ロシナンテの本音

ぐずった後ちゃんと銀さん達に頭を下げて謝った
仕事を休むのは身体的に寧ろ病気になりそうなので
嫌でも身体は使わないといけない

その間にやる事は沢山ある。
だから、この気持ちは抑えられる処まで抑えよう。
丁度燥いでテンションがMaxに到達した処から降りてきたのが幸いだ


お陰様で何とか土方さんの顔も見れて会話出来る
土方さんら真選組は正直まだ都佑が仕事に復帰は
難しい、寧ろ反対意見も多く、それは土方らも例外ではなく
寧ろ一番反対していたのだ

まぁ復帰の話では都佑抜きで男の話し合いになったらしく
事情は知らないが、いつも通りの上に少しだけ扱いが
幼い…というか、大切にされている感に都佑は
少々涙を流しても我慢しようと決意したのだった


+++


制御系のチョーカーを取りに行くのを忘れていた都佑は
土方さんと見回りに行き終えた風呂場の中で
ハッと思い出し、急いで風呂から着替えて屯所から出る
それを鉄と土方が見ており後ろから声がかかる

土方「何処行くんだ!そんな髪で、また風邪引くだろ」
『タオルもってますから!柏木さんの処です、
チョーカーが出来上がるので、取りに行こうと』
鉄「一人で行こうとしてたんですか!?」

はて?何か不味いことでも…嗚呼

私はタオルを肩に巻き
部屋着に近い動きやすい様な服装に頷いた
日は傾いているし、恐らく私が襲われるかも?
なんてことを考えたのだろう

性別上女ではあるのだが術を使えば男よりも力は強いし
そもそも目と鼻の先程の距離だ、私からすればの声だが
真選組でも女である私を心配してくれるのだろう

嗚呼、優しい人達だ。

胸が少し痛くなる。


土方「ったくお前って奴は…鉄、今から病院行くぞ」
『はっ!?土方さんちょっと仕事は!?』
鉄「はい!了解です!!」

2人の話が先に進み私は若干置いてけぼりなのだが
タオルを被らせた上に土方さんは隊服を脱ぎ私の肩にかける…のだが

身長が低い状態のままだったので
手を離せばするりと服が地面に落ちそうになったのを
都佑は瞬時に取りそっと強く握った

隊服を手で交差し、真っ黒に被れる様に被ると
土方から安堵の声が漏れたのを耳にした

土方「とりあえず、行くか」
『お、お、おう』

ぎこちなく首を上下に振りながら足を進めた都佑
それに土方は鉄と都佑を挟み歩幅を緩める

土方「そういや身体は動かせって言ってたが
血を見せるなってどういう事かお前知ってるだろ」

『うっ…バレてましたか』

俺を誰だと思っているんだ。
そう煙草を都佑が歩く方とは逆を向き吹いた
土方に鉄はクエスチョンマークが浮かび上がっているのか
土方の顔を見ながら首を傾げた

『”大事な者が薄狼の所為で傷付けられ
尚且つ成人前に限り”の話ですね』

土方「あんの爺…肝心な処
思いっきり端折ってるじゃねぇか…」

鉄「なんの話ですか?」

『薄狼が半壊させた話したでしょう?』

鉄「嗚呼!朝方のですよね!あれ唯の伝説って」

『私の勘が当たっていりゃ”事実”の話だよアレは』

鉄「え?」

ポロッと煙草を落としかけた土方とキラキラした目を丸くさせた鉄に
都佑は面倒なので土方に声をかけ、腕に袖を通して腕を組みながら説明をする

『薄狼は多種類の術を取得し攻撃から防御更には人の蘇生まで可能なの』

土方「そ、せい?」

『但し蘇生をすればそれなりの代償はある。
って言っても蘇生を成功させるには、
かなりの集中力や想いが無いと無謀なんだけどね』

恐らく少女がやり遂げたのは私の憶測で間違いない。
羽黒未夜ではなく岡本都佑の勘が物を言っているのだ
前世の勘は自分で言うのも何だが十中八九当たってる。

『少女は幼い心を持ちとある人を殺された
若しくは瀕死にさせられ哀しみ
今迄感じたことの無い様な怒りに
変わらない心が染まりそのまま崩壊の道を歩んだ』

鉄「あ、それなら何故半壊なんですか?
それ程の力があれば江戸は勿論
世界を滅ぼすことだって出来るでしょうに」

そう、其処だ、そこなのだ。

『多分、その子は思い遣りのある子だったんだよ』

私だって幼い頃一つの偽善を持ち続けていた時がある。
皆将来の夢は「看護師さん」「お花屋さん」「先生」
なんて言っていたけど、私の心から感じた願いでもあり
夢でもあった物を当時大人に話すと皆優しい目をしていた。

