Novel - Carla | Kerry

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帰る場所はもうない5

act 15.




「で?何か反論ある??」

『…ないです』



よろしい。


そう言ったダリ
あれから二回イかされ気絶した後
メルは裸で正座し説教されていた。

まぁー羞恥心もないピュアだったメルにしては
これが普通の感情なのかと
ダリと出来ればいいなとついつい
ダリを驚かそうと思ってやった行為であり。

悪気はなかったのだ。

だからこそ説教された。

「ったく、教えて欲しかったら
ねだってくれりゃあ教えるのに」

『っ!?ちょそれしたくないからその…』

「あんなに喘いだのに?」

『っ!?ちょわすれ』

「忘れるわけない。
悪魔でも興味があるものすら忘れる訳がないよ。」

そこまで記憶維持ゆるゆるじゃない。


『あっ、えとあの…嫌いになった?』


「いやなる訳ないでしょ。
まぁもう一度したら嫌いになるかな。」


『っ!!しないしないしない!!!』


「…ならこの話は終わり。
さ身体を温めにいこ。」


そう立たせるダリにメルは
いやあのと首を横に振る。

「…あ、ごめん腰立たないよね。」

『ちょ!気付くの早いですね!?』

「そりゃ何度君を抱いてると思ってるの。
それ位もう分かってるよ。はいはい暴れない。」


そう身体を抱き上げ、そのまま風呂場に入る。
床に置いた後、ダリは着ていたシャツを脱ぎ捨て
風呂場のドアをカチャリと締めた


「…あ、香水香水」

そう言って出て行ったダリに
メルは少しほっと息を吐いた

『…ん?待って私今から何されるの?』

「何って風呂入るんだよ」

『え゙あれ本当だったの!?』

「当たり前でしょ。
君そのまま寝れると思う?」


無理ですね。


「…何恥ずかしがってんの」

『いや…あの…全裸はちょっと…強すぎて』

「エロ本覗いた馬鹿が何言うの」

『ちょ!アレはまだ優しかったもん!!
服着てたもん!!!』

「………へぇ?」

『ぴっ!!!』

「まぁエロ本の一つや二つ位今度見せてあげるよ。
その代わり、それと同じ様に犯すけど良いよね。」

『え゙』


君が望んでるんだから僕はそうするよ。
そう言ってため息を吐きながらしゃがんだダリは
メルの頭にデコピンをして、
そのままシャワーヘッドを手に取る


蛇口を捻りきゅっきゅっと
音が鳴ると同時に
ヘッドから水が出る。



「はい目瞑って」

『まっ!?えっん』

「そうそう、洗ってあげるから」


そう先程とは違う優しい手付きに
固めていた身体を少し和らげる


『…匂い大丈夫?』

「………今の所は」

『我慢するなら別にメル出来るよ?』


「いや、やらせて…
流石に風呂入れない
って言うのは僕が嫌なの。」


あっそうなのね。

そう思ったメルは
すっと手を床に降ろし

そのままダリの言いなりに
ただ動かずじっとしていた

シャワーの音が鳴る間
水がこっちに来なくなったのに
不思議に思い目を開ける

するとダリが目を開けたまま
自身の身体に水を浴びせ
そのままシャワーヘッドを
元の場所に置いて蛇口を捻った


「ほら目閉じて」

『ちょ!?ほんとに全部!?!?』

頭自分で洗えるよ!?
そう言ったメルに
良いからと低い声で言うダリ
機嫌が悪そうなので言いなりの方が絶対いい。


後が怖い後が。


そっとメルは頭を出して目を閉じる
シャカシャカと音が鳴り響き
指の爪が心地よい痛みで丁度良い。


「どう?痛くない?」

『寧ろ気持ち良くて落ち着く…』


はわ…と息を吐いたメルに
それは良かったとケラケラダリは笑った


「妹が一人居て良く洗ってあげてたんだよね」

『妹…?』

「あれ?言ってなかったっけ?
