「メルちゃんがふたり!?」
そう言った女性、
否少女にメルは首を傾げた後
すっと距離を取った
「メルちゃん!!!」
「エイト先生下がって!!
今あの子殆ど記憶ないですよ!!
核として動き出してる…
参ったな、ちょっとーー先生!
ちゃんと見ててって
言ったじゃないですか!!!」
何かの雑音が入るが、今は…
『…ママ』
ーごめんね。
そう言った声に寂しそうに
笑う姿をするママと呼ばれた女性
それに酷く傷付いたのか、
メルはとても悲しそうに笑ってみせた
ごめんねと言われて口がこう唱えたように見えた。
ーいいよ。
大丈夫だとそう言いたそうに。
+++++++++++++++
「耳かっぽじってよく聞いて。
今メルは核として愛されたかった者に
居るから数分はアレで持つ。」
そう降りた女性、否
小さな助っ人
バビルスの教師服を着て
警戒する前のメルが答える
「愛されたかった???」
「ダリ、良いでしょ」
「ダリ先生?」
「…それだけならいいよ。他はダメ」
了解と言って黒髪の少女は答える
メル、君が悪いんだよ暴走しちゃうから。
「お久しぶり、メルだよ。
前までエイトの事がん追いしてたメルです。
此処は私があの子を閉じ込めていた場所。」
青い世界と呼んでいた世界だよ。
そう言ったメル
少女に全員が目を丸くした
「私が強制的に
君達を入れるの許可したからね。
最初は声が消えて段々
大事な所を黒く塗りつぶされていく。
ダリ先生の場合だと
もうほぼ黒くて皆が言っても
ダリという言葉自体、拒絶してる。
…正直あそこまで殺してると
………覚悟しておいて。
ちょっと再起不能に近いかも。」
それは、もうあの笑顔が取り戻せないこと。
そんな予感はしていた。
とても暗い虚ろの目をそっと見る
ただ光ったのは母親と呼ばれる女性だけ
それ以外は酷く嫌ったような印象。
…戻りたいと言っていた、から。
戻っただけ。
…そう言い聞かせる。
「そんな…」
「取り戻したいなら協力するよ。
嫌ならすぐに返すけど?」
「此処まで来て?帰る?
はっ、笑わせるねメルちゃん」
でも生憎、諦めて此処で
何も持って帰らないとかしないんだよね。
「…ほんと、笑えられたら
どれ程良かったか。」
そう言った少女にダリは笑みを消した
「あの前に居るのはね、
メルの…私のお母さんなの。」
「あの人が!?」
「虐待されててほぼ
帰って来なくて愛されなかった。
あんな姿なんてしないのよ。」
「……は?」
「愛されたくて作り出した幻…
それを分かった上でメルは
あの子は褒めて貰おうとして殺してる。
自分を殺したら笑ってくれたりしたからね。」
「…じゃあ、殺してるのは」
「浮かんだ感情を殺してまでして、
親に縋りついていただけ。
そんなこともうしなくても死んだはずなのよ。
だってアレは前世の記憶なんだから。」
「…前世?」
「メルは私は人間としての
前世の記憶があるの」
は!?あの、人間!?
そう驚くマルバスに
少女はコクリと頷いた
は?と全員が静まる
その間に此方を見て
攻撃仕掛けて来たのに
少女は力を使い前に押し出す
「…あんまり使いたくないけど、時間稼ぎね。」
そう少女が増殖して
メルの元に走り出す
それにニヤリと笑った後
サクサクと消し去っていく
「…キレがどんどん良くなるのは
無駄な感情を殺してるから。
そしたら私達正確にはあの子の核が
一番愛した愛されたかった者が現れる。」
その時、思い出すかどうかをかける。
そう言った少女に君はとバラムがきく
「一体どれ程の感情を殺して?」
「…私はもう少ないわ。
生き始めて短いからね。
まだ数年と少し位かしら?
それも長寿だけどね。」
こんな大事にされたことほぼ無いのよ。
そう笑う少女にそっと顔を落とした
「メルを助け出す方法はただ二つ。
一つは出て来た残像を殺すこと…
もう一つはあの子の心臓を貫く事。」
「っな!?」
「心臓を貫けば勿論全て崩壊するわ…
ママ以外が出てきたら、
もう本当に戻るのに
途方もない時間がかかるし
戻った時あの子はきっと落ち込む。」
「残像を消すだけは?」
「…その者だけの記憶が綺麗に消えるわ。
愛情も記憶も全て泡のように。」
「っ!?それ、って、つま、り…」
それは記憶を消して、
忘れ去られて行くということ。
確かにきついけど…
「生き残れるんだね」
生存するのなら、
救いはまだ希望はある。
「どちらも生き残れるけど…
そうね治りが早かったり
放置するなら前者かしら。」
「いい、殺してくれ」
そう言ったダリに
エイト先生がキレて声を荒げる
「っ!!ダリ先生良いんですか!!!」
「嫌に決まってんだろ!!!!
