Novel - Carla | Kerry

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生まれなさい3

act 38.





『…バビルスの伝統ある口上を
乾杯の挨拶に使ってるとは』



まぁ教師の心構えであるのは間違いない。


『ふふっ…♪“我らが愛しき
学仔まなごたちを
守るが至上命の盟約”』



“宝を狙う敵には凄惨せいさんたる“教育”を”



いつの間にか好きで呟いていたのを
こうも聞けるとは思っていなかった。



『…すーっきり!ん?』


「あ!!やっと帰ってきた!!」


ほらほら入って入って
そう言われて押されるダリに
メルはえ?え?と首を傾げる。


「はいはいー注目〜〜!」


今回のメインイベントその1
〜メルちゃんの昇級イベント〜!!


そう言ったダリの声に
わあああと声援が起こる。



うわぁ…凄い盛り上がり。



酒の勢いは人間でも悪魔でもすげぇな。




「今回急に計画を変更して
対応して頂いたこと感謝します。
つきましてメル先生の
昇格というか教師として、
活動出来るようにも
特別試験を半年間設けることになりまして。」



今回はその初回でした♪
と片手ビールに説明するダリ
いやいや私どうして立たされているの!?



「色々聞きたい事があると思いますが
…まずは彼女からお話を聞きましょうか。」


『っえ!?私の言う事!?!?』


えぇーーーーー。
皆がしんと静まるのに
メルはどういうか迷う…が


いや迷っていない。
ふと困っていた顔がすんと戻るのに
ダリが周りが気付かない訳が無かった。


『…初めは、なんだこの試験
馬鹿じゃないの。って思いました。』

「おっ本音だ〜」

『でも、ふふっ、いや、
ごめんなさい。ふふっ…』


ただ、こんなにも…面白いとは思わなかった。


『私ずっと思ってたんです。
“嗚呼どうせ教師陣おまえら
私の後ろを見て嘲笑うんだろう?”…って。』


「っ、」


『でもそれは私が勝手に
貴方達を決めつけて
私が勝手に自分に鎖を付けていた。

それに気づくのに随分と時間がかかりました…
が、それも吹っ切れさせてくれるきっかけを
ダリ先生が作ってくれました。』



そうにこりと笑うメルに
コクリとダリは頷いた


『きっとこれから沢山ご迷惑をお掛けする…
その中で、今回私は一つ自分に決めたんです。』


諦めない。


『生徒が居ても
身体が死にそうでも諦めない。
とにかく身体を動かして意識を落とす。
それも上限を決めないで。』


昔の私、上限で止めていたんですよ。
まるで入間君のように…ね。
きっと彼とは全く同じの感じがする。


『でもおかげでこんなに…
こんなにも楽しいものだと気づかなかった。
それを気付かせてくれてありがとうございます。

そして私も今まで以上に力を付けていきたい
と思っていますので、
ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。』



「…お〜〜〜〜〜」



完璧。そう拍手が起こるのに
メルは照れて頭をかいた。



「はい!質問タイムいい!?」

「いいよー!」

「メル先生俺の時に
草生やしたアレってなに?」


そう言ったイフリートに
メルは嗚呼、あれですかと答えた。



『あれ私入ってたんですよ』


「はいっ!?ええ!?」


『あれ?気付きませんでした?
やけに光が綺麗だと思いませんでした?』



生物は集中すると他の事に
少し目が行かなくなる。


悪魔は特に好奇心の塊。


ならばトランペットの様に
音が真っすぐにしか飛ばない性質の様に。


左右の視界は手薄になる。


『光源をあえて広く草原を作り上げることで、
周囲に集中を散らばせ…

そして地下に自分を入れて
地下から逃走を図ったんですよ。』


「はっぇ〜〜〜〜」


「あ!はいはい!
なら僕の時は!!」



君寝てたよね!?

