と、言う訳で。
「常に生徒の向上を最優先とした行動をとるように」
今試験においても優先事項は
生徒の実力の向上と考えています
なので生徒の実力を見極めつつ
大きなケガを負わせず
ボコボコにしてください。
と、言う訳で?
ー言うこと。聞けるよね?
メルちゃん♪
『…はいです♪』
リンリンリンリン鈴の音が〜
鳴ったらびくびくこ〜わい〜んだ〜!
「ん?」
たったったと軽い足音を立てて走るメル
それに声をかけた
「おっ!メルちゃ〜ん♪ど〜?生徒居そう?」
『いないですよ〜!まだ開始数分ですし!』
試験開始から13分経過後
メルはツムル達と合流していた
「試験本部よりお知らせです。
ここで教師陣を追加します。」
せんせー
「あの鈴の女性はどういったことですか?」
そう言った声に声が上がる
ー彼女は“新魔樹メル”
この魔界の次の魔王の月となる者張本人
それに外庭に居た者も、
一年生や二年生の
ー白い翼を広げて樹木が生えた者
ー“メル”
『…はいです!』
白い翼を広げて樹木を育てる
「メルちゃんには負荷をかけ続けよう」
「と、言うと?」
「彼女の魔力の底力が知りたい。」
「あー確かに魔力切れみたことないですよね彼女。」
「だからひたすら魔力が出せるように衣服も改良して」
翼を生やした状態で
樹木が生えるとその分魔力は消費する
身体を外に出して
息を吸って吐くだけでも結構キツい。
でも
『(メル小さい頃、これずっとしてたからね)』
とくに問題ナッシング!!!
「み〜んな見つけちゃうゾ!」
そう二パー!
と笑顔のダリが実況する声を聴きつつ
メルはツムル達の近くで話を聞いて
「それでは諸君作戦通り…」
「基本自由行動!!報・連・相だけは大切に!!」
「「「はい!!!」」」
「何か軽ぅ〜い」
「悪魔らしくていいよね…
でも最低限のルールは守ろうね」
「ハーイ」
自分の巡回ルートを外れない
戦闘中に出くわしても加勢しない
「俺はカチ合うならエリザさんがいいな!
彼女の精神系魔術を体感したい!
かわいいからとかじゃないよ!」
「俺はアロケルかな…
彼の頭の回転力をはかりたいね。」
「マル先生は〜?」
「僕は親戚の子がいるけど…
会ったら嫌がられそうだなぁ…」
「アトリ先生は?」
「俺は…」
『…?』
「活きがいいのがいいなぁ〜」
アトリがそう言って
うっとりした目をしたのにメルは
ゾクリと心臓が止まりそうになった
『…!?…?…???』
「ん?どうしたのメルちゃん」
『あ、いや…私!
別の所見てきますね!』
危ない。アレ、危ない。
絶対近くに居たら駄目。
そう背中にひんやりした温度を感じながら
メルは其処から外れていく
その姿をじっと見ていた悪魔に気付かずに。
報告は通信鬼でおこなうので、
基本的に耳に入れている。
『(翼は綺麗に動くし、
まだ家系魔術は使わないでただ走る。
今回のダリ達の目的は主に2つ。
私の魔力の底が知りたいのと
攻撃の実力が何処までかだ。)』
だから、私は絶対にこの仕事
『がんばるぞおおおおおおお』
そう、メル。覚醒してから9ヶ月目
初めてのお仕事にテンションハイ&ハイ
その為、ダリの思惑通り
「…大丈夫ですかヤツは」
「あはは〜!大丈夫でしょ〜!」
メルはテンションが高過ぎて
生徒を見落としまくっていた!!!
「でもあのカルエゴ君が倒されるとは
思わなかったからねぇ?」
「…油断しただけです」
「したようには見えなかったけどね」
「仕事中ですよ」
ああそうでしたね。
…と
『(周りを思わせるのがメルの力)』
メル、力を使わなくても
直感で大体の人数を把握していた!!
『(生徒の直感だが、
廊下をこっそり行く者中庭直行と
性格に重視されるから、
おっとり系は慎重に行ったり
慎重すぎて部屋に隠れている
可能性がある。)』
その為
軽く運動に走っているだけでも
まぁ!!楽しい!!!
