「お、予想以上に早いね。お姫様?」
『…ほらぁそう言うと思って』
「いや君、魔力消費し過ぎだから」
そう言うイフリートに
メルは大丈夫と頬を膨らませた。
本当に底無しじゃない?
と言うダリに流石にそれは、
とイフリートが否定をする。
「どうも」
『あ!!アメリさんのお父様ですか?』
「っ!娘をご存じで」
『ええ何時もアメリさんには
お世話になっていまして。』
「成る程…だからアメリが怒って」
何があったのだろうか訳を聞く。
すると近頃、感情を失う子がどうやら生徒会でも
バビルスの本当に数名が起きていたらしく。
ただ事ではないというので探っていたら
メルの親が魔力を吸い取って
魔界を乗っ取りかけている話を知り
アメリはメルが危ないと感じたと。
「…同時に、良い様に操り
それを気付かせない様にする
とは悪魔として恥を知れと。」
親が親なら子も子だがと言ったアザゼルは
メガネをくいっと上に上げて言う。
「確かに私の娘が言うように
貴方は操られていた。
貴方の魔力を姿をみて納得しました。」
『っ!そそそんな…私がいけないんです。
幼いながらも気を確かにもって他の悪魔に
ご迷惑をおかけする前に火を消せれば。』
「いや流石にそんなことは難しいでしょう。
女性でいや男であっても
こんな大きな所に波紋を広げる場所は
そうそう早く手切るのは誰も成し遂げれない。」
寧ろよく生き延びてくれましたと言ってくれるのに
ぽろぽろと涙を流し出すメル。
そっと両手で顔を隠すのに
イフリートはメルを身体に寄せ背中をさする。
「この場所はどうします?
彼女に渡しますか?」
「それが部屋の奥に家系じゃないと
入れない場所があるので
心苦しいとは承知の上で入って頂きたく」
『っ…わかりました。』
そう言った後、四人は巨木の中の地下に入りだす
壁を伝って階段をグルグル降りて行ったあと
前に扉があり奥に続く場所があった。
『…アザゼルさん』
「なんでしょう」
『バビルスの生徒が何人か
感情を失ったと報告がありましたよね?』
「ええ」
『……“此処まで屑だったとは
本当に落ちぶれた肉片でしかないな”』
そう言ったメルのドス低い声に、
全員がびくりと身体を震わせた
『“他悪魔の感情をこう練り上げ力を付けようなど
おこがましいにも程がある
…殺さずゆっくりといたぶりたくもなるわ”』
「メルちゃん」
ふぅと目をぎらつかせ魔力を上げるメルに
イフリートが声を上げる
それに気づいたのかぴたりと止まる。
「駄目」
『…わかってますよ。』
そうそっぽを向いて言うメルに
イフリートはなら良いけどと答える。
「…っ、なんだ、今のは」
「多分初めての怒りですかね?
彼女感情を奪われ続けていたので。
(まぁ、その怒りも僕だって感じたけどね。)」
そうメルはギラリとメルをいや
メルのいたぶられた
記憶にある親を睨みつける。
虚ろな目にさせる程
何度も彼女を心を蝕んだ。
「メル先生が笑って
話せるのは奇跡でしかない」
と、ダリがツムル達に全てを話した後
ツムルが言ったのだ。
精神医学上メルの状態は
悪魔では到底成し得ない状態らしい。
通常でも記憶喪失や自我の暴走が起こるはずなのに
「何も手を伸ばさずに指示に従う」等出来ないと。
まぁ諦めたおかげで奇跡的に精神的なことでも
拒絶反応で何とか生きながらえることはなくもない。
ただそのケースも
かなりレアなケースで。
メルはそのケースでも
特にレアケースな位置だったそうだ。
ツムルは聞いた後目をぎらつかせて
「そうやった奴の思考が知りたい」
と言っていたが
まぁ、それは聞いた全員が思ったことだ。
バビルスに不法侵入しなくて
ラッキーだと思った方が良い。
それ程までメルの話を聞いて
皆本気で怒っているのだ。
だが、今メルはいうのだ。
自分と同じように
他の悪魔から感情を奪い取るのは
死刑にも値しない程の罪を犯していると。
怒り狂いかけたのを
イフリートが一瞬で
しかも二つ言葉を言うだけで
メルは落ち着いたのだ。
「(本当に彼女が悪周期に
先祖返りに落ちたら恐ろしいな。)」
もし返って堕ちたとしても、
きっとイフリートが
いや勿論、自分やバビルスの皆
総出で君を引っ張り上げるけどね。
『…開けるのは別に良いですが
中には入らないで下さい。』
絶対に。そう言った
メルが続けて『もし』と言う
『もし入ったら
貴方方の命は無いと思って下さい。』
これは警告ですよ。
そう言ったメルの目はギラギラと光る。
それに分かったとアザゼル・アンリが声を出す。
『…では私は中に入ります。
嗚呼扉に触れないで下さいね。
多分意識飛びますので。』
そう言ったメルにアンリはコクリと頷く。
ふぅと大きく息を吸って吐いた後
メルは声を上げながら魔力を高ぶらせる。
すると扉が開きだし
突如暗闇から光が飛び出す。
『っチっ!!おいおい
随分とやんちゃじゃない。』
外に出してくるのは駄目でしょ。
そう言ったメル
防御を取っていたメルの防御魔法に
アンリたちは助けられていた。
「あれは?」
『見るなお前達は何も知るな。』
そう低い口調で言うメルに
目閉じましょうかとダリが提案する。
いやですがとアンリは
仕事上知っておかねばと言うが
イフリートがそっと
ダリの指示でアンリの目を手でふさいだ。
「メルちゃんー!
