都佑が初めに挨拶をしたのは次の日の早朝
局長の部屋に赴いた時だった
それと同時に言い放った言葉については
土方は全く知らない事で、驚き過ぎて煙草を口から落とした
『仕事は出来れば辞めさせて頂きます』
近藤「え!?アレの事なら別に良いんだよ!?
本当に言ったわけじゃ…」
『何方にせよ夜狼が動き出しそうですし、その時に真選組としての肩書があると
どうしても貴方達の誰かを必ず一人は殺して首を持って私を殺しそうだし?』
土方「おいどういう事だ、んな話聞いてねぇぞ!!」
『だって言ってないもん。土方さん私の事
他の恋愛や女と同じにして考えない方が良いですよ?
私身内になれば成る程本音は言わないので』
他人に言える愚痴と言うもので最近は話していた
頼っていたのは確実に関係が無い為
関係を持てばそれなりの対処に切り替える
だから私は最初から「本当に良いのか?」と言ったのだが
それを今痛感している事だろう。さぁ一体何時まで持つかな?
『そうそう、夜狼との攻撃は控えて逃げて下さい。
明るい処に出ると奴らは攻撃も出来なくなる。
皆赤い目と刀を持っていますので分かると思います』
近藤「まさか都佑ちゃん一人で乗り込むんじゃないだろうな?」
『寧ろ入って来ないで下さい。これは警告です。
なんなら近藤さん達がどれ程無力な者か試してみましょうか?』
そう言って着物ながらも立ってそのまま顎を引いて目の色を変える
土方「都佑、止めろ。んな事すりゃ俺がどうするかわかってるだろ」
『君らは皆私を舐め切っている。
どうして私が君らと同じく刀を使って攻撃しているのか知ってる?
君ら(真選組)と対等に戦える唯一の方法だからしているだけだよ。』
寧ろ本業はそっち(刀)ではない
幸福はすぐに断ち切る
小さな幸福は一瞬だけでおなか一杯にしなくてはならない
彼らが私を守ると言うのなら私は彼らを守る資格があるハズだ
『近藤さん、これ以上犠牲者を増やしたくありません
私を辞めさせて下さい。お願いします!』
近藤「…都佑ちゃんが真選組の為に
と言って辞めるのなら俺は許可出来ない。
寧ろ辞める前にやれる事はやってみりゃいい。」
それだけだろう?
そう言って私は頭を上げて顔を見る
少しだけ嬉しそうな笑顔に安堵していると
後ろから雪崩の様に隊士が声をあげてきた
自分たちで出来る事があれば!
そう必死に言ってくれる人達が何故か面白く見えて笑ってしまう
『…それじゃあ近藤さん、皆呼んで良いですか?
薄狼と夜狼とか諸々知らない人も多いでしょうし』
近藤「そりゃご法度じゃなかったのか?」
『だって皆私が隠そうとすると嗅ぎ付けて吠えるんですもん!
無理だって!こんな大量の男を騙すなんて、前世の私が許さないから』
そうプンプンと漫画で言う処の怒りマークが出ているのに
近藤は大きく声を出して笑った後直ぐに近くに居る人達に
全員招集する様に言った
+++
『薄狼はあくまでも”朝狼と夜狼の間に位置する種族”
簡単に言えば薄狼は朝狼と夜狼の二つを使いこなせる
かなり強い種族とも言えるのです』
沖田「はーい質問でーす。
じゃあ都佑だけでここら辺の人殺れるって事ですかぃ?」
『勿論、頑張らなくても感情に任せれば
一瞬でこの場所血の海にだって出来るよ?』
そう大きなボードに朝狼から薄狼までの特徴などを説明
詳しくわかりやすい様にかみ砕いて会議としての情報
そしてこれからの攻撃に備えての事等色々の説明をしていた
『って言ってもチョーカーを使わないと
夜狼や朝狼並みの強さは出せません。
夜狼は攻撃、朝狼は回復又は術操作。
因みに妖刀でも飲まれなかった土方さんは
朝狼の攻撃に無敵なのでこの話から軽く除外しまーす。』
土方「なんで俺だけ除け者なんだよ!!」
『逆に言えば土方さんレアなんだよ?
軽い術なら全く歯が絶たないから寧ろ一緒に居て
あえて恋人作戦していたら確実に
土方コノヤローは狙われるでしょう?』
沖田「そうか!そのまま土方コノヤローは
夜狼に殺されるってわけですねぃ!!」
『ちげぇよ沖田コノヤロー。土方コノヤローは餌だよ餌。
弱みを漬け込んで残念使えませーんで
相手の動揺をブンブン揺さぶってもがすんだよ』
土方「お前ら何人の名前貶してんだよ!