…ごめん、でも、いいんだ。」
そう荒げた声に
エイト先生が驚き目を丸くして固まった後
すっとすいませんと小さな声で謝ってくれた。
いいんだよ、ごめんねこんなことさせて。
「…これだから魔樹は一人になるのよ。
この快楽に傷がつかないわけないでしょ?」
ごめんねそう笑う少女に
全員が首を横に振るった
こっちこそごめんね
僕の
「ですがどうやって倒すんですか?」
「…きっと貴方達に殺させたら
万が一帰ってきた時
きっと自殺しちゃうから。
私をあの子が殺すよ。」
大丈夫!
これでも私だって
伊達に殺してないから!!
何人殺したと思ってるの!
エイトに隠す時そうやってたんだから!!
そう言って笑う少女にエイトは言う。
「つよがんなよ…
もう、お別れなんだろ」
「…え?」
「…私達は作られし者だから。
核が嫌がるなら殺されるの。」
「そんな…!!!」
「でも殺したらメルは戻るよ。
これが三つ目の手段ね…
私楽しかったよ、エイト。
大好きだった。」
「…っ、ごめん」
守れなくて
「ううん。ダリ先生…
もう二度と一人にさせちゃ駄目ですよ?」
「嗚呼、肝に銘じるよ」
流石に閉じ込める訳にもいかないが
メルが噂ごときに悪周期に落ちるなんて
させない程、しっかり抱きしめてね。
「核はまた私みたいなのを沢山作る。
また出会えたら…
その時は何時も通りに接してね。」
だからそれまでのお別れ
「まぁどうせまた繰り返す
…これは魔樹だからこそ。
というか…
もうあの子が強く望み過ぎただけ。」
それでもねそう嬉しそうに言う
「これでもとっても温かくなってるの。
もっと厳しい場所だったのに
凄く落ち着いてきている。
きっとここに帰るのも
もう奇跡に近い筈だったろうに。」
「…っ!」
「あの黒の冠を落として割ると
暫くは此処に来れない。
でもメルは一番それを嫌う。
間違いなく暴走する。
そうなったら私でも庇いきれないし、
最悪死ぬかもしれない。」
…それでも良いのね?
いいよ。それでも。
例え僕が命を落としたって。
あの子がそれで止まるなら。
僕がスー達を元の場所に戻せるなら。
この命捧げたって良いんだよ。
「…いいよ。」
「……ほんと、
貴方に任せて良かったよ。
ダンダリオン・ダリ」
全ての知識を知る者よ。
そう言った少女に
ダリはどうもと答えた。
「皆瞬き厳禁だからね。
今から行うのは確実な殺し合い。
メルの本気が見れるから…
それを引き出せるように
精々躾けることね。」
そしたらきっとバビルスの強い味方になる。
そう言った少女が徐々にメルの姿に変化する
「さぁ…久しぶりに“骨”が折れる戦いになりそうね!!!」
そう言って、指を鳴らし
作り出したエイトに笑い
ハイタッチして
小さな救世主は走り出した
+++++++++++++++
核視点
「メル!!勝負よ!
…勿論制限時間は無限!
どちらかの心臓を貫くのみ!
攻撃は無限で!!」
『…いいよ、どうせ君も
メルの中に戻るだけ。』
返ってくればいい。
この悲しい時間に。
帰りたいのなら。
にこりと笑うメルに
誰かが痛みを上げる。
ん?何だ今の記憶
ーメル、****
痛い…なんで?
「よし!イフリート!
使い魔出してそのまま攻撃!!」
そう言った少女にメルは舌打ちし
使い魔からの攻撃を避け
そのまま上空に上がり攻撃を入れる
まったく、なんだこの熱いの酷いな。
イフリートってなんだったっけ?
確か炎を使うんだっけ?
あれ、でもそんな記憶あったかな
ジリジリと痛みが侵食していく…これは
殺さないと不味い。
そう思ったメルは距離と取り指を鳴らす
近くに出て来た少女の首を
すると痛みがスッと消えて無くなった
嗚呼…良かった。これで戦える。
前を向いて、炎の使い魔の首を一瞬で飛ばす
着地と同時に炎の花を作り上げ上を向く
エイトと呼ばれた者の腹を
真っ二つにして
そのまま真っすぐ走って転がった
ーだね!この炎!!
