『来たらいいじゃん。姿現しちゃえよ』
その声にメルの目の前に
真っ黒なメルが出て
メルの首を跳ねようとする
が
「メルちゃん!!!」
『ほら、臆病者。置いてかれて?
さぞ怖いだろう?恐怖だろう?
その感情をどんどん押し寄せ
波に溺れてしまえばいい!!!!』
「やめてメルちゃん!!!」
『くるなっ!!っ』
そう叫ぶスージーの背後に黒い影が入り
その勢いに頭が焼ききれそうになる
『いまなにをしようとした』
スージーの身体をそっと地面に置く
瞬で身体を掴んで距離を置いた
黒い姿がにやりと笑い答える
ー君が望んだんだよ。
『きさまはわたしのしんのぞうだけをねらえばいい』
ニヤリと笑いメルは走る
タタタと軽い音を立てて影に炎を突き刺す
『っぐ!!ごほっ』
「メルちゃん!!!!!」
ー君が望んだからいるんだよ。
『ごほっ、ごほ、がはっ!!』
ぼたぼたと落ちる痛み、でも
不思議と、痛みが消えない。
…嗚呼、ちゃんと。生きてる。
『嗚呼…そんなに暗いのが好きなら』
はやくこの喉を潰してよ。
そう両手にそっと手をかざし
前を向いて笑ってみせた
嗚呼、私、今上手く笑えているかなぁ?
両手を広げて影が入ってくる
攻撃に痛みにとにかく耐えろ
リンリン
鈴の音が鳴る
数回影と格闘した後
息を切らし睨みつつ思考をフル回転する
生徒と教師大体10数名
傷付けずに此方に全て攻撃を向ける
とにかく動きを鈍らせて
こい。
わたしのしんぞうを。
くれてやるから。
そうニヤリと笑うメルに影が動く
黒い翼に耳鳴りがキーンと響きだす
ばさりとまた閉じたのを出して
息を大きく吸って吐く
でも翼の浸食が一気にひろがっているのに
メルのその死闘に。
「…彼女に何をした」
サリバンはアトリを睨んだ
『っがあああああ!!!』
そう言って影の心臓を突き刺す
ど真ん中ジャストストレート
それに影が消えて無くなり
メルは肩で息をしながら
「っ!メルちゃん!!」
「メル!!」
そう言って近づいてくる黒髪の男の人二人と
奥に水色の髪の毛と、黄色の髪の毛の女性。
メル?
『っ、は、っ、はっ、は』
「ブエル先生回復を!!!」
「しました!!したん、ですが」
「いや…そ、んな、の…」
「メル、ちゃ、」
メルの身体はただ、震えて
ただ地面に手を置いて息をする
ぽっかりと空いた穴
真っ黒に染まった翼に
ズルリと頭に角が生える
赤い目に白い線が入るのに
全員がぎょっとし警戒した
誰?メル?誰、だっ、け。
わたしは、メルじゃないよ?
「……随分好き勝手をしてくれたようだね」
「アトリくん…君には全て話してもらう
一体何が狙いだったのか
此方には時間も吐かせる方法も
たっぷりとあるからね…」
「改めて歓迎しようじゃないか
バビルスの敵として」
「んふっ、ふっふふ…!!
こんなことをした俺を…まだ生かして
お話をしようって…?これだからっ!
今の魔界も今の悪魔も大嫌いなんだ」
「くたばるがいいデルキラに
「決して魔王になれない器」
と呪われた男よ」
「っ!サリバン様!!」
突如大きな音が地響きと共に鳴り響く
「ぐっなっ…なんだっ」
「身体が…動かせない…!!」
「魔術…っ!?」
「なんだこのっ音はっ!!」
その時、天井から丸い円が落ちてきた
…何かの音。
そうメルがぴたりと静止するのに
エイトは「メル?」と声を上げた
「メルせんせぇ!!!」
『…あ、れ?い、るま、くん?』
「〜〜〜っ!!」
『わた、し…あれ、黒い、の』
リンリン
『っぐ!!』
「
「…“メル”」
声がする。聞いたことある声。
「…っ、迎えに来たわよ。」
わたしを?
「っ!メルちゃん!!
行くな!!っぐっ!!!」
「やめ、てっ!!!」
「うご、いちゃ、だっ、めだ、」
音がオオンと鳴り響く中、
ぺたぺたと足音を立てながら
ポロちゃんの手に触れ、上を向く
「…そう、そのまま黒に染まりなさい」
くろ?
