「あ、カルエゴ先生ちょっと」
「何ですか?」
「メルちゃん急だけど
ランク半年間で3つ上げさせること決めたから。
何なら次の授業僕とメルちゃん
ロビン先生の使い魔授業参加するから。」
「はぁああっ!?」
そう言ったダリにカルエゴが声を上げる。
言っとくけどと続けて。
「僕君に負けるつもりないからね。
授業全部取るからそのつもりで。」
「…ほぉ?そちらがその気なら、
此方としても動きますよ。」
「…凄い殺気見えるんですが、
一体どうしたんですか?メル先生」
『煩い聞くな聞いてくるな』
そうロビンからの話を聞かず。
ただ職員室から
ロビンの後を歩くダリとカルエゴに
ロビンは隣に歩いていたメルにこっそり耳で聞く。
煩い。聞くな。今それどころじゃないんだ。
『(事の発端10分前…)』
職員室にて
「あ、ちょっと皆サラッと耳にしておいてね。
メルちゃんをちょっと卒業位の
半年で3つ上げさせる予定で予定組み直すからよろしく♪」
「っええええええええええええええ!?!?!?」
「あと、アブノーマルクラスと
同じように二週間メルちゃんを叩きあげるから。
イフリート先生。
放課後僕と一緒に東校舎に向かってね。」
「あっはいわかり、ました。」
「ちなみにメルちゃんって
メルはこっそり指を四つたてると
見た者が声を上げた。
「成る程、そりゃ駄目だ。」
「流石に卒業生レベル止まりは…ちょっと」
「でしょ?どうせ教師で居るなら次いでだし
上げる機会付け解こうって思ってね。
……ああ勿論、ロビン先生の授業
僕とメルちゃん出るからよろしく。」
「っえ゛っ」
「だって彼女
使い魔一度も出した事ないんだもん。
それ位しといて当然でしょ。」
それに〜生徒用に
実験台として
説明練習できていいじゃん?
そう言ったダリに、マルバスはメルに
「なんか喧嘩売った?」と聞いたが。
メルは首を横に振り、
これで良いんですと言うしかなかった。
と言うか吹っ切れたダリもダリである。
まさか此処まで教師統括地位が凄いとは。
勿論授業に支障をきたさないレベルでの。だ。
その為負担は一気にのしかかる。
と、いう訳で。
「本日は…使い魔の、」
いいから。続けて。
そうメルは必死に顔が赤いのを堪えて
イルマの隣で顔を下に向け
正座をしてロビンの指示を待っていた。
飛んだ苦行である。
帰れるなら帰りたいが。
帰る場所も何もない為居るしかない。
だって人間界
自分の今の記憶だと
本当に居場所ないんだもの。
前の世界だったら多少はあったけど。
「よ、よろしくお願いします」
「まさか使い魔先生二号って…」
「流石にその呼び名は止めてよ?」
『ダリ先生、どうどう
…抑えて抑えて下さい。』
威嚇が他の使い魔にも怯ませてます。
そうメルは抑える様に
ダリをそっと掴んで首を横に振る。
「にしてもメル先生も
入間様と同じ様に
教師を使い魔にするとは
…流石です!!」
これからはメル様と、
いや師匠とお呼びしても!?
そう言った彼
アスモデウス・アリス君に
いえと首を横に振った。
流石に師匠は弟子入りを
許可していないから駄目。
まぁ様はどっちでもいいよ。
うん。もういいよ。
「それにしてもブラッシングからって、
この授業のカリキュラム教えたの君?」
「っぐ…どちらかと言えば
「へぇ〜…で、君も可愛いくなっちゃって♪」
「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。」
『お二人さん、
入間君がとんでもなく困ってます。
生徒を困らせるとは何事ですか。』
「あ、あはは…」
そうメルは膝にのせて
ダリのたてがみをブラッシングしている中
目の前に座って同じくブラッシングしてもらっている
カルエゴからの喧嘩を
売り買いしている間。
メルは仲裁に入った。
生徒である入間にまで
火の粉が行くのは嫌である。
それにようやく気付いたのか、
二人共ぐうと声を押し黙った。
『ごめんねぇ入間君…
ダリ先生、吹っ切れちゃってからに』
「いっ、いえいえ。
僕もライバルがいた方が
成長しやすいかと思いますし…」
メル先生も災難ですね。
そう言った入間に
分かってくれるかと涙を流すメル。
もう苦笑いが止まらない入間である。
「メル先生の使い魔って…えっと」
『ダリ先生だよ。
あの君が授業受けてる
ダンダリオン・ダリ先生。』
「いっ、いやそれは存じてますが…その」
如何せん姿が激似で納得いくなと。
そう褒めた入間にカルエゴが噴く。
怒りにダリがそっと前に行くがメルが制する。
『待て』
「っぐ…でも」
『駄目です。
貴方生徒を守る教師統括なら
これ位に動じてどうするんですか。
そりゃ私の力で多少苛立ちますでしょうが。』
「いやそんな訳では…
はぁ、分かったよ。
大人しくする。」
そう戻って行くダリに
メルは良しと頭を撫でる。
もう扱いが
なっているのは
気のせいではない。
授業要らないというか、
アレが手本ではないだろうか?
