メルーそう呼ばれた彼女に
メルははぁいと答える。
修復作業も無事終わり、
魔女から色々吐かれて会議を行った後。
収穫祭まであと3日と言った所だ。
色々行事がありただでさえ忙しいのに
加えて魔女の襲撃が来たのに拍車がかかる。
ー解雇、ですか。
ーうん。色々考えたけど、本格的に生徒に何かあればね?
ー分かりました。
『(そりゃあそうだ。
この場で守れるなんて
陽のあたる場所に居られることすら
奇跡だと言うのに。)』
自分は何処か特別で、
居させてくれていると思っていた。
だが今回のことで保護者からも勿論
一部の生徒や教師も不安になったらしい。
そりゃあ悪魔の力が封じられる位の脅威だ。
だからこそメルが居た方がいいのだが…
襲ってきたのはメルだけでなく、一部の教師。
それも仲の良い教師が襲撃されたのだ。
このままではメルがよく話す
アブノーマルクラスにも影響が及ぶ。
そうなれば本格的にこの場所に居られるわけがない。
『(あ〜次あったらってか今年で終わりかもなぁ)』
折角仮ではあるが永久の魔女になれたのだ。
まぁどちらにせよオリアス達と
連絡は続けさせて貰える所
このまま今年中に姿を消した方が割と楽かもしれない。
あの後魔女は自害して死亡していたし。
血で何時か崩壊すると警告されていた。
それも山羊のマークを添えて。
『(…このマークが、厄災を連れてきている)』
嗚呼多分一度離れた方が良いだろうな。
でもきっとオリアス先生は
納得してくれないだろうなぁ。
彼、そうお爺ちゃんが言っていた時
凄く申し訳なさそうな顔してたし。
あんな姿何時もお茶らけていたスーツ姿の
オリアス先生でもoffでも見たことない位だ。
しょげていたのに、割と申し訳なくなった。
『(こりゃ早い目に引き籠った方が
身のためかもしれない)』
では…各場所にダリ達、
特にバラムが気付かない位の
魔術を施す必要がある。
要は監視カメラの立ち位置だ。
コレを作ればぶっちゃけ此処に居る必要性などない。
しかしどうやって作ろうっていうかどういう状態にしよう。
監視カメラだと死角が生まれてしまうし。
『(幽霊だったらいいのに…
あ!!!そうか幽霊か!!!!!)』
閃いたメルがパチンと指を鳴らす。
おっと誰に見られているかも分からない。
冷静に冷静に。
メルは深くため息を吐いて
図書室から席を外し
職員室に戻る廊下を歩いていた。
『(イポスを出した時の様に目を付けて
姿を幽霊みたいに考えたら良いんだ!!)』
試しにとメルはオリアスを極限まで姿を薄くして引っ張り出した。
するとほぼもう透明と言うか
居る筈なのだが全く居ない様に見える。
うんこれ成功したな。
えらい。
後は…慣らすしかない。
そうメルは職員室に戻る前、
透明になっているオリアスを
そっと降ろしていた手の位置に移動させる。
両目が全く見えなくなるのは困るので、
今回ガチで溶け込ませて
ちゃんと気付かないか実験してみよう。
メルは職員室の扉を開けて戻りましたーと声を上げる。
おかえりーという声にただいまと返す。
その間も誰も一度たりとも
透過しているオリアスに気付かない。
うん。これ一番良いかもしれない。
資料も上手くいっているということもあり
納得したメルは
それじゃあ僕はここでと言って席を立つ。
「あっちょっとまってメルちゃん!!」
『っ!!何ですか、急に声あげて』
何かあって驚いたじゃないですか。
