「メル先生使い魔ありがとうございました」
『あ!!いえいえ!!』
「それじゃ俺達はこれで」
『ありがとうございました!!』
そう言って消えたイチョウ達に
メルはふうと声をあげた
『流石に翼って長時間飛ぶと疲れるんだなぁ…』
「(いや絶対僕を持ってるのが関係してるよ)」
そう肩をボキボキと鳴らすメルに
ダリは苦笑いする
『“生存確認箱の中”………』
「(あ、これ思考止まったな)」
そうメルの目が点になっているの
ダリは上を向いて見ていた
『ええ?多分いやでも…
箱でしょ?箱を平面にしたら
この感じだといやでも
箱だから絶対立体でしょ。』
「(おお悩むけど…移動してるの合ってるんだよなぁ)」
そうメルは歩きながら
ダリをそっと肩の方に寄せて歩き出すメル
顔が見えなくなるのは少々残念だが、
流石にこのままずっとは聞いていないのを思い出す。
まさか特殊な用紙で召喚されていたとは…
確かに前魔術研究師団で使い魔召喚の話が盛り上がった時
召喚の仕方を変更したら変わるかとか実験の話出てたけどさ…
まさか本当に作り出しているとは、顧問の僕放置で
よくやってたねぇ〜?全く誰よ監督は。
もしかしなくてもカルエゴ先生じゃないよね??
『多分こっちなんだよなぁ…あ』
ココかそう言ってメルはダリを
少し地面に置いてふぅと休憩する
体育すわりで休憩できるのかと思ったが…
ぴょこりと立ってみるとメルが固まった。
『ぎゃあああああ動いたあああああああああ』
「(あれ!?僕翼出して
君助けたんだけど覚えてる!?)」
『…あ!翼出してくれたし
意識あるから一応動くは動くか…?』
あ、思い出してくれた。
『っていうかそもそも使い魔って動くもんね。
ごめんねライ君…ひょっとして自分で動きたい??』
「(あっまぁ…どっちでもいいけど)」
君の負担が馬鹿にならない
気がするからと思ってってか
普通にジッとするのにしんどくて
身体動かしただけだよとは言えず。
『んー君を抱き続けるのも可哀想だし。
まぁ嫌なら言ってよ?
ふわふわでお日様の匂いがして
凄い抱き心地良くて
つい持ってるだけだから。』
「(まぁそれならいいけど…重たくないのか)」
『たのもーーーーー!!!!』
お前は道場破りをしにきたのか。道場破りを。
「お!来た来た。」
『エイト先生と…おん?』
「初めましてか。」
『初めまして!メルです!!!』
「初めまして。ブエル・プルシェンコと申す。」
「(へぇ…珍しいコンビだな)」
「此処は
そう説明してくれるエイトにメルはコクリと頷いた。
「早速だけど…僕とゲームしない?」
+++++++++++++++++
「(いやいや絶対君達後付けてたでしょ)」
そう言わんばかりに
男性陣と女性陣が号令で出て来たのに
ダリは冷や汗をダラダラとかいていた
「はいメル先生、ルールは覚えているかな?」
『あっ!えっ、と…、
AチームとBチームの2チームに別れて…』
「うんうん」
『それぞれのチームから
外野を一人ずつ選びそれ以外は内野。』
そう言ったメルに
じゃあとエイトが声を上げる
「くじ引いて?」
『えっと…これ?』
そうエイトがカサリと手に掴んだ
何枚もの紙をメルに見せる
それにメルは不思議そうに
一つ掴みそっと引っ張ると
赤い印がついていた。
「それじゃあ皆さんくじ引いて下さい〜」
+++++++++++++++++
という訳で。
赤チーム 外野:モモノキ
メル・ツムル・オリアス・ライ君(ダリ)
青チーム 外野:エイト
ロビン・イチョウ・スージー・マルバス
という組み合わせになった
『私の使い魔が一人っていう単位なの凄い…』
「(まぁ一応教師だからね…)」
そこはやらせてくれないのね。
そう思いつつダリはぴょこりと立ち
パタパタと翼を羽ばたかせて浮くのに
メルがずっとキラキラした目で見て来る。
うーん凄い期待の目。
「メル先生が敵かぁ〜!当てるぞ〜!!」
「こっちはオリアス先生いるから勝てるよーだ!!」
「ま、戦闘組じゃないんだよねぇ…」
「家系魔術は使用可能ですので」
『メルの家系魔術知ってる?ライ君』
「(っちょ!その名前で僕を呼ばないでくれる!?)」
ぎょっと固まったダリにメルは首を傾げる
「ん?なになに?なんて?メルちゃん」
『え?いや使い魔のライ君』
「へぇ〜〜〜??