『っ!?っぐ、ああああ、あっ、はっ、んぐ、っぐ』
なんだ、なんだこの痛み、何故消えない?
駄目だ消せ、指を鳴らし少女を
3人位跳ね上げてようやく落ち着く。
なんだ、あいつの首
さっさと割かないと不味い。
間違いなくダメだ。
脳が指令を出してくる。
「っ!?効果ある!!メルちゃんいけ!!」
「分かってるって!
一気に畳みかけるよ!!
ーーーーー・ーー!!」
そう言って出した者に、ぴたりと止まる
ーメル
表情が笑っていた仮面が外れた
後ろから声が聞こえる
この声知っている。
『…うるさい』
ーメル、どうしてそっち向いてるの?
『うるさい、うるさい』
ーおいで、メル
『っ!!!ウルサイそこに…どう、して?』
ぽろぽろと涙が溢れて止まらない
身体の力が抜けて
振り返って
そのまま崩れ落ちる
そっと目の前に座ってくれて
涙をそっと拭ってくれる
『ふっ、うっ、やっ、やだ、そん、なの…』
ー泣かないで、メル
どう言うつもりだ
『っ!!どういうつもりだ!!
わかって、わかって、
んのか私…あれ、わた、え?』
ーメル、帰ろう
どこに?
私は何処に帰ればいいの?
貴方の場所?
でも貴方は違う。
ぽろぽろと痛みが零れ落ちていく
黒かった灰色の世界が
貴方だけ色を灯して
その茶色い目の色がメルはね。
メルはね。
『帰れないよ』
ーどうして?ほら待ってるよ
『いけないよ』
ー君の大好きなスパゲッティを作ってあげる
『だめだよ』
ー君の傍に居てあげる
『無理だよ』
ー無理じゃない
『いやだ』
ーいやじゃないでしょ?
『いやいやいやだ!!
だってこの場所に
貴方が出たと言うことはっ!!!!』
だって貴方を、私はこれから
ー処刑だ処刑!!女王の処刑が決定だ!!
「っなんだ!?」
『…ごめんね』
そう言ってメルは身体を突き放す
黒い冠を被った物が横に倒れ
メルはそのまま抑えた
コレが最後
『聞いて皆!其処に居るんだろ!!!』
「っ!!メルちゃ!!!」
『またメルは戻る。
元にこの場所に!だから聞いて。』
これが最後の頼みなの。
『処刑は決定事項
ダリ先生エイト先生
モモちゃんとスーちゃんの耳塞いで
目とかツムとかその声的に
バラム先生もいるでしょ…
はは、ほんとメル愛されてるなぁ。』
君が連れてきたのね。
『貴方達にあえて良かった好きだった。
愛してる大好き。
…だから、メルは嫌だった。』
『最初に大事だと思った者は
処刑しなければいけない。』
痛みで
この場所に居るから痛覚が入る。
先に謝るごめんなさい。
声が聞こえないのに、
何か言っているのかが分かる。
嗚呼末期だなぁ。
『死んだ時の為に先に脳内で殺すの。
大事だから好きだから愛したから。
ずっと見てくれたから
だから作りたくなかった。』
貴方に沢山甘やかしてもらって
沢山見てくれて、凄く嬉しかった
嗚呼、私は幸せなの
幸せだから、楽しいから
ずっとずっと続けばいいと強く願ってしまったから。
この時間を愛してしまったから。
…だから、いけないの。
一つしか叶わないから。
それ以外は
するりとこの身体から抜け落ちる。
それが“約束”。それが契約。
それを…破れば、死以外に待っている者はない。
『幸せだと、願えば
絶望が必ずやってくるの』
そう言ってメルは
黒いモノから手放し両手を広げる
嗚呼、オイデ…メルが受け止めて上げる。
寂しいよね辛いよね苦しいよね。
全部全部、メルは知ってるから。
だから…繰り返すの。
すんと感情が消えて離れていく
いやなのに、落ち着いていく。
嗚呼…やろう。
「っ!メル!!」
「っぐなんだ、これ」
「メルの…処刑が、だめ、ダメっだ!!
こっちを殺せ!!!馬鹿それを」
殺すなそう少女が叫ぶ
ダリを使い
メルの手を取るも消えて無くなる
メルは少女に顔も見ずに
槍を一突き空から落としていたのだ
それにエイトが顔を青ざめて
力いっぱい蹴り上げて寄る
「ーーーっ!!メルっ!!!!」
ごめんね。
そんな声が来る。
なんでだろう、ない筈なのに。
目の前の子が、綺麗に見て来る。
綺麗…こんな完成された姿は、初めて見る。
ーいいよ、殺しても。
『…ごめん』
ーいいよ、泣いても。
『…っ、ごめ、ん』
ーいいよ、もう、大丈夫だよ。
だから殺して。
そう言った彼の声にメルの目は暗く光る
「っいやあああああ」
「やめろおお!!!」
ねぇ、さくりと貫くの
貴方の処刑は私の処刑
目の前に茶色い目をした貴方が
メルを、見て驚いている
キィンと、酷い耳鳴りがする
嗚呼…胸が、痛いな
ぱたりと倒れたメルにダリが走る
「メル、ちゃ、ん…??うそ、でしょ?