『…さて、ん?』
クンクンと嗅ぐと炎の匂いがする。
階段を上ってみると
そこには
『…っ、あおい、ヒガンバナ』
+++++++++++++++
「サリバンさまそれは?」
「デルキラ様から頼まれていた
実験品だようやくできた…」
「だがまだ試作品だからな
デルキラ様には…」
「み〜せ〜て〜」
「でっまっ魔王様!!」
「さっちゃん例のやつできた?
できたんだろ〜〜〜見たい!!
見せて見せて見せて見せて」
「ちょっだめです!
安全性のチェックしてないんですから」
「大体“マグマに花畑をつくりたい”
なんてムチャな話…
細心の注意を払って実験しないと…」
「だって〜魔樹が綺麗な花畑を出すんだから
俺だってやりたいじゃーん!なぁ?」
ー可愛い魔樹よ
なんだ
あの青い炎
『(溶け込みたい)』
「っ!?メルちゃん!!!!」
「っ!メル様!?!?」
『“青き彼岸花咲き誇りし”…ん?』
ハッ!!
『はわわわ!!ごめんごめんごめんね!!!』
「ちょ!危ないでしょ!!!」
『だってだって!!
青い彼岸花み、てる、
とぶるぶるぶる!!!』
なんだこれ、凄い意識が落ちる、あれ?
まるで
何処かで見た時間を。
『っ!私どっかいくね!!』
そう言ってメルは下に降りた後
窓ガラスを開けて空に飛びだした
『あの青…』
ごぽりと音が鳴る
外に出た途端、入間の姿が見えた
…撃つ
うて、うて、うて
熱い炎が身体が燃え上がって
『…青い、炎、私も使える。』
その手に、青い弓を!!!
『狙え!!撃て!!
その身を焦がす様な!!
青い矢よ!!!』
「っ!?」
『
そう青い光の弓矢は入間の髪
横スレスレを切り、空にそのまま飛び
爆音と爆風を飛ばす
それにごごごと地響きが鳴り響いた
『…はっ、はっ、はっ
(凄い、あの瞬間強く秘めただけだった)』
なのに感情一つでこうも威力が違うというのか。
…これは
ーメルちゃん
残り25分になりました。
カルエゴ・バラムが出動。
そして
ー現時点を持ち、
“新魔樹メル”を開放します。
「…新魔樹?」
『みーつけた』
「は?」
ハートを一つだけ割って手を振る
恐ろしい速度
『ー全教員に伝える。
アガレス中庭、4チームまだSOS付近半径20m
イルマ組も付近に位置。至急位置に戻れ』
「…な、なぁ!?」
『さぁ、バビルスの悪魔達よ…
私の本気を知りたければ見るがいい!!!』
『よーいしょっ』
「!!???」
「え?あ、え?せ、せんせ!?」
『んー?どしたー?』
「急にきて急に裸足になんで?!」
『え〜?私こっちが本気だもん。』
さっき通知したでしょ?
アレ私の家系能力♪
『…それに、私は』
魔樹なのだから。
翼を大きく広げて
羽ばたき空に飛びあがった
浮遊し、心臓は一つとノルマはクリア。
なんだ、なんでこんなドクドク音が鳴るんだ。
ーメル
なんで、声が聞こえるの?
ママ
ずっと聞こえていなかった音が急に聞こえた
ミユその音が、私の脳に響いて。
リンリンと音を鳴らして煩くて。
『なんだ、これ…凄い』
空を飛んでいた翼を羽ばたかせて
屋上の屋根に降りた
「ーメルちゃん!!!逃げろっ!!!!」
その遠いのに大きな声に振り返る
突如、上からぬるりと影が入る
上を見上げようとするとキラリと光る
無数の糸と複数の手を大きく広げて
うっとりとした顔で見た彼に
身体を向ける時間が
余りにもスローモーションに感じて
思った
嗚呼、これは死んでしまう。
そう死の恐怖を、体感する。
人間、恐怖を感じると
走馬灯を思い出すと言う。
ふわりと撫でる頬の
少し大きな細い手が黒い髪の毛の女性が
テレビの雑音と砂嵐を立てて
大きな手を持つ茶色髪の男性に変わる
ー愛してる。
そう言った言葉が目が世界を忘れてくれる。
そんな余裕はない筈なのに。
絡め取られるのが一瞬過ぎて
「“メルちゃんみぃつけた♡”」
『ーっ!!!』
身体に巻き付いて来た糸に手を触れて感じる
先程の青くて強い彼岸花のような炎を
糸を燃やせ
そう身体に強く念じて燃やすと糸は綺麗に溶け
メルは止まっていた思考を叩き起こし
アトリから数m距離を取る
『っ!?アトリ先生!?何を!!』
「っあ゙〜〜さっっすがにダメかぁ〜。
メルちゃん脆いから
素直にジッとしてくれると
思ってたんだけどなぁ〜〜〜」
大人だし、そう簡単には捕まらないか。
そう頭をボリボリとかくアトリの背後に
白い影が振り上がる
『っ!バラム先生!!』
「メルちゃん逃げろ!!
