Novel - Carla | Kerry

HOME > 花畑のモルグ > NOVEL

Novel

醒めない夢と誘わない楽園4

act 13.



嗚呼、貴方達で良かった。
核が、貴方達を見てくれるなら。


きっとこの日の為に
沢山努力をしてきてくれたのね。


そう笑う女性は席を立ち、数歩下がり始める
そこから白い靄が広がり女性をメルを包み込んだ


その勢いに天井に隠れていた
赤髪と白髪の男性が降り立つ

ダリ先生!と言ったのに
ダリが下がれと言わんばかりに
手を横に振り合図を出した。



「っ!待って!!」


モヤの中から白い髪色の女性が現れる
その目は移ろい、暗い青を光らせていた


魔力量が異常で、尋常じゃない程の解き放つ
何事かと外からメルの親族がやってきた


「すいませんダンダリオン様、今躾させますので」

「いえ、その必要は」


そう女性が入ろうとした瞬間
ダリと女性の間に光が飛んだ

背後を見ると遠くまで貫き通した
数センチ程の空いた穴に
間違いなく当たれば即死の攻撃が飛んできた。



「っ!!何をするの!!いい加減にしなさい」


そう声を荒げると
立っていた白髪の女性が身体をびくつかせ
そのまま頭を手で覆い隠し縮こまってしまった

モヤが女性を包み込み、
ただ守ろうとしているのが分かる。


「おやめください。危険ですよ」

「っ構わないで下さい!!」


そうダリがメルの母親の腕を掴み抑える
確かに今メルの元に近づけば恐らく死ぬだろう。

おいおいと赤髪の男性が声を上げる


「…オリアス先生」


「はぁい、この店だけでなく
皆さんに傷一つ負わせないよう
包んでいますよ。」


そう帽子を被る金髪の店員…
否オリアスにダリはコクリと頷いた。


何かを言いそうになり
首を横に振り視線を下げるメルに
ダリが聞く。

「…君が、“核”かな?」


それにメルがそっと近づこうとするも
来るなと女性が魔術で
メルの髪を数髪切り威嚇する。



「っ!!駄目です!!
威嚇しないで下さい!!!」


「あっ!!待って!!!」


そう核と呼ばれた子は
白いフードを被りそのまま
窓ガラスを開け飛び降りる。

一応此処10階なんだけど
と言う赤髪の男性を無視して
メルは浮遊して空を浮かび空に消えていく。


「っ!皆に告ぐ。メルちゃん逃走。
南西方向に飛び出した。至急何名か追え!!」


了解そう言った声に、何なのと声が聞こえる。
嗚呼もうバラしたものだし、良いか。とダリが答える。


「近頃感情を失う悪魔が多発していましてね。
此方も探っていたんですよ。
…まさか元凶がこんな近くにいるとは。」


「っ!!違うわ私じゃなくてあの子が!!!」


「そうさせたのは貴方でしょう?
嗚呼逃げれると思わないで下さいね?
貴方があの子にそうさせたように。
何処までも追いかけますよ。」


そう逃げ出す女性に一言言葉を添え、
ダリは身体を動かすことにした。



++++++++++++++++++



『(誰、誰か分からない、けど間違いなく味方)』



でもなんか逃げたい。

そう思ったメルは自分の身体を
最大限に風を纏わせて
高スピードで悪魔を巻いた。


地面に降りたち仕方がないと首を横に振った。

母がとんでもなく怒っていたが
茶色髪の男性が止めてくれた。


とてもふわふわした。


あの気持ち多分、持ってはいけない毒。

だから母が教えてくれた。でも…



味方な気がした。

この苦しみを確実に殺してくれる。
そんな気がしたのに

いやだからこそ逃げたのだろう。



『(それにしても此処どこだっけ?)』


青い綺麗な泉に月が照らしてくれる。
降り立った場所に、何かの記憶がゆらゆら揺れる。


コツコツと音を立てて
前から歩いてくる色に目を丸めた



「…やぁ、こんばんわ。メリィ」

『っ!!!ひょっとして…ジン?』


唯一の記憶が鳴り響く。


「まさか君があのメリィだったなんて
…案外世界も狭いもんだね。」


そう煙草の火をつけて煙を吐いたジンに
あれ?とメリィは首を傾げる。


『ジンは女の子じゃなかったの?』


そう言ったメリィにジンがズッコケる


「いやどう考えても名前的に男でしょ!!!」

『いやー名前偽名にして攫われない様に
とか名前変えたりするのかなって!』

「いやどっちかっていうと
僕の方が君を男と思ってたんだけど
…まぁそれは良いや。」


ほらと足を使って泉の反対側から
向かってメルの手を掴んだ。


「メリィ、あの時の続きをしよう!!」


走ってそう言って白い衣服を掴みながら
背の高いジンを見つつ走る。



「…やっぱり此処は前と同じなんだね」

『なんでこの場所を?
確かに貴方の記憶を』


「僕は覚えてるよ。
君が泉に居続けたことも。
君が僕に走る力を教えてくれたことも…君が」


僕を水から救ってくれたことだって。
そう言ったジンにメルは首を横に振った。


「初めて違和感を感じたのは
君が炎を出した時だった。」


炎を出して赤が良いと言い切った君の炎は
何時しか夢で見せた僕の弱い炎とそっくりだった。

だがその時、どうしても
傷つけさせたくなくて

でも炎は見せたかったから
歪な炎を作り出したんだ。



「君の髪色や目が変わるのは
ちょっと予想外だったけど…
でもまた…こうやって君に会えた。」


『…っ』


「ね、続きをしよう。
僕が勝ったら願い事一つ叶えてよ?」


