「でも帰って良かったのに」
『そりゃこっちのセリフですよ』
そう言ってラフの恰好のダリとメル
二日目は特に着るもの着飾るものも
持って来てなかった
強いて言うなら赤と白のボーダーを上に着て
中に白の襟付きシャツを着ているメル。
下は紺色の膝上スカートで白いフリルが付いており
短いというので黒のタイツを履いていた
ダリは白のシャツに上には
赤のカーディガンを着こなし
黒のズボンと割とシンプルでお洒落に見える。
うーん。だめだ。好きです。
「何か買ったりするものあるの?」
『というか、数か月閉じこもっていたので
私の感覚的には久しぶりと言う概念がですね。』
「あ〜〜〜…その節は大変ご迷惑を。」
『いえいえ私も幼稚で安直な判断でしたし
流石にもう軽い嫉妬を覚えて
逃げたりしませんよ。』
「…それって」
『あーーはいはい行きましょうねーーー
はーーーい。回りますよーーーー』
そう無理矢理ダリを背中から押して動かす
って言っても、お土産で買って帰るとしても
大体の悪魔が限られているし。
生徒に渡してもなぁと
ふむと考えていると
ダリがそうだと指を鳴らした
「ね?折角だから、ぶらぶらしながら歩かない?」
『へ?あ、別に構いませんが…』
「ほらほら〜」
『あっちょ!!』
そう手を引いて歩き出したダリに
メルは目を丸くしたが
すぐに彼の歩幅に足のスピードを合わせた
「にしてもメルちゃんどう?
こんな場所」
『んー割と好きですよ。
地味に賑わう感じが。』
「人が多い所は苦手?」
『そうですね置いてかれるイメージが強いので。』
「じゃあ今度一緒に多い所出掛けようか」
『あの〜?お兄さん?私のお話聞いてました?』
「うん♪その苦手を拭い去りにね」
そうニヤリと笑うダリに
メルは今度ですよと答える
なんだか握られた手が
強くなった気がする。
気のせいだろう。うん。
『ダリさんは?』
「ん?僕はまぁ〜
静かなのも割と好きだよ。」
『へぇー意外』
「んん?僕のイメージどうなってんの」
『え?ちゃらんぽらんで
面白い者大好き悪魔?』
「…言い出しっぺは?」
『思っている通りで』
「しばいても?」
『駄目ですね』
だめかぁ〜〜〜そう笑うダリに
メルは笑いながら
女の子ですしと答えた
「そういや赤とか白
よく見るけど好きなの?」
『ああ、顔が濃いから
明暗はっきりする物が良いって』
「…あ〜」
『ダリ先生は?』
「僕?好きな色って??」
ええとコクリメルは頷く
そう言えばダリの好きな色は
聞いたことが無かった。
「ん〜確かに言われて見れば
色に固執しないからなぁ。僕」
『奇抜なのは好まない感じはしてますが』
「分かってるじゃん」
『私の想像なので
合ってるかどうかは不明でしたし』
「今僕が正解って言ったから合ってるよ」
『で?』
「…強いて言うなら黄色かな?」
は?黄色???おん????
『…はっ!まさかスーちゃんのこと!』
「やいやいやいや
ないって僕言ったよね???」
『でも…』
「ん〜遠回しじゃ分からないかぁ〜」
僕こういうの
本当に柄にもないんだよなぁ
とケラケラ笑った後
そっとメルの腕を
後ろに引っ張りながら
ダリの方に寄せて言う
「君の瞳の色だよ」
『〜〜〜〜〜〜!!!!!』
「分かってくれた♪?」
そう言ったダリに
メルはブンブンと顔を立てに振った
そんなことを言われたら嫌でも分かるわ。
『ダリさんダリさん』
「うん?」
『あれ』
そう指を指したのは
まだ行っていない方の通路
それに行きたいの?
と聞いたダリにメルはコクリと頷いた
その奥に、ふと目が止まり立ち止まる
「ん?」
『…入る』
おっけ、そう言って中に入る。
古い本の匂いがする。
こんな山奥に近い所で、何故こんなものが?
