Novel - Carla | Kerry

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あなたの点火がきれい

act 39.

収穫祭が終わった次の日。

労わりを含めて
メルは身体を休めていた午後。

一本の音にメルは『うん?』
と首を傾げてス魔ホを取って答えた

『はいもしもしメルです。
はいいつもお世話になってます。
…ああごめんなさい、つい。ええ…え゛っいっ
ちょっ待って待って待って待って』

ーちょっと今出れる?今すぐ。

そう言った彼の言葉に
メルは待てを入れすぐに通話を切って。

急いで着替えた。




『っは、お待たせしました…』

「…いや、速いね。」

『そりゃ鍛え上げられましたし?』

「…いうねぇ〜」

昇格に続きメル自身が掲げた目標を
クリアしたご褒美として。


イフリートはメルに
「今暇?なら今すぐ会わない?」
と連絡を入れていたのだ。


それにはメルも驚きで、
流石に下着姿の状態で
外に出れる訳もなかったので…


『(凄いポンチョというか
涼しくなって来てるから
長袖着てきちゃったけど…
あっっついな。)』


そう明らかにダッシュしてきたのが原因なのだが
自分の体温の高さに驚きを隠せないでいた。


いやー3週間程の力には衰えが来ない。
私も若いって事だねぇ!!!凄いね!?


そうメルは自分の肉体にずっと驚いていた。


制服ではなく、今日は私服。

何処に行くかも正直分からなかったので

上には赤のポンチョを羽織り、
中は白のカッターシャツと
下は黒いタイツを履いて
緑のスカートをヒラヒラとさせていた。


勿論いつでも走れるようにシューズだ。

もう元気な中学生女子
と言っても過言ではない私服に

我ながら半笑いである。


…今度モモノキ先生に特訓してもらおうかな。


デート服すぐに着替えられるように。


そう間違いなく
「出来ません」という相談を考えつつ、

メルはイフリートの隣で歩く歩幅を進めた。


『それにしても今日は何をしに
ってか何処か行きます?』


「ん〜メルちゃん
今日一日ってか午後しかないけど。
僕何でも使っていいよ?」


『なんでも!?』


「うん。だってご褒美…欲しくない?」


うぐっ…そりゃ…欲しいけど。


今日は雨でもなく快晴。

お日柄も良く。

家に籠ってお家デート(寮)なんてしたら

割と色々見つかって
騒ぎ立てられるのは目に見えていた。


…かと言って、繁華街に行くのも。

割と生徒に見つかるのだって嫌だった。



『えぇ、何、あえぇ?』


「あっ迷うなら…僕、提案しようか?」


『うっ、いやこんな機会中々ない気がして』


「まぁそうだね。」


『えぇ…待って待って待って待って!?』


そう慌てるメルにじっとイフリートは
メルを見ながら煙草を吸い始めた。


時間がかかるのは目に見えていたのだ。


そんなことも気付かないで。


いや正確には気付いてはいるのだが
それどころじゃない思考をなんとか
考える方に押し戻していたメル。


『(外で買い物って何買いに行く!?
え!?普通にまぁ日用品欲しいけど。
洋服買いにアハハウフフする!?えっ!?
無理なんだけど普通に
私の心臓が止まるんだけど!?)』


そう漫画などである
買い物デートを
想像しては消してを繰り返すメル。



なんでもと言われると
ちょっと困る…ので。



『まっ』


まずは。


「お?何かある?」


『その…手、つつ、
繋いで…くれ、ませんか?』


それにイフリート…否エイトは固まった後

クスクスと煙草を手で持ちながら
片手で器用に口元を抑えて
笑いを堪えている。

メルは頬を膨らませて震えるのに
ごめんごめんと涙が出るのに
エイトは笑って答えた



「いやっ、ふふっ…ええ、お望み通り。」


これでいい?そう言った
イフリートが手を繋いでくれる。


それにメルはもじもじとして首を横に振った。


「お?ならどんなのがいいの?」


『ふぇっ!?えっ、あっその
…えっと、う〜んと!!』


「ん(嗚呼〜可愛い〜〜)」


エイトとどうすれば。


そう右へ左へと視線を下げつつ
首を横に振りながら、


ただ彼女メルは
自制心と欲望との葛藤で
悩み唸り声を上げていた。


それがまた自分だけを見てくれて
しかも考えてくれていると思えば
それだけで凄く満たされるようなもので。


エイトはその気持ちがとても心地良かった。


『こ〜…』


それぞれの指が重なりあうように
メルはエイトの指の間に指を入れる。


それにはエイトも目を丸めた後



「へぇ〜〜〜?
こーんなのが良いんだ?」


『っ!?なっっえっ、その…だめ?』


「ん゙っ……良いよ。
君の好きにしていいって
言ったのは僕だからね。」


でも流石にこれは
君のご褒美ではなく、僕のご褒美では?


