Novel - Carla | Kerry

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新しい日々2

act 17.


さて、男性をほっぽり出したんだ。
ハンカチを目から下を隠すように
頭の後ろでぎゅっと結ぶ。

風を使い埃を払い始めると、まぁ勿論埃が舞うので
ダッシュで家から出る。

わははたーのしい!!


風が勢いを増して開けていた窓から出て行く。

そのまま次いでだから二階も掃除しないとなぁ。
一応お客さんが来るようには作って置いたけど
割と幼い頃ながらこの場所が作れたのは良い事だと思う。


身長、どれ程伸びるか分からなかったから
適当に自分の身長の5倍くらい
高く設定していたが

大当たりで嬉しいものだ。



『(埃が落ち着いた…かな?)』


塵と共に風を外に出した後
ひとまず綺麗になったのを感じて

外にあった井戸から水を汲み、
その水を使い部屋の床や壁を
風の威力を使い研磨する。


うん、応用だからな。


ちょっと強すぎると駄目だから
研磨程度は撫でる程度。


そう思いながら綺麗にしていく。


一応タオルとか身の回りの物は
こっちに食洗器用の洗剤があるものの
明らかに固まっていたのを考慮して
石鹸を一回り削ってから使用する事にした。


一応使用済みのやつだからな。

それも身体とか洗う用。


流石に悪いので
使った所は削ってから使用する。

空中で洗いつつ、メルは
後は何あるかなーと仕事を探す。



ひとまず全部洗ってしまおう。
そう食器も取り出し
外に出して洗い始める。


ゴシゴシと洗ったものは
横に流れ水で流され、流された水は
チリとなりシャワーとなり
一部の果樹園に降り注いでいく


これベルトコンベアでどんどか運ばれる
ただの流れ作業では



と思ってしまったが
深くは追求せず、気にしないで置く。




『よーし』


終わり。


そう言ってメルは
食器や衣類を乾かした後

机にあらかた食器を置いてしまい始める。

流石にコップとかないから
大きめの皿に盛って
手で食べるしかないか。


水は、最悪自分の魔術で飲ませよう。



浮遊した水に口を付けて飲む。

うん。

思っていた以上に水質は良い。

長年放置していた割には、良いね。



「メルちゃーん
ちょっといい?」


『はぁいなんですか?』


そう扉が開いた音と声に
メルはキッチンから離れる

此処は一階自体土足OKの場所で
二階に上がると土足厳禁にしている。


その為食材系は全て
天井に近い棚にしまっている。


メルは浮遊しながら
食器をしまっていた手を止め

そのまま浮遊しつつ
声の主であるダリに近づいた。


「あれだけあれば
多分足りると思ったんだけど。」

『ああ此処丸刈りする勢いで
採って構いませんし
っておおう、結構採りましたね。』


山の様に取っているのに
流石に苦笑いした。

まぁ成人男性がこう6人も居たら
そりゃあそこそこの量にはなるだろう。

何時までいるつもりなんだろうか。
ひとまず帰るのに一日はかか…るね。


「いやー勝負したら
予想以上に獲れてね!
調理手伝うよ?」


『あ、じゃあお願いします。
私部屋掃除したんで
除菌ばっちりですよ!』


一応サラッと加熱も含めて除菌済みだ。
メルは食材を手あたり次第に掴んで部屋に入る。


「じゃあ俺とメルちゃんイフリート先生は調理。
イポス先生とマルバス先生はその手伝いで
ムルムル先生とオリアス先生は
この食材持って来てくれる?」


「了解」


「じゃ行こうか。」


そう言われてメルはこくりと縦に頷きかけ走る
慌てなくてもと言って追いかけたイフリートを見つつ
ダリは二人の後を追った


『此処に包丁、あと上にお皿が
ありますので、お皿は私取りますね。』


「いや俺取るからメル先生調理してて下さい。」


「その予定でイポス先生駆り出してるんだから〜」


そう両手でストップをされたので
余り強く出るのも悪い。

メルは分かりましたとコクリ縦に頷いた。


『こっちにオーブン、水は此処からでます。』


「メル先生大皿何処にあります?」


『ああ大皿は上の戸棚にありますよ。
全部除菌したんで。』


「…あの短時間でこんな綺麗に」


そう新品同様の食器を手に取る
イポスにメルは苦笑いする。

いや別に応用したら
これ位、余裕だと思うんだよね。


「ほらほら手止めない〜
どんどんくるよー」


『はぁい』


「イフリート先生」


「あいよ」


そう言ったダリがイフリートに向かって
幾つかのフルーツを投げ飛ばす。

すると火炎を使って飛んだフルーツが燃え
