Novel - Carla | Kerry

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醒めない夢と誘わない楽園6

act 15.

「寝れない?」

『イフリート先生…』

そうメルは月夜の下
木の上で空を見上げて風に当たっていた

寝ている場所に居なかったから
ちょっと気になって見に来たと
言ったイフリートに
メルはううんと膝を抱える



「怖い?」

『…正直。母がアレで終わるとは思えなくて。』

「大丈夫だよ、僕もそれに皆もいるし。」

『ううんそうなんですけどねぇ…』

「なに?それとも君の作った僕の方が強い?」


一度手合わせしてみたいんだよねと言ったイフリートに
メルは何時からこの家系魔術を知っているのかと聞く
それにそんなこと?とクスリ笑う。



「君と初めて会った時だよ。
君、僕と会う前何してたか覚えてないでしょ。」


『え?あれ何してたっけ…』


「君さ知らない悪魔を出してお話してたんだよ。
それで僕が来て音がしたら突然消えて無くなって」


嗚呼それはやらかしだな。


「まぁ君がまさか事務で学校に居るとは
想像してなかったけどね。」


『あ!そうだねぇイフリート先生!!』


「エイト」


『いっ』


「エイトって、呼んでくれないの?」


『ゔっ』


ズルいそう顔を赤らめそっぽを向くメルに
すっと上から見るイフリート
上から見たらもうバレバレである。


『え、えい…』


「えい?」


『………と』


「ほらもっと早く言ってごらん?」


『ちょむむむむ無理無理無理無理!!』


「なんでさ、前はエイト先生〜って
テコテコ歩いて寄ってきてくれたじゃん。」


『あああアレはまだ意識する前の話であって』


「へぇ?なら急に名前で呼ばなくなったのは
意識しちゃったんだぁ?」


『あ゙っ』


いやそんなんじゃと言うメルに
イフリートが追い打ちを更にかける


「色気になった時も染まりたい
って言ってたもんねぇ?」


『えっ!?そそそんなこと
言ってないもん!!!』


はっ!呑まれてる!!
イフリート先生のペースだ。


うう落ち着け私
あれどうやって彼と話してたっけ!?

ああああ何時もだったら
スンってスイッチが
オフになったりできたのに

あれやっぱりそれって
前の方が良かったのでは!?



「…バビルス出る時
凄い泣いてたじゃん、あれなんで?」


そうメルの傍に寄って言うイフリート
何時の時だろうか、そう思っていると

ダリ先生に手ひかれて出てった時
すれ違いざまにどうやら見られていたらしい



全く気付かなかった。



『あれ、は…』


言えない。


いやある意味
恥ずかしいので言えない!!!!!


「何時から好きでいてくれたの?」


『っ、そん、なの』


綺麗な炎を見た時、だなんて…言えない。


いや…本当はもっと前。



『私が、どうして貴方に憧れたのか
自分で聞いたら分かるよ。』


「…教えて?」


『うっ、そんな可愛く言っても駄目です』


「…教えろ」


『〜っ駄目ったら駄目ですううう』



そう今にでも爆発しそうな頭を
とにかく涼ませたい。


何時もだったら
俊敏に動けていた筈なのに
どうしてこうもとろくなったのか。


誰か教えて欲しい。



いや教えろ。



私に教えろ。



浮遊したメルをいかせまいと掴み
身体に引き寄せるイフリート

その身体に包まれたまま
背中をとんとんと叩いてくれる。


…嗚呼これが夢ならどうか醒めないで欲しい。



覚悟を決めて全てを手放そうとした朝と違う夜。


また寝て醒めたらもう、そこには誰も居なくて。



なんて…



「何考えてるの?」


『っ!な、にも…』


「…何処にもいかないよ。」


そうおでこにキスを落とすイフリートに
つい何をされるか分からずぎゅっと
目をつぶったまま居るメル


少し考えた後、イフリートは
口に触れるだけのキスをする

それに気づいたのかメルは
目を開けて顔を徐々に赤くさせる


「おっっっと、逃がさないよ?」


『〜〜〜〜〜〜!!!!』


声にならない声が出る出る出る。

何なら心臓、今口から三回位
出せたってか出た出た。

足でクロスされ
その間に足が入ってるために
浮遊しても彼の腕に
また吸い寄せられてしまう。



いやでも維持すると
それはそれで恥ずかしいと言うか

抱きしめられてる
その真下で皆さん寝てるんですよ!!!



叫ぼうとする
私の気持ちをどうか汲め!!!


