Novel - Carla | Kerry

HOME > 花畑のモルグ > NOVEL

Novel

宇宙も食べちゃうくらいの大食い5

act 29.

『いやいやいやいやいやいやいやいや』

無理無理無理無理
無理無理無理無理

そう拒否をしてイフリートの後ろに隠れるメル
時刻は12時お昼時。


「あら〜?食べれるようになったんじゃないの〜?」

『お前絶対私のこと遊んでるだろ!!こら!!!』

「あははっ!分かってるならさっさと食べなさいよ〜♪」


あらいけるわねこれ。

そう奢りという形で食事に来た三人。
尚、費用は一時的にサリバンに持ってもらうらしい。


今目の前には大量の姿煮が目の前を覆いつくしている。


もうこんな状態、人間界では
センシティブにつきお見せ出来ません。
と出来る位のモザイクがでるものだ。

あとこれは非常に不思議なのだが
「見せられないよ!」と看板を持った
マルバス先生がチラチラ見える。



幻想かな?大丈夫かな頭。壊れてる?



そうメルが現実逃避をしている中

バクバクと彼、魔樹はメルの前で
モザイクを食べまくっている。


恨みは買わない方が
良いということだけは分かった。


ぞっとするメルにイフリートは苦笑いしている。
彼も分かってこういう所に連れて来てなかったらしい。


「まだメルちゃんには早いかと…」

「あらそれもそうね。
別に私達だけで食べられる量だから
見てるだけでもいいのよ?」

『ゔっそう言われると…
なんか無性に食べたくなってくる。』

「…貴方やっぱり不思議ね。
親の心子知らずって奴かしら。」

『そう言うのは天邪鬼って
言って下さい天邪鬼と。』

それだと貴方が
私の親みたいじゃないですか。

そう言いながらメルはチラリとみては
イフリートの腕に胸を押し付けながら
しがみつくのに

一々フォークがズレて
イフリートが食べにくそうにしていたのを
止めなさいと魔樹が手を振ってこたえる。


「構いませんよ…なんなら食べてみる?」


あーんしたげようか?
そう言ったイフリートに
流石に目の前ではと汗を流すメル

まぁ親みたいな者の前で見せる訳にもいかず
イフリートは苦笑いで返し、
自分のフォークに突き刺さった物を口に放り込んだ。


「…にしっっしても、食べられてるのが
魔苺まいちご魔林檎まりんごと、あとなんだっけ?」

「魔カレーと魔婆豆腐まーぼーどうふですね。」



あ、勿論辛さは控えめですが。
そう言ったイフリートに
魔樹は片手で頭を抱え項垂れる。


予想以上に食べられていなかったことに嘆いているのか
はたまた其処までいって、よく死んでいないなと思ったのか


いや両方なんだろうな、
だから嘆いているんだろうな。




うん。



そうメルはかろうじて
食べられる魔カレーを
少しずつ目を閉じて食べながら
なんとか乗り切っている。


今、目を開けると




もれなく目の前の姿煮が
こっちに押し寄せて来るのだ。



勿論、押し寄せて来る訳も無く。


ただそこにあるだけなんだから
飛んでくることはないのだが…


メルのその状態に「食べられてる?」と
魔樹は疑問を浮かべる程の不思議さを出す。
それにはイフリートも苦笑いで…



「これでも大分マシになった方ですよ?
前はそっと近づいて切っただけで火炎を使って
燃やして後ろに隠れていた位なので。」

『ちょっと!エイト!?』

「あ〜〜〜確かにそう言われたらそうね。
私も昔持って行ったら距離取られたから
つい追いかけちゃって…」

「…待って下さい。
ひょっとしてそれが原因では?」


そう言ったイフリートに
魔樹はついついと言って答える。


「だって可愛らしい子が初めて見たもので
次の瞬間それが変化すると知らないで
放置するほど面白い玩具はないわよ〜〜〜♪」