そう言ったマルバスに
嗚呼それ私も、とスージーやダリも手を上げた。


『いやぁ〜お恥ずかしい話なんですが、
アレ実は半分演技なんですよ〜!!』

「えええええええ!?」

『マル先生の身体に倒れたのは演技です。
かくってなるの。あれ身体倒すの
実は練習してたんですよ。』


ダリ先生とイフリート先生の特訓の最中でね。

そう言ったメルに



ええ!?いつ!?
と二人が驚くのにメルが笑う。


『そこからはもう土壇場勝負です!
確かに意識は遠のいたし
途中意識は無かった
…でも確かに諦めなかったんですよ。』



あの時手を伸ばして。

つかみ取った。



初めて、掴んだ気がするの。
悪魔の本質を。人間の本質を。


二つの光を、
両手でしがみついた気がした。



『掴んだ手を逃げずに目を向けた…時、
カルエゴ先生とマル先生が私を驚いて見ていた。

赤いバンダナが見えてすぐに燃やしたんです…
イフリート先生の炎のように。すっと燃やして。』



「っあの時意識が?!」



『ええ。そこから後もありましたよ。
なのでほぼ一瞬しか意識は失ってません。』



それもダリの指令から考えても
アウトの退場に入ることは無かった。

失格になるのはあくまでも
5分間の意識が失われるか
テントまでの移動だった筈だ。



「はい」

『なんでしょうイポス先生』

「度重なる罠
アレはご自身でお考えに?」

『勿論。誰にも聞いていませんし
知識の上です。今度お話します?』


是非そう言ったイポスに
メルはふふっと楽しみが増えて笑う。


じゃあとダリが声を上げる。


「此処からは教師の意見。
誰か先に言う人いる?」


そう言ったのにカルエゴが手を上げた


「最初オリアス先生らに出会った際
すぐに逃げたと報告があった。
それには合格点だと思う。」


まぁ私達の時は私は不合格を出したがな。
と言ったカルエゴに
メルはですよねと苦笑いして答えた。

「僕は満点だったよ。
一瞬は背後に回られて
案外楽だなって思っちゃったからね。
あの隙からの攻撃は意外過ぎてね。
とてもじゃないけどダレスの動きじゃない。」

『う゛っ』

「罠の仕掛けも結構手が込んでて
割と教員も引っかかってたよね。
そこら辺合格点で良いと思います。」

「そうそう!メルちゃん
すばしっこくて音も無く消えたりするから
割と探しづらくて困ったよね!!」

『…あ、割と見つからなかったのはそういう』

「あ、気付いてなかったんだ」

『えっ、ええ…』

「他には〜ない???」

ないですーと言ったのに
じゃあ僕からとダリが声を上げた


「最初は0Pポイント
何してんだろって思ってたけど。
途中から生徒を無傷で救いだし、
…なんなら悪魔の力をモノにしてみせた。」


『っ!』


あの時だ。

彼は洞窟から飛び出した時のことを
言ってくれている。



悪魔に、なりたいと。
生きたいと誓った。
あの時間を。



「洞窟で何があったのかは知らない…
でも確実に、僕やイフリート先生の話を
無理難題を答えてやり遂げてくれた。」


それには本当に出来ないと思ってたんだよ。


全教員がね。



そう言ったダリに全員が頷いた。




はぇ〜今回本当に出来ないと思ってたの
無理難題を出してたんだ…。
そうメルは驚き目を丸めて周りを見た。



「でも君はやり遂げた成し遂げた。
…だから、これは君の努力の結晶だ。」



おめでとう。
そう頭を撫でるダリに
メルは目をキラキラとさせる。



「まぁ反省点は提出してもらうとして今後に活かそう!
って訳で〜メルちゃんの昇格と〜健闘を祈って〜
ビンゴ大会始めよ〜〜!!!!」



それは脈絡関係ないですよね?!
そう叫んだメルに周りが和み声が上がる






隠して大いに盛り上がった後

教員達の打ち上げは無事終了し。

新任も洗礼を受けることになった。

「おーい!起きてくださーい!!」

「全員送れよ幹事」

「なんてこった!!!」

『私手伝いますよ…』


寮近いですし。
そう言ったメルに
ロビンはありがとうと泣きだす。



『ほ〜ら、ダリ先生、
イフリート先生
起きて下さいね〜〜〜』


そう揺すりだすメルの手際の良さに
思わずロビンが首を傾げる。


「…ん?」


『はいはい。吐きます?
気分どうですか?
ほらお水いります?』

「…メル先生、
なんで初めてなのに
酒飲んだ悪魔の対応慣れてるの?」


『ぎっっっく!!!』


わああああああああああ
ああああああああああああ
あああああああああ

やっっばい!!!

つい前世の勢いとノリで
会話しちゃった!!!

私一応幹事もしたことあるから
酔っ払いの対応知ってるんだよ!!!


いや今はいいでしょ!!

