Novel - Carla | Kerry

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あなたの点火がきれい2

act 40.






「そう言われて着たけど…なにこれ。」



そう白いというか
ほんのりピンクのエプロンに
エイトは軽く引いていた。


それでもちゃんと着ける所
『エイト先生今日一日好きにしていいんですもんね♪』
と言った彼女の指示に否定をする訳にもいかない。



って言うか半日だった気がするのだが、
ちょっと変更されてない?
良い様に変更してない?
大丈夫だよね?



そう脳内で記憶の保管維持能力として
別の意味でエイトはメルの心配をしてしまった。


まだ無地なだけマシだと思い。
それで?と聞いたエイトにメルは言う。


『ああこれ切りますよ〜』


そうトマトを潰して容器に入れて保管するメルに
エイトはチーズをスライスするのを頼まれる。


その間にメルは別の容器に粉を入れて水を入れる。
洗った手で鷲掴み美味しくな〜れと言って混ぜていく。


「…えっと、何を作るか想像が出来ないんだけど。」


『想像するのも楽しみですよ〜
あっそこの食材5p程で切ってて下さい。』


後で調理するんで〜

そう言ったメルに買ってきた食材を
全て使うつもりかとエイトはゾッとする。



「流石に…全部食べないよね?」

『馬鹿なこと考えてる暇あったら手進めて下さい』

「あっはいすいません」

そう軽くメルに叱られ、つい謝るエイト。

ある程度粉が固まって来た段階で
そろそろかとメルがぼやく

よっ、と言いながらメルは
丸くなったモノを手に取り


そのまま綺麗に
ラップを敷いた地面にたたきつけた
ドンと言う音に少し驚く。



足をラップで何重にも包み
踏み出したのにえぇと唸る。


『私腕力ないから多分足の方が丁度良い』


そう言って踏んだ後

棒を浮遊さえて手に取ったメルは
棒を足と手で使って伸ばす。


徐々に縦に伸びたのを
横にも伸ばしていくのに

あっとエイトは気付いた


「ひょっとして…ピザ、作ってる?」

『せ〜いか〜い!腹持ち良いからって
言っても副菜も出しますよ〜!』


あと明日のご飯も!ついでに作るんです。


ほら寒くなってきたし、
ピザ久しぶりに食べたくなって。


どうせなら作ってみたくて
と言ったメルに嗚呼と答えた。



「いや、どうせなら買ったら良かったのに…」

『…こういうのが、良いんですよ。』


そうぼそりと、消える音量で言うメル
何処か寂しそうに見えて、
エイトはメルの名前を呼ぶ。



「メルちゃん…?」


『さ!大分円になりましたねぇ…
どうします?私の家系魔術で焼きます?
それともご自身の炎で焼きます?』


「ちょ…それどっちもご先祖様に
叱られそうなんだけど!!」


『あはは!私のご先祖様は
生きてますし許可出てますからねぇ〜』


魔樹は今頃ツムル達と遊んでいるだろうし。
そう笑うメルに嗚呼とエイトは苦笑いした。


『で?どうします?』


「…わかった、
君のご褒美だからね。
今回だけだよ?」


『よっしゃ〜!
そうと決まれば
乗せていきましょー!』


ちゃんと綺麗にラップしてるから手垢とかないよ!!