少し焦げた状態でお皿に着地する。

『(えーっとこっちは
切った後盛り付けるやつと…)』


後は野菜のごった煮を作るか。
メルは入ってきた
オリアスとツムルの方に寄る。


『すいませんこれ幾つか貰いますね』


「ああ構いませんよ。」


『えーっと、これを、こう!!』


そう両手いっぱいに抱えていた食材を
一気に空に放り投げる。

その間に身体を後ろに引いて
下から上に手を上げる。

その勢いで食材が斜めに切られ、
その応用で他の方向からも切れ目を入れる。


「おおお」


『エイト!』


「あいよ〜鍋あるよ」


ないすう!
と指を鳴らしメルは
そのまま調理に向かっていた

イフリートの出している鍋に
ゆっくり切った食材を風で移動させた。
ふわりと巻き起こる風にイフリートの髪が揺れる。



「すげぇ…風魔術の応用」


「器用だねぇ〜」


『へへ!楽出来るんで!
エイト先生!
鍋まだ余裕あります?』

「あるよー」


『あいよーそいじゃ
もうちょい足してぶち込むねー』


そう言って食材を切っていく間
オリアス達はまた外に出た

定期的に入れていないと
間に合わないと察したのだ。

移動したオリアス達を見ず
メルは食材を切り、フルーツはそのまま
マルバスやイポスが出してくれた皿に
風を使って盛り付ける。



「あ、マルバス先生
こっちにも皿下さい。」


「わかりました。
これ位で足ります?」

そうダリの指示に
マルバスが皿を見せると
ダリはその皿を顔だけ向けて確認する。


いいよーそこにおいてーと軽く言うダリに
そこ、と言われ目を向けたダリの方向に
マルバスは皿を置き棚の方に移動した。


「イフリート先生
火力ちょっと強火出来る?」


「いけますよー」


『イポス先生食器下さいー』


「わかりました」


そうお互い目を合わせながら
作業を進めていく。


それを外から
食材を取ってきていた組の
オリアスとツムルは…


「なんかいいね、この感じ!」


「まぁたまにはね」


「ロビン先生絶対心配してるし」


「それはメル先生の食生活?
それとも俺達の食生活?」


んー多分俺達!
そう笑って言うツムルに
何となく分かるとオリアスは答えた。


水で洗い流した身体で、
昨日付けていたワックスが外れ
髪の毛が前に垂れ下がっている
オリアスが苦笑いしながら

食材を掴み腕の中に入れる。



「でもあんなに拒絶するとは思わなかったね」


「フルーツ?」


「うん」


「イチョウから聞いては
いたんだけど、アレは凄いね。」


そう言ったツムルにオリアスは縦に頷いた。


メルが明らか普通のフルーツを見て
顔を青ざめ物凄いスピードで
イフリートの背中に逃げて行ったのは驚いた。


確かにアレを見せられたら
食生活気にしたくもなる。


と言うか本当に魔界では
貴重な位の確かに無害な形をした
食材ばかりで、

これを取ってきたメルの
どれだけ怖い食材を食べたくないかの
気合は感じられた。


「でも、前よりかは増えた
って言ってたよね
…どれだけ食えないんだろ。」


「多分食えないよりかは
食える前に本能的に逃げるんだろうね。」


ちょっと羽根生えてたり
うにょうにょしてたりするだけだけど。


そう言うツムルに
それが彼女にとって嫌なんだろうなぁと
オリアスはそっと感じた。


部屋に戻ると大分食材が消えており、
まだいる?と聞いたオリアスに

メルはもう大丈夫そうだけどと
大量の食事に寧ろ
机が足りないと悲鳴を上げた。




「二階に余りの机とかないの?」


『ありますけど
…まだ未開拓の地なので。
外に埃を出すにはいかないですし。』


「机だけ小さくして磨いたら?」


それじゃん。
そう指を鳴らして言ったメルに
じゃあよろしくとダリが
手をヒラヒラさせる。


はぁいと言って走って行ったメルに
いやぁ、可愛いねとダリが微笑む。


「まぁ華があるだけで何時もの
男性寮にいるメンツとそう変わりませんがね。」


「ちょっとそれは言わない約束!」



そう言って皆がケラケラ笑って居る頃
メルは二階に浮遊して上がって
ドアを開けまくっていた




『…楽しそう。』



ふふっと、そこに入れない
という寂しさも感じつつ

それでもただ楽しくて
心がワクワクしたまま部屋に入った。




『…大丈夫、大丈夫だから。』




そう言い聞かせて、
二階の幾つかの部屋から
机を小さくして手に入れる


この場所は逃げ隠れていた場所であり、
親からの避難場所で




実はこの場所以外に
何度か作っている拠点はあるものの
他は全滅させられている。




勿論タネは散らばらせている為
