Novel - Carla | Kerry

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新しい日々3

act 18.





『私片付けますよ。』



「いいよいいよ俺達で食器洗ってるし」


『でも…私やれば早いですよ?』


そう浮遊させるメルに
良いからとダリが拒否する。

ううん確かに皆でやれば楽しいだろうけど。


これからどうする予定なんだろう。



『皆さんこれから
どうする予定で?
帰りますよね?』


「ああ一応僕は魔関署の連絡待ち。
一応ここら辺にまだ居るよ。」


「僕達は一応帰ろうかなって」


そう言ったマルバスに
オリアスやツムル、イチョウは頷いた。


『え゙…あのーその皆さん、どうやって此処まで?』


「え?一応飛んで…だけど?」


『距離馬鹿遠いんですよ???
疲れますよ?????』


「いや君がそれ言う?
とんでもない魔力解き放ちながら
超スピードで移動してた君が言う?」


そう言ったオリアスに
メルはいやいやと首を振った後
うん?と感じる。


『あれ!?私ずっとつけられてました!?』

「あ今頃気付いた?」


「ダリ先生とオリアス先生は
君と離れてすぐに移動したよ。
でそれ以外は君を監視するために後を付けてた。」

『あれ!?待って…え?
でも、寮で騒いでたのって』


「嗚呼メルちゃんの魔力が
感じられなくなったから
何処行ったのか大騒ぎしたんだよ。」


「まさか白いフードを被ったら
魔力消えるとは思わなかったよね。」


あの時凄い騒いだけど、
オリアス先生の占星ラッキーハッピー
何とか追いかけられたんだよ。

ちなみに余程焦ったのか移動中に
方角を電話で教えたらしい。


事実距離は離れていたものの
メルの場所は大体
方角的に移動してつけれていた。
あれ、なら…



「深夜の3時まで
意識が朦朧とする所まで
追い詰めていくのは…
流石に止めようかと思ったけどね。」


『ゔっ…やっぱり見てたんですね』


「流石に眠かったけどね。」


睡眠時間3時間はちょっと驚いた。
仮眠で正解だったねと言ったマルバスに
イポスは苦笑いした。


『あれ?でもイポス先生達は何時
ダリ先生達と合流を?』

「貴方が実家に帰られる2時間前
程で移動したんですよ。」

「一応あの店全部
うちが貸し切ったから被害者も無し。
君が気配を察知したのは魔関署の者か
僕達か、君のご両親や身内だけだよ。」


なるほど、かなり大人数でもなかったが…
高級な店だから人がいないだけだと思ってたら
まさかの貸し切りだったとは思わなかったな。


「話が逸れたけど、君達はどうするの?」


『君達?あ、私とイフリート先生ですか?』


「そそ。一応理事長から
二人ともまだ帰らなくても良いって
許可貰ってるけどどうする?」


「僕は彼女に合わせます。」


「分かった。メルちゃんは?」


『…正直、心の整理がついてから
バビルスに帰った方が良いと思っています。』


「うん」


『…ひとまず今日と明日は残って
落ち着かせてから帰ります。』


幾つか見ておきたい場所もありますので。

そう言ったメルに分かったとダリは頷いた。
メルはこれでも、家系最後の一人っ子だ。


ここら辺の取り仕切っていた上が捕まったのだ


一応本当に何処まで自分が持っている範囲かを
調べるにも時間が必要になってくるだろう。


「じゃあ僕達はこれで」


「またねメル先生!」


『皆さん本当にお世話になりました
ありがとうございました!!!』



そう勢いよくおじぎをすると
イチョウ達はお互いを見つめ合った後
いいよいいよと笑って答えてくれた


その後翼を広げて
彼らはオリアスの方向を信じ
そのまま旅立ってしまった。



「…行っちゃったね」


『行っちゃいましたね。』


「さ、僕も移動するよ。」


『あれ!?此処に残るんじゃ』


「正確には君の実家の方にね?
また後で来るでしょ。」


すぐに整理つかないだろうし。
そう言ったダリに
メルはいやでも、ともごもごする。
大丈夫とダリが答える。