そう言ったメルに
地面にたたきつけた時点で
それは綺麗と言えたことかと苦笑いした。



一応清潔にしている為
大丈夫は大丈夫だが

衛生管理的に出来れば机の上で


何なら自分にやらせればよかったのではと
思ったのはメルには内緒にしておこう。


きっと機嫌を損ねて不貞腐れるのがおちだ。



エイトは渋々彼女から貰った丸みを帯びた
小麦粉を練った皿にトマトソースやチーズなどを
トッピングし

そのまま浮遊し木の板に敷いて
尻尾の火炎で燃やし続ける。


『さ〜その間に
私はお片付けと〜お料理を〜』


そうメルは浮遊をしながら
水を空中で器用に皿洗いをする。


その間切った食材を
別のボウルに入れて油や下味なのか
塩コショウなどを入れて混ぜていた。



卵を割ってかき混ぜたりとしている間に
浮遊していた皿洗いは
もう乾いて綺麗なままで浮遊し

汚れた水は蛇口を捻った水道の隣を水の様に
シンクに流しているのに


エイトは器用だなぁと
遠目で見るしかなかった。



「それ何?」


『あ〜オムレツ。
朝食べれるように。』



作った方が絶対美味いんですが。
多分冷蔵庫に入れて
時間停止オートキープしたら
そっちの方が楽かなと。



そう言ったメルにエイトは
冷蔵庫に入れるメリットは。

と聞きたくなるが





…そこら辺の衛生管理が出来て
何故先程、地面に容赦なく
ピザ生地を叩きつけたのか



そっちの思考回路を聞きたいと思った。



『そっちはどうですか?』


「んーそんなこんなこんな
言ってたらすぐだね。」


『こっちもOKです。食べますか〜』


ほら座って座って!そう言って
メルは食べ物を並べ、
食器をエイトの分まで横に並べる
目の前ではなく、横というのがまた…


「(まぁ…言うのは良いか)」


流石に避けられるのも困るし。

そう諦め、エイトは
横に並べられた前に
ピザを置き席に座った


『では〜いただきますー!』


そう手を合わせて元気よく言うメルに
エイトも頂きますと言って手を合わせた。


『…所でピザって
どうやって食べるんですか?』


「待って!?嘘でしょ!?!?」


安名メル、痛恨のミスである。


いや何となく分かるけど、
全部切られてたりして。


最後に食べたのは〜え〜っと、
何歳だ?え?マジで思い出せない。


幼少期ということだけは分かるので、


多分10歳未満。



それも前世。




………



…うん。アウト。


そう考えているメルに、
エイトは待ってと席を立った



「ピザ用のカッターね。」


『はぇ〜あるんだここ』


「まぁ僕の自前だけどね。」


『僕の自前!?』


「前にピザ此処で焼いてね。
持って帰るのすっかり忘れてた。」


そんな運ある?そう震えるメルに
まぁあるあるとエイトは苦笑いした。


カットされ、びよーんとチーズが伸びるのに
おおおとメルが目をキラキラさせて見る。


「はい。あーん」


『ん!あ〜〜!!』


「(おっ、照れずに口開けるとは…!)」


そうメルが嬉しそうに口を開け
エイトからのピザを頬張りつつ遠ざかる。


するとチーズが口から口を付けた所を
橋をつくるように伸び
『んん〜〜!』と声を上げる。


伸びて凄い!と言いたそうで、とても楽しそうだ。
飲み込んだ後、メルが美味しい!と声を上げた。


「ん。それならよかった。
…ん、ほんとだ、うっま」


『でしょ〜!やっぱり
炎の熱が均等なんだろうなぁ…
中央から外にかけて熱が下がるんだけど』


エイト先生の炎専門だから、
そこら辺調整が効くんだろうな。

だからアレがあそこで…
そうぶつぶつ言いだすメルに
食べないの?と指摘する。


それに気づいたのか
食べる食べるとメルは答え、
急いで持ったのに
ピザの温度に『あちっ』と声を上げる。


「ああもう、大丈夫?」


『〜〜っ、大丈夫です。へへ、
こんな熱くても美味しいんですね!』


前は味がしなくても別に良いやと思っていた。


でも…今は、この味がしなくなるのは嫌だと思う。


それ程、このピザの味は格別なのだ。

エイトからハイと口元に寄せられたピザを頬張り
メルは微笑み、
その幸せをピザと同じく飲み込んだ。



「そりゃよかった。
不味いって言われたら
ご先祖様に何て言おうか。」


『あはは…』


「にしてもメルちゃん
料理出来るんだね〜
食べ方知らないって言ったのに
何処で知ったの?」


『えっっと…す、スージー先生達にちょっと!
(言えない!!前世でちょろっと
作ってたとかもう言えない!!)』



食べたくなって作ったりして
割と食事は一から作る方だった。


その為一通りはレシピを見て作れる方でして…


メルはそのことを思いだしながら作ったとは
決して言える訳もなく。




なんなら人間界だけのものだと思っていたのだ。



「まさか僕の好物を知ってるなんて
これじゃあ僕へのご褒美じゃん。」



意外と言ったエイトに
メルが今度は目を丸くする番で。
え?と言ったのにエイトはえ?と答えた。


『え?エイト先生、ピザ好きなんですか?』


もっと言うと
魔界にピザあるのか!?

と言いたかった。


「え?うんすき、だよ??」

『えええ?!そうなの!?』

「ええええ?!
逆にそれで出したんじゃ…」


『いや…ただ、単純に
…食べたくなって』


と言うかこういうのもアリかとおもって。

そう言ったメルは肩を落とし席に着く。

エイトもまた驚いたまま
肩を落とし席に着いた。


「まぁ…食べようか。」


冷めたら美味しくなくなるよ。

そう言ったエイトに
はいとメルは答えた。


+++++++++++++++++


「ふぅ…流石にもう食べれない。」

『残りはちゃんと
朝に持ち越しますから。』


そのつもりで沢山作ったんですよ。


そう魔術を使って支度をするメルに
相変わらず器用だねと答えたエイト。


まぁ慣れたらこんなもんだよ。
寧ろこうやってするのが楽しくて
憶えるのに苦労はしたさ。

メルは苦笑いした。

「…ね、これで満足?」

『……と言うのは?』

「ここ、申請したら
一応何泊かは泊まれるんだよ?」


『…………流石にそれはちょっと』


そう手を払うメルに
残念とエイトは答えた。


メルはまだエイトに告げていなかった。


『(香水を外した時…
人間の匂いがするんだから)』


食べられるのは間違いない。


そう思うと、怖くて。


まだ肌なんて重ねられるわけもなく。


震えたメルに良いよと
頭をポンポンと撫でる。



「もう少しだけ、待ってあげるから。」


でも…長くは持たないよ?