待って、ねぇ待ってよ!!ねぇ!!
メル!!メルっ!!!」
「っ馬鹿!自分の
「なっ!?」
「止血!!」
「今やってる!!!」
「メル!聞こえる!?
メル!!メル!!!」
『っ、い、たい、な、…へへ』
「〜〜〜っ!!馬鹿っ
この馬鹿馬鹿馬鹿っ!!!」
『いい、じゃ、ん、メル、
たく、さん、いき、たかぐほっごほ』
「馬鹿喋るなお前本当に!!!」
『メル、はは、ころ、せなか、
た、から…こ、するし、かなく、て』
ごめんね。沢山泣かせて傷つけて。
でも…これ、大成功なんだよ。
キラキラとしている茶色の彼が
少し微笑んで頬に摺り寄せてきてくれた
そう、そのまま。
さくりとメルの胸に力を入れる
それにどんと力を入れて突き飛ばす
「…何してんだお前」
「っ!ダリ先生!!」
「止めて!ソレ殺したら
今ダリ先生心臓繋がってるの!!!」
「は!?」
「…どういうこと、メルちゃん。」
「…っ、余りにも完璧だと、
ダリ先生本体に繋がってる可能性が高い。
再現度が異常なの。
痛みも全部、ソレを殺さないと言うことは。」
本体を死を意味する。
そう言ったのにダリが目を丸くして止まる
「…メル、ちゃん?今なんて」
「っ!!私が核になろうってこと!?
ふざけんじゃないよ!!!
君が核なんだよ!!何交代してんの!!
馬鹿馬鹿馬鹿!んなの願い下げ」
『あ、な、た、なら、っ、だい、じょ、ぶ』
「…しないよ。絶対に殺させない。」
魔樹の呪いで殺させるか。
そう言った少女はふわりと髪を浮遊させ
メルの前にそっと腰を降ろし
心臓に手を当てる
ーかえろう、かえろう
「帰らせないよ、この子はね。魔界に帰るの。
バビルスの教師で、とってもえらい悪魔の元に。」
ーさせない、させない!!ころそう!!!
「っ!させないよ!!!」
そうバラムがメルを包み込み
周りの黒い靄を消し去る
「家系魔術使います!!」
「ダリ先生!!!」
「…傷をつけたのにっ、ぐ、僕が、っ」
「っ!!!ダリ先生!!!!」
そうダリが倒れたのに
イポスとツムルが立ち上がりダリの元に寄る
光っていた彼はふわりと消えて居なくなる
「回復は!!」
「してる!でも!!!」
「…メル、君は君だよ。戻ろう。」
ーかえらせない!!!
「メルちゃん!!
コレ倒せばいいんだよね!!」
あるよね!希望!!
そう言ったバラムに答える
「はっ、オリアス先生が
良い仕事してたら
確実に帰れますよ。」
可能性超絶低いですがね!
そう言った少女にやれと声を上げる
「言われなくてもっ!!…メル」
君は良い子なの。
本当は優しくて、誰よりも悪魔想いで。
君はとてもいい子だから。
不安を全て逃がすのは、全て受け止めるのは。
周りの悪魔に心配をかけない為。
辛い思いをしない為。
「大丈夫…君はとっても、完璧に練習した。」
だから、その心臓は…
ーぎゃああああああああああああああ
「っ!?なんだ!?」
『っ!魔の樹よ…!我が、魂に、誓え!!!』
「っううええええ!?メルちゃ!?あれ心臓!!」
『我が魂我が心臓捧げ
生まれから死まで全ての感情を捧げよう。』
「共に」
そっと手を取った少女に
メルは笑い微笑んだ
『呪いなんて跳ねのけてやる』
「ど〜かん」
『「我が力我が魂により契約せよ」』
そう言った二人の手に白い光が輝き始める。
さぁ喰らえ、その為に…
今まで何十年も作り出したのだ。
沢山食べて…そうして
ー!!!!!!!!!!
大きくなって破裂しかねない位に膨れ上がる影
それにメルはニヤリと笑う
『爆発しちゃえばいいよ』
そう言ってパンと音が鳴った