そう自分の言ったことに
若干後悔しつつ


いや嬉しいんだから
役得として喜べばいいんだけど。


もどかしい気持ちに
エイトもまた悩ましていた。


所謂恋人繋ぎをしていたのだ。


ただ、その場に立って。

プラプラプラプラ…



「あの…メル、さん?」


『へへ…はっ!なんですか?!』


「いや…ひょっとして、このまま?」


『ゔっ』


「僕が言うのもなんだけどさ…
君ほんと欲ないね?」


『え゙っ…いや、ありますよ?!』


あっ食いついた。


「へぇ〜?例えば?」


『あ゙っ…えっとーそのー』


欲あるって言ったよね?
今更変更きかないよ?

そう言って覗き込むエイトに
メルは右へ左へと
視線を泳がせる。



『そっの…えと、お、お』


「お?」


『おかい、もの…行ったりとか』


「うん。何買ったりするの?」


『えっと…ノートとか、
ペンのインクも少なくなって来てるので
新調したいとか。』


あと髪の毛も伸びてきてるので
ヘアピンとヘアゴムと。

そう言ったメルにふんと声をだした。


「行く?」


『えっ?!でも』


「行きたいんでしょ?
なら行こう。
君の行きつけに。」


ほら連れてってよ。
嗚呼勿論サングラスは付けてね。

そう言って何処から出して来たのか
認識阻害サングラスをかけてくれる。


「じゃ。お願いね♪」


『うっ…女は度胸腹をくくれ。』


それを言うなら
腹をくくれだけでいいのでは。

そう思いつつ、
メルは明るい空の下。

午後とは言ってもまだまだ日は明るい。


12時を指す針が少し動いただけの時間から
少しため息を吐いて歩き出したのであった。



+++++++++++++++++


「っへ〜こんな所来るんだ。」


『見た目以上に
大人びた場所とか好きで
…まぁ中見たら分かりますよ。』


キラキラしたのが好き。私はカラスか。


そう脳内でツッコミつつ、
メルはエイトと買い物に来ていた。


先に小物を買って
段々大きな物を買いに行く。


そうでないと女は買い物が長いのだ。


悪魔である彼は好奇心で動くだろうし
余り時間を掛けさせるのも悪い。


メルはそのまま中に入ってお目当ての物を
見つけてはサクサクと買うのに…


「あれ?えらく即決だね。」


『え?嗚呼…まぁ、
待たせても悪いですし?』


もうちょい吟味するとかしないの?