私はその「自分に向ける大人の優しい目」が好きだった
それが夢と言える事は、一度も無かったけれども。

『人一倍優しくて傷付けたくない人を
己の所為でたった一瞬守れなく手を伸ばす事も出来ず
傷つけてその場を立ち尽くして見ているだけで』

8歳ならきっとどんな大人でも守ろうとする。
然もそれが少女と来た
血なまぐさいモノは見せたくない

『”みんなが幸せで笑っていますように”
そう純粋な心が世界を滅ぼさずに
半壊にさせたんだろうね』

そうでもしないと、思わないとこの世界は生きていない
薄狼の人間が悪い心に染まればスグに処罰しなければ
少女の様な惨事を超えるものになっていただろう

悪いうわさが立つのも仕方がない事だ
だって一歩間違えれば世界は終わるのだから
彼ら(薄狼)が持つ感情一つで


鉄「そう、ですか…」

『怖かっただろうなぁ…まだ8つなのに
愛情に手を伸ばす事さえも諦め
自害出来ない身体に重過ぎる感情を抱いて』

土方「そうなのか?」

『暴走するには幾つか条件があります』

・絶望すること
・周りに血の海がある

『そして、心に必ず穴がある事。以上の三つです。』

鉄「穴?」

『”誰も自分を認めない”そう少女は悟ったから暴走した』

私も心当たりが大いにある為、胸が痛む
誰も認めない

自分の性格を
声を目を耳を口を言葉を心までも
全て、閉じて閉まって仕舞い込んだ

そんなときが、私にもあったから
少女がそう、感じた気持ちが分かる


鉄「いやそんなたった8歳で…」

『薄狼は産まれて来る時に前世の記憶を持ってるの
その記憶は直ぐに消えるが後期に必ず全てを取り戻す』

土方「何を、急に」

『少女は後期に審判前であった上に
前世に同じ様な感情を抱いていた可能性が高いだろうなぁ
…本当にそうなら、その子を抱きしめられて居たら
そんな絶望を味わう事もなかったろうに』

目を閉じて首をこてんと右に傾ける
その子の記憶は無いが、言い伝えの伝説通りなら
私は痛い程胸が締め付けられ共感する事が出来る

鉄「あれ?じゃあ都佑さんも?」

『もちろん』

足を止めて2人の前に向いて目を見つめる

『私も前世の記憶を全て持ち前世の身体の
状態のまま不安定な状態になっているよ』

こんな時期にそれこそ土方さんらに突き放されてみろ
絶望し心を閉ざしていく中に離れた直後に
土方さんにもしもの事があれば

私は少女以上の力で世界を滅ぼしかねない。

嗚呼、後戻りが出来ないなぁ。


鉄「ええ?!じゃあ!」
『その為のチョーカーなんだよね!せんせー!』

ダンと足で蹴り入っていく都佑
つい数分前にはまだ道のりに居たハズ
そう土方が冷や汗をかいていると都佑が
土方の方を向きニコリと目を細めて口角が上がった

背筋がゾクリと殺気ではない物を感じ取った
彼女が夜に出歩いても問題ないのは
何気に会話をしている間に術を使い別の行動を
川に水が流れるが如く自然にやり遂げるからだ

「遅かったのぉ、ほれ、両方出来たぞ」
『おお!流石ですねー!制御の方を付けるべき?』
「当たり前じゃ!何不安定な時に攻撃チョーカーを
付けようとするんじゃ!全くもー!!」

