Novel - Carla | Kerry

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醒めない夢と誘わない楽園5

act 14.


『どうぞ狭いですがゆっくりしてください。』

「いやいや広いよ…」


そう巨木の中をくりぬいた場所に
ダリ・オリアス・イフリート
そして合流したマルバス・ツムル
イチョウも中に入った。


メルはひたすら地面に降り立つことなく
浮遊してくるくると回っている。



「ここは?」


『此処は私の秘密基地です。
ちなみに皆さんが来る前までは
イフリート先生が一時期
一緒に居てくれました。』


「ええええええ!?そうなの!?」


「ちょ、メルちゃん!?
それしーー!!!」

『へへ!だって〜つい楽しくて!!』


そう笑うメルにもぉと
イフリートは不貞腐れる


「それにしても綺麗な場所ですね。」


『何せ運百年と引き継がれし
神聖なる場所だからね』


「………なんの?」


『私のご先祖様の』


そう言った途端全員が一斉に外に出る


そんな神聖な場所に土足で男がわらわらと
入って良いもんじゃないだろうと言うのに
メルはケラケラ笑って
良いよ良いよと答える。


『もうこの状態になったってことは
間違いなく終わったから』


そう髪の毛を触り
白い髪の毛がスッと黒くなっていく

目の色も青から徐々に
茶色と黒の混じった色になっていくのに
おおと声を上げる


『核を維持し、感情を消し去り
魔力を高め続ける時代は
もう終われば良い。』


充分、悪魔様に迷惑かけてたっぽいしね。
そうメルがダリにウインクすると
ダリもまた「そうだね」と言ってウインクで返した


「にしてもその姿は?」


『私の元ですね多分。
ふわふわした感覚も無くなってるので
本当にこの家系、現時点を持って終わりましたよ。』


母も絶対怒ってますし、多分皆怒りそうですが。
そう笑うメルに、それこそこんな場所にいては
バチが当たるのではという者に首を横に振る。


『そもそもこの場所、
許される者でなければ
辿り着けないらしいんですよ。』


「え!?そうなの!?」


『ほらイフリート先生
私が手を引っ張って泉まで帰したでしょう?
あの泉から奥はもう区域的に
選ばれた者しか入れない場所なんですよ。』


「…待って?俺達じゃあどうして???」


『へへ!私が許可したので!!
だからこうやって入れるんですよ。』


だから入った入ったーと
ツムルやイチョウの背中を押すメルに
入りますと言って前に出て
席に座るのを見てダリ達もまた中に入る


「にしても此処凄い落ち着くね〜」


『守り継いできた場所なのでね…
まぁそれも暫くすれば朽ち果てますよ。』


「え!?」


「そりゃそうでしょ。
何せ守っていた力の源が途絶えるからね」


『おお!気付いてたんですかダリ先生!!』


「うん。まぁさっき
直感で気付いただけだけどね!!」


そう笑うダリにいやいやと
メルは首を横に振った


『あ、それにしても良く此処まで来れましたね?
私の跡付けてたって訳でもないですよね?』


「まぁね。」


「最初ダリ先生から縁談の話来たって聞いた時
職員室大騒ぎしたからなぁ〜!」


「イフリート先生、悪周期片足突っ込むしな」


「ちょ!おい黙ってろ!!」


そうツムルとイチョウが言うのに
イフリートが止めに入る。

はぇーそうなんですか?
とダリにメルが聞く。

それに気づいたのか
そうだよ〜とケラケラ笑いながら
膝を立てて答える


「メルちゃんのこと、僕が奪っちゃうよ?
って言った時ね?イフリート先生
誰があんたなんかに渡すかって
攻撃してきたんだよ〜〜!!」

『きゃーーー!!!』

「ちょっ!!ダリ先生!?!?」

そう顔を赤らめるイフリートに
メルがきゃっきゃと嬉しそうに笑う。

「感情を失う子だと噂と言うか情報は
耳にしていてね、入った時覚悟はしてたけど
あんだけ肝冷えたのは無いよ。」


そうダリが目を落として言うのは
メルが虚ろの目をして
ダリを見た時の事だろう。


何も入らせない
何も感じさせない

そう言った意味合いを感じた
と言ったダリにメルは謝罪する。

それにいいよ、とダリは手を横に振った


「ああするしかなかったんでしょ?
逆らうことは不可能だった感じしたし。」


『まぁそりゃあそうですが…
嫌なもの見せちゃいましてごめんなさい。』


「そんな不味かったんですか?」


「ん〜内緒」


そう言ったオリアスの通り、
ダリもまた本当は内緒にしたいレベルだった。
それ程まで何時も見ていた
メルの姿とは、違うモノに見えたのだ。



「まぁ何はともあれ
現行犯で魔関署も捕まえられたし
メルちゃんは戻ってきてくれるしで
一件落着だね〜!!」


『あっそう言えば
縁談の話どうするんですか?』


「…いっそのこと付き合っちゃう?」


そう言うダリにメルの腹を引いて
イフリートが警戒する

それに冗談だよと
ダリが手を上げて笑い答える


「魔関署と連携して、どう言う感じでしたら
尻尾出すかって考えた時に、縁談なら直接
話に入ってくるしと思ってね!」

こっちが合えて出した提案だったんだよ。
だから一応破棄という形に持っていくし

なんならコレが一番君の一族の首根っこを
捕まえる一大チャンスイベントだった訳だし!!