そう言ったエイトにメルは
お前に合わせてんだよ
と突っ込みたくなる気持ちを抑えた。


それに気づいたのか
ため息交じりにあのさぁと答える


「僕言ったでしょ?
君の好きなことに僕使っていいって。
待たせる位出来るよ?」


『う゛っ…じゃ、じゃあ…
でも…困りますよね?』


こっちとこっち、どっちがいい?かなんて。

そう赤と青のヘアゴムを指さす。


どちらも三角の形が2つくっついて、
重なった場所には色が入り、
中にラメが入って綺麗な✰が散らばっていた。


縁は金色で、ゴム自体は黒い為、
割と仕事でもお洒落に使っても
支障がない程のもので。


ふんと言った後
こっちかなと青を指さしたのに
流石にメルはええ!?と驚いた。



「何、不満?」


『いいぇ!?赤選ぶかと…』


「ん〜赤も似合うけど、青も良いかなって。
落ち着いてるし、仕事で使うんでしょ?」


なら暗めのこっちが似合うよ。
あ、それなら暗めの赤でも良いよ。
そう言ってこれとかと言って取ってくる。


いやーーーー。


『それをその顔で言うのはちょっと
…心臓がいくらあっても…』


「ん?何か言った?」


いいえ。なんでもありませんよ。
そう言ってメルは
エイトの持ってくれた髪留めを見る。


色違いではないが茶色の紐に
幾つかのパールが丸みをつける程ついた
花輪ゴムを選んできた。


深い赤に何処か紫色が見えなくもない色を
銀の縁に色が入る。


形はひし形が3つ重なり、
少し歪な三角形を作っていた。


「これならちょっとだけオシャレで
落ち着いてて割と良いと思うけど。」


『…えっ本当に良いんだけど。』


「なら買う?」

うん。こっちのほうが即決だわ。


そうメルは適当に選んでたのを置いて
それと深い青のゴム、
そして切れた時の予備用に
黒ゴムを幾つか取る。


『よしお会計してきますよ』


「ん。じゃはい。」


『え?あっちょ!!』


そうひょいっと持ってかれるかごに
メルが奪おうと手を伸ばす。


しかし身長差がただでさえ
肩下止まりという高さがあるのに
手を高く伸ばされたら届く訳も無く。


エイトから奪われたかごは
そのまま清算され
代わりに帰ってきたのは
かごの中身で



『むぅ』


「っくくっ、普通さ、
そこ「ありがと」でしょ。」


何で不貞腐れるの。


そう笑って歩くエイトに
メルは頬を膨らませていた。



そう。普通の女の子ならここは

「男が買ってくれてなんぼ!
貢がせてなんぼ!!」

でバンバン容赦なく買っていくものだ。



いやでも私は普通じゃないんでね!!!うるせぇ!!

知るかお前の普通なんぞへし折ってやるわ。



そうラッピングされたものに
八つ当たりは出来ず。


ただ少しだけぎゅっと
買ってもらった袋を握る手に
力が強くなった。


『だって…私も働いてるから、
少しくらいご褒美買ってって思って。』


「っくく…わかったごめんごめん。」


『ん〜〜〜子供扱いしてません!?』


私生徒じゃないんですよ!?
弟子との年齢差考えて言ってます?!
そう言ったメルに
いやいやと首を横に振る。



「僕が生徒にこんなことする訳ないでしょ?」



生徒に手出したら君とて容赦しない。

そうでしょ?


そう言ったエイトにそりゃあと頷いた。



例え自分が生徒でも、
多分性格上容赦しない。


駄目だ抑えろって冷静に対処しそう。




…うわぁしそう〜。


人の言う事や約束事はきっちり守るタイプの人間
どうしてもそこら辺は順守する。
そりゃあ一ミリたりとも許さない。


その為、恋愛は付き合ったりとかは
ぶっちゃけしなかった。


だってそんなの割と面倒になるし。

面倒事は極力避けて逃げてきた方だ。



メルはため息交じりに

これ以上の話し合いは
通じないと考え、
次行きますかと答えた。

それには嬉しそうに答えるエイトに
もうどうにでもなれと思ったのだった。

+++++++++++++++++


「次は、此処?」


『ですです〜はわ〜〜〜!!!』


「…相変わらず
テンションの落差が激しいねぇ」


現金な奴ですいませんね。

そう棘をエイトにぶっ刺しつつ
メルはすぐに気分を目の前に向け発散する。


場所はアクセサリー屋から少し歩いて。
文房具と本屋が合わさったセットの場所だ。


こういう所に案外お宝が眠っているので好きなのだ。


メルはそそくさと入り
店内の中にあるアクセサリーや
文房具に目を身体を
チラチラと見ては動いていた。


「(ほんと…子供みたいにはしゃいじゃってさ)」


まぁいいけど。

そうエイトはメルのキラキラした目を見て
先程の棘を無視し彼女の後ろを歩いてついて行く。


「ど?お目当ての物はありそ…う、だーね?」


『えへへ!!』


いや、そんな笑顔で返されても…
スイッチ入ると凄いね。

そう先程の控えめは何処へやら。

メルのかごには
いっぱいの文房具が入っていた。


ノートにメモ用紙にペンがいくつも入っている。


どうやらまとめ買いをここでしているらしい。


確かにこのノートやペンは
よく仕事で書いている所で見たな。


「へーそれ書きやすいの?」


『ええ、これ横にしても
案外インクでて楽で。
来月辺りに授業を3回程
試験的に行わせてくれるらしくて。
その予行演習で使おうと思いまして。』


「魔歴史を?」


『はい!なので前に勉強した処を
再度勉強しなおそうと。』


これでも社会はとっても得意だったのだ。

(主に日本史や世界史の方で現代史はアウトだったが)


その為昔の話になれば
なるほどワクワクして


割と今の環境が合っている感じがとても心地よい。


「へぇ〜あの仕事任せない
ダリ先生がねぇ〜。」


『え?!ダリ先生任せると思ってたのに!?』


「あれ?知らないの?
ダリ先生自分の教科だと
仕事早すぎて任せないんだよ。」


彼が職員室で自分の教科の話してるの
今まで見たことある?