はっはっは!と高らかに笑う都佑に
医者である柏木は大きなため息をついた

鉄「それは?」
『先程話していた薄狼チョーカーだよ
金が攻撃銀が制御ですよね!めっちゃ可愛い!』

金色と銀色の逆三角形をした黒帯のチョーカー
何方も縁は色違いだが縁取りのみで三角形の中心は
小さな都佑の小指がすっぽり先だけ入る

「本当に良いんじゃな?これ以上迷いは無いな?」

土方「柏木、さん?」

『…正直言っちゃうと、私は変わりたくない。
私は私のままで生きたいです。
無邪気にありのままで自然を感じていたい。』

前世からすればかなり環境は良い
空気も良し何も考えなくていい

なのにこの世界は私の一番
喉から手がでる程の欲しいものが手に入らない

一番私が欲しい物は、何処にも無い。


『でも、もう願い過ぎなんですよ
何年心が変わらなかったと思います?
100年ですよ?ひゃくねん。』

鉄「ひゃっ!?」

柏木「…良いのか?」

『…ほぼ答えは出ています』

私は変わらない。

どんなに足掻こうが、私は私だと
真選組内に居ていろんな事を学んで理解した。

私は変わりたくない。

それは万事屋や江戸の知り合った沢山の人を見て感じた
嗚呼、私は羽黒未夜になり切れない。
私は昔から私なのだと

都佑なのだと

幼くて無邪気で勘の鋭い優しい子なのだ
夏の暑い日、日差しに笑う明るい少女は
私が決意し、柏木さんの眼を見てると

にかっと笑ってくれた

玄関先から、足と手を大きく振り上げて
飛び出していく少女が思い浮かぶ

柏木「…わしから言うことは一つだけ、
”生きて帰って、笑顔を見せろ”それだけじゃ」

そう大きなため息を何度目か知らないが
柏木は肩を落として娘を心配する父親の様な目で
都佑に言葉を贈る

都佑は目を輝かせて二つのチョーカーを受け取り
頬に摺り寄せて「はい!」と笑顔を見せて深く頷いた


『私は私で生きたいんです…だって
私で生きたほうがとっても楽しいから!』

嬉しくて楽しくてクスクスと笑ったり大袈裟に笑ったり
コロコロ変わる自分が好きで堪らないし、皆を邪に考えもしない
そんな自分は羽黒未夜として生きていた頃よりも
時間の経過が速く感じていた

柏木「…そんな笑顔も出来るんじゃな
そっちの方がお前さんらしいわ」

『えへへ、いやぁーそりゃ109年前から言われてますわー』

照れくさそうに都佑は眉をハの字にさせて
後ろ上の頭を少し乱暴に掻いた

土方「ひゃ…お前一体幾つだよ」

『心は109歳身体は22歳の都佑ちゃんです!』

えっへん!そう胸を張って顎を上に上げ目を閉じて
偉そうにする都佑だが、その後の柏木から
最後に審判の説明をしておこうと話をする前に席を立ち始める

それに何処に行くのかと土方が手を前に出すと
柏木はくるりと都佑のほうを向いて命令をする

+++

銀時「いやぁー晩御飯に邪魔してすいませんねー」
土方「な、なんでてめぇが…」
『こっら!今日は一応大事な日なんだから
喧嘩は私が許さないです!』
沖田「大事な日?せい」

り、なんて言わせずに風を巻き起こして勢いよく
空中に飛び沖田の腹に直接蹴りをお見舞いした

沖田「ってぇ!?何しやがるんでぃ!!」
『要らん事ぼやくきやろー!?』
新八「都佑さん、ちょっと方言…」
『ああん?なんなやー!やるでー!
集まったろー!ほい座る!!』

くるりとまわり、土方と銀時の腕の袖を掴み
自分から座り道連れの様に二人は地面に膝をついた
何をしやがる。なんて聞く前に都佑は
二人の隣から既に居ない

一体何処に行ったと思っていると廊下に出たのか
『こっちー!』と声が聞こえる
その無邪気さには神楽もため息を吐いた

神楽「都佑は予想以上の馬場馬ね」
新八「それを言うならじゃじゃ馬ね、神楽ちゃん。
いやでも何時もあんな風なんですか?」
沖田「稀に嗚呼なりますが
今日は群を抜いてるでさぁ…」

そう沖田が新八の隣に腰を下ろし答えを返す
押して入ってきたのは九兵衛とお妙、そして

土方「ああ!てめぇ!桂!!!」
『そうです!この人!ヅラなんです!』
桂「ヅラじゃない!桂だ!!」
『キャー生で聞けたー!やだ都佑ちゃん
ちょっと三途の川渡って帰ってくる』

土方「なんで攘夷志士を屯所にいれやがってんだ!」
『安心しろ土方さんや!高杉さんやあやたんも居るべー!』

バッと後ろの襖を開けるとキセルを吹かせる高杉
天井から猿飛あやめが入ってきた
特に高杉には土方だけでなく
沖田、銀時、近藤が刀を手に取り睨み付けるが
至って何もしてこない高杉に土方は眉を寄せた

高杉「話があると聞いて来たんだが…何だ此処」
『私の部屋でさぁ高杉さんや!おっしゃ!えーと
銀さん、神楽ちゃん、新八君、定春、お妙ちゃん
近藤さん、土方さん、沖田さん、ジミー、桂、エリー
あやめちゃん、きゅーちゃん、高杉さんっとOK!』

