Novel - Carla | Kerry

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帰る場所はもうない

act 11.

「って事があってね!」

バラムからそう入間君の話をメルはうんうんと聞いた。
生理も終わり、腰の痛みも外れたある日。

「誕生日がまさか10月04日だとは思わなかったよ〜!」

「へー」

『ダリ先生は誕生日いつなんですか?』

「僕は9月だよ♪」

『え゙』

「まぁ色々忙しかったからね
言ってなかったけどメルちゃんは?」

『メルはイルマ君と同じですね』

「へーイルマ君と……」

「「イルマ君とぉ!?!?!?」」

そう驚くダリとバラムにメルは丸くなる

『あれ?』

「ちょちょっちょっと待って待って待って!!」

「バラム先生簡易でします?
寮の方がいいですよね!?」

そう慌ただしくなった二人にメルは首を傾げる。

ビデオ通話で通話を始めたばかりのツムルが声を掛ける

「メルちゃんダリ先生達どうしたの?」

『あ!ツム聞いて?それがね?』

メルの誕生日10月04日
って言ったら二人共騒いでて。
そう言った途端ツムルも声を上げた

「過ぎとる!!!!ちょ!!!マジ!?!?」

『…え?あ、うん。』

あれ?言うの駄目だった?そう首を傾げたメルは
そっといなくなった周りにきょろきょろとする。


『…久しぶりだな。一人なの。』

最近周りが騒いだり
ずっとダリ先生が隣に居てくれたから
全く一人の感じ無かったけど。

キラキラして毎日がとても楽しい。
翼をばさりと広げて中庭に入る。
ルンルン姿で翼をバサバサと広げる
飛ぶ練習は欠かさないでやってるのだ。

そんな中空から音が鳴り響く
それにメルは空を向いた

「“メル”」

『…ポロちゃん?』

しゅっと降り立ったポロに
メルは翼を羽ばたかしており立つ

「あんた…ソレは?」

『ソレ?』

「音よ音…綺麗な音になっちゃってまぁ」

『????』

「ダンダリオンねぇ…ちょっと会わせなさい。」

『ふぇ?なんで??』

「アンタの処女奪ったから一度拝みによ」

『しょっ!?!?ちょなんっ!?えっ!?!?!?』

未だにバレていないのに!?
そう驚くメルは待て待って
とポロの腕を引っ張る

バタバタとあわただしい中
ダメとメルは空を飛び廊下を走る

『っ!!ダリ!!!』

「ん?あれメル?そんな急いでどぶっ」

「あ゙ーーーー!!ダリ先生ーーーー!!!!」

『駄目!!!』

そうメルがダリをひっ掴まえた後
空中で防御をはった瞬間
音が鳴り響き渡る


「っぐうう!!!!」

「なっ!!!ん!!!!」

「っい゙っ」

そう音と共に落ちたダリに
エイトたちは声を上げようとするも
また音で頭が割れそうになる


「…やっぱりそれでも
アタシの音を聴けるとは
流石ね。“メル”」

『………不穏な音、させないで。』

「どきなさいそいつに用があるのよ。」

『やだ。嫌い。警戒。』

そうメルは翼を広げて
両手に力を込め始める。

「…アタシに音で勝とうとするつもり?
良い度胸してるじゃない。」

『っ!!』

「ストップストップ!!
ちょメルだめ!!」

『っ!でもダリっ!!』

「僕や皆を守るのは分かるけどダメ」

そう言ったダリに
メルは困った顔をして
少し肩を降ろしダリの傍に行く

「…あら、本当に手名付けちゃってたとは。」

「アムドゥスキアス様?何故此方に?」

「いや新魔樹が恋したお相手の顔を
ちょっと拝みに来ただけよ。」

殴ったら多分、アタシが三回位殴られるわ。
そう指をダリの後ろに指すアムドゥスキアス

するとメルが目をギラギラさせて
シャーと声を上げ威嚇していた。

「へぇ?良い男とったじゃない。やるわねメル」

「アムドゥスキアス様?何を」