チェルーシルと言って
指を鳴らしたジンに
メリィは自分の衣服が変わったことを意識する。


何時しかの短パンにTシャツ姿で、
ジンの姿も似たような姿に変わっていた。




あの時間から身体だけが
成長したみたいに見えて



『…っ!ま、負けないよ!?』


「ふふっ、勝負は一回きりね。」


フライング駄目だよ?
そう言ったジンにメリィは
頬を膨らませて分かってると言った。

クラウチングスタートの姿をする
メリィの隣でジンもまた同じ構えをする。


「…ずっとこの形で走った方が速いのに疑問を思ってた。」


『?』


「でも君が教えてくれたことに気付いた時、納得したんだ…」


ジンが小枝を見つけて葉を揺らした。
嗚呼これは合図だ意識を落とさないと。

そして音が鳴る。

これは勝たないといけない気がした。


足を前に出してとにかく力を抜く。

最近走っていない筈なのに
何故か凄く速く走れている。



アレ最近っていつだっけ?



そう考えている間に身体が一つ、抜けていく。


タッチした時、息を大きく吸って吐いたジンに
メリィは息を吐きながらどうしてと告げる。



「っ…僕ね、ずっと伝えたかったんだ。」


『っ!!やだ!!!!』


そう叫びメリィは風を巻き起こす。


それにジンは手から炎を出した。

歪な赤い炎を。



「消えることのないこの熱を」


『…やだ、やだやめて』


「君は僕が傷付くから姿を消した。
父上と母上が君をわるいもの扱いしていたけど
すぐに事情を説明したらわかってくれた。」


いやだと言って距離を取るメリィに
ジンは首を横に振る


「君が例え、何度も記憶を奪われたって傍に居るよ。
何度だって君を呼ぶし、何度だって会うよ。」


そういうジンにメリィは
大きな水を目から零し風を緩めさせる



ふわりと花畑が月に照らされて
キラキラと光り輝いていく



「君が赤い炎を綺麗だと言ってくれたように
…僕も君が綺麗だと思っているよ。」




『………っ』



「どんなことがあっても
ねぇ、メリィ…いや」




メル




「君が好きだ」




『っ!!!』


その言葉にメルの胸元が光始める

嗚呼、泡となって消えていくのか。
この気持ちは、この願いは!!



「っ!!メルちゃん!!!」



そう言った声にメルの胸元から光が飛び散る
直後追いかけてきていた者に破片が飛び散る瞬間


「っダリ先生!!危ない避けて!!!」



そう言ったマルバスの声に避け切れず
ただ腕を前に出してしゃがんでいた



すっと目を開けると
そこには浮遊した白いワンピース姿の
少女が…紺色の髪色をした子が、浮いていた



『ー“誰も、誰も傷付けさせないよ!!ねぇ!!!”』



そう言って飛び出した少女に
髪色の白いメリィが避ける

攻撃を放つ少女に
ただ避けてばかりに声を荒げた


『“っ!君はどうしたいの!!
私は…貴方が望んだ様に生きただけなのに…!”』


『っ…わた、しは…わたし、は!!!』


『“大丈夫、きっと!
君がやりたい事を皆分かってくれる”』


だから、もう全て元通りにしていいんだよ。

そう言って手を伸ばす少女に
メリィは涙をぽろぽろと零し叫ぶ。


ー生きたい。


好きだと、言って。



そう言ったメリィに少女は
微笑みメリィの額にキスをした

そのまま消えて泡となる姿に
大丈夫と少女は答えた。
これはただの夢だったと。




そう言って

意識がぷつりと途絶える。





++++++++++++++++++



「…ん、ここ」

「オリアス先生気付きました?」

「え?ダリ先生?あっ!ちょメル先生は!?」

あそこ。そう首を振って伝えるダリに
オリアスは目を丸めた後ニヤリと笑った。


嬉しそうにくるくると白い姿で
メルがイフリートの周りを
回ってただ笑っていた



『ふふっ!』


「随分楽しそうだねぇ?」


『あ!オリアス先生!ダリ先生も!!
…あれ?何で皆さん居るんですか?』


そう言ったメルに全員がズッコケる
いや嘘でしょと言ったオリアスにダリは苦笑いする


「メルちゃん記憶は?」


『一応あるにはありますよ…?
とりあえず頬ぶっ叩いても?』


「くくっ、いやしないでしょ!」


聞いた時マジで最初笑い堪えるの必死だったんだかね僕!!

そう叫ぶダリにメルは
笑いながらそうですねと返した


『でも割と不思議なんですよ?
今までこんなことなくて、
なんなら何時も記憶消して
新しい所に転々としてたので。』


「っえええ!?そうなの!?」


『ええ、そう言う記憶だけは維持されて
ほらダリ先生のこと
不思議そうにしてたじゃないですか。』


ああうん


『あの時まだ記憶が残ってる状態でして
かろうじてバビルスが何だったかな?位の
色々記憶飛びまくってたんですよ。』


「でもそれで良く土壇場に出たよね。
ってか青髪の君凄いキレ良くなかった?」


『ああアレは幼少期から母に決められていた姿ですから。
割と神経使う事ばかりしてましたし…
直感で店員さんとダリ先生グルだなって最初気付きました。』


っええええ最初から!?
そう驚いたオリアスに
メルはこくりと縦に頷いた

『ひとまずこんな場所に居させるのも
アレですし…中入ります?』


そう言ったメルにオリアス達は
お互いを見つめ合い首を傾げた



/utakata3/novel/71/?index=1泡沫の白昼夢