Novel - Carla | Kerry

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オハラもそう言ってた4

act 19.


『“魅惑の至高が実る場所は?”おん?』

「(やっと飛べる…)」

そうメルが落ち着いて来たのか知らないが
ライ君ちょっと一人で飛んでついてこれる?
と言われてコクリと頷いたのが五分前

今現在メルは普通に問題を解いて歩いていた

「(にしてもあの顔の冷め方ときたら…
恐らくイメージを射貫くほうに変えた。)」

その射貫くはメルの知っている感情を凝縮したもの。
メルは「いつも通り弓を放った」だけなのだ。
だがメルにとっての何時も通りは…今は違っていて。

気付いた時にはロビンの胸にあったソレ。
それに驚き絶望して急いで向かったのだろう。

恐らくメルの考えていた
今までの感情をそのままぶつけた。
それによく耐えたよ新人。
君凄いわやっぱ。
来年度絶対なんかに入れよう。

使い魔担当だけはちょっと可哀想。




「(…にしても、良く切り替われるな。)」




そんな感情に慣れ過ぎた挙句の果てがこれ…だろうな。




無邪気な状態無垢な世界。





それは…


真っ黒に染まったからこそ見える



反転の白い世界。



全てを知るからこそ…
全てを投げ飛ばして
一つの願いに縋った




哀れな人間の魂。




が…悪周期もなくて素の状態と来たら恐ろしい。


攻撃の仕方も、
前に教えたことが活きているのはまぁ良い。
問題は思考。気の持ち方だ。



前は絶対やってやると
反抗的な意欲があってこそ成長したし
攻撃しても大丈夫って
信頼を持ってくれていたからこそだった。



…だが、今は違う。


というか元々こうなのだろう。




それを全て抱えて

彼女は外側は演じて生きていたのだ。




「(すべてはこの核の為に)」




可哀想にもほどがある。


何故そうする。


純粋に染めないで傷付き一体何度殺した。


一体何度絶望した。

一体どれ程の感情を押し殺した。



その殺した力をそのまま弓に入れてしまった。


メルの感情が…はかり知れない。



全くお互いの共感があってこそ、維持出来るものだ。


確かにこれは愛して愛してやらないと可哀想だ。


あ〜あの子みたいに僕もなってると思うと馬鹿だなぁ。



「(…もうそんな感情は捨て去りなよ。メル。)」



君には不釣り合いだ。お似合いではないよ。
殺さなくたって受け止めてあげる。
僕が君の傍にいてあげる。




だからどうか…こっちをみてよ。




「(君は僕に知られたくないから
抱かないで前を歩くんだろう?)」



その背中がとても寂しそうで…

でもきっと今は放置した方が良い。


今は…今は浸らせてやらないと。




二度と帰れない場所に

恋焦がれている彼女が


何よりも綺麗に見えた。





+++++++++++++++++




『で。ここだと…あバラム先生?』

「や、メルちゃん」

何故か生物準備室に辿り着いたメルに
此処であってる?あってる?
とメルは首を傾げる


あってるよーと言って

バラムが部屋に入る様に促すのに
メルはうんと頷いて
入ろうとした瞬間、足を止めた




「ん?どうしたのかな?」

『……………バラム先生』

「ん?」

『メルの中を探らないと
誓って下さい今ここで。』

「………それはどういう意味かな?」

『嫌な予感がした。
生物準備室そこ入ると絶対怖い。』

「………合格。
メルちゃんよく気付いたね。」


そうバラムは指を鳴らすと
今まで見えなかっただけで
姿を現したツルや触手の数々に
メルはゾッと青ざめる


「見知った悪魔が居ても
危険を察知して入らないのは良い事だ。
ダリ先生からよく教えて貰っていてよかったよ。」

「(まぁ身体にこれでもかって言う程
叩き込みましたからね♪)」



