『(…まだ醒めないの)』
そう身体を丸める。
メルはシーツの中、目を覚ました
別に強く思えば籠の中なんて作れるし
青い世界なんて草原の場所になんていけるのだ。
…でも、でも幾ら綺麗に完璧に作ったって
貴方は其処に、生きていなくて
だから目を覚ました時は作るのは止めようとしている。
何かあれば相談してってダリせんせーに言われたけど。
『(貴方へのこの愛を誰かになんて言いたくないの)』
貴方こそが、私であり…
私は現実から永遠に追放された罪人なのに。
「…メル?」
『(あ)』
シーツを剥がされ、
ポロリと涙が落ちるのを見られた。
止めて。今、会えそうだったの。
「おはよ」
『(っ…おはよう)』
醒めてもまだ、貴方は会えない。
+++++++++++++++++
「どうですか?」
「…駄目、泣いてた。」
今、マルバス先生と話してる。
そう言ったダリにツムルは項垂れた
「そうですか…」
「まぁ昨日よりかは断然良いかな。
泣きじゃくらない分は…ね。」
「昨日悲鳴をあげましたしね」
悲鳴?そう言ったダリに
あれとツムルが言う
「メルちゃん防御してたんですよ。
こっちが現実なのに夢だって」
「…嗚呼、アレか。」
「還してやりたいのは山々ですがね…」
「覚醒した者が戻ることはないし…」
魔樹も消えてしまったからな。
そう言ったダリにツムルはコクリと頷いた。
それは確実に戻ることは許されない。
「遊んでたら多少は気が紛れるっぽいから
まぁ暇なら付き合って欲しいな。」
「あはは、勿論言われなくても」
+++++++++++++++++
ご飯を食べる。
『(味、しない)』
君と食べた、味が良い。
そう落ち込むメルに
美味しくない?
とツムルが顔を覗き込んだ。
メルは首を横に振る。
多分美味しい筈だ。
…でも
『(寂しい気持ちが燃え上がる)』
会いたい。
貴方に。
そう思っているとコンコンとノック音が入った。
「バラム先生!に、イルマ君!?」
「どうも。ちょっと良いですか?」
+++++++++++++++++
「わ゛ーーー!!メルメルお目目真っ赤ぁ」
『はわわ』
よーしよしよし
そう寮に押し掛けて来たのは
アブノーマルクラスの者達。
イルマから事情を聞いた者が
朝一でメルの為に集まったらしい。
「メルメルに会わせたくて」
「きっと私達が歌えば戻るかと思いまして。」
「気持ちはありがたいんだけど…」
『いいよ。しなくて良いの。』
そう言ったメルに声が上がる
「でもメル先生辛そうだよ!?」
『…居る。確かに…君は此処に』
そう指を鳴らす
メルは翼を広げ、
金色の目を光り輝かせる。
青い世界に大きな樹木が木陰を作る
その下に、メルは鳥籠の中に入って言う
『メルは此処が居場所。この場所が現実』
でも
『メルはずっと待っていても
貴方は帰ってこない…違う』
前から君は、その場所になんて居なかった。
そう言ったメルの胸は
チリッと音を立てた後、炎が燃え出す。
『ここにいる。ここにある。
ソレは分かってるの。』
心配かけてごめんね。
そうメルはクララに抱き着き
よしよしと背中をさする。
『(君はこんなにも愛されて…
嗚呼それは私で、私ではなくて。)』
どうせなら…そうどうせなら。
安心させてあげたいから。
『“君はずっと居てくれる”』
そうクララから離れてメルは手を伸ばし掴む
するとふわりと目を閉じた
メルそっくりの人物が浮かび上がり
全員が目を丸めて固まる
『“私は貴方で貴方は私”』
此処に居る。だから居る。
『“煌めく炎はずっと
だから大丈夫。
ふわりと目を開ける女性に
メルは目に涙が浮かぶ。
嗚呼!!!
ーメル。
『っっ!!!うん!!!メルだよ!!!』
会えた!会えた会えた会えた!!!
『あのね!あのねあのね!!