パンパン、手を叩いて注目!と言った都佑に
全員が目を此方に向けたのに少しニヤケそうになった顔を
軽く叩き、「やるぞー!」と意気込んだ

それに新八が「一体このメンバーで今から何をするんですか?」
と言った事には土方さんも大きくうなずいた

『13+1匹+1人で15人、うんうん。
私出来る子やれば出来る子ーとりあえず円になろうか。
北に銀さんから、おいでおいで』

銀「おいおい、説明も無しに話を進めるんじゃねぇよ
大体このメンバー明らかにおかしいだろ!
100歩譲って真選組に依頼での万事屋は良い!
然しヅラや高杉はおかしいだろ!っつーか高杉と何時接触したよ!?」

『術使って仲良くなりました!
説明は席順決めてからだよ!
おっらぁ!あっちいけや!』

銀「えっ?あっ、はい…」

そう足で背中を押す都佑に汗を流しながらも
重い腰を上げて北のほうに座りなおす銀時
”術を使って仲良くなりました”
あの高杉を糸も簡単に術で手駒に置いた都佑に
正直動揺が隠せない銀時

『次は…新八君だったよな、其処からー
神楽ちゃんちゃう!馬鹿都佑!
此処はお妙ちゃん…じゃろう?銀さん?』

ニヤリと目を細め眉を上げて口角を上げる都佑
呼ばれた人は北から時計周りに座りなおされていく間
銀時は目を丸くして沖田を座らせた辺りで声を上げた

『理由なんて聞かないでも分かるよねぇ…白夜叉殿?』
桂「その名前をどうして知っている?
というかヅラじゃない、桂だ。」
『龍とも呼ばれていたお方なら察しは早いのでは?』

ニヤニヤと目を細めていた都佑だが
九兵衛を座らせ終えた後から目を丸めて
大きく上半身を左に傾けて「んん?」と声を出す

『やったー!多分これで正解!いよっしゃぁあ!
うぉおおテンション上がるぅ!いやっふぅうう!』

土方「うるせぇなお前は!」

上下左右に上半身を揺らし顔だけ真顔のままで
声色も殆ど変えない為かなりホラーに見える
土方は軽く青ざめながらも席から立たずに
胡坐をかいたまま突っ込みを入れる

都佑は全く気にしないまま机の上に置いていた
鞘と赤い炎の袴、そして金と銀のチョーカーを両手で取り
そのまま中央にそっと置く

柏木は北東の方角に正座する

柏木「では、これから儀式を開始する。
汝薄狼、今此処にて全てを捧げよ」

都佑は銀時の方を向き袴に袖を通すと
金のチョーカーを首に巻き鞘を袴の裏ポケットから
緑の紐を腰に巻き付けてその左横に入れてから
ゆっくりと正座し、返事を返す

『我此処に居る者にて光を灯し力を成す
我が力奥底に眠るたゆたいし赤き炎よ
わが力奥底に眠るあわれなき青き水よ
その力もてこの者らに契りをかわさん!』

カッと目を開き膝に手を置いていた右手を天井に上げ
垂直に手のひらを地面にたたきつけると
都佑の周りから黒いツルが巻き込もうと
飛び出し身体を締め付けようと攻撃してくる

それを止めようと動こうとした銀時達だが
瞬きした瞬間、既に決着が付いていた

膝を立てて鞘から赤い刀を抜いて周りのツルを斬っていた
その速さに驚き何があったのかも分からないまま
皆は茫然としていた


『…ふぅ、とりあえず邪念は、ぶち斬ったし
やっと説明が出来るー!嗚呼長かったよーじいー!』

柏木「はよ説明せんとお前さんの
大事な奴らが戻って来そうにないぞ?」

そう畳にゴロンと倒れた都佑に冷めた様な声を出す柏木
すぐに飛び起き『そうだった!』と目を丸くして辺りを
ゆっくりと見渡した後、デレデレと頬に手を置いた

銀時「お前、俺が出会った人を時計回りに並べたよな?
多串君らの時はまだ分かるが神楽や新八らとの出会いは
一度も話してねぇ筈だ」

『だって私知ってるもん、銀さんが何故白夜叉だったのか
その過去も、勿論神楽ちゃんの親族や新八君らも
嗚呼言ってなかったけど沖田や土方さんの過去も知ってるなぁ
特に土方さんのは食いついて見てたっけーいやはや懐かしい』

土方「”懐かしい”?一体、どういう事だよ」

『単刀直入に言います。私岡本都佑はこの世界に転生する前
前世の丁度この歳22歳にてアニメ映画漫画と騒がせた銀魂。
”坂田銀時が主人公の物語を視聴していた側の人間”です!』