよ?』
「いやそんな可愛く言ってもアウトですからね?
誰が最大威力の黒魔術をアレンジして
最強拘束魔法使えって言ったんですか?
何処情報ですか?誰?誰に指図されました???」
『ちょ!誰も指図されてないって!!!』
「え?マジで
メルちゃん以外使えないの!?」
「あん!なの、使えたら…世界終わりますよ。
悪魔で言うなら高位魔術を3つ同時に詠唱して撃ち放つ
コストは高いわ威力は馬鹿にならないわ
元々は使用者の思考回路が疑われる魔法ですよ。」
それを更にアレンジして使うとか
…本当に気が狂ってるとか思えない。
そう言うリンにそこまでかぁと
メルは苦笑いして答えた。
『でも…それ位のことをしたからね?』
「まぁ…それでもメル様、
貴方暫く魔法使えないでしょ。」
「っええええ!?」
『うっバレてる?』
「そりゃーーオリアス先生やイポス先生達から
詠唱していたもの全部聞きましたが…
貴方死ぬの覚悟する位使いまくってますって。」
死ぬ気だったんですか?
いや敵自分しか撃てなかったし?
でも入間君使えてたでしょ。
そう言ったリンにメルがうっと唸る。
「はぁ…メル様頼みますから
もうちょっと考えて行動してください。」
此方の身が持ちません。
少なくとも
魔女の全力を持って撃てる位の魔力はあるんですよ?
それを3つも4つも当てまくろうとする動きがそもそも。
そう言うリンに説教入ったのに
メルが待て待て待てと制した。
『逆にあの檻の中で殺さないと外に出れないのに
生かせないといけないっていう所がヤバいでしょ???』
「そりゃ一瞬だけ心臓を止めれば良い話ですよ。」
『そっちの方がヤバいでしょうが!!!』
「そもそもそんな暴走した行動をする方が」
「はーいはいはいはいストップストップストップ〜!」
そうリンとメルの間にダリが割って入る。
今回の場合リン達も男性を相手していたし
確かにメルが前に出ないと動けない状態に
陥っていたのは事実だ。
「だけどもうちょっと周り見て
欲しかったかなぁって思ったよ。」
『…すいません』
「うん!!罰として二人とも
建物の修復手伝って反省文50枚ね。」
はぁいと肩を落として言う
メルとリンにダリは今日は此処までと言って笑う。
ひとまず女性たちを放置しておくわけにもいかないので。
交代で見張りを行うことになった。