なにを、いっているの?
このこころはさいしょからまっくろだったのに?
メルはポロの手をとり、
そっとしがみつき
身体を掴まれたまま翼をたたむ
ポロの翼で身体が浮遊して飛び出した
やめろと声が上がる
ー++、****るよ。
突如音がふわりと戻って来た。
白い一筋の点が漆黒の中に光っている
ただ、一つだけ。
なんだ?
それは
なんだ?
「…事情は分かりませんが、
それらを此方に渡していただけませんか?」
ポロくん
「バビルスで現13冠たる僕に
牙をむくことがどういうことか
分からない訳ではないでしょう」
「あの方に会うためよ」
「どういう…」
「現13冠ね…馬鹿馬鹿しい…
あの方が姿を消したその瞬間から
そんな冠には意味がないわ」
「私とアンタの世界は全て
あの方でできていたハズよ」
「おサリ、アンタは
あの方のいない世界なんて
認めないと思ってたわ」
なのに
「私は違う」
「私は諦められない」
『…?』
ポロちゃんの痛い音が聞こえる
白い点が徐々に此方に向かってくる
ー++、あ**て*よ。
だれ?このこえ、だれ?
「もう一度あの方に会えるのなら
私はどんな醜く汚い音でも鳴らせてみせる
私の欲とアンタの欲は相容れない…っ!!」
「デルキラ様の代わりなんて
いるわけがないのよ!!」
サリバン!!
そう叫ぶ声に校舎の屋上から攻撃が来る
一射必中
その声にポロは振り返り
ロビンの弓矢をはじいた
それと同時に手から滑り落ちていく
「っ!!しまっ!!!」
「メル!!」
ああ、今日何回落ちればいいんだろう。
これこのまま落ちたら死ねるのかなぁ。
そう落ちていく中、ポロちゃんの手を
取れないのが、少しだけ悲しかった。
じわり、揺れる。
一筋の白
ー++、あ*しているよ。
あ、声、近くなった。
「っメルっ!!!!」
そう校舎から飛び出したダリが
落ちていくメルの身体を抱きしめ受け止めた
黒い翼を持ったメルが、ただ虚ろを見ていた
「…フンっバルバトスのおチビちゃんね
いい度胸だこと…拍子が、抜けたわ。」
「おいとまするわ!いいわね!
“メル”!また会いましょう!!」
「おサリアンタには今
背負ってるモノが多すぎる
これ以上私に…嫌な音を出させないで。」
サリバン
+++++++++++++++
落ちたのに
身体がジワリと温かくなる
音が、落ちた?
「ーメル!!メル?メル!!」
声が、聞こえる、
身体が下に降ろされて肩を揺らしてくれる
だれ?
なに?だれなの?
ーメル、あいしているよ。
その声なのに、私はその名前じゃないのに。
嗚呼、ごめ、眠いの…。
すっと目を閉じようとするメルに
ダリが小さく消えそうな声で叫ぶ
〜っ…ミユ、お願いっ…
おいていかないで。
その言葉に意識が
黒かった世界が反転した
『…だ、れ…?』
「っ!?…ぼ、く、だよ…わ、かる?」
そう震えた手がそっと頬に触れる
ぱたぱたと水が頬に落ちてきて
その先を見る
茶色髪の悪魔が、
私を見て涙を落としながら
笑ってくれていた。
その笑えてないくしゃりとした笑顔に
私は、憶えている。
ーミユ、愛してるよ。
『…あ、っ』
「ダリせっ…っ!!!」
「メル、メル僕だよ…わかる?」
どうして、泣いてるの?
胸が何か熱いの。
不思議と触れて痛みが消えてて。
『っぐ、ごほっ…』
「っ!!メル!!
…メル、ごめん、ごめんよ」
どうして泣いてるの?
笑ってよ。
ねぇ、私を呼んでよ。
「〜っ!!…僕、わかる?
ダリ。ダリだよミユ」
『(わかるよ)』
私を、呼んでくれた悪魔。
「ごめんっ、もっと、はや、く…っぐ」
「っくそぉっ!!!!」
どうして、そんなに悲しそうなの。
皆、顔見てくれる。
「メルさ、ん、おねがい…しなないで」
私、どうなってるの?