「…よくそれで親御さんに叱られませんでしたね。」


「嗚呼そりゃそうよ。
だってその子の親、
育児放棄してたからね。」


「っえ!?」


『……魔樹』


おっと失礼。
そう微笑む魔樹に
メルは怒りを
そっと声だけで表した。


「食事もろくに食べなかったというか
物として扱ってたから引き取っただけよ。
生贄という位置にもあったからこそ
愛情なんて下らなかったようだし。」

『魔樹』

「はいはい」

「…すいません、僕」

「いいのいいの。
そいつが言ってないのが
いけないんだから。」


どうせ嫌われないように隠してたんでしょ。
そう言った魔樹にメルは
びくりと身体を動かし反応した。


「まぁ気持ちは分かるけどねぇ〜
ま!それも過ぎた話だし〜こうして
日常生活出来てるんだから
問題なっしんぐでしょ♪」

「まぁそうですね。」

『…いいのか?それで。』


まぁ過ぎた話だからいいのか。うん。


そう納得させて、最後の魔カレーを口にする。

美味しいは美味しいんだけどな。

あまりにもゴロゴロとしている
魔カレーだから割と引き気味だった。


味がするようでしない感覚は
ちょっと初めてかもしれない。


そう非常に要らない初体験を感じつつ
メルはお腹に溜まったものを手でさすり
トイレということで席を外すことにした。


「…余程大事にしてくれていて何よりだわ。」

「いえいえ…メルちゃんに
何を吹き込んでいたんですか?」

「あら、見られていたのね。
まぁ見せつけてたんだけど。」

「っ」

「そう睨まないで頂戴。
一応貴方を一時的に許してるんだから。」

「…一時的に?」

「ねぇ、貴方は人間を食べ物だと思う?」


そう言った魔樹に
イフリートはそりゃあと答えた。


「校歌にもありますし…」

「へぇ校歌に?」

「ええ、人間丸々我らの食い物って」

「………心中お察しするわ。」


何がだ何が。

そうイフリートは感じつつ
魔樹に質問する。


「メルちゃんとは
どれ程の付き合いで?」


「…あの子が、
まだ5歳になったばかりかしら。
居ないから言えるけど、
あの子見つけた時、目死んでたのよ。」


この世界にもう必要はない存在だと。

自分の望むものは
もう何も何処にも存在しないものだと。


そう言いたそうな言葉をしたのに
イフリートは目を丸くした



「っ!」

「でも死んだ目の奥が余りにも
健気で…綺麗だったから拾ったの。」

「健気?」

「絶対に叶わないと思う物を
貴方は手を伸ばす?」

「何ですか急に…いえ、
取れないならそんなもの無駄では。」

「その通り。
悪魔は叶わないなら
潔く切り捨てるわ。」


でも、彼女は違う。


「あの子は、
ただ諦めて死んでいたんじゃない。
この絶望がずっと続くことに
嘆いていたんじゃなかった。」


だからそれが余りにも綺麗すぎて、無垢で。

どうしようもなかったから
手を伸ばしてあげただけ。

そう言った時に
その本人が帰ってきた為、
話は中段することになった。


「(絶望以外に、死んだ目?)」

『エイトさん?
もう帰りますけど何か買います?』


「っあ、いや僕は別に」


『私も特に用事ないので
これで帰りましょう。』


そう席を立って前をいくメルに
イフリートもまた席を立って後を追う



「…貴方が最初で本当に良かった。」


その温かい炎なら。

きっとどんな者よりも強く目覚めてくれるから。



そう言った魔樹の声に
え?と言ったイフリートだったが
どうやら聞き間違いらしい。


寂しそうな声とは全く違いニコニコして
メルの方に走り
首根っこを掴んで振り回している。



なんなら頑張って
食べた物を出しそうに
顔を青ざめだしたので、

急いで止めるように
止めに行かねばならなくなった。



++++++++++++++++++