僕、5歳位下の妹居るの。」

『初耳ですが???それに
悪魔の苗字は知ってても
家族構成は流石に知らない。』

そうメルはゆるりと悪魔辞典を思い出す。
流石にその辞典でもそこまでは書いてない。


それにダリはケラケラそりゃそうだと笑った。


「小さい頃よく洗いっこしてたからね。
メルはそんなのしたことある?」

『…ない、けど、引っかかるから多分ある。』

「…そっか。」

『でもこんな落ち着いてたりしてないし
同姓だったと思う。』

「そうじゃないと僕、今悪周期になるよ。」

『丁重にお引き取り下さい悪周期さん』


あはは!君も面白い事
言い出すようになったよね!
とダリが笑う。


『でも妹さんいるなら
帰ったり会ったりしないの?』

「帰省ってこと?
まぁ〜毎年は流石にしないかな〜?
前回帰ったの何時だろー…ん〜5年前?」

『あれ!?そんな前!?』

「そういやメルちゃん来てから
一度も帰ってないなぁ〜
あっはっはっは!」

『いや笑いごとちゃう
絶対ちゃう…
怒ってる絶対おこ…』

そうメルは項垂れていると
お湯をぶっかけられ、
そのまままたシャワーヘッドを置いて止めた


『あれ!?何で私ばっかなの!?ダリは!?』

「僕後でするから。
君人間なんだから
身体冷ましちゃったら
風邪ひくでしょ?」

『全裸で小一時間説教させなければいいんですが。』

「アレは君がずっと隠していたのが悪い。」


ごもっともです。


「それに悪魔は大抵のことじゃ風邪ひかないよ。
寒い中放置してたりしてもね。」

『…えっとちなみに参考として
どれ位で風邪を引くんで??』

「んー正直生まれてこの方
風邪と言うものが分かんないかな。

悪周期に身体がだるくなったり
動きづらくなったりとあるけど
基本アレに熱なんてでないし

…知恵熱位は出したことあるけど。」



そう深く考えた後ダリが絞り出すのに
へぇーとメルは目を丸くした

その間にメルはダリに身体を隅々まで
洗われているのだが
欲情したものが静まると中々再起はしない。


その前にダリが言った言葉に集中し過ぎて
敏感な所にも集中が向かないのだが。



『メル風邪引きやすくて雨打たれても次の日熱出たり
ご飯食べれなくて免疫も少なく…て、』

「へーそうなんだ」

『熱が出た時、熱を取るために
おでこに熱さましの用紙を貼り付けるんです。
最初は不安そうに見てくれて、
大丈夫って声かけてくれて』


でも途中から見てくれなくなって。
朝から熱が出てまた次の朝になっても
帰って来ない時なんて増えるばかりで。

この記憶は誰の記憶だ?
これはメルは知っているのに。
この世界じゃないのは目に見えて分かった。


「…そっか。熱でたらしんどい?」


『そりゃしんどいですよ。精神的にも弱りますし。
甘えない子が甘えたりとか内心キャラ変わりますが。』


「へぇ〜そりゃ逆に楽しみだな。」


『あの風邪しんどいので
普通に引かせないで下さいよ?』

「あはは!メルって甘え下手だからさ!!」

『ダリに言われたくないなぁ…』

「じゃあお互い似た者同士だね?」


ー似た者同士で良いじゃない。


『っ!!…??(何?いまの)』


何かが言った。誰かが言った。
でも分からない。誰?貴方は。

黒髪の女性、つんと香る花の香り。
頭に手を伸ばしてくれた時間は

それは現実?

それとも


「…メル?」

『っ!…ごめんなさい』

「ううん。ほら湯船につかりな?」

『ん』

ちゃぽんと身体を浸けるメルに
ダリはそっと視線を外し自分の身体に向けた

『(いる確かにあるはず。なのに思い出せない。)』

まるで臭い物に蓋をするみたいに。
まるでパンドラの箱みたいに。

ソレを開けたら、メルはどうなるの?
メルはメルのままで、居られるの?

あの青い世界に、戻れられるの?