「あら、気付いてないの?メルの想い人♪」

「え?どどど何方が?」

「コレ」

そうダリに指を指すのに
メルの誕生日を
準備していた者が声を上げた

+++++++++++++++++

「とりあえず煮るか焼くか
裂かれるか、どれがいいです?」

『…やったらメルがするよ?』

「メルちゃん大丈夫殺さないから」

『傷付けるなら殺すよ?
何それともメル
自分の心臓潰そうか?』

「「「駄目駄目駄目駄目駄目!!!」」」

そうアムドゥスキアス様からの爆弾発言を受けて
オメデトウと誕生日のプレゼントを貰って消えた後
メルはマルバスやエイトから
ダリを守ろうとしていた。

何なら別に自害してもいいよと言ったメルに
聞いていた何人かが止めに入る。


『まぁしないけど。メル居たいから。』

「ほっ…」

『でもやだよ?』

「分かった分かったしないしないから!!」

そうギロリと目を光らせるメルに
マルバスは首を横に振る

「愛されてるね〜〜僕」

『…むぅ』

「有罪」

「いいの?メルちゃん困っちゃうよ?
僕居なくなっちゃったらどうするのよ。」

『っ!!やだ!!!』

「だって♪」

「なんだろう…凄く殴りたいのに殴れない……」

可愛い妹分が泣くのは
流石にやめたいというツムルにエイト。
それにダリはケラケラ
何時ものように笑って見せる。

「いやーもう少し内緒にしておこうと思ってたんだけどねぇ〜」

「メルちゃんお赤飯たべよ!!」

『赤飯!?なっまっおん!?!?』


そうロビンが意気揚々というのに
メルが慌てる食べれなくはないが
何故に其処まですると慌てるのだ。


「にしてもあのダリ先生がねぇ〜…」

そうメルがダリの隣にちょこんと座り
静かにしているのに
そっとメルの頬にキスを落とすダリ。


固まったメルが
下から上に顔を赤く染め上げていくと
真っ赤になった後、
そっとダリの背後に隠れる。

遠くに行くのも嫌だし。
かと言って隣は恥ずかしい。

その心境を見せつけられて
ツムルが頭を抱えて嘆く

「あ゙〜〜みんなのメルちゃんが……」

「皆のじゃないから僕のだから」

「いや独占欲…」

「悪魔だしそりゃあるでしょ…」

『メルはメルのだよ?
あれ?うん。ん??』

いやダリ一緒に居るって言ってくれたから…
ダリはメルの?あえ?
あれでもメルはメルで…あえ???

そう首を傾げるメルに
難しいことは考えない考えないと
ダリが頭をポンポンと撫でる。

「じゃあメルちゃん
簡易だけどお祝いしようか♪」

『ん゙?』

ひょいと脇を持ったダリにメルは固まる。
そのまま歩いていくのに
首をひたすら横に傾げているメルに
そっちはまた別だから行くかとツムル達は
先程の甘い姿を記憶から消去して講堂に向かった


+++++++++++++++++


ダリに突然目隠しをされて
何故かそのままズンドコ運ばれ…

あれよあれよと進み気付いてみたら




何やらどえれぇ儀式で祀られていたんですが…



メル…ガクブルで
肩も足も身も心も縮こまって
ちょこんと席に座っています。


「メルちゃ〜ん♪びっくりした?」

『ちょ!?え!?おサっ、理事長!?』

「いや〜メルちゃんの
誕生日孫のイルマ君と同じって聞いてさ〜
流石に寮に閉じ込めすぎるのも悪いと思って〜
思い切って拝堂貸し切っちゃった♪」

『おもっ!?はいっ!?かし!?』

メルは身体を縮こまらせるように
両膝を胸に近づけながら驚き気付く
あれ?服装も変わってる???

何時もの白いワンピース姿ではなく
ただ黒いマントを被され、
フードは角が出ても問題ない
猫耳みたいな形に二つ三角形を広げていた。

中は白は白でも少しドレスに近いのか、
膝まであったストレート一枚の
ワンピースではなく
中にレースが入っている。
パニエと呼ばれるものだろうか?