そう言ったエイトに
そう言えばとメルは唸る。


事務として仕事をしていたが
割と作業でも職員室に足は運んでいた。


それでも聞いたことは一度もない。


それはよく職員室に居る
エイトでもそうらしく。


「だからメルちゃん来てから
大分楽だって喫煙所でも愚痴ってた。」


『へぇ〜〜〜〜やっぱりそうなんだ。』


やっぱり?

そう言ったエイトにメルは頷いた。


『ええ、前に大分楽になってるって』


「あーそんなこと本人にまで
言ってるんだ…へぇ意外。」


『ダリ先生のことどう思ってたのよ…』


「え?いやーちゃらんぽらんで、
でも裏でしっかり動いて
適当に誤魔化して仕事任せない奴だと。」


『いやーそれは…うん。』


考えてたのと同じ。でしょう?
そう言ったエイトに
メルは縦に首を振った。


「で?それだけ?」


『…流石に買わせませんよ?』


「あはは、やっぱり?」


でも凄い量だよ?大丈夫??

そう言ったエイトにじゃあ次の時に。

とメルは言う。

次?

それにメルはコクリと頷いた。


どうやら次のお買い物で買わせるらしい。

今回は待てを言い渡された為
エイトは渋々メルの言う通りにする。


一応約束では

彼女の好きにさせることであるから。



+++++++++++++++++


「へぇー本読むんだ。」


『まぁ本兼ゲームですがね。』


「へ?」


『エイト先生ゲーム買って。』


あと付き合え。

そう言ったメルにへぇ?とニヤリ笑う。

それはそれは、夜のお遊びにお誘いとは。

そう言ったエイトにメルは顔を赤らめる。


『へっ?!いっや!?そんなことっ!!』


「っくく、ナニを想像したのかなー?」


『っ!?』


も!!そう言ってエイトの腕を叩く
メルにエイトは軽く痛いと答えた。

こんな痛みなら幾らでも受けて立つだろうに。


メルはそのまま腕を捕まえてエイトを連れて
店の中に入った。


『…はぁ〜やっぱり
ビデオゲームだからちゃっちぃよな。』


おっと失礼。本音が出た。

そう言ったメルに
おいおいとエイトが答える。


『いやRPG系の探索ゲーしたいので。』


「待って?
それ二人でやる必要性ある?
それ一人専用ゲームじゃない?」


『いや効率重視で行けば
二人が美味しいかなって。』


「確率重視だよね?
僕でもゲームしない訳じゃないからね?」


『じゃあ私とFPSでもします?』


「何で出来るの!?」


銃撃戦ってメルちゃん
やったことあるの!?