僕達なにも聞いてないし見てないよー」
そう言ったダリに
メルは了解と声を上げて中に入った。
++++++++++++++++++
『ふぅ、終わりました。』
そう何時もの優しい声のメルが扉から出る。
するとふわりと風が外に向かって飛び出した。
アレは?と言ったアンリにメルが答える。
『バビルスの生徒さんの感情ですね。
彷徨わない様に
バビルスの場所をちゃんと教えましたので
ダリ先生このメモ通りの生徒を
今から職員室に呼び出して置いて下さい。』
「了解」
『あとそれとブエル先生、ロビン先生
そしてバラム先生を。
どうしても駄目ならライム先生を付けて下さい。』
多分暴れます。
そう言ったメルに
「え?」とイフリートが答える。
『感情を戻す時、
爆発的な情報に
脳が追い付かなくなって
パニックを起こすんですよ。』
最悪死に至ります。
まぁ少ない感情だったからまだマシですが。
そう言ったメルに
待てとアンリが言う
「君は…まさか」
『私は慣れていますから。
これ位なら皆さんに
知られない程度で済ませれます…が』
ましてや大事な生徒に手を出したのだ。
我が親ながら腹立たしい。
と低い声を上げるメル。
慣れているとは言えども、
メルも体験したことだろう。
『私や家系の身内ならまだしも、
私が引き継がないことを、
欲をかいて焦り、生徒に手を出すとは…
もう魂切り刻んでも許せないんだけど。』
「まぁまぁ、とりあえず落ち着こうか。」
そう言ったイフリートに
そうそうとダリが答える。
「メルちゃん
奥は何か教えられるものあった?」
『…他の悪魔から感情を奪う装置がありました。
家系能力ですね
それを機械にして遠くの悪魔でも
取れる様にしてたんですよ。』
なので本当に帰ってきて正解でした。
全て監視されていたんですよ。
そう言ったメルに、そうとダリは答えた。
『まぁそれもぶち壊しましたがね。』
「は!?」
『ご安心下さい。
感情はちゃんと元ある主の元に
移動させるように手配はしました。
アザゼルさん。』
魔界多少暴れると思いますが
先に謝りますすいません。
そう深く謝罪をするメルに
いやいやとアンリは首を振った
「此方が謝罪する方だよ。
すまない…そしてありがとう
君のおかげで大きな山が一つ幕を閉じるよ。」
『何かしらおかしい
って思ったら私を呼んでくださいね。
多分、家系魔術を使用するはずなんで、
普通に誘導尋問されるんで。』
話す時はヘッドホン
付けたまま音楽流しながらで聞いて下さい。
意識すると持って行かれるんで。
そう言ったメルにアンリは
職員に伝えておくよと
声をかけそのまま帰っていった
「…大丈夫?」
『まぁーーーーーなんとか。
にしてもコレが怒りですかね?
とんでもなく沸々と湧き上がるこの感情。』
「そうだね」
『…本当に悪周期入りそうな感じしました。』
コレ駄目ですね。
抑えられる様にならないと。
充分抑えられてるよ。
と言ったダリに
メルはいやいやと首を振った。
「この場所はどうする?」
『燃やしますよ。』
「え?」
『帰ってきて同じことをしない様に。
中身漁るまでもないですね。
ああ鉱山も行かないといけないな。』
ひとまず外に出ましょう。
そう言ったメルに分かったと
ダリとイフリートは頷いた。
++++++++++++++++++
『さてさて、ダリ先生
少し失礼なことをお聞きしますが
よろしいですか?』
「何なに?」
『高位魔術で炎って出せます?』
「…うん、出せるけど?」
それがどうした?