「どうだった?楽しかった?」

「まぁ…ひとまず
敵意は完全にない
と言うことだけお伝え出来ます。」


そ。


そう言ってイフリートは
メルと魔樹が買い物をしていた間に
ついでにダリからお使いを頼まれていた物を
お金と一緒に荷物を渡しながら答える。


ダリはそれなら良かったと答えた。


「彼女のバビルスの敵になるなら
割と容赦しなかったけどね。」

「…全員が相手でも勝てないのにですか?」

「人手が多いからねこっちは。」


多少は良い線行くと思うよ。
そう言ったダリに
彼程敵に回して怖いものは居ないと察する。


「にしても収穫は?
それだけじゃないでしょ?」

「っあ〜〜〜…まぁ
幼少期の話をチラッと聞いた位で」

「…きかないで置くよ。」

「すいませんそうしてもらえると助かります。」


バツが悪い様に伸ばしたイフリートに
ダリは気付いたのか何も聞かない事にした。

メルの姿を本心を
少しでも見たことのあるダリだからこそ
割とその歯切れの悪さで深く追求しないのだ。


普通だったら面白がってもっと聞いている。


「にしても戦力としては凄い悪魔が来たよね」

「えぇ、戦術とかイポス先生
テンション上がって聞いてますしね。」


そう先程からメルが
女子寮に帰って行ったのに
少し寂しそうにしつつも

午前中あんなに動いていた理由を
イポスが担当教員としても

外の世界を知る魔樹に
見聞を広めるために
話を聞いている姿を
そっとイフリートは見ていた。


魔樹も煙草を吸う方の者らしく、
現在は喫煙場所で話をしていた。


「にしても下に見られてたとは言えど
メルちゃんの一言でこうも変わるとは…」

「彼女次第で彼の動きが変わると思えば
まぁ穏便に事を進める場合彼女から話を
伝えた方が早そうですがね。」

所でとイフリートが煙草に火を付けながら
ダリに質問を投げかけるのに
話が終わったのか、
魔樹とイポスがイフリートの方を向いた。



「魔樹様?の担当って何処ですか?
と言うか名前ってどうお呼びすれば?」

「ああ私?魔樹って呼び捨てで良いわよ。
本当の名前なんて………
もう忘れちゃって覚えていないし。」


まぁ知ってるとしたら
メルちゃんくらいかしらね。


彼女覚えているかどうか定かじゃないけど。


そう言った魔樹にメルちゃんが?とダリが聞く


「ええ、私との契約は
私の本名を言わないといけないから。
知ってた時はとんだ悪魔オタクかと思ったわ。
加えて音も良し見た目も良しで
一発OKしちゃったからね。」


流石にあんな好き嫌いの激しく臆病者だとは
ちょっと考えが浅はかだったかしらと思ったわ。
そう嘆く魔樹に一同は苦笑いした。



「あはは…ですが悪魔と悪魔が契約なんて
まるでカルエゴ先生と入間君みたいですね。」


「そうだね」


「あら、何々?
面白そうじゃないその話。」


「今年の一年生でアブノーマルクラスに
サリバン理事長の孫である入間君が入学してきたんですよ。
その彼が最初に出したのが担当教員のカルエゴ先生で〜」


「悪魔が悪魔を使い魔として
出したーって大騒ぎになって。
一時期新聞に載って
カルエゴ先生、三日三晩寝込んだとか。」


「ブッ!!!!」


そう噴いて笑う魔樹にダリ達も笑う
過ぎた話ではあるものの、
いやーとダリが言う。


「にしてもかなり稀なケースであるんですねぇ〜
悪魔と悪魔の関係性って!ねぇねぇひょっとして
メルちゃんの使い魔って魔樹さんですか?」


「…………いや、違うわ。」


「え?」




そうダリが目を開けてきょとんとするのに

だってと魔樹がとんでもない発言をする。












「彼女、人生で一度も使い魔出したことない筈よ?」

/utakata3/novel/71/?index=1泡沫の白昼夢