「…で?そういや君から
聞いてなかったね。」




愛の言葉




『へ!?』


おっと声が大きい。
いやでも皆寝てるよと言われる。

いや絶対起きてると言ったメルに
じゃあ賭ける?と言われた。


えぇ…それはまた別の話だ。


『…あんな、欲しい言葉全部言って、ずるい』


「ん」


『あの、いふっ…え、エイトせんせ、その』


「何?まだ言わないと駄目?」


『〜っ!ええ、えとそのあの…』


背中合わせにするのは不味くて
足を引っこ抜いて
そのまま胸を合わせるように振り返る
きっと今が言うチャンスだ。



ほら頑張れ私!!!
ああでも…何を話せば、



「いいよ、ゆっくりで」


『(…あ)』


そう言ったイフリートの目を見る。

綺麗な紫色の瞳に目が奪われる。

嗚呼もし夢なら…夢の貴方になら。


『…私、初めて紫色の炎を見て
凄く綺麗だなって思って。』


「ん」


『炎は赤じゃないとって思って出したの。
小さな子が教えてくれて。
その子が余りにも綺麗な目で
キラキラ私の事を見てくれたから。』


「…え」


『私も何時か、キラキラした目で
何かを見たいって思って生きてて』




紫色の炎を見た時、
赤い炎をみた時と同じキラキラが見えて。
凄い何でか知らないけど
アレは感動って気持ちだって



嗚呼今ならスラスラ言える。



それからどうか好きな花を
と思ってヒガンバナを咲かして


『正直綺麗な炎を見せてくれたから
そのお礼として何か贈りたくて
でも気付いたら食べ物食べれないのバレちゃって』


「ああ、あったね」


『無理矢理でも食べさせてくれて凄く嬉しかった。
私食べる時味しなくて、何時も口の中が分からなくて。
一人で食べるのはその味がしないのバレたくなくて。』


「…だから何時もふらり消えてたんだ」


『でもエイト先生が、
私に食べさせてくれた時
とっても美味しいって味分かって、
初めて食べ物食べるのって
こんな楽しいんだって思って。』


だからなのだ。


『醜態さらしちゃったお詫びに
と思って…これを渡そうって思って。』


「え、そのミサンガ…」


少し血に塗れたミサンガを
ダリから受け取っていたのを取り出す。


『これどうして紫色か知ってます?』


そう言ったメルに
イフリートは首を横に振った


『これ、貴方の事を想った気持ちが
強く込められているんです。』


貴方を見た時、紫色の印象がとても強かったから。
だから私は願いを力として魔力として石に込めたのだ。


『エイト先生が傍で居てくれた時が何よりも楽しくて
色がない世界が色見を帯び始めていく度に
時間が過ぎるのがあっという間で。』


「…っ」


『このミサンガ、一度だけなら
どんな魔術でも必ず防いでくれるんです。』


「…あ!あの時メルちゃん、君」


ーもしかして、これ?


ーあああああ…こんなことになってしまって


そうショックを受けた姿を思い出す



『ええ、イフリート先生、警備って言ってたから
不審者と良く当たるって考えて、どうしても
防御出来ない時に発動するように作ってたんです。』


でも自分に使ってしまっちゃって
そう苦笑いするメルに
嗚呼だからとイフリートは答える。


「僕にプレゼントするために
作ってくれてたって、こと?」


こくり縦に首を振るメルに
イフリートはキラキラした目で
ミサンガをメルから受け取る。


『まぁ効果は一度きりなので
基本使えば消えるんですが
何故かそれだけ残ってしまって、
捨てるに捨てきれなかったんですよ。』


「え?じゃあ新しい方って
あれ完成ってさっき」


うっ鋭いなこいつ。



『ええ…嗚呼好きだなぁって。
ずっと一緒に居られたらいいのになって
…でもそれは叶わなくて。』





あの時、受話器を受け取る前
ツムルからの声を聞いた瞬間
全ての声が一瞬聞こえなくなった。



嗚呼もう駄目なのだと。



『母からきっと連絡が来る。
その時が何時になるか分からない。
だから呼ばれたらこの気持ちは捨てないと生きれない。
だから…だから私はどうせ捨てるならどうせ壊されるなら』