と笑うダリに『はぇー』とメルは声を上げた。



『ん?あれちょっと待って下さい!!
皆さんお仕事は!?あれ授業は!?』


「理事長が、僕達位ならって許可してくれたんだよ〜」


「生徒には研修期間って言ってるし人数的にもまぁ
実際の研修期間人数には丸々入ってるしね。」


『おぉうふ…ん?あれ私戻っていい、んですか?』


一応元凶は確かに母親が言っていたように私にあるだろう。


この樹を維持するために
感情を捧げていたというのもあるし

まぁそれをわるい方に
向けようとしていた母が悪いので

実際母が逮捕されるのは
間違いないので良いのだが。



「君が核として元に戻った時、
君のお母さんから
身体を守ろうとしたの覚えてる?」


『ああ覚えていますよ。』


「アレが無かったらぶっちゃけ
君も今頃逮捕されてたよ!!」


『ま!?』と驚くメルに
ダリは「ま」と答えた。

「魔関署がメルちゃんは
ただ操られていただけって事で
おとがめなし。
それどころか褒めてくれてたよ。」


今までずっと独りで頑張って、
勇気を持って帰ったことだろうと。

そう言ってたのを伝えるダリに
メルは首を横に振った。



『私はダリ先生、貴方に言った様に私は臆病者です。』


「…メルちゃん?」


『でも臆病で手を出さなかったから…
本当に掴まないといけない所に目を向けられた。』


メルはぺこりと身体を曲げておじぎをする


『ありがとうございます。
皆さんのおかげで
…苦しみから解放されました。』


「…ちなみに余談で悪いんだけどさ、
あの後メル先生どうなってたの?」


『んー儀式終えて、
そのまま全ての感情をこの地に捧げて、
そっから意識飛ばす予定で組んでましたよ?』


あ、なんならダリ先生と
お食事した最初の方美味しいって
言ってたんですが嘘なの気付きましたよね!
とメルが笑いながら聞くのに
ダリはコクリと頷いた。


「最初何でも食べるって言うから
嘘だろって思って驚いちゃったしね!」


『あはは!一応本当に食べれはするんですよ!
…ただ、味が何もしないただの物を
食らうだけになるんですよ。』

そう言ったメルの顔からは笑顔が消え
先程見ていた筈の青髪の女性の目と
そっくりに見えて
ダリは目を丸めて固まった。


「っ、」

『生まれてこの方
実はそうやって食事をしていたので
正直恐怖よりも食べた後の
絶望感を味わいたくなかったんです。』

「あ、だからフルーツも」

『いーーーーやそっちは別です。
流石にあんなのは食べれないです。』

そうきっぱり言うメルに
なんだよと声が上げる


『じゃあ急いで帰るって
事もしなくてよさげですかね?』


「そうだね、一応テストも終わってるし
夏季休暇に入る予定だからね。」


「どうせなら遊んでおいで〜
って言われましたしね」


『でも流石に帰らないと
仕事の多さにゾッとしないですかね…』


「あはは!!大丈夫大丈夫、
僕達が消えてもそれ位の仕事
出来る子達がいるし。」


それに君みたいな子が
いなくなる方が心臓に悪いしね。

そう人差し指を立てて
ウインクするダリに
メルはきょとんとした顔で固まる。


『はっ!!そう言えばダリ先生
私のこと可愛い妹分って言ってましたよね〜??
妹ですか!?じゃあダリ先生お兄ちゃんですね!!』


「え?マジで思ってたけど?
…まぁちょっと狙ってはいたんだけどねぇ?」


流石に先約いたら手ださないよ。
そう言ったダリにメルは固まり


『へっ!?』


声を上げ顔を赤らめる
いやーにしても表情豊かだねー
とダリはケラケラ笑う


「前見てた時以上だよね」

「それもこれも呪いから
解き放たれたって感じですよね。」


『…皆さんの知ってる、
その、姿じゃ、ないんですけど』


「ん?例え姿形が変わっても、君は君でしょ?」


それに気づかないならバビルスの教師失格だよ。