沢山お話したい事が出来たの!!』
そうメルは手を取って
くるくると回って言う
『貴方が出会った悪魔達とお話したの!
トランプもしてご飯も食べたの!!』
青い空に白い世界に。ただ貴方が。
この廊下で居るのが不思議で仕方がない。
『…だからね?あのね?』
ー還れないよ
『…ねぇ。どうして?』
ーこれは約束これは決まり
『私は、貴方に成れないのに?』
ー私は望んだから。貴方も望んだから。
『…望んだ。憶えてるよ。知ってる。』
それでも私は否定をする。
そう言ったメルに
コクリと困った顔で頷く
『っ!!…ごめんね。ごめん、ごめんなさい』
抱き寄せて謝る。
ずっと任せていてごめんね。
沢山逃げちゃって怖かったよね。
振り返らずに前を向いてくれてありがとう。
『ここは…現実なのね?』
ーうん。そうだよ。ほらおいで!
そう手を取る女性にメルは
目を丸めて引っ張られる。
ーこれはめっちゃ意地悪なダリ先生!!
で意地悪その二のエイト先生!!
『ぶっ』
「…なんか凄い悪口言われている気がする」
同じくとエイトはこくり頷いた。
ー皆みんな…貴方ともお友達になって欲しいんだよ。
『…傷付けちゃう。だから閉じこもった。
封じた。君は知ってるでしょ?
メルが居ると皆死んでく。
目も身体も心も全て。
置いてかれるから閉じ込めた。』
「っ!?」
「…メル先生」
『でもメルは望んだ。
どうか君が幸せに生きれますようにって。
だからメルはあの場所に居なければいけない。
鳥籠の中にずっと息をしなければいけない。』
「…だから還りたいって」
『メル、ねぇメルどうして?
…貴方はどうして私の幸せを作るの?
これは契約違反だよ。』
ーちがうよ。あっている。
『…望んでない、こんな結末なんて。』
ー私は望んだ。
『煩い。』
「ちょ待ってメル先生
さっきから誰と喋っ」
「シーーーっ」
そうリードの声にオリアスはそっと
リードの口を塞いで前を見る。
『君がこの場所に残るべきだ。
君が作り出した。
なら、君の記憶君の全てが残るべき。』
ーだめ
『ダメやだ嫌い。』
ー我儘言わないの。
『メルは…メルは君に全てを渡した。
足先から頭の毛先まで
最初から最後まで全てを捧げて祈った。』
どうか君が幸せに生きれますように。
『メルはその願いが叶うなら
感情さえも明け渡した。
だから鳥籠の中で居た。
それなのに貴方は破った。
私を出して、あまつさえ
ダリ先生達に見せている。』
『ならば罰は受けないといけない』
ーだめよ
『ならどうしてこの場所を選んだの?
どうしてあの時手を取ったの?メルは…
メルは…透明のままでもよかったよ。
貴方と居られる手段がそれしかないのなら。』
そうすることを望んだから全てを捧げているのに。
どうして私を独りぼっちにするの?
ー独りじゃないよ
『違う独りだよ。
私達が独りぼっちで二人ぼっちなの。
終焉の先を君と願ったから
私は堕ちてそのまま息をした。』
ーみんながいるよ
『だから…私は望んでいないって!!っ。』
ー大丈夫
『…っ、やだって、やめてよ…ねぇっ!!』
ーだいじょうぶだよ
『なら…傍にいてよ。コレを夢にしてよ。』
目覚めさせてよ。
翼を使って飛んでも良いと。
『どうして居なくならないか知ってる?
君が悲しむから。
この場所からいなくなると君はずっと泣く。
そして君は罪としてその鳥籠の中に入ってしまう。』
そうして繰り返す。
『それはダメ。
その場所はその痛みや絶望は
メルが請け負うの。
その苦しみを安堵と変え
絶望を快楽と変え
地獄を天国と変えるは。』
にこりと微笑む
『駄目だよ。許さない。
それだけは許さないよ。
殺して殺して叫び悶え苦しむのは
メルの役目。
君は皆と一緒に笑って居る世界に存在するの。』
だから還して。
『メルは痛みの中でないと嫌なの。』
だってそうしないと
『愛した貴方を忘れてしまいそうで』
『だから殺し続ける。
言いたい事伝えたい事全て君が生きれる場所を。
過去も未来も全て要らない。必要がない。
貴方が要られたらそれで良い。』
だからこの気持ちは
…目覚めてはいけない!!!