自分で壊してしまいたい。
でもそんなこと出来なくて。
それなら、大事にしまってしまおうと思ったのだ。


『綺麗に蓋をして、嗚呼好きだって。
この中でずっと一緒に居られるのなら…もう
もうそれだけを願うしかないって。』


受話器を取って話をする度に

イフリートと出会い話をしていくのを
思い出してはすぐにかき消していた。



『聞いていく度に
嫌だって初めて反発して
嗚呼でもこの母の願いは
絶対で受けないといけなくて。』



さもなければイフリート先生だけ
じゃなくて皆に危害をくわえる可能性があったから



それはメルが一度幼い頃
イフリートと出会った時と同じだった。


あの時も同じように願ったのだ。
楽しいと感情は綺麗なものだと。
この時間がずっと続きますようにと願ったのだ。


そうして、悪い方向に結び付いた。

それがあったからこそ、一人ならまだ助けられる。

だが全体に被害があればどうなるか想像もつかない。



悲惨な結末を私は見てしまえば
今度こそ心を色を染めることすら
出来なくなってしまうだろう。


核がずっと否定し、全てを拒み
全てを破壊しつくそうとするだろう。


そうなる位なら
この感情を消し去った方が
まだマシだと思った。


『何よりもどんなことよりも、
貴方と一緒に居た時間が楽しかったから。』


色が全て滲んでいった色を
…吸い取られて
また同じ透明の色に戻るなんて


私は嫌だって



『貴方と居たいと欲に気付いた』



そう気づいた瞬間、涙が止まらなかった

嗚呼また消えて無くなってしまうなんて。


そんなの耐えられない。

それなら、そうなるなら。



『いっそのこと閉じ込めてしまえと思った。
こんな感情、こんなずっと燃え盛る感情なんて…
全て閉じ込めて石の中で
永遠に幸せに生き続けれたらもういいと。』



願っていたんだけど。




「…けど?」



『帰ってから色を一度
透明にして実家にいた時に戻した。
なのに恐ろしい位忘れるのに
時間がかかって割と焦ったの。』



何でこんな覚えているんだろうって

そして、

君は誰なんだろうって。



そこからはダリ先生達が
驚いてるのを見て、私も驚いた。


『この石は、縁談続いて
そのまま他の誰かと過ごすなら
この石だけでも今までの自分を
詰め込んで置こうって思って作ったの。』



出来るなら貴方が
何か危険な状態になった時
何度だって救える様に。

でもね、これには一つ難点があって
そう笑うメルに難点?
とイフリートは首を傾げた。


『まだ相手が私に好意を寄せてるかもわからないのに
一度だけでも魔力をつぎ込んだミサンガなんて
重すぎて引かれて嫌われるわって思って!』


「…え?だから渡さなかったの!?」


『うん!これだってそうだよ?
え?重すぎるっていうか
この感情が力になって
ダリ先生達を守ってくれたんだろうけどね。』


伝説には強き願いには
どんな者でも守り通す力が宿るって。

メルは自分の力でダリ達が
傷付くことは何としてでも避けたかった。



だから守って欲しいと強く願ったのだ。


そうしてその感情が姿を現した。


ただそれだけだ。



「つまりこのミサンガから
君が現れて、守ったって?」

『ん。エイト先生の事が
好きでたまらなくてっていう
我ながら重すぎるプレゼントに
私は自分でドン引いたけどね』


あははと乾いた笑いに
イフリートはそんなことないよと答え
そっと新しい方と古い方を合わせて
左腕に結んでみせる。

「ん、案外オシャレじゃん。良いねこれ」

『…ん!?あれ!?イフリート先生?!
ちょ、待って下さい、それ渡すとは言って』


「つまりこれは僕の想いを凝縮したものでしょ?
それって僕が持っておくものじゃない?」


『ん?えまぁそうっ
ちゃ、そう?え?そうかな?ん??』


そう首を傾げるメルに
イフリートはくすくすと笑った


ねぇとメルがイフリートを呼ぶ。
それに「ん?」とイフリートは聞き返した。



嗚呼、



エイト



『月が綺麗ですね』


どうかこの恋を、私を気付いて欲しい。



色を見せてくれてありがとう。


赤い色から他の色まで全部



いや、これから

もっと知りたい。



長い悪魔人生なら、貴方となら歩みたい。

そうおでこをこつんと合わせて笑うメルに
イフリートは僕もだよと答える。


「じゃあ今から君は
僕の物って事で良いよね?」


『…うん?うん』


「言ったね?10数年の月日
ために溜め込んだ気持ち負けないでよ?」


『…そっちこそ、感情に耐え続けて居た
私に気持ち何かで勝てるかな?』


ニヤリと笑って見せるメルに
言うねぇとイフリートはいう。


それにおかしくてついつい笑ってしまう。
嗚呼、こんな笑えるのは


…人間界に居た時以来だ。




あの時間よりも

本当にこっちの方が楽しいが。






月明りの真下



「メル」

『…はい』

「死んでも、いいよ」



その時、キラキラとした月が
彼を照らした気がして

私はその色を感じながら
大きく返事を返した。




『……ええ、私も!』



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