そう言ったイフリートに、そうそうとオリアスが続く


「それにメルちゃんはメルちゃんらしくいたし
割と俺の占星ラッキーハッピー無しでも見つけれたしね!」


『っあああああ!そう言えば
オリアス先生どうして店員さんしてたんですか?!
あっって言うかムルムル先生と
イポス先生どうして屋根裏に!?』


「っあーそこはほら」


「魔関署と組んでたんだよ。
メルちゃんの縁談相手を僕がやるから
下手な動きがあればオリアス先生が対応すればいいしね。」


『あ、オリアス先生の占星ラッキーハッピー
周りの悪魔を守るっていうことですか!』


「そゆこと!まぁ正確には君を守る方だったんだけど
まさか君が暴走して飛び出すとは予想外だったけどさ」


うっそれはまぁ


「そんなもん?聞きたい事って」


『あああと一つ!どうして
泉に逃げるって思ったんですか?』


「あそれ僕も思いました。急にイフリート先生
此処にあるからきっと行くって言ったし」


なんだろうってそう言ったマルバスに
先にイチョウが単純ですよと答えた。


「メル先生の性格上臆病なのであれば
臆病は基本危ない橋は渡らない。
つまり一度来た場所に出没する可能性が高い。」


「一度来た場所と言えば、
あの場所の近くからして
バビルスには戻る可能性は低い。
実家の方か何処かの思い出の場所二択に絞られる。」


「それで実家に戻る可能性は低くて
逃げる所で思いついたのがこの場所って訳」


『はぇ…いやでも可能性薄い感じ
なかったんですか!?』


「いや直感で来るなって。
実際直行したじゃん。」


『うっ』


それはそうだ。
うん…まぁそうなんだが…


『そうこう…なんていうんですかね』


「ん?何?餓鬼の時の記憶頼りによく言い切ったって?」


そう!!そう言って強く答えたメルに
んなのそれしかなかったしと
イフリートは続けて答える


「なんなら僕毎年此処来てたよ?」


その言葉にメルが叫ぶ


『嘘うそうそ!!!
何でおかしい!!』


「えっ何何どうしたの…」


『いや魔力で結界貼る様にしてるんですよ!
此処に来れる様にするには私と私が許した者…げ』


「まぁ気を許した者って
最初判定食らってたら後も有効だよね。
ちょくちょく帰ってきてるのは分かったし。」


まぁ流石に君があの時の子と気付いたのは遅かったけどね。


薄々は感じていたけど、
気付かなかったの?と言ったイフリートに
メルが答える前にダリが答える。

「だってイフリート先生のこと
女の子って思ってたんだよ?
そりゃ無理無理!!」


「ぶっ」


そう音を鳴らして笑いだした者に
焼かれたいかとイフリートが手から炎を出す。

ちゃっかりメルを炎から遠ざけ
守りながら言うのに笑っていた
ツムルは落ち着けと答える。


『いやぁそりゃそうですよ。
私の判定的に女の子に見えたんですから。
でもまさか私が男の子に見えてたとは
予想外、いやある意味予想的中して驚きましたが。』


「えっ!?そうなの!?」


「…いやだって考えてみてよ
男より素早い女の子がいてたまるかって。」


しかも声出せないし。
服装バリバリの男服だったからね。

そう言ったイフリートに
メルは苦笑いしかでない。


「あ、そのついでに
メルちゃん質問」


『はいはい!なんでしょう』


「その白いローブって
ひょっとして何かあるの?」


『ああ白の方は魔力を検知しない効果で
反対側は一定時間のみ
認識阻害効果を出してくれます。』


「へぇー今度魔術師団で使っても?」


『あっそれは止めといた方が良いですよ。』


ん?どうして?
そうきょとんとするダリに
メルはだってと答える。


『これ私の血肉100%から扱うものですから。
魔力も何もかも全て
私の効果しか期待できませんよ。』


そんな者真似できます?