此処は良いから!!」
「それは困るなぁ」
『っ!?バラム先生!!!』
そうアトリの頭を殴って
天井から地面に叩き落したのに
一瞬でアトリはバラムの背後に周り攻撃する
「っ来るなぁっ!!逃げろ!!!」
『っ!!すいません!!!』
「ちっ」
足が震えるのを何とか叩いて走る
アトリが舌打ちをする
「貴様…生徒だけでなく
教師に手を出すとは、覚悟は出来てるのか」
「邪魔ってんだロ」
そう言ってアトリはバラムの腹に一撃を入れる
バラムとの接戦の中、
メルは急いで翼を広げ飛ぶ準備をしたが
ー“オカモト ミユ”よ 身体を動かすな
その言葉に、
メルの身体から
一気に力が消え倒れる
『ーっ!ぐぁっ!!』
「メルちゃん!!!!っ!!」
身体が倒れた場所が悪く、
前に倒れてしまう分には良いのだが
この場所は屋上で屋根の部分。
つまり平坦ではなく斜めになった場所で
身体がそのまま地面に落ちていく感覚が入る
ゆっくり、青い空が見えた
力が入らなくて、ただ、手を空に伸ばすしかなくて。
掴みたくもない手を、取るしかなくて。
空にゆるりと
また影が視界に入ってきて
「おいでぇ、こっち側に♪」
白い翼が生えたまま落ちる身体に
ポツリと黒い斑点が落ちた。
大きな手に掴まれたまま前に出される
「おっっっとぉ〜動くなよぉ?
そのまま動いて攻撃してみろ…」
『い゙っ!!あ゙あ゙あ゙あ゙』
「メルちゃん!!!!…っぐ、」
無数の手に雑巾のように
掴まれて捻られるのに痛みが入る
痛すぎて低い声で叫ぶメルに
うっとりとしている目を見てしまった
…私、その、目、シッテル。
「メルちゃんを離せ!!!」
「魔関署に通報しないならいいよぉ」
さもなくば
そう言ってメルの身体をまた捻ると
メルが更に大きな悲鳴を上げる
それに持っていた携帯を投げ捨て壊すバラムに
良い子だとアトリは答えた
「あ゙〜傷つけて帰りたくなかったんだけどなぁ…」
『っは、っ、』
手を離し地面に落とされ息を吸い込み
隙を狙って通信鬼に手を触れようとした時
「おっと♪」
アトリから耳に付けていた通信鬼を盗られる
ああ、だめ!そう感じ、メルは力を振り絞り
なんとかふらふらの身体でアトリに手を伸ばした
『っ!ダ』
「だぁめ♡」
『っや!通信鬼っ!!かえしっ!』
「ほら行くよ」
そう言われ、腹からふわりと上がる浮遊感に
通信鬼を取り返しに前に出るんじゃなかったと
後悔してももう遅い。
バラムも攻撃をしたいのは山々だったが
メルに向けたアトリの
一つだけ鋭い腕に身動きが取れず
そのままアトリの攻撃を食らい
校舎に叩きつけられる
『や!やだ!!なんっ、や…やぁ』
もうやめて。おねがい。
そう首を横に振ってアトリの顔を見るメル
「〜っ!…ふふっ、可愛いぃ♪」
『や、やぁ…やぁ、だぁ…』
大きな涙をぽろぽろと流し泣きじゃくる
メルの目尻をそっと舌で舐めたアトリに
メルはぴたりと身体を止めた
ー“オカモト ミユ”よ、我に身体と意識を委ねよ。
その声に、身体が言うことを聞いてくれなくて
ふわりと後ろに倒れる身体をニヤリと笑う黒髪の彼が
白い糸でメルの足を捕縛し、片腕を身体に巻き付け
そのままアトリの背中にメルをピッタリとくっつけた。
衣装の音が鳴らないように。
白い翼が傷付かないように優しく絡めて。
まぁ力が入らないのだから意味がないのだが
『ら、め…あ、とり、』
「おやすみぃ♪可愛い可愛い俺のメルちゃん♪」
ー悪魔は皆、優しいわけじゃないんだ
『(…本当だったダリの言う通りだった)』
六つの手に、まるでそれは
蜘蛛
悪魔に蜘蛛なんてない!!