『…なのに、貴方は望むの?』
核は生きるべきだと。
『………そう。なら“約束”して。』
『私を今すぐ奪って』
そう言ったにメル女性は…
バビルスの制服を着たメルは
ワンピースのメルを掴み
空に飛びあがった
「っ!?」
「…ほんと、貴方は悪い子」
『へへ!だってメルはメルだから。』
「ほんとそうね…ダリ先生達元気そうじゃない?」
『うん。元気だよ。』
「全く…過保護に育て過ぎちゃったのは謝りますよ」
お久しぶり、ですかね。
ダリ先生、エイト先生。
そう追いかけて来た二人に答える。
「ほっっっんと何処
ほっつきあるいてんだ馬鹿」
「あはは、元々こういうのでして」
「その子すっっごい
過保護に育て過ぎじゃない?」
「言い訳は聞きますよ。
だって可愛いくないです?」
無垢でただただ何も知らない子。
白い翼に何も知らない子。
「ソレを染めるなんて…
極上以外のなにものでもない。」
「凄いヒステリックになって
睡眠妨害なんだよね」
「まぁすぐに消えちゃったしなぁ。
だって魔力不安定過ぎて
出てこれなかったもん。」
「いや出てきてよ夢でもいいから。」
「出て来たじゃないですか。
まぁこの子の幻想ですが。」
「はっ!?」
『メルが呼んだの?』
「そうだよ〜ったく、
甘えるなら甘えないと。
暴走しても此処じゃ迷惑になるからね?」
『ゔっでででも!
メル良い子にしたら会えるって』
「駄目。ただでさえ寂しいとかの
感情に直結するんだから
適度に息抜きしなさい。」
『ゔ……はぁい』
「…おお」
「作った幻想に負けてる…」
「まぁ甘やかしすぎたのは反省ですが。
…そうしないと生きれない世界にいたので。」
『メルが悪いんだよ。君を作ったから。』
「いやまぁ…うん。悪い子だから、此処に居る。」
それでどう?
首を傾げる姿にメルはコクリと頷いた。
「よし!なら使い方分かるでしょ?
さっきみたいにするの。」
『うん!!』
「ん〜可愛いからこのまま
もう少し閉じ込めて
おきたかったんだけどなぁ。」
契約だし。駄目だよね。
そう言ったメルに
ちょっとちょっととダリが言う。
「何時まで出れてるのそれ」
「…あと一時間?」
いけるでしょ。
そう言ったメルにコクコクと
ワンピース姿のメルは頷いた。
「説明します。場所を変えましょう。」
+++++++++++++++++
「え゙〜〜〜っと要約すると
ワンピース姿のメル先生が本体で
今まで見てたメル先生が擬態してたってこと?」
「そういうこと〜☆
やほやほ〜みーんな元気しっってる???
…大変この度はご迷惑を
おかけしましてすいませんでした。」
「陥落が激しい陥落が」
そうツッコむオリアスに
制服姿のメルは苦笑いする。
「此処では面倒なんで過去の私を安名。
本体をメルとお呼び下さい。」
「了解」
「ねぇメル先生これからどうなるの?」
「ん〜どうって…隠しに隠して
育てに育て過ぎちゃってねぇ?」
『ほぇ?』
そうこてんとクララの隣で首を傾げるメル。
はぁ可愛いと安名は頭を抱えた
「話を戻すわ。
事の発端は
とある願いが叶ったことから。」
「願い?」
「ん゙〜何て言えばいいかな」
『…親が愛してくれなかったから。
メルはメルを愛することにした。』
それで合ってるよ。
そう言ったメルに
安名はそうだけどと
恥ずかしそうに言う。
「君やっっっぱり
恥ずかしいこと素直に言うよねぇ
…まぁ恥ずかしいの文字
消して育てたからそうだけども。」
「なんつーことしてんだよ」
『メルは願ったの。
メルは悪い子だから
良い子と悪い子にわけて。
悪い子は全ての感情の痛みを
良い子は外で暮らすの。』
「あー外側と内側で分けたんですね」
成る程とメモの速度が異常に早いツムルに
イチョウは冷や汗を流しつつ、二人に聞く。
「ですが仮にそうだとして何故
外に、それも俺達に見えるんですか?」
『メルは核。核はイメージ。
全てを作り破壊出来るの。』
「えー要約すると、
中心核が想像することで
魔力を操作し幻想を生み出してるんです。
まぁ私は所詮メルの本音というか
うわべっつらというか…」
『それを言うなら守りじゃない?