いやいやいやそんなところじゃなくて

『ちょ色々聞きたい事があの!?』

「え?何かある??」

あるに決まってるだろ。
ふざけるんじゃないよ。

誰が自分を中心に大人が
ドンドコドコドコ
ドンドコドコドコ
歩いているのを見て
誰が落ち着いていられるというのだ。誰が。


しかも皆何時も見ている
私服やバビルスの制服ではなく
何処かおめかし、
ぴっちりした服を着ているのに
身体を上下に動かしながら歩いているのだ。

おまけにろうそくとか
何か変なこう棒みたいなもの持ってたりと
悪魔それぞれで…もう

異様過ぎて突っ込む気力も脂汗しかでんわ。


「メルちゃん覚醒してから
降魔の儀初めてでしょ?
も〜超特急で準備したよ!」

「いやー懐かしいなぁ何歳だ?
6歳?5歳位したよな〜」

『ちょ、よく見たらダリにツムツム!?』

そうぎょっとして手が猫の手になったまま宙をさまよう

「メルちゃんの出身地は
特殊だから作法も違うし面白いでしょ!!」


そうですね!!!人間ですから!!!!
そう強く思いつつ歯を食いしばったメル

『にしても降魔の儀って一体何ですか?』

「悪魔の誕生を祝う儀で
参列者は捧げものを用意し、
仮装して踊りや歌を歌うんだよ。」

つまり人間界でいう所の誕生日会だ。
上を見上げると星や丸い形をしたライトが
コウモリにつるされてほんのり明るい

ダリが近づいてメルの傍で説明してくれる。
いやー…にしても。


「これ程まで見事な式は始めてかも…」

「まぁ、そもそも毎年式をする
悪魔もそういないからねぇ〜☆」

『あわわわわわわわわ…』

メルちゃん震えてる。珍しい。
そうイチョウやツムルが言うのに
間違ってはいない。


メルは核として身を捧げ
他の生物との関わりを
シャットダウンしてうん十年。

お誕生日会という
大それたことは初めてだったのだ。

その為急に連れて来られて急に進められて
思考が追い付かず慌てふためいていたのだ。
無理もない。

「まぁ無理もないでしょ。
メルが覚醒してからというものの
ずっと寮に閉じ込めてたんだし。」

「そりゃそうですね」

「気分転換も兼ねてお誕生日会開催で
この豪華な拝堂をまぁまぁ…」

「言うな。」

金額が幾らになるとか考えたくもない程
背の高く広々とした縦長の拝堂

「メル先生ーーー!!!」

『にゃっ!?イルマ君!?!?』

「メルちゃんの誕生日
同じって僕が言ったら
お祝いしたいってことで。」

『バラム先生だったのね!?』

そう驚くメルにバラムは苦笑いする。
さっきからその隣に居る赤髪の彼が
ソワソワしているのだが…

『えとーどちら様で?』

「ああメルちゃんは初めてだったかな?」

「私サリバン様のSDをしていますオペラと申します。」

本日はお誕生日おめでとうございます。
そうぺこりと手を前に置いておじぎをする彼に
いえいえと首と手を横にブンブン振る。

「ところで彼は?」

「仕事で来ないと」

「…またですね。」

『???』

「僕の誕生日の時もね、カルエゴ先生来てなくてさ」

そう説明しているイルマにメルはうんうんと頷く。

「使い魔召喚シール貼って召喚したんだよね。」

「イルマ様どうやって召喚したんですっけ?」

「え?こ〜バンザイして…え?」

そういつの間に召喚シールを貼っていたのか。
イルマが手を上げるとイルマとメルの目の前に
パタパタと音を立ててふわふわのほんのり紫色をした
白いのが黒い翼を羽ばたかせつつ現れた。