そう言ったメルにごめんごめんと
オリアスが声を掛けた。
これと言って一枚の用紙を渡された。
何だろうと思い用紙を持つ。
「それ落ちてたよ!」
『っげ!!マジですか…すいません。』
「あと…来週末あけといてね」
そう言ったオリアスにメルは
何でだろうと思っていたが
よくよく夏のチケットを思い出して驚いた。
「しー」
そう声に出そうになったメルの口を片手で抑える
内緒と言いたそうに人差し指を立てて
ウインクしたまま言うオリアスに
メルは顔を赤らめプルプルと震えた。
『…わかりました。期待しないで下さいね。』
「うん!」
『僕今週お休みするので。』
悪周期?そう言ったオリアスにメルはコクリと頷いた。
丁度入間の参加するイベントに行けないのは悲しいが
とりあえず肉体が参加出来なくても大丈夫な事が大事だ。
「分かった。お大事にね〜」
『ありがとうございます。それでは』
お疲れ様です〜そう言ってメルは笑って席を外した。
ぱたりと職員室の扉を閉めてコツコツと廊下を歩く。
嗚呼、また同じような世界になるのかとため息を吐いた。
『…(絶対に次は君達を守り抜く)』
崩壊しても、尚君達の魂は誰にも渡さない。
誰も誰も、この者達が笑って生きれる場所は。
誰にも邪魔させない。
そう決意したメルは
ギラリと銀色に目を一瞬だけ光らせた。
++++++++++++++++++
悪周期と言う名の生理期間一日目。
今日からクララの家近くにある
自分の作った家に一週間程居座ることにした。
まぁ荷物をほぼ持ってきた為、
ほぼ引っ越し完了と言っても過言ではない。
そのまま姿を晦ませることに彼らは気付いているのだろうか?
いや忙し過ぎて一週間後
また来てくれると思うだろう。
下手したら気付かないかもしれない。
今回の収穫祭はバラム先生とスージー先生。
音楽祭はオリアス先生と新人のロビン先生だからな。
丁度主役になる者に僕は参加していないから好都合だ。
メルはそっと意識を落とし、オリアスを作り出す。
『“
そう言ったメルの前には誰も居ない。
だが確実に透過したオリアスがそこに居る。
さぁ命令を下せ、範囲を広げよ。
『まずクララの家まで言っておいで。勿論両目は僕が持つ。
声は
そう言ったメルにオリアスが頷いたのか分からないが
説明を続けることにした。
『指を鳴らせば君は消えていなくなる。
今日はクララの家まで行って、
なるべく気付かれない様に魔法使うこと。』
分かったら散れそう言ったメルに
オリアスの気配が何となく無くなったのと
同時にメルの前に画面が現れた。
今回メルの目を直接通すのではなく、
水晶に映すことにした。
今日が成功すればメルの目に直接通して、
なんなら透過した姿に
そのまま身体を入れて動くこともする予定だ。
…本来は其処まで行くと危険行為に当たり
本当にこの世界から帰れなくなってしまうのだが。
彼らの世界を守るとなれば、
下手に駄々を捏ねても仕方がない。
『…よし、そこで止まれ。』
そう言ったメルにオリアスがぴたりと止まる。
ラファイアを使用したり
風を起こしたりと技術を磨く練習をする。
小さな獣は愚か、かなり俊敏で
気配がしたら逃げる魔物も
オリアスの姿には気付いていない。
『…ふむ、僕が感じた物が本当に
そのまま身体に伝わっているのか。』
これは本当に隔離した方が割と良いかもしれない。
なんならオリアス先生達の記憶消した方が良い?