探せば取り戻せるようにしている。


この場所だって
たまたま泉を経由している場所であり
実家からはそこそこ遠い場所にあった。



そんな隠れ家で、
悲しい記憶以外
この場所には思い出がなく。


蘇り始める痛みじごくに胸が締め付けられる。


はやく帰っておかないと、と思う反面

この時間が少し愛おしく感じてしまう自分が居る。




嗚呼、駄目だ。
あんな親みたいになりたくないんだ。
迷惑をかけていたのはどちらだ。



首を横に振り、
新しい時間に目を向けるためにも

メルはひとまず
二階のドアと窓という窓を開けて
一階には窓から飛び出し玄関から戻る。


「あれ?メル先生?
二階にいたんじゃ」



「二階の窓から抜け出して
そのまま降りて来たんですよこの子」



「おおぉやんちゃしてるねぇ」



元気な子は好きだよ。
そう言ったダリ先生に
メルはえへへと嬉しそうに笑う。


「一通りできましたね」


「ええ、それじゃ食べますか〜」


いただきまーーす!そう言った声に
メルは手に取った物に声をあげる。


『ん〜〜〜〜!!!』



美味しい!味ちゃんとある〜〜〜!!
大根や人参とか色々ぶち込んだ野菜スープは
コンソメの味を入れてパンチが少し効いているのか
食欲をそそってくれる。


ほんっっっと白米のタネ
開発してお米栽培しちゃおうかな。

もう農家していい?私出来ると思う。

いやでも仕事場も忙しさ的な意味も含めて楽しいし。
やっぱ定期的に帰ってくる位が丁度いいだろうなあ。



嬉しそうに食べるメルに隣に座っていた
イフリートは美味しい?と声を掛ける。
するとそれに気づいたメルは
縦にブンブンと首を振る。


ニコニコするメルにつられて
イフリートもにこりと笑う。

メルの頭というか
身体中から花が散っているように見える気がする。
そうツムルは嬉しそうな姿をみてつい言葉を出す。


「そんな美味しいんですか?」


『美味しいですよ!
ほらムルムル先生も食べて食べて!!!』


「こらこら、焦らせない、あと立たない。」


そう立ち上がったメルの手を掴み
イフリートは指摘する。

テンションがハイに
なりかけているのを気にしたのだ。

落ち着けというイフリートに
メルはいやぁと照れ隠しに
頭をかきながら座る。


『えへへ、ついつい』


楽しくて。

そう心の中で呟く。



こんな味の強い料理は
ぶっちゃけ魔界で息を始めてから初めてだ。



ただでさえイフリートと食べた食事でも
とてつもない衝撃が走ったというのに
これ以上の感動があると思うと


…ちょっと世界広いなと思ってしまう。



うーん食べ過ぎて太るのが少し心配する。

まぁ今まで食べることに無関心だった子が
急に食事するようになるのだ
自分の胃が耐えられることを祈るしかない。



カチャカチャと音を立てながら食事をする。



それにしても、皆牙あるなぁ…
めっっっちゃ肉裂くのによさそう。


私は牙という牙と言えば
この上の歯に左右均等にある
八重歯くらいなものだ。


歯並びが少し悪くて
途中で無理矢理痛いのに
矯正されたのは痛い思い出である。


他は全て丸みを帯びており
まぁ女性というのもあり
歯を出して食べることは失礼だし

なるべく口に手を当て
極力歯を出さないようにする。




…マジで人間じゃないよな?私。


いやいやこんな馬鹿魔力…ん?


あれ、馬鹿魔力以外
私全部人間みたいな物体で間違ってないんだけど。




いやいやいや、考えるな。


もう食事に集中しろ。




「そう言えば思ったけど、
メルちゃんの歯丸っこいよね」


『ブッッッッ!!!!!
ごほっ、おっごほっごほっ』


「だ、大丈夫??」


ほらそう言って
背中を叩いてくれるイフリートに
手を上げながら大丈夫と合図をする。


今丁度考えて思考から外そうとしていた話題を振られて
つい驚いてしまったのだ。


幸いなことに飲んでいたのは水だったから
噴き出したのも布巾で何とか事なきを得た。


『っぐ、だ、大丈夫…
私の歯がそんな気になります?』


「いやまぁ他の悪魔にしたらやたら丸いなって」


『あ〜親が、その、ですね』


「あーーーいい分かったごめんごめん」


そう言ったら理解したのか手を前に出して
食事をしていた手を止めてまでして
それ以上は聞かないと首を横に振った。


うん理解が早くて助かる。
一応親が矯正はしているものの
歯は元々丸っこいのであってる。


多分皆すぐに尖った牙を
反抗しない様にと幼い頃に虐待で
歯を削ってしまったのだと勘違いしているが…




まぁそっちでも間違ってないんだよね!!!
矯正したに変わりはないし!!ね!?