っつーかもがすって何!?お前何をもがすつもりなの!?」
話がそれていくので戻しましょう
『夜狼は火と水に対して抵抗無し寧ろ
攻撃する武器として使って来ます
その為火炙りに溺死は免れないでしょう』
近藤「…え?」
『風を操って切り裂いてくる奴も稀に居るから
何処までのレベルで人数さえ分かったら私が動くんだけど』
「あ、あのー…免れないんですか?死ぬ前提何ですか?」
『ん?まぁ普通の男性ならかなり奇跡的にでも瀕死じゃね?
だから私巻き込まないって言ったんだけどー勿論其処にも秘策があります』
夜狼と朝狼の力を得ている自分が言うのも難だが
かなり今回の戦闘では苦戦か楽勝の何方かに偏るだろう
だって天才の血ですもの。
『一滴で作れるお手軽防御布ー。これを首でも
腕でも何処でも”皮膚に触れている事”さえ守れば
一度位の瀕死は免れるよーって物です。』
山崎「確実に死ぬ前提で作ってますよね!?」
『私みたいな温厚では無い為気を許せばサクッと殺されるからね?
攘夷志士と立ち向かう気持ちとはまた視線が別だからさー
私は出来れば君らと一緒に戦うよりは自分でけりつけて来た方がって
思ってるんだけど…今なら間に合うけど?』
左側に重心を置いて前に片足を前に出し腕を組んだ
彼らの目に不安を抱いている人間は勿論居る
その恐怖はとても良い方の、磨けばとても良い強みになるだろう
しかしその強さになる蕾を引きちぎって
しまう様なことになる事も然り
まぁ彼らが私が何度言おうが変わらない事はわかっているんだけれども。
土方さんも「女であるこいつが此処まで肝を座らせて男である俺達が逃げてどうする」
となんかよく分からないプライドを置いている位の持前である。
そして逃げれば切腹というなんと理不尽な事だろう。
そんな理不尽は今に始まったことではないが
『…ふぅー、敵の知力は大体
勘の冴える土方さんみたいな人がいるって思えば大丈夫』
「え?それって詰んでますよね?」
『攻撃力は大体夜兎並みね、神楽ちゃんみたいな感じのが
大体100人来るかなー予定予想想像では。』
「え?マズいですよねそれ」
『え?何言ってるの皆。簡単な話だよ。
そんな奴らは全員”殺せばいい”』
目の色を変えて沸々と沸き上がる苛立ちを何とか抑える
青く光っているだろう目に隊士は驚き身体が強張る
『命を消してしまえばいい。守るよりも簡単な話だよ?
私の大事なこの場所を殺そうとするのなら私は容赦しない。
制御用のチョーカー付けてこんなにも情が沸き上がるんだよ
敵は味方、味方は敵ってね?』
青く光り続ける目に伴い銀のチョーカーが輝きを放っている
然し効果があるのか無いのか、力が抑えられているよりも
力が増幅している様な気を察した沖田近藤土方は眼つきを変えた
『簡単な話だろう?君らなら別にサラッと血を飛ばしてしまえば良い
容赦無く斬り殺してもらって構わない。私が許す。』
あんな奴らは消えてなくなれば良い
薄狼である私でも腹が立つ程の残酷さの塊に居る夜狼
皆仲間だと、仲間を撃つのかと、隊士が一人手を挙げる
それに都佑は逆に質問をした
” ”
『本当は皆笑って欲しい皆幸せになって欲しい。
でもそんなもの鼻から叶わない叶えない叶う訳が無い。
ならば何をする?守りたい者を守るだけだろう。』
その犠牲が夜狼であっただけだ。
夜狼は酷く薄狼を嫌っている
里に戻ればすぐにでも処刑されるのは目に見えてる
まぁ何処に行っても処刑しに向かってくるのだけれども
『元々狼族があんなに大きくなると世界の均等が崩れる
大量に殺してもうそのまま絶滅させる位の勢いでないと。
ほら、トンボやカエルみたいな上下関係あるだろう?』
あれと全く同じ原理だ
私達(薄狼)が彼ら(夜狼)の均等を保つから
プライドの高い奴らは気に食わず殺しに来る
上に立てるのは薄狼が居ない時のみ
『然も此間夜狼からちょっと話を聞いたんだよね?
”薄狼の大事な物を壊してしまおう”なんてさぁ…』
目の色は蒼く変わり髪の毛がふわりと風もない場所で上に上がる
『真選組や江戸をぶち壊そうとしているって事でもあり
私の大事な人を殺そうとするなんて罰当たりな人達だからさ
これは天罰なんだよ。全く憎たらしいなんて感覚は駄目だね!』
ニコリと笑い気を元に戻す
一瞬安心した隊士だったが、都佑の
目の色が変わっていなかった事にまたビクリと固まる
それに大きなため息をついて土方が「脅すな」と突っ込みを入れた
『せやね、まぁ私が君ら守ってあげるから
船に乗ったつもりで戦うがヨロシ!』
土方「色々混ざってるけどぉ!?」