そりゃあもう、嫌がる程には。



いやー成果が出ていて良かった良かった♪


「でもクイズは合っているよ。
もう消したから入っていいよ。」


『………はい』


「あはは、大丈夫ごめんね。」


ソファーに座るメルに魔茶を出すバラム
ちょっと休憩だよ。そう言って。

「どう?ダリ先生居なくても、楽しい?」

『……正直、怖いです。』

「(…メル)」

『でも、今はまだ…ライ君が居るので。まだ大丈夫です。』

「そっか」

『悪魔さん達皆優しくて…
でも怖いってのは分かってるんです。
ロビン先生に悪いことしちゃったし。』

「うんうん」

『でもメルも…私もこの場所で生きてみたいって…
ほんの少しだけ、思ってしまったんです。』



ごめんなさい。



「どうして謝るんだい?」

『メルは悪い子なので、望んではいけないの。
許されない世界。一度望めば望んだ者は廃棄処分。』


こうやって胸に一刺し。
そうとんとメルが指を押すのに
バラムは目を少し落とした


「そう…」


『でもダリ先生が駄目って言ったので。
なるべくしないようにしてるんですが…』

「いなくなると外れちゃう?」


こくりと頷くメルに
バラムは無理しなくていいんだよと答える。


「ここは魔界の未来を担う子供たちが集う場所。
でも同時に未来を育てる大人たちも集っているんだ。」


『???』


「メルちゃんは一人じゃないってことだよ。
君は一人だったから
自分の身体に穴を開け続けた。違う?」


『…そ、う、だけど』


「それを見るのはちょっと、ね?」


『うん…だからごめんなさい。』


まだ変われなくて。
ダリ先生に頼ってばかりで。


『メル…私ね?
ダリ先生居なくても、
ちゃんとしたいの。』


「うん、メルちゃんなら出来るよ。」


『ほんと?こんなにも悪い子なのに?』


「良い子だよ。
少なくともダリ先生に沢山愛されて
お返しに守られてばかりではなく
隣で歩きたいと思う子が
悪いとは僕は思えないなぁ。」


「(バラム先生…)」


「それに君にはとても心強い使い魔がいるでしょ?
もし寂しくなったら使い魔に
愚痴聞いて貰えばいいじゃない」


『いやそれは可哀想ですし』


「あっそうなの?」


『だってこんな痛みは自分以外には苦しいから。』


「…でも何時までもそのままだと
何時か君は壊れちゃうよ?」


『…怒らないでね?
ほんとそれなら少し愚痴らせて?』


お、珍しい。

あのメルが僕以外に本音言うとは。


『メルは壊れたいの』


「(…は?)」


メル?何を


『暗闇の中に堕ちた時、嬉しかった。
嗚呼もうこのまま無くなれるんだって。
誰も傷付けず誰も知られず
ただメルだけがメルだけを知って消えて
泡となって存在すらない事にできるいなくなれる。』


「……」


『壊れて無くなって使い物にならないから置いてかれる。
だってそれはメルが悪い子だから。そこが落ち着かないと。
…でも最近そこも落ち着かなくて怖い。』


「怖い?」


『ダリ先生と会って
頭沢山撫でて貰って
皆沢山メルの事見てくれて。

こうやって今も
メルのこと採用するために
試験してくれてるんでしょう?』


「っ!?君!!分かって、」


『何となく。
でも…気付いても手を伸ばす
愚かな存在が嫌になってはいけないのに。』


地獄に浸った感情は、中々消える訳がない。


『光の中が温かくて…
壊れてしまえば、
もうどうしようもなく
諦められるのにって。思ってた。』


「思ってた?」


『暗闇に落ちて、
ライ君が助けてくれた時…
メル凄く嬉しかった。』



だから凄く怖かった。


嗚呼、もう壊れたいと願った
あの自分は絵に描かれてしまったのだと。





『絵の中に入れて額縁に飾ってしまえば最期。
もう二度とその場所には戻れない…
あの青い世界だって本当は絵の中の世界で。
メルはその中に居続けるために
全てを投げ捨てて息をしていただけで。』