そう思い、メルは慌てて
ロビンにそれどころじゃないと言い聞かせた。


『今はいいよ!
それよりもツムル先生とか手伝ってあげて
ツムル先生〜起きて〜ほら〜帰るよ〜』


「ん゛ん゛っ」


『はいはい〜ほら
ダリ先生抱き着かない。』


おめでとうとふにゃるダリに
よしよしと頭を撫でる。

はいはい。
酔っ払いは半分素直で
半分適当がモットーだ。

…もうなんなら全員ハグしたろうかな。
したら起き上がるだろ。


そうダリに抱きついたのに
ダリがぴしりと固まる。

うん?私汗臭いかな…


「っ〜〜〜あ゛ーーーー
…なに、してるの?」


『え?帰らないの?
って目覚ますためにハグを…』


「いい、分かった…
帰る帰るからあの」


『むぅ!』


「ちょ…離れて…無理…」


これ以上は照れる。
そう言ったダリに分かった
と言ってメルは離れる。



それにはロビンも唖然。


『次酔いがヤバそうな
…お前か。よしお前に決めた!!』


「ちょ!?メル先生!?
ひょっとして酔ってます!?」


『なはは〜!ないない!!
私テンションハイなだけだよ〜!!』



「っ…?あれ、メル先生?ん?」



ん゛っ!?そう驚くツムルに
メルは起きたー?
と笑いながら首を傾げる。



勢いよく首を振るツムルに
吐きそう?と言って袋を渡す。


「っ、すい、やせん…」


『いえいえ、
楽しいから羽目外しちゃうよね。
私次の悪魔見に行くから
楽になりそうなら
一緒に帰りましょうか。』


「…はい」


『新人。コレちゃんとやろうな』




ハグしなくてもいいから。
目覚ましそうなことするの。


そう笑うメルに
はいとロビンが答えて
似たようなことをする。


勿論驚かれて、
全員ちょっと目が覚めて
足を揃えて帰れる様になった。



「…ん」


『あーはいはい。
ハグしてますね〜』


「あはは!
イフリート先生
甘えんぼ〜〜!!」


『しゃーないでしょ。
酒入ったら皆
甘えん坊になりますよ。』



そうメルはロビンと一緒に寝ている者…

ダリ達を浮遊させ、寮に帰宅していた。



夜風がとても気持ちがいい。


メルは少し翼を広げて飛ばしていた。
それにはロビンも驚きで


「翼、広げられるんですね」


『ん?ん〜〜
今はそんな気分だからね。』


こうやって力を使ってるなんて
まだ余力あったのかなぁ
とかおもちゃって。

もう少し頑張った方が
良かったかと思ったり。


そう苦笑いするメルに
充分やったと思いますよ
とロビンは答えた。



「所でメル先生は
お酒飲まないんですか!?」


『ん〜私は空気に飲まれるのが
好きだからね〜今回は無し。』



それに沢山食べれて
凄い嬉しそうにしてたから。


そう言うメルにロビンは続いて聞く。



「どうして、ダリ先生達に
あんまり甘えなかったんですか?」

『へ?』

「こーもっと褒めて褒めて
って言ったら良かったのに。」


『…今二人共寝てるから言えるんだけどさ。』


これ内緒ね。
そう人差し指を立てて
メルは続けて言う。


『私実はこんなにも
悪魔に真っすぐに
私を見てくれる悪魔ひと
実は今まで出会ったことないの。』


「え?」


『私の家庭不安定で、
小さい頃から環境が悪かったから。
挨拶の時でもチラッと言ったけど
君達をある意味見下して、
距離を取っていた。
それが私の守る力だった。』