「君のご両親が繋げていた者達は
外の者達って事は分かってるから。
あの場所一帯、
君が管理する事に多分なるだろうし。」


『…わかりました。また後で。』


うん。そう言ってダリは
イフリートによろしくねと伝え
翼を広げて空に消えて行った



『…ん』


「ん?なに寂しくなった?」


『……うん』


「(おっと…そりゃあんだけ騒いだのが
急にいなくなったらそうなるか。)」


それとも…

今まで感情を奪われ続けていた波が来たのだろうか。


楽しい感情だけでなく
寂しさまでも拭い去ってくれていたのに

今頃メルの中に渦巻く不安は
通常の数倍に膨れ上がって
襲っていることだろう。


どれ程の感情を彼女は、
…手放さず抱き続けることに、諦めたのか。



イフリートはそっとメルの手を握り返す。


「大丈夫、僕が傍にいるよ。」


そう一人ぼっちの彼女に告げる。
自分も一人だったから寂しさは分かる。
今はこの場所に二人ぼっちで立っていた。



『…うん、ありがとう。』

「いいえ。
それにしてもどうする?
部屋戻る?」


『あ、実はその…エイト先生』


「ん?」


そう眉をあげて優しく聞く。

それに怒らないでねと
メルが答えたのに
え?と答えた。


『二階に連れてくけど
これから何を聞いても
炎出さないでね。』


「え?待って?ちょちょ」


そう歩き始めたメルにイフリートは驚く。

ちょっと此処で。
と言ったメルにイフリートは止まった。
数分程で埃を取り払うらしい。

流石に埃が酷いらしく
これ以上は行かせられないと言われた。


まぁ果樹園でバトルしている時にちょっと見たけど
凄い埃が外に飛んで行ったのは見えたから
それがまた起きるとなると
確かに避けていた方が良いだろう。


イフリートは分かったと言って
一階に残ることにした。


++++++++++++++++++


『もう構いません。
除菌もばっちりしました。』


流石に本はそのままですが。
そう言ったメルに
イフリートは分かったと
煙草を吸ったまま二階に足を運んだ。


階段を上がると
廊下は続いており
左右に何個か部屋に続くドアがあった。



『一番奥が私の部屋です。
後は小部屋で資料とか
…後は虐待の後に逃げ込んだ場所とか。』


「へぇ…は?」


『感情を抱いたら、体罰受けるんですよ。』


傷はちゃんと消える様に
回復する力が身につきました。


そう笑って言うメルにイフリートは
驚いて吸っていた煙草を落としてしまった。

ごめんと言って煙草を拾う。


「そっか…うん。」


部屋に血みどろの痕が痛々しく残っている部屋。

階段あがってすぐの小部屋だ。

恐らく逃げ隠れた時
すぐ入れる場所として作ったのだろう。

中は薄暗く、木が木陰として
隠しているのが分かった。


『穏やかな時だけ
一番奥の部屋を使っていました。』


なのでこっちが皆さんのよく言う幼少期の部屋ですね。

そう言ってメルが奥の扉を開けて伝える。



部屋に入ると左側の方に向かって部屋があり
目の前に机左側にベットがあった。

外の光がカーテンから入ってくる温かい部屋。



幾つかの植物が
何処かの壁を伝って
水が伝いながら生えている。


「かわいらしい部屋だね」


『アルバムとかは
此処に仕舞ってるんですよ。』


「ん?これは?」


何の文字?そう言われて
メルは何だろうと
見た途端身体を固める。


『言えません』


それだけだ。

この文字は貴方に伝える訳にはいかない。


見た事もない文字に
イフリートは何と答えるも
メルの姿をみて
深くは聞かないことにした。




…そうイフリートが手にしたのは
メルが前世で生きていた頃の文字だったのだ。



小さい頃は日本語のローマ字から
悪魔の文字を取って覚え続けて居たので
大量に書いて練習していたのを
すっかり忘れていた。


『(流石に前世人間で、人間の言葉を
そのまま悪魔語に直訳して
悪魔語を覚えていました
とか口が裂けても言えないわな…)』


それにこの身体を見ても
どこからどう見ても人間に見える。


自分でも人間では?