メルのこと守ってくれてたよ?』
あー整理しようか。
そうダリが手を上げる。
「まず、メルちゃ…安名ちゃん。」
「はいな」
「その子のサポートは出来る?」
「不可能に近いですね。」
「おい」
「だって私メルが望まないと出ないし。
そもそもこうして出れたのも奇跡だし。」
多分次ないですよ。
そう言ったメルにあのと
イルマが手を上げる。
「メル先生はその還りたいって
言ってたんですが、
一体何処にですか?」
『メルの中だよ。』
「????」
「はい説明するする…
えっとね、皆さ想像するでしょ?
アレしたいっコレしたい!
思い描いていく中でも
確実にこうしたいって欲みたいなものが。」
「欲…」
「そ。その欲が意志を持った感じ。
まぁ歩く爆発物と思ってくれたら。」
「それは非常に危ないのでは?」
「だから魔樹として
樹木に変えて生きたりするのよ。
そもそもこうやって
大きな輪の中に入って暮らすのは
初に近いと思うし。」
核を育て過ぎて
こんな純白っ子作っちゃったし。
そうチラリ横を見る安名。
メルは嬉しそうに
クララに頬を摺り寄せていた。
「まぁ素直は素直だから大丈夫。
知識はあるし。
後々私みたいになってくるよ。」
どうせ私も作られたものでも
核が作ったからね。
可能性だってある。
そう言った安名に
じゃあ時間が解決する?
と言った者にコクリと頷いた。
「とーりーあーえーずっ!
…メル〜〜〜〜」
『ひっ!!』
そう顔を青ざめて距離を取るメル
今まで見た事もない動きに一同固まる。
「貴方流石に我儘し過ぎ
…我慢を覚えなさい我慢を」
『だだだだだだだって!!』
「駄目…確かに痛みに慣れ過ぎてるから
息抜きはしろと言うけど。
其処にはもう還れないよ。」
『…違うよ還れる。』
そう言って光を灯し、
世界を作り替える。
駄目と安名が言う。
「此処は魔力を多く使用する。
その影響で今不安定になってるみたいなものだし。」
「そうなの!?」
「うん。大丈夫だから。
私を願ったらいつでも相手するから。」
だから暴れないの。分かった?
そう言った安名にそっとコクコク頷くメル。
それに息を吐く。
「ったく。じゃないとお仕置きするよ?」
『ひっ!!!!』
「…安名さん安名さん。
ソレ聞いておいても?」
「いいですよダリ先生。共有しましょ。」
『だーーめだめだめだめだめだめ!!!!!』
「はいはい。ダメですよ〜」
「暴れない暴れない」
そうメルの腕を
マルバスとオリアスが取り押さえ
エイトとダリが安名の方に寄り説明をする。
異様な光景が目の前を映し出す。
「っは〜〜なるほど、その手があったか。」
「うん。弱いから。」
「了解何かあればそれで行くよ。」
「お願い…おっとそろそろ時間かな。」
うう。そう力を抜いてしょげるメルに
いいよいいよと安名は笑う。
「また明日お話しよ〜♪」
『わかった』
それじゃよろしくそう言われて。
ダリ達の前から姿を消すと同時に
メルも意識を失うのだった。