だからこれは明らかな
異種悪魔で
意識が朦朧としている中、
誰かが私の名前を
呼んでくれているのが聞こえるのに。
身体に力が全く入らなくて、
ボケっとしていて思考が上手く働かない。
『(バラム先生ごめんなさい)』
すぐに身体動かない私が悪いの。
私が、悪い子だから…だから。
ーミユ、悪い子は悪魔に連れ去られて食べられちゃうよ?
本当の名前を呼んで連れ去られるの。
『(でも、おねがい、わがままで)』
ごめん
『(たすけて)』
ダリ
そうメルが目を閉じ涙を流す姿を
ダリは監視塔から
膝を組んで手置きに肘を立て
頬に手を置いて
ジッと睨み見ていた
「(殺す)」
その姿を見て
殺意しか思い浮かばない
…最初から何かおかしいとは思っていた。
メルも感づいたのか、途中から警戒して
アトリの居ない方で心臓を取りに向かっていた
なのにアトリの目線は何時もメルの方を見ていた。
…まるで、元々狙いはメルただ一人の様にも。
笑ってダリの方を見ている姿が
モニターからメルが落ちる姿を見た時
時間が止まったかのように思い浮かんできて
スローモーションのように動いた後
すぐにバラムが交戦してくれたものの
アトリはメルを締め上げ、人質にして
攻撃も空しく取り逃がしてしまった。
それはバラムでなくても、
そうなるだろうと思う程に完璧な動き。
…それと、メルの身体が
急に力が入らなくなったのにもおかしい。
まるで
「体の自由をアトリに奪われてしまった」
と言わないと説明がつかない程
メルの表情が
真剣な顔から恐怖の顔に切り替わった。
ポロポロと心が
恐怖の海に落とされて
処理しきれない状態で
更に追い打ちをかけるようにバラムに攻撃をし
そのまま背中にくっつけて逃走し始める。
それを、この場所から見ているだけしか出来ない自分を
殺したい程に、この地位が憎たらしいと思った。
ジジッと音が入り、
バラムの声にダリはそっと耳を貸しながら
ダリはアトリが逃げている背中に
意識を飛ばしたメルを
ただ、見つめていた
「“報告。
目標は2年塔から
1年塔方向へ逃走中”」
至急指示を願います
…落ち着け。僕の今できる全てを振り絞れ。
このまま放置すれば確実にメルを連れ去っていく。
それだけは許さない。
何よりも
僕が。
息を、悪魔を切り裂く程に速いスピードで吐いた後
怒りを抑えつつ、出来る限りの情報を全教員に伝えるため
ダリは目の前にあるマイクを手に取って口を開いた
目線は、メルの姿をじっと見つめたまま。
ただ、この場所から。
「ー総員に通達。
目標“アトリ”。推定“元祖返り”。
現在メルを拉致したまま移動中。
現時点をもって、ありとあらゆる家系能力
高位魔術の発動を許可します。」
落ち着け、今僕が出来るのは。
皆にとにかく多くの悪魔に伝えて
道を作ることだ。
「メルの“奪還”を最優先し、生徒の保護を。
目標と接触した場合は速やかに“教育”を。」
そうだ。これでいい。
メル、大丈夫だよ。
僕が僕達が。
君が好きだと言ってくれた
この由緒正しい悪魔を育てる
君を守ってあげるから。
奪われたら
奪い返せばいい話だ。
絶対に。
「(逃さない)」