いや、流石に魔女の記憶を消した方が良いが、
そうなれば割と何で攻めてきたのか
分からなくて困るのはオリアス達だろう。
流石にソレは不味いので、
今回の事で上手く使わせてもらうことにした。
パチンと指を鳴らし、今日の特訓を終える。
血はドロドロと流れ続けて気持ちが悪い。
ただでさえ熱も出るし痛みも出るこの期間。
周りの悪魔達がさっきから近づいては
消えての繰り返しをしている。
そりゃあ血の匂いが酷いからな。
バリアが何度か崩れているので強化し
寝ても覚めても崩れないようした後
メルは眠ることにした。
生理二日目
メルは痛みと同時に
身体のだるさを感じながら起き上がった
悲鳴は聞こえてこないが、
何となく昨日貼ったバリアが半分以上
壊れている感じがした。
身体を無理やりたたき起こし、
外の様子を見に行くと
案の定半分以上バリアが壊れており
割と危険だった。
修復し、部屋に入り
今日の朝食を作りつつ声を出す
『…あー、入間君明日かな。
なら学校までの道のり位は
飛ばせる様にしないと。』
距離は結構離れているので移動だけでもキツイが…
まぁ此処から出ることはないだろうし良いだろう。
どうせオリアス先生も無理に
此処に飛んでくることはないだろうし。
それにアレは一度きりのバッヂだ。
嗚呼念のため強化して
何度でも来れるバッヂを作っておこう。
此処はどうせ仮の拠点みたいなものだし
ミレイユの家にまだいける所
多分向こうが僕の居場所だ。
『…もし仮にオズ達が此処に来たら
向こうに飛べばいい。』
まぁ魔女が攻めてきていたら
そちらに招くのも悪くはない。
一応避難用のコテージで作っている。
ぶっちゃけミレイユの方にも
荷物はあるし、此処の荷物も後で
殆ど移動してしまえば良い話だ。
それに…
『今から色々沢山作れるしねぇ?』
そう在庫を軽くするためにも、
壺を使って回復薬や抑制用のタリスマンを作ることにした。
++++++++++++++++++
作成から一日かけそうになったのに
抑えた僕はえらいと思う。
あの後透過したオリアスは
なんとバビルスの外まで来ていたのだ。
スージー先生が作っていた
開催地迄は行けなかったが
昨日から倍以上の移動を
それも誰にも知られずに移動出来ている以上
とんでもなく良い方向ではある。
まぁオリアス先生の
彼に誰にも気づかれない様にしてもらっているからね。
こうすれば本格的に彼らに気付かれないだろう。
いやぁ僕って天才だなあ。
入間君活躍収穫祭当日。
メルはオリアスを透過し、
血がまだ出てはいるものの
昨日よりかはマシの身体を起こして告げる
『いい?危ないと思ったら必ず消えること。
声は駄目だけどコレ置いて来て。』
これは?と言いたそうに浮遊する緑の石。
『コレがあれば一度位は
その場に戻ってこれるやつだよ。
一応三つ程持たせるから。』
発動すると一瞬だけ僕の魔力が出ちゃうけど
一瞬も短いし何かのトラブルがあれば
意識持ってかれちゃう位だよ。
それ位薄い効果にしているし、
オリアス君の効果でそれ位かき消せるでしょ?
そう言ったメルにオリアスがコクリと頷いた。
『下手したら本体は
僕がこうやって行くこと
バレてるかもしれないし…』
まぁそれはそれで好都合ではあるが。
此方が攻撃するつもりがないこと位
向こうも分かっているだろう。
『一応警戒はしておくように。
魔女が現れたとなったら
生理止めと鎮痛剤使ってでも行くから。』
これでも3時間だけではあるが
血を止められる薬を開発していた。
ピルのちょっと身体に負荷がかかる薬なので
割と子供産む方に支障が来るが…
まぁ複数回使うつもりはないので安心して欲しい。
多分一度に2粒食べたら
間違いなく子供産めなくなるだろうな。
…と言うか魔女になった時点で
子供は産まない方をお勧めされるものだが。
『君のノルマは入間君やオリアス先生達を
魔女の危険から確実に守ること。』
もし難しいなら指で音を鳴らして。
その音で僕は君の近くに飛ぶ。
そう言ったメルに
こくりとオリアスが頷いた。筈だ。
『よし!!ならいっておいで!!』
そう笑ってメルは答えてオリアスだろう背中に叩いた。
透明ではあるが、
そこに居るのは間違いなかった。
一応触れたらそれ以上手が動かないものだから
間違いなく其処に居ると言うのはバレる。
…あぁ、砂とか霧とかかかったらバレそうだなぁ。
まぁそうならない様に動かすし、移動するけど。
そう思ったメルは出て行った
オリアスに手を振りつつ部屋に戻った。