そう言ったエイトにメルは苦笑いした。



『(…もし、もし…いや、ない)』



人間と言った時、貴方は…


あの洞窟で言ったあの言葉を言うのだろうか。




なんて、馬鹿なことを考えてしまった。





+++++++++++++++++




『ではおやすみなさい』


「ん。また明日ね」


『あはは、また明日〜』


そう手を振ってメルと別れるエイト…




で。




「じーーーーー」

「…………………なに。」

「……ないない。」

「………へっぴり腰」

「消極的」

「ちょ、本当になんなの!?」

そうツムル、イチョウ
マルバスに言われて
ついつい声を荒げる。


一体なんなのだ。


「ほら僕の言った通りでしょ〜?
エイト先生手出さないって。」


「マジだった〜〜〜
うわああああ」


「…何々何の話?」


「あはは、エイト先生がメル先生と
一晩過ごすか賭けてたんですよ。」

丁度晩御飯の時にお話しちゃって。
そう言ったマルバスに
何をと頭を抱えたエイト。


「でもでもご飯は食べたでしょ!?」


「そりゃ流石に食うだろ。」


賭けるのはそこじゃない。


そう言ったイポスにツムルは
だよなぁああと叫ぶ。

全く、悪魔ひとの恋路に何を賭けてるんだか…


「エイト先生何で手出さなかったの!?」


「っえ!?いや、そんなこと言われても…」


少し寂しそうに、
ただ震えていた彼女の事を思いだした


「…まぁ、ゆっくりでいいかなって。」


弱火でじっくり焼いた方が美味しいし。


そう思ったのも声に出ていて、
しまったと言ってももう時すでに遅し。


有罪と言われてエイトはその日
尋問から逃げることに忙しくしたのだった。





一方メルはというと。



『…へへっ!』



今日の事を思いだしながら
荷物を片付けて眠るのだった。



+++++++++++++++++



『…音楽祭かぁ〜』


そうオリアスと遊ぶ予定を
丁度昼休みの今、聞きに行く中
生徒から音楽祭の会話を小耳にはさむ。

そう言えば音楽祭何をするんだろう。
流石に生徒に混じって
音楽をする訳でもないだろうし…


『(それに音は…余り、良い想い出はない)』


悲しくて辛くて…
情を音に変えて解き放つ過去。


ただ楽しい時間を

歌にのせて歌った世界は…



まるで別世界のようで…


私はそれを見て以来
この世界では一度も本気で
歌って踊ってをしていない。




この世界では魔術はイメージ。


イメージの再現が良ければよい程
相手に伝わってしまう。



この感情がもし、伝わってしまえばそれは…



『(私が前世で息をしていたことも
この身体が人間だということも
一発でバレてしまう。)』


それだけは避けたいものである。

メルは首を横に振り廊下を歩いた。






「あ」


『あ』


「メル先生ちょっとお聞きしたいことが」


『やだやだやだやだやだやだ』


絶対ソレ今会ったらいけない。

そう嫌な予感サイレンが鳴り響くのは
真正面にダリと氷の女王と
あだ名がついたクロケル・ケロリさんコンビ。


いやぁ絶対嫌な予感しかしないのだ。
メルは冬服になっている上着の下から
上着を掴んで縮こまり、
180度回転して歩きを進めようとした。



それにはダリも待てと指示を出す。



「クロケルさんがお願いだって。
生徒のお願いを断るなんて
“教師としては”どうかとおもうけど?」


『…とんでもなく卑怯ですよ、ダリ先生。』


「おっと…これは失礼?」


「魔樹先生とダリ先生からお話を聞いて
…無理を承知で、お願いします!!
私達のチームに歌って見せて下さい!!!」


『……魔樹先生からはなんて?』


「えっと…」


「メル先生」


『………失礼。
場所を教えて下さい。』


その間にお話ししましょう。


そう言ったメルに
ぱあと笑顔が浮かぶクロケル。

仕方がない…

余り見せたくはないが

生徒の頼みだ。



メルは彼らになら、
と思い舌打ちを我慢し足を歩めた。


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