と思ってしまう位人間に近いのだ。


…嗚呼もし人間なら、
私はこの場所から離れなければいけないのに。



何処か前世が良かったと思う自分が居て、嫌になる。



この場所が、とても楽しくて仕方がないのに。



「にしても綺麗な部屋だね。
悪周期とかで暴れたりしなかったの?」


『悪周期ないんですよ』


「…は?え?嘘今まで一度も!?」


『ええ、まぁ感情を切り取られるので
そりゃ怒りの感情も生まれませんでしたし。』


「…え?待って待って待ってバビルスでは!?」


『基本楽しかったので
其処まで怒るのもありませんでしたね。
流石に仕事し過ぎとかで
怒られることはありましたが。』



自分が怒ることなんて数えられない。
まずないと思う。
そう言ったメルに「えぇ」とイフリートが引く。


『自分は産まれてきてはいけない存在だと
この場所に生き残る為に感情を抱くことは
ましてや愛を望むことは許されることもない罪だと。』



そう言い聞かせて…
いや言われたりもしましたね。
そう言って机を触るメルに
ただエイトはメルを見守っていた


『だからずっと…こうやって作って』


「っやめろ!!!」


そうメルが自分を作り出し
そのまま押し倒して

手の中に炎の槍を作り出し
作り出した自分に向けて
手を引く姿にエイトが止めに入った


『…自分を殺すことばかりしてました。』


こうするしか、出来なかった。


そう言ってメルは手から炎を消しそっと
同じ姿のメルの頬を触っておでこを付ける



『だから私は、帰る時この場所で
こうやって殺す自分を思い出したんです。
嗚呼、この日常がまた起きるのだと。』


「……っ!!!」


『エイト先生』


駄目ですよ。
そう言ったメルに
「けど」とイフリートの手から
苛立ちと共に炎が燃え上げる



『母や父には感謝しているんです。
彼らは一応私を産んでくれたし
…この子にも貴方にだって出会わせてくれた。』


「…っ」


そう笑ったメルの笑顔に
エイトは耐えきれず
メルの身体を抱きしめた

ぎゅっと頭を抱きしめるその大きな手に
メルは大丈夫と
エイトの背中をとんとんと叩く。


何度だって殺して何度だって奪われた感情。


奪われる位なら殺してしまえ。

いっそのこと自分の中で。


そう言う、虚ろな目が見えたのだ。



今はもうそんなことをしなくて良い。
そう言ったエイトに、勿論とメルは答えた。


『…だから、これからはずっと。』


手を取って笑えられたら。
そう微笑み言うメルに作られていた
似たようなメルは嬉しそうに微笑む。


まるで今までの事は仕方がなかったよ。
何も考えなくて良いよ。
そう言いたそうに。

それにエイトはそっかと答えた。


「…あ、そう言えば
感情が消えたのに
よくこう感じれてた
というかバビルスに入れてたね?」


『嗚呼、全てっていう訳ではなかったんですよ。
まぁ燃えた後の炭火みたいに残り火は残るんです。
それを昔はノートに書きまくって残して
自分を見つめながら調べてた時期がありまして。』


それで何となく性格がつかめたんですよ。

ダリ先生と会話した
あの私も、勿論その特訓の賜物です。

そう笑うメルに
へぇとエイトは驚く。


「でも辛かったでしょ?
無理して言わなくても…」


『ううん。重いかもしれないし
引かれる前提で私話してるんですよ。
寧ろ大丈夫なんですか?』


「まぁ」


『…本音は?』


「…正直殺したい程度には」


ほらあああそう言うメルに
だってとエイトが首を振る


「可愛い子がそんなことされてたって思うとさ、
何であの時連れてけなかったかなとか
もっと強かったらとか。」


思うわけで。

そう言ったエイトに
それだけで充分と
メルは首を横に振る。

『…行きましょうか。ダリ先生の所へ』

「え!?もういいの!?」

『ええ…早い目に見て置いて損はないでしょうし。』

それに、ひとあばれしちゃいますかと笑うメルに
イフリートは首を傾げた。


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