そう言ったメルに
いいえとダリは首を横に振った。


『それにこのローブも
核を必要としなくなった以上
腐敗していくでしょうから
捨てないといけないんですよ。』


そう言ってメルはローブを外し
空中に飛ばし指を振る

するとローブは燃えて溶けて消えて無くなる
ああ勿体ないという声も聞こえるが

これで良いのだ。

呪いからも無事解き放たれたし。一件落着。


「あれ?そう言えば
メルちゃんみたいな子
ダリ先生達守ってましたよね?」


『あそれ私も聞きたいんですよ。
ダリ先生何か持ってませんでした?』


「いいや?特に持ってなかったよ?」


あれーじゃあ何だろう?
位置?と言ったオリアスに

メルはううんと唸った後
嗚呼と大きな声を上げる


それにイフリートの膝の上から立ち上がり

オリアスとダリの間を縫って
ごめんなさいと言って
そのまま部屋の端を探し始める



「何々?」


『あったあああああ!!!
お前かああああああ』


そう取り出したのは紫色のミサンガ

それにオリアスとイフリートが
あああと叫びハモる。


何事と今度はメルが
オリアス達を見た



「オリアス先生!占い!!!」


「占い?」


「此処に来る前にメル先生が
何処にいるかを占ったんだよ。
実家とは言えどもどこら辺にあるのか
誰も知らなかったからね。」


そしたらそれの占いで
ラッキーアイテムが
紫のミサンガだったらしい。



おおぅ…おまえっかぁい!!!!



『あ!!オリアス先生
ちょっとお頼みしたい事が!!!』


「なになになに!?
ちょ近い近いって…」


そう食いこみ気味に言うメルに
オリアスが落ち着かせる

んで?と聞いたオリアスにメルが答える。


『これと似たようなものが二つ
この森の何処かに落ちてる筈なんですよ。
いやもうどーーーーしても
取りたくて取りたくて…』


「これと全く同じ?」


そうメルの手からひょいっと
紫色のミサンガと取るオリアスに
メルはこくこくと縦に振る。


「…あれ?ソレ僕持ってるよ?」


そう言ってダリが
そっと紫色のミサンガを
胸ポケットから取り出す。


何でと驚くメルに
ダリがいやと笑って答える。

どうやら移動途中に
きらりと光った物が見えたらしく
綺麗な紫色に何か気になって
拾ったまま持っていたらしい。


『…ひょっとして?
いやそんなはずはいやでも』


「何々なに!?」


『もう有効期限が切れたということでお話しますが
実はこれ、魔関署が突き止めたかった効果のある
魔具だったりするんですよ。』


「ええええええええ」


『コレ実は私のとある感情を入れて、
どうしても守れないって時に
攻撃から身を守るタリスマンの
役割をしているんです。』


「へぇーーー一度きり?」


『未完成は一度きりですね。
感情のコントロールがあやふやだったり
思いが中途半端だったり。』


「そっちは?」


そう新しい方を指さすダリにメルは
あぁ〜完成形ですと答える


「中身って教えれるの?」


『ん〜言って効果が切れる気がするので
割ともう作れないことを考えると
多分内緒がいいかなと。』


「あー一応血筋の効果だよね…
あれ?待ってメルちゃん家系魔術は!?」


『あ多分使えますよ。
家系魔術と今回の騒動は
別の類なんですよ。』


「あっそうなの!?」


あ気付いてなかったのか。
まぁ感情の話は
確かにしていなかったからな。


「え?メル先生の家系魔術が
どうかしたんですか?」


「聞いて驚くことなかれ…
メルちゃんの家系魔術は
大昔に途絶えた古の幻想の箱庭の持ち主!!
肌に直接触れた相手を
一定時間出せることが可能なのだ!!」



『ダリ先生ダリ先生
とりあえず一発ぶんなぐらせて。』



いやだと言うダリに問答無用で腕を振るが
綺麗に笑われながら交わされる。



「ええええええええええええええええええ」


「そうだったの!?」


「あれ?!オリアス先生と
イフリート先生気付いてたの!?」


「え、いやだってねぇ?」


「僕はちょこちょこ見かけてましたよ」


「俺も何となく想像はついてたし。
それに家系魔術使える可能性を考えたら
予備の保険としても使わせたかったからね。」


「あ!だから皆と握手する時
素手で握手する時間長かったのか!!」


そゆことーそう言ったオリアスに
ツムルがこくこくと頷く


「でもメルちゃん
一度も出してなかったよね?」


『うっ…その、数百年以上
苦痛を耐えることを考えたら
こんな初期でヤダヤダ反抗してたら
不味いと思ったので』


そう苦笑いするメルに
ダリはとりあえずと声を上げる。


「もう夜も遅いし今晩は此処で
寝泊まりしても大丈夫?メルちゃん」


『そのつもりで招き入れたんですよ。
この周りは結構ヤバいレベルの魔獣がうろつくので
開けた場所から離れるのはよした方がいいですよ』


あ!トイレなら左側の方に穴掘ってるので
そっちでしてもらえば大丈夫ですよ!


そう言ったメルに
小一時間説教食らうとは思っていなかった

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