「大変だったんだね…」


『ズズ…まぁ、過ぎたことですし。
おかげ様で生徒の親御さんがどんな方なのかは
生徒を見ていると分かる様になりましたからね。』


伊達に人間界の人生いきていない。
その知識もあってか
割と不安定な子供を見るのは得意だ。


「そうだよねメルちゃん
悪周期の悪魔見つけるのぴか一だし」


「ええ!?そうなんですか!?」


「うん。怪しいの見つけ次第
僕か生徒会長に報告してるの見かけてたよ」


『あらアメリ生徒会長と
会話している所、目撃されてたとは。』


「伊達に神出鬼没って
言われてないからねぇ〜?」


ニヤリ笑うダリに
メルはまぁそれは褒めて良いのかと
ちょっと反応に困り苦笑いしてしまうが。


「なんか直感とかで分かるんですか?」


『まぁそうですね
感情を消されるとはいえども
消されたおかげで他の悪魔よりかは倍以上に
感情の起伏に鋭いのは自信あるので。
何かを抱えているのを察知するのは鋭いですよ。』


例えばとメルは指を指す。


『今不安だなとかもやっとするな
って感じのあやふやな感覚とか。
眉が寄ったり、
身体の動きが若干鈍ったりするんですよ。』


「へぇー」


「だから教師にならない?
って俺催促するんだよ〜」


「確かに…それだけ生徒のこと見れるなら
教師向いてますね。」



そう言ったイチョウに
でしょーー!!!とダリが叫ぶ。


もうほとんど食事というか
食べ終わっている中だ。



「それなのに嫌だ嫌だって
拒否し続けてさぁ〜〜」


『言っときますけど
帰って即教員とか私しませんよ?』


「…」


あ、マジか。これ予定たってたな?


そう半目でダリ先生?
と低い声で言うメルに
違う違うと首をブンブン横に振る。




「ただちょっとそう!
体験して欲しくてさ!!
ほらメルちゃん
やったこともないのに拒否するのも
ちょっと本業のこっちとしては
納得できないと言うか!!」



『…まぁ、確かにそりゃあそうか。』


「あ、納得するんだそこ。」


『いやまぁ私だってそうされたら
催促確かにするかもですね。
と思いまして。』


でしょーーーやっとわかってくれたー???


と感動するダリに
何処か横を殴りたくなる衝動に駆られる。

嗚呼これが腹立つっていう感情なんだろうなぁと
何処か他人行儀で、自分の思考を整理した。


「ってことで、半年位だけど
二学期からよろしくね!!」

『待って?研修、長すぎません???』

「あはは!!そんなもんだってー!」


これでも大分譲った方だよ?

あ!勿論臨時で事務の子雇うから、
来年教師したいってなったら
その子そのまま事務採用するし大丈夫だよ!


そう言ったダリに
いやいやいやとメルが否定する。


『バビルスの教員免許というか試験ありますよね!?』


「理事長が許可するって✰」


『ああああああっっの角悪魔あああああ』


「角悪魔って悪口なの?ねぇ悪口なの???」


そういうツッコミは流しておいてメルは叫ぶ。



いや、試験しろよ!平等に!!!


まぁ私適当にして
試験から落ちる確定なのは
どうやら目に見えているらしく。


「無駄無駄、どうせメルちゃん筆記落として
実技も適当にして面接も何も言わない感じで行くでしょ?
それに僕君の事長く見てるんだから〜
そこら辺買って言ってるんだし?」


『…ん?ちょ、ちょっっっ
と待って下さい。ダリ先生?』


「はぁい?」


『…私何時、貴方に魔術で
本気を見せました?』


「いんや?みたことないよ。」


ただねと食器を重ねて言うダリに
メルは首を傾げる。


「こうやって君が
他の悪魔の為に魔術を駆使して動く
その力が生徒を守ってくれると
長年の勘が言ったんだよ。」


そう目を開いて言うダリにメルは固まった。
守る?私が?このぽんこつが???



「おや、信じてなさそうだね?」


『いやだってその…』


「…君がどれ程
いたぶられていたのかは聞かない。
だけどそれはもう過去の話だ。
君が居たいようにすればいい。」


何せ欲が出来たんだろう?

バビルスに居て、初めての欲が。

そう笑うダリに
そりゃあと目を落とす。

メルにダリは続ける。

「僕達は宝を守る子なら協力するさ。
そ・れ・に〜メルちゃんが教師したら
割と面白いハプニング起きて毎日楽しそうだし!」


『あ゙っ!ちょダリ先生!
それが本音でしょ!!
建前じゃないでしょ!!』


「あははーばれちゃった??」




バレるわ!!!

何年貴方と付き合いしてるんだ!!


そう言うメルにダリは笑って流す。

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