今思えば腹立たしいものだよ。
そう言ったメルに続けて聞くロビン


『でも、指示を聞いていく中で。
あっこの悪魔私を伸ばすために
見て来るんだって気付いた。』


その時ね、とっても嬉しい気持ちになったの。
ほわほわして、楽しいって嬉しいって…


『気持ちに応えて、彼らの力になりたい。
そう、願ったのは…初めてだ。』


「っ!!」


『だから沢山私を見てくれてありがとう。
私は二人の事師匠としても尊敬してて
とっても大好きだよ〜〜!!

って気持ちが溢れちゃって…
つい褒めて欲しいって気持ちが
吹っ飛んじゃったの!!』


そう嬉しそうに言うメルに
あんまりにも素直で直球過ぎる愛に
ロビンは少し照れて
そっぽを向きながら答えた。


「…ダリ先生達に直接言えば
良いじゃないですか。」


きっと凄く嬉しがりますよ。
そう言ったロビンに
メルは首を横に振った。


『や〜だ♪絶対いわない!』

「…頑固ですね」


『えぇ。大好きな悪魔が出来たんだもの。
頑固にもなるよ…
此処、凄く良い場所だよね。』


守ろうね。



そう言ったメルに
ハイとロビンが答える。



「大好きな悪魔を守れるなんて良いですね!」


『うん!!』



+++++++++++++++++



『ではお休みなさいー』

「はーい!」


本日はありがとうございました。
そう言って謝るロビンに
メルは首を横に振った。


パタンとドアが閉まると

同時にふぅと声が上がる



「……で?ご感想は?」


そうロビンが腰に手を当てて
ダリとイフリートに聞いてみる


「なにあれ、ご褒美???」

そう答えたダリにロビンは
「まぁそうなりますよね」と答えた。

二人共実は狸寝入りで起きていて
メルは全く気付かないで話していたのだ。

勿論二人共赤面して
先程のことを思い出していた。
酒が回ったと思いたいものである。



「いや〜凄い愛されてるじゃないですか〜
良いなー僕も弟子にあんな愛されたい〜〜!」


「いやほんと…ビビったよ。」


「うん。」


流石にハグ誰でも構わず
するのは説教だけどね。

そう言ったイフリートにダリも頷いた。
それは女性としてちょっと
どうかと思うと言わなければいけない。



…が、


「そっか…大好きだって?」


「尊敬するって言ってましたねぇ〜?」


「っ、言わないで下さい。
一応ダリ先生入ってますよ?」


「あれ?妬けない?」


「また違う感情ですし、今回は。」


へぇーと言うダリに何ですかと
イフリートは言う。
嫉妬しませんよと
先に行ったのにへ?と答えた。

「だって、僕らの教え子ですよ?」

「っ!…まぁ、そうだね?」

「可愛い子に、愛弟子に
沢山愛されたんですよ僕達」


あんなに酷い事したのにね。
そう言ったダリに
イフリートはコクリと頷いた。

メルは二人の大きな手に
頭を撫でられて
ただ嬉しそうに笑って居た。
それだけでいいのだと。


ロビンに多くを求めないと言って。
大好きだからこそ、守りたい。
大好きな時間を、一緒に。


「…ほんとメルちゃん
教員に引き入れて正解だったでしょ?」

「そうですね。
それはほんと、
今日改めて思いました。」


そう二人共苦笑いで
愛弟子の事を思い出していた

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