そう言ったのにふぅむと
メルが考えながら顎を触りだす。
いやでもまぁ
この二人だけなら…と言うのに
何をするの?と
イフリートが声を掛ける。
『今からイフリート先生と私で
此処を焼き払おうかと思ったんですが』
あんまりにも敷地が広いので
お手伝い欲しいなと
そう言ってメルは景色をみる。
巨木を丸々焼き払うというのだ
かなりの威力は必要になってくる。
『そのついでに、ちょっとお二人にご協力をと』
「?」
「協力?」
『そ。エイト先生って
使い魔イフリートですよね?』
「え?よくわかったね」
『これでも炎悪魔片っ端から探したことあるので。
イフリート一家は家系大きいですしね。出せます?』
「良いよ出せるよ。」
出ておいでそう言って出て来たイフリートに
おおおおとメルが目を輝かせる
『わぁあああ!
前に助けてくれた子だあああ!
元気してた??』
そう言うメルがイフリートの指に抱き着く
それに使い魔のイフリートがグルグルと喉を鳴らす。
「…驚いた、あのイフリートが一瞬で懐くなんて。」
『良い子だね〜!
あの時は守ってくれてありがとうね。』
優しい炎を持ってるんだねぇ
とほほ笑むメルに
コクコクと嬉しそうに
尻尾を振る様に和むイフリート。
「で?メルちゃん
これからどうするの?」
『ああ!そりゃあ!!
こうするんですよ!!』
“幻想の箱庭”!!
そう言ってメルが指を大きく鳴らす
すると目の前にエイトそっくりの姿が現れる。
それに続いて
『使い魔だしちゃって!!』
そう言ったメルに
コクリと頷いた後
イフリートを出したのに
エイト先生もダリ先生も声を上げて驚く。
「ええええええっちょまままって待って待って待って!?」
『あとはい手』
そう言ってメルがエイトの手を左手で取ると
そのままダリの元に近づいてくる。
『んっ』
「えっ!?ちょメルちゃん?」
そう右手でダリの手を取り声を上げる
『“幻想の箱庭”!イフリート・ジン・エイト!
使い魔のイフリート!ダンダリオン・ダリよ!!
最大火力で目の前の巨木を焼き払え!!』
そう言ったメルに大きく頷いた者は
手から大きな力を出して威力を解き放つ
『さぁ私達も火力追加入れますよおおお!!』
そう手をぎゅっと握って空に火炎を作り出す
それにエイトは仕方がないと言って
吸っていた煙草を捨て、左手で炎を作り出した。
ダリもまた手から炎を作り出し、
使い魔のイフリートも火炎で焼き払う。
こと30分。
綺麗に消し炭になった
焼け野原にふぅとメルは腰を落とすのに
手を繋いでいた二人は気付き力を入れた。
「おっと大丈夫?」
『へへ、腰ぬけちゃいました〜』
流石に疲れたと言って笑うメル
あらあらと背中が倒れていくのに
エイトがそっと背中を手で抑えた
「ったく、流石に底尽きたでしょ」
『多分?でも体力尽きる方が早いし』
「全くもう…」
「ははははっ、いやぁまさか家系魔術で
一人でなく二人も、しかもうち一人は
家系魔術を使わせた状態で使うとは…」
面白い子だねぇー
初めてみたよ!あんな凄いの!!
そう言ったダリに
いやいやとメルが首を横に振る。
『流石に手繋がないと
最大威力出ないと思ったので。』
「にしてもすさまじかったね
…溶けるかと思った。」
そう言ったエイト先生に
メルは同じくと笑った。
流石に火炎を放出し続けたので
汗もだくだくだ。
『消し炭だから流石に放置でいいかなぁ…あれ』
「…立てそう?」
無理そう。
そう言ったメルに仕方がないと言って
エイトはメルの背中と足に腕を入れ立ち上がる。
「ほら暴れない」
『〜〜〜っ!!!』
「わぁー顔真っ赤」
「ダリ先生?」
あら妬いた?妬いちゃた?
そう笑うダリに
イフリートはいいえと答えた。
「ひとまず家まで飛ぶよ?」
まぁ拒否権ないけど
そう言ってイフリートは飛び立ったのに
ダリはそのまま見届けたのだった