「(メル…)」


『変えてくれてありがとうと思う反面凄く怖い。
いつかまた戻ってきた時、
メルは本当に修復不可能なほどに
壊れてしまいそうで。
そして傷つけてしまいそうで。』


「そうしないように、
ダリ先生や僕達だっているんだよ。」


『分かってる…だから怖いの。
傷つけたくない。
皆大事だから。…だから守りたい。』


目を向けて言うメルに
バラムは目を合わせた
全く嘘を言っていない。


メルは正直に話している。


水面が揺れるは揺れるのに、目は真っすぐ過ぎて。
いや…揺れているんじゃない。揺らしているんだ。


メルは揺らして自分を慣らしているのだ。
例えその現実が来ても、誰かを笑わせられるように。
何処にいたって笑って対応出来るように。



…でもそんな無理はしなくていいのだ。
もう、する必要がない。



「うん…守りたいなら
尚更言わないとね?」



『えへへ…
ちょっとすっきりしました。
ありがとうございます。』


「いえいえ、ダリ先生に言えないなら
僕にでも相談しにおいで?」


いつでも居るから。
そう微笑むバラムに
メルはコクリと頷いた。


「それにしても君の使い魔
…静かだね?触っても?」


『ひっ!!だだだだだだ駄目です!!』


「あれ?イチョウ先生に触らせたのに?」


『あれ?何でバラム先生知ってるんですか?』


あっやっば!!!
そう両手で口を押えたバラムに
まぁいいかとメルは落ち着くのに
バラムはほっとした


嫌がる所を突くのをしない所は
メルの良い所である。


『どうせモフモフしたいんでしょ?
駄目ですこのふわふわはメルのです。』


「メルちゃん、敬語敬語」


『はっ!!すいませんつい』


「ふふっ、気を許せる
って言うのは良い事だけどね。
さて。これを渡しておくよ。
ああ後カルエゴ君からのヒントを。」


『???』


「君の大好きな悪魔の名前はなーんだ?」

「(バラム先生!?!?)」


それもう答えでは!?


そうダリは焦るも…
メルの顔が不思議そうで一杯になる




あれ!?待って?!




『ぇええ?…ありがとうございます?』


「あれ…え?嘘でしょ?
ちょっと本人ショック受けるよ???」


「(そうだよなんなら今ショック受けてるよ)」


現在進行形で


『え?なんで???え????』


「え?????待って?
メルちゃん今誰思ってた???」


『えっとースージー先生に
バラム先生にツムル先生に〜』



あーーーーーそういう好きね

はいはいはいはい。

まぁヒントでしょう。良いでしょう。


そうダリは思いつつ、コクリと頷いた。


そいじゃまたねそう言ってバラムは
メルが出て行くのを見て手を振った後
そっと準備室の扉を閉めた。


「っはーーーー、
あの子ほんっっとに
成長と退化が一定過ぎて恐ろしいな。」


「ぐぐっふぶっ」


「カルエゴ君そろそろ落ち着かないと
身体にも後にも悪いからね?」


ダリ先生の反感は買わない方が身のためだよ?


そう冷や汗を垂れ流すバラムに
だってとカルエゴが笑いを堪える。


「…ふ、それにしても、
お前が其処まであいつを見ているとはな。」


「だってとんでもなく要注意人物だもん。
僕でさえもブザー間違って鳴るからね!?」


「あいつが??」


「うん。本当だと思ってたら
ブザー鳴ったり逆もね。

彼女自分で自分に嘘ついて
慣らして本当の事もあえて
嘘って言い聞かせて話すのに
慣れ過ぎてるんだよ。」



本当なのに嘘にして。

そうして何を望むのか。



バラムの家系能力を知らない訳がないメル。


「ほぉ?あのお前があの無害な新人に
要注意と…まぁ分からんではないが。」


「新魔樹って聞いた時は腰抜けたよほんっと」


「魔王と同じだからな。」


「しかも相手がうちの教師統括ときたもんだからね…」


「使い魔だがなっぐぐ」


カルエゴ君…


「まぁ魔樹は一定を望む悪魔と文献では残っている。
変化があっても戻るのも成長した処で
退化するのは分かっていた事だろう?」


「そりゃそうだけどさぁ…
何でもかんでも成長するから
まさか白紙に戻る位まで
スンって戻る訳ないと思うじゃん。」


そう魔茶を入れなおし、
カルエゴに渡すバラムに礼を言うカルエゴ


「魔樹がこのバビルスを選んだのだ。
魔王デルキラ様が使用していたとされる王の教室と
同じく、このバビルスをな。」


「まぁ…此処に新しくでかい木が
生えると思うと、手狭になりそうだけどね。」


「おまえ知らないのか?」


なにが?


「魔樹はいない世界を想うと
樹になり眠り記憶を消すことを」



「……は?」


「知らなかったのか」


「ちょちょっちょちょっと待って!?」


「正確には失恋だな。
恋い慕う思い人が亡くなったり
別れたりすると記憶を消して樹になる。」


戻った時はそれ以外は覚えているが恋心は消えている。
そう言ったカルエゴにそれホント?と聞くバラム


「ああ。上層の貴族しか知らない話だがな。」


「…それダリ先生に要報告じゃ」


「知らん勝手に傷つけさせろ。」


「ちょっと!?」


「(まぁその前に花弁を吐き出すから、すぐに分かるだろう。)」


あの溺愛ぶりをみたら
そうなる前に…すると思うが。

そう思っているカルエゴの想像以上のことが
この先起こるとは誰にもカルエゴにも想像できなかった。

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