理想の過去

そして数日後体調も良くなり復帰した夕方
夢に何度も父と母の夢に会い都佑はお妙に相談しに行く
するとまたと言った方がいい近藤がお妙に愛の告白をしていると
夕焼けの逆行で二人が揉め合っている姿が両親と重なった

すると都佑は居ても立っても居られず
「止めて!喧嘩しないで!!」と叫んだ後
お妙と近藤は都佑を見て妙が「都佑、ちゃん?」とどもる
目から涙が出ていたことに気が付いた都佑はすぐに
妙達から逃げて道中近藤回収の為帰り道の土方と
ぶつかり「どうした?」と聞くが涙を流し
寂しそうな顔で泣いている都佑は土方の手を振り切って屯所に帰る

妙が近藤と揉めていると泣き出して「ケンカしないで」
と言ったので、昔の両親に重なってしまったのではないか
そう申し訳ないような声で土方は事情を聴いて
仕事が終わって都佑も寝ようとした頃、近藤が都佑の部屋の前に来ていた
土方も都佑の様子が心配になり来た。それを知ってか
涙を流し腫れている都佑が部屋の外に出てきてタオルを
肩にかけて丸まり腰かけて月を見ながら話しだす

「昔パパとママが別れたの、毎日喧嘩してて怖くて
ママはパパに怒られて”都佑”を捨てて出て行ったの」
前世の記憶で今も尚心の奥の核にもなっている記憶
叶う事は無い今も諦めも捨ても切れない記憶
出て行った後父は言ったのだ「もう戻ってこないよ」と
その優しく残酷な言葉に都佑は涙を流し深く傷ついた。

そして心の中に一人の友達が出来た
それが”未夜”だったのだ。
その事に驚いた土方と近藤は都佑の涙を見ても体は動かなかった
そうして都佑は余りにも人を傷つけ怒らせお人好し過ぎる為
心の奥底に押し込めて未夜として死ぬまで生きる事にしたのだ。
都佑が何故壊れなかったのか、都佑は土方達に問う

「私は今も尚願うの。都佑として無邪気なままで笑っていれば
また仕事帰りで疲れた父と母が迎えに来てくれるんじゃないかって
二度と叶わない願いを込めて”今の私”は生きているの。」

叶わない、そう知っているし諦めなければならない。
なのにどうしても願ってしまうのだ。
また、笑ってくれるかもしれない、困ったような顔で
頭を撫でて布団の両隣に川の字を作り眠れるその日まで。
都佑は生き続けてしまっていたのだ
大人になり切れずに、現実を見ることを諦めて。

然しそんな都佑も子供ではない
朝狼の成人期の前に在る行事に頭を悩ませているのだ
都佑”前世の自分”が生き残るのか未夜”今世の自分”が生きるのか
その時期も迫っている為、余計に都佑が捨てきれないのだ
何故ならその時期に死んだ者はもう二度と思い出すこともない。
夢物語処ではなく存在が消えてなくなってしまうのだ

都佑として生きたくても未夜が死んだら身体の持ち主が
消えて都佑も未夜も居なくなってしまう
かと言って未夜として生きてしまえば都佑の人格は消えて
今も尚心として生きている今の純粋に感じる性格は
全て消えて無かったことになる。

それを近藤と土方にぶちまける
両方が生きる道はないのかと。
勿論都佑だってその方向で向かっている
然し余りにも無謀な話なのだ
都佑と未夜は元々は一人の人間だった
然し今年でもう100年も経つ
一つに戻ることすら思い出せないし
術の間にどちらかが息絶えてしまえば消えてしまう

ならば都佑として今を生きていたい
責めて散り無くなってしまうのなら
幸せだった記憶を噛みしめながら皆と触れたい
その気持ちを何とかしてやりたい近藤だが
そんな事は本人しか出来ない歯がゆさに
ついお妙と何処かに行かないかと提案する

都佑が望んでいた、両親との動物園。
それを出来るかというとお妙はすでにOKしていた
そして当日二人と一緒に動物園を巡る
心配の土方沖田山崎に加えて新八についてきた
神楽と銀時の六人で尾行する

都佑は嬉しそうに笑いが絶えずお妙に申し訳ないと
謝るが、都佑が嬉しいのならやってのけるわ。
と大船にのった勢いの心の広さに感動した都佑の
後ろから近藤が調子にのり鉄槌を下す
二人はついやってしまったと顔を青ざめるが
都佑は笑って嬉しそうに笑っていたので安堵する

動物園は終わり帰宅した後土方達と食事を共にする
つけていた事はバレていると言うが、此処で放った言葉に
都佑は驚き目の色を失う

「動物園なんて今日は行っていない」