そうロビンは少し引き気味に
メルの方を見ていた。
『にしてもふわふわですね〜
ライオンみてぇで草生えるんだけど』
「ライオン?」
「あ!確かに何かで
見たことあると思ったんですよ。
子ライオンみたいで
可愛いですよねダリ先生。」
「入間、らいおん、とはなんだ?」
「『あ゛っ』」
そうメルと入間が固まる。
それにダリが目を細めたが
すぐにメルが訂正する。
『魔ライオンのことですよ〜やだなぁ〜』
ほらたてがみとかあるでしょ?
そう言うメルに
まぁ確かに。
とダリやカルエゴが納得する。
危ない危ない。
魔を付ければこの世界
ほぼ人間界と同じって分かってて良かったよ。
そうある意味
変な危機を逃れたメルは
冷や汗を拭った。
「何か思ってメル先生も?」
『まぁ…昔ね、ほんと昔。
凄く好きな魔法使いが居てさ。』
その子とても優しくて、
周りの事想って、前を向いて
誰にも迷惑をかけないようにする
とっても可愛い子が居たの。
そう説明しながら
優しくダリの毛を
ブラッシングするメル。
その目は何処かとても遠くて
まるでもう見れない様な目をしていて。
『私もそんな魔法使いに…
魔術を、使いたいと思った。』
だから。私はこの場所にいる。
望んだから。
自分の欲が招いたことだ。
だから別に後悔はしていないのだ。
この魔界に降り立ったことも。
エイトを好きになったことだって。
勿論…でも、思うのだ。
『(あの時間がどうか続けば良かったと思う自分が)』
その自分がとてつもなく憎たらしいと思う。
あの悲劇をもう一度
繰り返したいと願うのは良くないからだ。
だというのに、願い続ける自分が居るから、
この場所にいる。
嗚呼許せないのだ。
「メル先生は…素敵な欲をお持ちなんですね。」
『っ…いやいや、こんな
ドス黒い何かを持つのは良くないよ。』
「そんなことないです!
現にとっても魔術綺麗ですし…
それに僕分かるんです。その手付き、
何か飼ってたんですよね?犬ですか?」
『っ!!!なっ!!!!』
あ、当たりました?小型犬ですかね?
耳ってひょっとして大きいです?
そう言ったのに
メルが目を丸くして固まって動かなくなる。
気付いたのかダリがメルの方を見ると、
少し顔が青く見えた。
「…メル、ちゃん?」
『……まいったな、入間君には。
そうだよ、私昔犬飼ってた。
丁度こんな感じのね。』
でも色は違うよ。
それに姿もこの2周り位は大きい。
そう言ってダリを
そっと抱きしめ頬を摺り寄せる。
トントンと腹を叩くリズムが心地よいダリは
少しうとりと眠気が押し寄せた。
『凄く可愛くて結婚したい
なんて言ってた時もあってさ。
その時に優しく撫でたり
こうやってよしよししてたんだよ。』
「…ペットではないんだぞ使い魔は」
『あの子はペットじゃなかったんですよ。
周りは言ってもね。私は違った。』
アレはペットではない。
愛でるものではない。
あの存在は確立されたものだった。
恋人でも家族でも飛び越えた者。
アレを越えるものは存在しないし、
アレが傷付くと一緒に嘆いた。
痛みが心を走りずっと痛みが続いて。
『助ける時は助ける。
お互い助け合って生きていた。
だから使い魔に近いんです…
誰よりも何よりも、
彼は私を見てくれたから。』
だから私も見て、
彼がどうか寂しくならないように。
そして助けて貰えてありがとう。
とお礼を込めて。
そう撫でるメルに、
不思議とダリは思い描ける。
メルが何かを抱っこしながら
嬉しそうに歌を歌っているのを。
只々居心地がよく…何処か、落ちついて。
『ダリ先生』
「っ!」
『授業終わりました。召喚解いても?』
どうやらもう終わっていたらしい。
時間がアッと言う魔だった。
気持ち良かったですか?
とほほ笑むメルにうんと頷いた。
「君、凄いね…本当に色々と。」
『そうですか?
ダリ先生程じゃないですよ〜』
そう言うが、
ダリは割と素直な意見だった。
メルのブラッシングからは勿論、
痒い所に手がまぁ届く届く。
なんなら今痒いなって思った時には
代わりにかいてくれる。
あれ使い魔講習っているっけ?
って位には。
心がお互い通いあっている。
思い違いだったかな。
いやでも油断できないしな。
そう思っていたダリにメルは手を叩いた。
瞬でダリが戻るのに
メルは次の授業行きましょうと声を上げる。
…まぁ、たまにはこんな日も良いか。
そう思いダリはふふっと笑った。
勿論メルには気付かれずに。