「おや、魔樹様とは珍しい客人だ。」
『っ!?』
「…っ」
「ほっほっ、大丈夫じゃ
取って喰いはせんよ」
そう笑う老人に
ダリはすっとメルを身体に寄せ守るのに
メルもまたダリの服にそっとしがみつく
「失礼ですが、貴方は?」
「しがない老人ですじゃ、
此処に古くからおっての。
そうかそうか…もう新しい魔樹様が
生まれたと聞いてはおったが
君がその魔樹様か。
初めまして。ワシはロア。」
『あっどうもご丁寧に初めましてメルです。』
「ちょ!こら」
『はっ!あっ!ちょ!!ごめんつい!!』
そう流れるように
おじぎをしたメルにダリが指摘する。
知らない人に余り名乗るなと言われているのだ。
それにふぉっふぉっと
嬉しそうに笑うお爺さん。
うん、なんだか花飛んでない???
「可愛らしい子じゃのぉ〜まだ生まれて
…10も経っておりそうにないの。」
『っ!?』
「…メル出るよ…っ!?」
そう振り返るが来た道が無く、
壁になって閉じ込められている事を知る
それにダリがメルを抱きしめる力が強まる。
「安心せい、ワシはお前さんらを
食わんと言っとるじゃろう。
あと此処に入れる奴は
そうおらんから話しても構わん。」
のぉ?ダンダリオンの子よ
そう言ったロアに
ダリの目付が鋭くなる
『ダリ…?』
「ふぉっふぉっ!
威勢が良くて可愛らしいのぉ〜!!」
「此処から出していただけますかね?」
「まぁ話を聞かんか」
だそうだが。
『どうする?私は別に良いけど』
「いやでも」
『それに…ねぇロアさん、
私貴方と何処かで会ったこと…あるよね?』
貴方、凄く懐かしい感じがする。
それにニコリと老人の目が開かれ、
緑色の目にメルは目を丸くし
そのまま意識を失った
「っ!?メルちゃん!?
ちょ!メル!!!」
「聞くには堪えるからのぉ、
安心せい眠らせただけじゃ」
「っ!!ご老人と言えども攻撃するなら」
「魔樹の呪いを落ち着かせた者が現れるとは
…本当に恐ろしい者が出たのぉ。」
「…は?」
この老人、本当に何処まで知っている?
そう青ざめるダリにニコリと
緑色の目が光っている
「その子から魔樹として
切り離したいのじゃろう?」
「っ!?知っているんですか!!」
「一応は…の、だがそれは
彼女が望まない結末を送ることになる。」
「…っ、それって」
「気付いておる通り、魔樹は
“人間を依り代”として魔力を維持する者達じゃ。
数が大きくなるごとにその力は増し
今はちきれんばかりに膨れ上がっておる。」
このままじゃと、長くは生きれん。
そう言った老人にダリは固まる
「……は」
「まぁ想像力が豊かな子で良かったのぉ。
ギリギリの所を走り回って何とか生きているが。
それも長く持つか分からん。」
「っ!何か方法があるんですか!!」
「魔樹はある者が一つ
願いを唱えたことから始まったというか
魔樹になる者は全員が願っている
一つの共通点がある。」
「…それは」
「悪魔に好意を持つこと」
ー私ね!悪魔さん好きだよ!!
そう嬉しそうに笑ったメル
それは、つまり
「悪魔に不快感を抱けば、
必然的に逃れることは可能じゃ。
だがそれをすれば今までの力は
魔力と分断され…最悪死ぬじゃろうな。」
「…普通の、人間に戻すには
方法はないんですか。」
「……無くはない、が。
その子は望まん。」
間違いなくな。
そう言った老人に何故と聞いた
「貴方は何処まで知っているんですか?