その子ライ君って言うんだ」
『うん!!メルよ、私よりも
ずっと頼もしいちょーつよい使い魔だよ!!!』
あっですよ!!
そう言い直すメルに
うんうんそうかそうかとその場が和む。
なんなら
ほんのり花が飛んでいる所に
青チームが野次を飛ばす
「ほらほら早く速く!!」
「おっと、じゃんけんは大将に」
そうオリアスがメルの背中を押すのにメルは驚く
『えっ!?私!?』
「そりゃそうでしょ♪」
「こっち誰する?」
「一応此処の持ち場僕だし僕するよ」
そう名乗り出たエイトが煙草を付けたまま前に出る
こう対面すると身長が高く首が痛くなる
『うぐぐぐぐ』
「何々?僕のチームに勝とうとしてる?」
良い度胸だね。
そう言ったエイトにメルは言葉を出さない。
じゃんけんをして負けたメルは何も言えないのだ。
「そいじゃ、いくよぉ!」
そう言ってエイトは
ロビンにボールを渡したのに
目を細めてメルの方をみたのに
メルは驚き後方に逃げる
「いっ!!」
『っ!?』
ギリギリで避けたメルに
おおとロビンが声を上げた
『待って゛メルの知ってる
ドッチボールじゃないんだけど!!!!!』
「(こらこらこらこらこら!!!!!)」
「どっ?え?何???」
「メルちゃん所のじゃない?
ほらトランプの時もそうだったし」
あーと青チームが納得するのに
ダリはほっとする
危ないな君本当に。
「ほらほら避けてばっかじゃだめだよ!!」
そう言ってエイトがツムルの方に切り替えて投げる
ボールは火炎を作り避けた筈の
ツムルの肩にスレスレで触れ当たる
「っし!!!」
「っくそおおおお!!!!」
相手チームのボールに当たった場合、外野に移動。
外野からの攻撃も可能。
顔面はアウトで、ワンバウンドはセーフ。
「魔術の使用はボールだけにしてるからセーフだよ」
ズルしてないからね。
そう言ったエイトに
分かっとるわとツムルが声を上げた
『イメージ…の魔術。』
ぱちくりと目を丸くするメルに
そっとダリは近づき首を横に振る
彼女にまだ余り強めの魔術は使わせていない。
ラファイア程度の事は教えたが、
自由自在に使っていた時は
割と精神安定が出来ていたのもあるし。
それに
「(外側だから威力は半減していた可能性が非常に高い)」
それを考慮すると、
思った通りの世界が起こる可能性が出てくる。
まだ生まれて一か月程しか経っていない彼女に
少し残酷なことをさせるのは酷である。
適当に避けてくれて、
そのままロビンとメルだけになってしまった。
ちなみにダリはメルの前に入って
カバーして外野に行った。
「メル先生〜!いくよおお!!」
『(避けてばかりじゃダメだけど…
あのボールマジで死ぬ絶対死ぬ!!!!)』
そう逃げてばかりのメルに
ダリはそっと見守っていた
魔術の使用はボールのみで
相手チームへの直接魔術攻撃は不可。
また、ボール以外(コートなど)に魔術を使用した場合、
相手チームのコートに入った場合はアウト。
『メルの家系魔術
多分使えないし…かと言ってっ!!』
この弓矢みたいなの無理だし!!!
そう焦るメルに声援が上がる
『(…あれ、あのボールでも直線的だな)』
そう変化球みたいなのがない。
一直線に此方に向かってくるので
避けやすいは避けやすい。
…これは、試してみた方がいいか?