死なないよ。大丈夫。
嗚呼でももし死ぬのなら。
皆を見ながら死ねるなら。
嬉しいとさえ思ってしまう私は。
きっと誰よりも悪魔だと思う。
『…だ、りっ、ごほっ、ごほ、』
「っ!!メル!!
駄目だ喋るな…お願いだから」
『ん、で、ない、でる、の…?』
「〜〜〜っ!!!メルっ、」
「ダリ先生」
「……メル聞いて」
なぁに?
「“愛してるよ。ミユ”」
嗚呼…私も。
シンと身体に染みわたっていく
嬉しい楽しい。
白い世界から黒い点を囲むように
世界が変わっていく
草原の中に花が咲き誇っていて
青い空に白い雲が流れていて
黒い点を。
私は。
壊さないでそっと抱きしめるの。
大丈夫。
貴方を忘れてしまったら
貴方はとても寂しくなってしまうだろうから。
ーオカモトミユよ。その身体の息を吹き返せ。
その誰かの音で、ふわりと身体が包まれる。
温かい。嗚呼…冷めた身体がスッと落ち着いていく。
「…え?」
「メル?」
突如メルの身体がふわりと光りだし
目を閉じるのに嘘だと首を横に振る
「いやだ、いやだいやだいやだ!!」
頼むから、お願い。
帰ってきて。
その願いが届いたのか
メルの身体は
何時までたっても消えて無くならず
それどころか
「…待って下さい、身体」
「え?胸の、傷が…塞がって」
じわじわと塞がっていく身体に
黒い翼は白く蔦から花がチラホラ咲き始める
角も溶けて無くなり傷という傷が
塞がっていくのに
ダリは抱きしめていた身体が止まる
「…っ」
『ん゙…』
「メルちゃん!!!」
「メルさん!メルさん!!!」
『ん゙…っ、こ、こ』
目を開けたその色は、金色で。
ぎゅっと目を閉じて嚙みしめた
「「「わあああああああああああ」」」
「…メル」
『…?だ、り?…あれ、わた、し』
「〜っ!!!」
『…だ、り?』
そう抱きしめるダリにメルは首を傾げた
心なしか身体が軽い。というか花の香りがする。
うーん嗅いだことがあるような無いような?
『……あ、れ?わた、し?』
「メルちゃん!ダリ先生!!!」
『…エイ、ト、せんせ?え?スーちゃ
わたし、なにを…』
「…っ」
「メル先生、何処まで記憶憶えてます?」
『…今は、ちょっと。』
そう言ったメルに
分かりましたとこくり
プルシェンコ先生が頷いてくれた
安堵で「よかったぁ〜〜〜〜」
と腰を抜かす皆にメルは首を傾げる
先程から泣いてる
この男をどうにかしなければいけない
『ね、ダリ?どうして泣いてるの?』
「っ…!!」
「ふいっ…メル先生
そのままにしてあげて下さい」
「メル先生さっきまで
心臓ごと胸が消えてたんですよ。」
え?
『っえ゙』
「あ、やっぱり気付いて無かったんですね」
『やいやいや、そりゃ
…あ゙ーーーー。ごめんね。』
「っぐ…っ」
抱きしめる力が凄い強くなった。
わぁ〜そりゃそうなるわ。
苦笑いするメル。
「にしても蘇生魔法とか
禁忌を自身で使うとは…」
『蘇生魔法?え?
私してないですよ?』
「「ええええ!?!?」」
『や、ほんとほんと。』
「え!?や!?でも!!え!?!?」
そうエイト先生が滅茶苦茶うろたえているが
え?何々まさか心臓開いてたのにすっと消えて
元通りになって驚いてますって感じ?
…マジか。やったな私。
「ちょ、まって待って、ならどうやって?」
『え〜、うろ覚えで整理ついてないですけど、
こー黒の世界に一つ白い点が見えて』
「白い点?」
『それがダリ先生の声と共に急に反転して』
「ダリ先生が?」
泣いていたのを
ちゃんと止めて見てくれる彼に
コクリと頷いた
『その後世界が花畑になって
…あ、確か誰かが何か言ってたな』
「え」
『私の身体〜えーっと』
ーその身体の息を吹き返せ。
『って』
「それだけ?」
『あー…んー…とりあえず、』
別の場所に移動してからでも構いません?
そうメルの提案に
メルとダリの周りを囲んでいた一同は
色々考えた後、コクリと頷いた。