何故、其処まで」
「昔、似たような子をワシも持ったことがある。
その子に、酷く似ておっての
…ただただ純粋で真っ白な子。
願いに忠実に、欲の無く真っ白な身体。」
「…貴方は」
「その子はこの呪いから
解き放たれたくてワシを頼り
ありとあらゆる力を使って引き剥がした…
が、長くはもたなかった。」
勿論成功した。
そう言った老人に、
憂いの目が光る。
「引き剥がした途端、
記憶を失い始め
たった一週間で死んでしもうた。」
それどころか、
魔樹はまた新しい者を捕らえて魔界を作っている。
そう言った老人に、寿命はと聞く
「…その願いと樹にもよる」
「…センダンという名前はご存じですか?」
「っ!!!…そ、うか…
センダンの木を…そうか。」
そう言ったダリの言葉に目を開いた老人
それにダリはメルを抱きしめる力が強まる
「そうか…本当に、
素直な子で…狙われたんじゃな」
「…?」
「魔樹として成長すれば、
長くても千年は生きれるが
その肉体が魔力に
耐えられるかどうかによる。」
その小さな身体で、素直で真っ白な子が
果たして代々受け継いできた途方もない魔力を
ずっと維持出来るかと言われると…
「持っても…数年が限度じゃろうな。」
「何か、方法は」
「青い彼岸花を咲かせ満月の夜、
満ち足りし聖水零れ落ちる時
彼の者に与えられし
大いなる力を引き継がん。」
「…それは」
「引き剥がそうとしたワシが
使わなかったもう一つの方法じゃ。
だがこれをするには幾つか方法がある。
ソレを持って行くがいい。」
そう顎で指示した方向を見ると
一枚の古い紙切れが手元に入る。
「それが出来るのであれば
寿命もまた長くいられるかもしれん。」
正直それが出来ると言う話は本当か分からんが。
それでもかまわんならそう言った老人に
ダリは翼を広げて感謝の印を現わした
「…ありがとうございます」
「ふおっふぉっ!良い良い…
魔樹の呪いは、ずっと続くが…
それを断ち切ることが出来る方法じゃ。」
「それなら」
「嗚呼…もう苦しむことはない
…勿論、出会うことすらも。」
「…っ」
「最初の願いが消えるだけとは
聞いておるが、きっと悲しむ。」
それでもソレを望むのなら、何も言わん。
どうせまた魔樹は新しく
呼ばれてしまうのじゃから。
そう言った老人にダリは声を上げる
「例えこの身が滅びようとも
彼女を守ると誓ったんです」
だから、絶対にやります。
そう言った目に老人の緑の目もまた鋭くなる
『ん゙っ…』
「っ!メル!!!」
『ここ…あれ?ダリ……?』
「メルちゃんや。」
そう聞かれて
ダリの腕の中から身体を起こすメルは
老人の方を向いた。
「魔界は、悪魔はどうじゃ?」
『…最初はとても怖くて
逃げたかったし嫌だったけど
…今は、とっても大好きで
守りたいと思います。』
「…っ」
「そうか…優しい子よの」
『???私は優しくないですよ。』
「え?」
そう驚くダリに
メルはチラリとダリを見た後
老人に向かってはっきり言った
『私の周りに居る
沢山の悪魔が
とても優しいんです。』
だから、私は自然と優しくなれる。
そう言うメルにダリは微笑んだ
「うむ…君なら、本当に魔樹の全てを
大きく覆す事だって可能じゃろうて。」
『ほぇ?』
「じゃが食べられたりする心配は
しなくていいのかの?」
『あ、それは大丈夫です!!
ダリさんも居ますし。』
もし死んだら彼に食べてもらいますから。
そうダリの首に抱き着き頬を摺り寄せる
「ちょ!…僕食べないからね?
ってか縁起の悪い事言わないでよ。」
『えへへ!!』
「ふぅ…成る程、
悪魔を真に愛する者こそが
相応しいのじゃの。」
『おん????』
「合格じゃ…正直悪魔を手に取るだけの
小童であればこの場で処分しようかと思ったが」
『処分しようかと思ったが!?!?』
「其処まで言うなら、適当にやれば良い。
そうそう、これはワシからの土産じゃ。」
ワシはコレが読めんのでな。
持ってってもらいたい。
そう言って数冊の本を
メルの手の元に置く老人に
メルはありがとうと前を向いたが
『…あれ?』
「…消えてる、ここ、路地裏か」
そう先程歩いていた所の少し入った所。
その場所に居て、まるで狐につままれたみたいだ。
「夢…って訳でもない、か」
『…古い日記、ですね。』
「ひとまず帰ろうか。」
『あはは…同感です。』
そう笑ってメルはダリと共に
ホテルに帰った