『っ!(思い立ったが吉日!!やるか!!!)』
そうメルはぐっと腰を落とし
外野からの攻撃を避ける
「…っ?」
ようは手に綺麗に当たれば取れれば良いのだ。
それはただのボール。
受け止めたら良いだけのもの。
そう、受け止めれば良いのだ
『(受け止められる絶対に)』
どれ程の悲しみを絶望を抱きしめて来たというのだ。
その中に溶け込んで身体が思考が分からなくなる程。
その暗闇に溺れ飲まれて
息が出来なかった時間なんて
途方もない程あったのに。
『…こんな直線的な感情に振り回されるなんて』
ほんと馬鹿だとおもう。
「じゃあこれはどう、かなっ!!!」
「あっの馬鹿!!」
「メルちゃん!!!!」
『(いける絶対取る)』
目を開いてボールに前に出る
近づいた後緑の弓から出て来た
矢のようなボールを手を使って胸に引き寄せる
『(そうだ此方へおいで…そして)』
同じ様に、心臓を射るのだ
あの暗闇に絶望に全てが離れた瞬間を想像する
思え奪え落ちてそのまま溺れてしまえ。
メルはボールを取った後、
すぐに先程ロビンがした弓を作り出し引く
自分と同じ地獄をそのまま矢に吸収させ…
『いっと!!!』
「っ!?」
「嘘でしょ!!!!!」
大きな白い翼を広げ、
白い弓を作り上げたメルは
ボールに力を込めて飛ばし、
ロビンの胸に押し当て尻餅させたのだ
『っはっ、はっ、はっ…』
「勝者!赤チーム!!」
「うおおおおおおすげえええええええ」
待って
『(……待って。今、何…思った?
何した?嘘うそうそうそうそ)』
顔を青ざめて降り立ったメルは
ツムル達が来るのを避けて
ロビンの元に走った
『っ!ロビン先生大丈夫!?
けがは!?意識は!?
何か変なの感じ無かった!?!?』
「えっ、あっいや」
「メルちゃん?」
『ごめん、ごめん
ごめんごめんごめん、
ダメ知らないで…ごめん』
そう震えだしロビンの身体を触ろうとした瞬間
頭を守るメルにロビンは大丈夫と答えた
「確かにちょっと驚いたけど、
問題ないよ!僕の一射百中を返すなんて!」
『…ほん、と?』
そう…あの絶望を知らないのなら。
魔術はイメージ。想像を直接取られるのなら。
とられていないのなら…それならいい。
良かった、イメージしても力になっただけで。
何も傷付いていなさそうで…、嗚呼良かった。
ほっとしたメルは良かったと肩を落とした
あんな感情を相手に向けてはいけないと
強く思って封じることを決めた。
+++++++++++++++++
「…で?本音は?」
「めっっっっっちゃヤバかった。
もうオリアス先生助かりました。」
「どういたしまして」
メルの想像通り、
胸に当たった瞬間
メルの感じていた絶望が
心に直接入り込んで
一瞬思考が停止していたロビン
それに気づいたのかオリアスが
メルに心配をかけないようにと
家系魔術を使っていたおかげで
ロビンはメルに答えられていた。
「どうだった?」
「言葉に表すのは難しいですね…
正直彼女がこんな気持ちを
ずっと抱えて生きていたと思うと
ゾッとします。」
どんな感じ?そう言ったのはマルバス
メルはダリと共にまた旅だった所だった
「こう…強いて言うなら、
皆さんが敵になるんですよ。」
「僕達が?」
「ええ、急に化けの皮が剥がれて、
奈落に落とされるんです。」
でもその落ちた瞬間も、落ちる間も痛みも
「何処か嬉しくてたまらない…
それが何よりも怖かったです。」
「…ツムル先生」
「うん。分かってる。」
「メルちゃんこんなこと
毎日してて帰りたいって
言ったなんて考えられないです。」
「…でも望んでいた、
いや望んだからあんな表情をして
ロビン先生に飛びついた。」
ごめんごめん。ごめんなさい。
味合わせてごめんなさい。
そう真っ青な顔で謝ってきたメルに
ロビンはコクリと思い出しながら頷いた
「あんなの…絶対嫌な筈なのに。
確かに痛みを快楽として思わないと
生きれないと思う位怖かった。」
もう頭がおかしくなりそうな感じで。
そう言ったロビンに
もういいとオリアスは答えた。
「集中し過ぎての攻撃は不味いですね。」
「ええ。強制的な攻撃を
させないように調節は必要かと。」
「後で報告案件だなぁ〜〜」
そうため息を吐きながら呟いたオリアスに
マルバスは苦笑いしたのだった