『…あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙』

「い〜る〜〜まぁ〜〜〜〜」

「ごめんなさいすいませんすいませんすいません!!!!」

『でっ!?あっ!?えっ!?で!?!?』

「嗚呼メルちゃん記憶朧気なんだっけ。
イルマ君カルエゴ先生使い魔にしてるんだよ。」

『あ゙あ゙!?悪魔が悪魔を!?!?』

「何ならメルちゃん君
ダリ先生使い魔にしてるからね?」

『え゙え゙!?まっ!?!?』

ちょっとそれ知らない情報そう驚くメルに
憶えてないの!?と全員が驚く
そりゃあ覚えてないに決まっている。
何故なら覚醒前のお話であるのだ。

「おい貴様も使い魔になれ」

「やだよ〜カルエゴ君
来てなかったから
ソレで呼ばれたんでしょ?」

「ぐっ」

『(あ、言い返せてない…)』

それは君が悪い。
そう言ったダリに
ぐっとカルエゴが止まる。


「じゃあメンバーも揃ったし、始めようか」

そう言ったサリバンに周りが円の外に出る
ゆっくりと動き出し
「ハウェヤー」と唱えて始めだす。


金色の杯には
豪華な葡萄のツタの装飾が入っており
ワインみたいな形の中に
そっと水を入れて、
ラファイアと唱えると炎が燃え出す。


水が燃えている現象に、
メルはじっと見ているしかなかった

『(ハッ!ってどうしよう
作法知らないんだけど!?
悪魔の降魔の儀ってなに!?
メル何かした方がいいよね!?)』

「いんや…何もしなくていいよ。」

『っ!?ダリ…?』

よ。そう言ってダリは
メルの座っている席の隣に立ち
手をひらひらと振っている。

「降魔の儀ではまず魔中水まなすいって水に火を灯す。
これは参列者の魂を表しているんだ。」

そうダリが指を指してメルの目線から説明する。
指した場所はツムルやエイト達が低い声で
「ハウェヤー」とぼそぼそ言いながら
目線を合わせず歩いている。


「順番にその火水を主役の大桶に移す。
自分の命の灯火を分けてやるように。」

メルの目の前、少し遠いが
ダリが桶と指した言葉の前には
長方形の箱が置かれていた

順番に火水を移し終えると
此方に歩いてくるスージー。
何処か凛々しく、綺麗な姿に目を奪われる。


「そして捧げものを掲げ、感謝の言葉を伝える。」


「ありがとう」

そう言ってスージーが膝をついて
ラッピングされたピンクと黄緑のリボンが可愛い袋を
捧げるように腕を上げメルの方に向ける

「…ほら、とってあげて。」

『えっ!?あっ…えと…』

ありがとう?そう思いつつ無言で手に取る。
するとスージーはニコリと笑った後
そっとおじぎをして元の円に戻って行く。

入れ替わりでツムルがやってきて
スージーと同じように
膝をついて捧げものを差し出す。

「おめでとう、メルちゃん」

『(…ありがとう)』


「(過酷な魔界において
命は儚く貴重なもの。
降魔の儀は悪魔にとって
命への感謝の儀なんだよ…)」


だから君が生まれて来たのは
間違いではないのだ。
核として自分を塞いで
ただ自分の欲を抱え込んで生きて来た者が
間違っているだなんて誰も思わない。


「メルちゃん、おめでとう!!」

『っ(ありがとう)』

そうそっとロビンからプレゼントを貰う。
一人一人、手渡しでオメデトウと言われて
心がくすぐったくて仕方がなくて…

小さな小包みから大きな袋まで
様々な物が渡される

翼を広げて捧げる者や
翼を広げずに飛び込んでくる者
それぞれ様々ではあるものの
皆必ずメルの前で言うのは「ありがとう」だ。


「おめでとう」

『(…どうして?)』

「おめでと!メルちゃん」

『(なんで?)』

私を受け入れてくれるの?
私は閉じこもって生きて来た悪い子だよ?
逃げて閉じこもって息をしてきたのに?

悪い感情を良いと勘違いさせてまでして
生き続けたかった愚かな人間なのに?


「…おめでとう、メル先生」

『(…ありがとう)』

不思議に思うのが大きいのに
何故か温かな気持ちが胸に入ってくる。

この気持ちは

感動?感謝?喜び?