『(…もう還れない世界を願っても仕方がないのに)』


ふと思い出してしまう。
それも仕方がないのかもしれない。


だって知識は記憶は
その場所から伝わってきたのだから。


青い世界の前の世界。
そこが、本当に生きていた世界。


…もし、もしこのまま。



『(貴方を置いて帰ることになった時)』


私はこの場所に残れられるだろうか。
良い子で居られたら、残れるかな。

…悪い子だから。


『(きっと残れない)』


そんな選択肢も残しておくべきだ。
きっと、そうしないと壊れてしまう。

一度壊れてしまえば、二度と触れられなくなる。
ガラスが割れたら元に戻すことは出来ないように。



「青い世界のことでも考えてる?」


そう言ってダリが
ちゃぽんと音を立てて風呂の中に入ってくる
ジャバと音を立ててお湯が溢れ出て流れる


落ち着いた後、メルはコクリと頷いて答えた。


『青い世界何よりも好きだった世界…
その前に生きていた世界を、少し。』

「人間界の記憶か」

『前のメルは、沢山覚えてそうでした。
でもメルは違う…曖昧で
でも寂しい感情だけが此処にある。』


ずっと痛い苦しい辛い。
でもその痛みを快楽と感じるしかない。
あの透明に近い灰色の世界。


あの世界に、確かに生きていた。


『確かに楽しい時間もあった…
でもそっちを望んで生きれる訳がなくて。』

「…いいよ思い出さなくても。」

『…うん。』

「いるよ、ここに。」


ずっと一緒にいてあげる。
君が嫌がっても、ずっと。

そう言ってダリはメルを背後から抱きしめ
頭に頬を寄せ、メルの頭を優しく撫でる

そう此処にメルは生きている。
ずっと一緒に居てくれる悪魔も見つけた。
何もかもが幸せな筈なのだ。

満たされて溢れて嬉しい筈なのだ。


なのに


『(胸は時々空っぽに見える)』


まるでこのお風呂の湯舟みたいに。

落とした物が他の感情を押し
感情は溢れ流され消える

落とした物はそのままぽっかりと
感情を避けて穴を開けていて。


『(…やめよう考えない。
メルはメルなの。)』


笑ってダリと一緒に居れるの。
悪い子だから…悪魔をも魅了して。
その場所にいることを…望んで。


そうまでして息をするの。
いつか悪い子は罰せられるから。

その時まで、生きていれば良い。


『(いつかその時、メルは嘆いたらいいの。)』

それが罪滅ぼしになるのであれば。
この選択肢も怖くないよ。



「…メル」

『ん?』

「愛してるよ」

『…メルも愛してる』

ずっと一緒に居たい。

この温もりに、入り浸って。
ふやけてそのまま溶けてなくなるその時まで。


+++++++++++++++++


「いや〜〜〜意外と入れたね♪」

『流石に温泉は無理だろうけどね…』

「スージー先生達と入りたいの?」

『………まぁ、その笑わないでね?』

そう風呂上がり、
メルはダリに魔術で髪を乾かしてもらい
髪を櫛で梳きながら話す

『メルは普通の悪魔が
過ごしている日常を味わいたい。』


人間界の時の記憶が余りにも寂しくて。
きっとこの空っぽを水で埋め尽くしたいんだ。
嘲笑えるものだろう…こんなどうしようもないもの。


「分かった、とりあえず香水入れたら
大丈夫だって分かったし
スージー先生だったら別に」


『…え?ダリ?』

「うん?」

『笑わない、の?メルの、こと』

「笑わないよ」

『でも』


「君は今まで沢山苦痛を味わってきた。
その分快楽に弱かったりするのは当然だし
普通の悪魔に憧れることだって…当然だ。」


そんな当たり前を笑う程落ちぶれてないよ
そう言ったダリにメルはクスリ笑った

ありがとう。


『でもスーちゃんに悪いからまた今度ね。』

「了解」

『でも本当にしんどくなかった?』

「ん〜若干怪しかったけど
食べて居なくなることを考えて
恐怖が勝ったからね。」

『……もう一度お風呂入る?』


二人で?一人で。
そう言ったメルに良いよと
ダリは言い切った。


恐怖や痛みを苦痛を快楽に変えてまでして
生き残れなかった世界ではない。
この世界ではそんなことはさせない。


「もしこれから、そんな世界に触れることがあるなら。」

『あるなら?』

「僕を召喚してよんでよ」


きっと君の力になるし、きっと君を守る。
もし守れなかったとしても使い魔召喚から戻って
地の果て地獄の底まで追いかけて捕まえてあげるから。


そう言ったダリに
メルはそれは流石にと笑った。


『でもメルだって言うよ?』

「ん?」

『もしダリが困った時危険だった時
メルは相手を許さないしダリが逃げても
何処までも追いかけるよ。』

「僕が逃げることはまずないよ。君だよ君。」

『む!メルだってないもん!!!』

「さぁどうかな?
出来ないに一回分かけるよ。」

『待ってなんの!?なんの!?』

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