そう驚くエイトに、
おっととメルは失言と手を口に当てた。


彼に一つ、いや二つ程
内緒にしていたことを忘れていたのだ。


『たとえ話ですよ〜
やだなぁ。本気にしちゃって。』


「っ!!そういうなら
本気でやってもいいよ?」


そう言い返されたので…
今度銃撃戦のを買うしかない。

そうPCにゲームを入れて
誘う事に決意したメル。


じゃあと彼に提案をする。


『これ買って下さい』


「ん?これでいいの?」


そう手渡したゲームは、
のほほんとした牧場を作成するゲーム。


主に悪周期を発散するためのゲームで…


「メルちゃん悪周期そんなならないんじゃ」


『私はどっちかって言うと
RPGの探索系が好きで
ひたすらアイテムを取っては
喜ぶ悪魔ですよ。

牧場系の、のほほんとした
ゲームが好きなんです。』

久しぶりに見つけて
割と気に入ってしまった。


これは帰って即やってしまいそうだ。


その為今すぐ欲しくなった。



という訳で、買わせる。

ちなみに説明書は無しだ。


こういうのは何もない
初見が楽しいんだ。


メルはふふんと鼻を鳴らして答える。


それには反抗することもなく

エイトは分かったと一言返事で
お会計に持って行ってくれた。




+++++++++++++++++



勿論その後も本を無事に購入し
寮で食事をすると言うことで
食材を購入しに来ていた。



「「「『あ』」」」


ばったりと。出会ってしまった。スーパーで。


それも意外なメンツで。


「メル先生とエイト先生じゃないですか〜
…デートって奴ですか?」


「ちょっ!?」


『オリアス先生にマルバス先生とか
意外過ぎて逆にそんな言葉に乗れない…』


「いや普通にロビン先生の指示にね…」


どうやら男子寮で色々あったらしい。


メルは深くはきかない事にした。

黒い服に包んだマルバス先生と
少し白いフードを被ったまま
外に出てきていた
オリアス先生とばったり出会った。


あちゃ〜これは…

流石に言い逃れ出来るかなぁ〜。



「お二人共何を買い物しに?」


「僕達は〜」


『私が収穫祭で目標の倍以上を取った
ご褒美として、今日半日だけ
エイト先生をお借りしているんです。』


「へぇ〜〜〜???」


「ちょ!?メルちゃん!?」


『で、私の部屋の貯蔵が
足りないので買い物に。』


本当に今日は運が良い。

今買い物をしている中は
自分が部屋に貯蔵している
乾燥系のモノばかり。

それに頷いた二人にメルは安心した。


『お二人は何故にロビン先生に?』


「いやーそれが話すと長くなるから〜」


『あー…大方門限破って罰として
今日の晩御飯の買い出しに
駆り出されちゃいました〜!
とかなんつってって〜〜〜…
あれ?おっとー?』


「………よくわかったね」


あら大正解。私天才?


メルは正解して喜べばいいのか
それはそれで可哀想だから
ご愁傷様ですと労った方が良いのか
不思議な気持ちになり、苦笑いした。


『あはは…ではこれで』


そう言ってメルはすっと肉や魚を買いに
そそくさと彼らから逃げるようにカートを進める。


それについて行こうとしたエイトの肩を
待て待てとマルバスが手を置いて止める。


「エイト先生晩御飯要りませんよね?」


「えっ!?」


「なんならロビン先生に伝えておくんで。
今日帰って来なくても構いませんよ。」


「ちょ、マルバス先生!?
オリアス先生?!」


『エイト〜いくよ〜』


「あっちょまっ!
そんな気の回しいいから!!」


じゃそう言って走って
メルの元に帰るエイトに

オリアスとマルバスは
ニコニコと手を振った


メルはその姿を見ており、
ただ不思議に首を傾げて
内容は聞いておらず
手を振り返した後


エイトと共に買い物の続きをすることにしたのだった。



「大分買ったね…」


『流石に縮小魔法を食材にするのはね。』


そう重力操作フラクタルを使用しながら
メルはエイトの隣を歩いて帰る。
勿論殆どエイトに持ってもらっている為
メルの手持ちはほぼ日用雑貨の物ばかりで。


『すいませんそんなに持たせちゃって』


「いいよいいよこれ位使ってよ。」


『なら…お言葉に甘えさせてもらいますね』


「そーそー。素直にね。」


『むぅ、それならまるで
私が何時も素直じゃない
って言ってるじゃないですか。』


あれ違った?

あれ?そう言ったメルに
エイトはメルと二人でクスリと笑った


「っくくく、似た者同士だねほんと」


『そう…かな?ん?
エイト先生素直…?だよ?』


「そう?僕は素直じゃない
って思ってたけど。」


『まぁ私からしたら』


「ああまぁ
確かに君ほどじゃないね。」


君頑固と天邪鬼がコラボするからね。
時々何が正解か分からなくなる。


そう言ったエイトにメルは
思い当たる節があり過ぎて
苦笑いしか返せなかった。


いつの間にか夕暮れで、
食事も昼から正直何も食べていない。


外で買い物ついでに食べようと言った
エイトにメルが『駄目』と言ったのだ。


おかげ様でお互い腹ペコである。
メルにどうやら策があるらしく…


『女子寮…で作る訳にもいきませんし
共同のキッチン使って食べましょうか。』


「え?あそこで?」


そ。あそこで。

そう言ったのは男子寮と女子寮の間
と言うか中央より奥にある施設。



別棟とも呼ばれ、
ダリが住んでいる隣の棟にある
共同の施設が完備された場所だ。


よく男女の会議や軽い飲み会として
使用されたりするが、基本的に使用しない。


恋人も中々寮では成立しないし
なんなら悪魔の恋は長続きしないのだ


…だが、こっちは時間が違う。


『(私は人間だから
貴方をずっと好きでいるよ)』



貴方が例え飽き性で忘れちゃっても。


私はずっと、貴方を思って愛し続ける。


そう思って…メルは
一つ提案を持ちかけたのだ。


『エイト先生…ちょっとお手伝いして欲しいんですよ。』

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