違う…どれも、違う。


私は何もしていないのに。
私は生きていて、悪い子だから
鳥籠の中で自分を殺し続けるしかなかったのに。


「ありがとう」

「ありがとう」

そう言ってくれる彼らに
メルは…メルは、ね?
ゴボリと息が泡となって口から出て行く。
苦しい…苦しい、の。

痛い、痛い…痛いよ。
嗚呼違う、痛いんじゃあない。


最後、ダリが此方に向かって
コツコツと音を立てて歩いてくる。

ばさりと翼を広げて
そっと膝をついて囁くように言う




「産まれてきてくれて、ありがとう」


メル


そう私の名前を呼んでくれる。





「やーメルちゃんの
誕生日10月だったんだね!
どーして今まで言ってくれなかったの?」

そうからかうようにエイトが
メルの肩にポンと手を置く




『…あ、れ?』


それでメルの目から
ボロボロと涙が零れ落ちるのに
手を置いたエイトも
最後にお礼を言ったダリもぎょっとする。


「っえ゙!?あちょメルちゃ!?」

「あーーエイト先生泣かせた〜〜〜」

「いけないんだぁ〜〜〜」

「ええええ!?メルちゃん!?
ごめんごめんごめん!!
ちょ何なになに駄目だった!?」

教えてそう頬を伝う涙に触る前に
メルが首を横に振るのでエイトは止まる

ちがう。ちがうの。

『っ、ふっ、メルっ、わた、
し、あのっ、っく、ふっ…っ』

「…いいよゆっくりで」

そうダリが横に座り背中をトントンとさする
それで涙がどんどん零れていくと同時に
メルの膨れ上がった気持ちが言葉として
声に溢れ零れ落ちる

『わたっ、し、っく、
こんなっ、こと、なっく、て』

落ちた場所は誰も知らない場所
ただ確かなのは貴方がずっと好きな場所

その場所を私が核が
居て良いのか分からないままで。

ずっと心配だった。捨てられないか。
良い子で居られないから。
悪い子だったから。捨てられると。

そうしてまた独りぼっちになって。
還れないまま心臓を止めてしまえと思った。


『っ、すっ、きて、おめでと、て、っふっ〜っ
言ってくれ、て、すごく、頭、一杯で』

何かが分からなくて。
でも時間が音が止まった気がした。
それだけは分かった。

『みんな、メル、めいわ、
かけて、のにっ〜〜っ!』

何にも返せてなくて。ごめんなさい。
お礼出来なくて。ごめんなさい。

そんな感情が渦を巻いてまいて、
痛かった苦しかった。

でも…そんなこと
想わなくていいんだって。
途中で気付いたの。


『メル、今、うまれて、はじめて、』



産まれてきて、よかったって


そう、ただジワリと思った。
水面に落ちた布が水を吸い取っていくように
ジワリと沁み込んでいく感情に恐怖を抱いたものの
最後には温かい気持ちである事に気付いて。


『ありがとう、メル…メルね?
みんなのこと、だ〜いすき…!』


そう笑ったメルに、
周りがスンと静かになった後

メルをぎゅっとダリに
スージー、ツムルが抱きしめる
固まるメルにこらぁとエイトが叫ぶ

「いや何してんですか!
メルちゃんから離れて下さい!!
主役!!」

「いやなんか抱きしめなきゃいけない気がして…」

「ねぇ?」

「ふぃっ♪」

『はわわ……』

そうきょとんとするメルに
ツムル達は頷く。

「メルちゃんたら〜♪
皆がメルちゃんに
産まれてきてくれてありがとうって
感謝を伝える儀式なんだから〜♪」

『え!?そうなの!?』

「だから感謝を貰っているだけでい〜の♪」

そうダリは目を閉じつつ
メルの目尻に零れる涙を手で拭い去る。

「ふいっ♪そうですよぉ〜♪
メルさん産まれてきてくれて
ありがとうございます♪」

『うう〜〜〜〜〜!!!
スーちゃんも産まれてきてくれて
ありがどおおおおおお』

「ふいっ?!」

「あらら、スージー先生の
降魔の儀式に変わっちゃった?」

そう気が高ぶりメルが泣きながら
スージーに飛び込み叫ぶのに
ダリはケラケラと笑った


『(…温かい、悪魔さんたちとても暖かい)』


冷たくてただ冷えたあの時間
穏やかな世界なのに
冷めきった世界とはわけが違う。

ずっとこの身体が芯が心が全てが
ゆるりと弧を描きながら包み込んでくれる。
ありがとう。おめでとうって言ってくれて。
ありがとう。産まれてきてくれて。

ありがとう。出会ってくれて。
ありがとう。私を


『“私を見てくれて…ありがとう”』

そう言ってメルは手に光を注ぎ込む
キラキラと光り輝きだすソレは
メルの手が合わさって
広げたと同時に宙に飛び上がる

「っな!?」

「なになになに!?」

『“うれしい…うれしい”』


ただこの気持ちは、言葉に表せない。
嗚呼…強いて言うなら、近いのなら。


『“あいしてる”』

ずっといっしょに、いたいの。

メルは金色の目を光らせ、
ふわりと翼を出し浮遊すると
ダリの方を向いてぺこりと宙でおじぎをしたあと
そっと前髪に触れる様にキスを落とす。


「っ!?!?」


するとキスが落ちた場所からふわりと
色とりどりの花を咲かせた花冠が作られ置かれる。


『“すき”』

「っ!?メルさん!?」

『“すき”』

「ちょ!」

すきが溢れて止まらない

すきなの。だいすき。
メルをみてくれて、ありがとう。
メルをあいしてくれて。

ありがとう。

だからこれは、お礼なの。
受け取るだけだなんて。いやなの。

両手をそっと相手の前髪で広げつつ
前髪にキスを落とすと
ふわりとメルは遠ざかる

手を後ろに組みつつプレゼントをくれた
おめでとうと言ってくれた者に花冠を渡す

「ちょ、メルちゃん!?」

『“ありがとう”』

私こそ。ありがとう。

そっとイチョウやツムル、エイトと
彼らにキスを落とし花冠を落とす
キラキラと光り輝き、
少しふわりと浮きつつも
金色の光が溢れている

『“産まれてきてくれてありがとう”』

「っ、メルちゃん…」

『“出会ってくれてありがとう”』

貴方達に会えて良かった。
貴方達のことを知れて良かった。

嗚呼止まらない。
愛は燃えてしまうと止まらないの。
息を吸っても吐いても
どれだけの言葉にしても足りない。



この感情に名前を付けるというのなら。

それは。




『“私を見てくれて”』




最後にダリの元にかえり翼を大きく広げて

首元に抱きしめたあと


精一杯の気持ちを込めて言うのだ。


ああ!!

『“ありがとう”』

そうただ、お礼を言って。

ふわりと笑顔になった。


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