場所は変わり、
仕事も終わらせた夜6時を過ぎた頃。
職員室にちょこんと座っていた。
ダリの膝のというか股の間で。
『あのこれは』
「ふいっ。離すと暴走しますので
そのままで居てあげてください」
いやーーーーー。
でも説明しにくい…。
そうメルは汗を流しながら
職員室で椅子を持ってきて
円になっている皆を見ながら俯く
「まず、憶えている所から教えてくれるかな?」
そう言ったダリに
いたって冷静な声だとは思ったが
多分身体くっつけているからそうであって
離れたら悪周期入りそうである。
『え?…あ〜、確か
イチョウ先生や、違うもっと前?
あれ…あ!そうそう!!
SOS終わる瞬間、イルマ君
ぶち抜こうとした時!!』
そう手を叩いたメルに
さり気なくとんでもないことを言ったのを
無視しない教員
「ねぇ待って?ぶち抜くって
ガチの心臓じゃないよね?
ハートの風船だよね?ね?」
『避けられちゃって
空に飛んで音が響いた後に』
「あっ話聞いてないね?」
『後ろからバラム先生の声が聞こえて…
空、見上げたら影黒くて、
アトリ先生だと思った時
もう既に身体捕まえられてて。』
「そこからは僕が。」
そう手を上げたバラムにダリは頷く
「生徒を暴行するアトリを見つけ
教育した後通報しようとしたら
メルちゃんを見つけて捕まえたんだけど
あの時メルちゃん
凄い慌ててたの覚えてる?」
『あ!覚えてます』
「それってどんな感じだった?」
『え〜……っ』
そう思い出してゾッとするメルに
ポンとダリが頭を撫でて大丈夫と声をかける
それにチラリとメルはメルの方を向いた
「…メル?」
『…リル、アレ言ってもいい?』
「アレって?」
『その…マルバス先生の』
「…あ゙〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
そう頭を抱えて
前に身体を曲げて唸りだしたリルに
何々何とマルバスが焦る
「魔ロットの調整の時、
メルちゃん息
出来なかったの覚えてます?」
「え?あ…ああ!うん!!覚えてるよ!
急に息しなくてパニック起こしてたから
丁度君居て助け呼んだ時のね!!」
「それが?」
「それが」
『メル良い私言う。』
「やでも!!君が言うと
何が起こるか!!!」
『あ゙〜〜〜…分かった。
なら言って良いよ』
確かに自分が言って
開放出来ない方が怖い。
メルは仕方がなく
息を吐いて首を横に振ってこたえた。
「アレ、紙が一枚しか出ない筈なんですが
その後メル一枚だけ追加ででちゃって、
それ見てパニック起こしたんですが」
「うん」
「それに書かれていた問題が…
今回の問題と直結したんだよね?」
そう言ったリルに
メルはコクリと頷くと
メルの身体から翼が生える
「リル」
「分かってる…分かってる!!!!」
『…リル』
「…っ!!」
そう言ったメルに
リルは立ち上がり
翼を出して暴れそうになった身体を抑え
すっと力を抜き席について言う
「メルの本当の名前が
書かれていた用紙がでてきたんです」
「………は?」
「え?メルちゃん、え?」
「安名メルって
本名じゃないの!!??」
『…ダリ先生〜言っても構いません?』
アレそう言ったメルにダリは唸った後
仕方がないと言って先に声をかける
「今から喋ることは
絶対に誰にも言わない
って誓ってくれる?
もし約束を破ればどうなるか」
…分かるよね?
そう言ったダリに
コクリと全員が声を出さずに頷く
それに良いよと
ダリはメルをみて答える
『私、人間なんですよ』
「……………ん?」
「………はい?」
『や、だから私人間』
「えええええええええええ
えええええええええええええ」
「ちょちょちょtyとち
ょあsdふぁsdflk」
そうバラムがメルの身体を掴み
ダリ共々スーッと椅子を後ろに下げて掴むのに
メルもダリも目を丸くして驚き固まった
「ににににににいいいあ
sdf;あlsdfぁ」
『落ち着け落ち着けほらほらどーどー』
「や、普通そうなるから皆…」
「え?ま、まぁ仮に人間だったとして、
それが今回にどういう関係が?」
『人間は本名を悪魔に言うと
悪魔の言いなりになるんですよ。』
「そうだn………え?メルちゃん?
まままっままままm」
『ええ。魔スロットに
書かれた名前は私の本名だったし
なんならアトリが言った言葉も
私の本名でした。』
幸いなことに聞こえない程度の音でしたから
バラム先生達には聞こえてないでしょうが。
そう言ったメルに
全員が絶句して声も出さないし
何なら呼吸を止めていた
「………は?え?」
『大丈夫そうじゃないね。
消すか記憶』
「待て待て待て待て待て待て」
『やーだって話進まないから』
「いいいい!!
進めて!!
進めて下さい!」
『…で、アトリからちょこちょこ
身体の自由を奪われるように囁かれて
変な動きで止まったり
身体を捕縛されていたのよ。』
翼の浸食は多分予想付く
「なに」
『アトリ明らかに元祖返りの悪魔でしょ』
「そうだけど」
『多分元祖返りの悪魔に眠る魔力に触れると
元祖返りとして覚醒しちゃうって感じ。』
「それがあの角や黒い翼の姿?」
『恐らくは。確証はないけど
そうじゃないと説明がつかない。』
「でもあの用紙
確かに燃やした筈なんだけど」
『蜘蛛ってさ
足音立てないまま
近づいて食べるんだよね』
それに全員がゾッとする
『あの時、私が見ていた用紙を
偶々見て言葉を覚えていたら?』
「でも言語が!!!」
『あれ下に悪魔文字で書かれてたから
そっちみたんでしょ
…ったくまずいなほんと』
「殺すか」
『待ていまていまてい!!!!』
話はまだ終わってない
そう言ったメルに
でもと周りがざわつく
『バラム先生と離れてから
意識を奪われたはずなんだけど
なーぜかイチョウ先生と会った時
意識が戻ったんだよね。』
「…その節はすいません」
『いいよ、私だって元々
アトリに名前見られて
気付かなかったのが悪いし。』
「ですが…その」
『一瞬イチョウ先生
私を取り戻してくれたでしょ?
多分ねアレ無かったら
私此処居ないよ。』
かなりギリギリの所だった。
時間的にも、
アレがないと割と死んでたと思う。
そう考えたら取り返しの
つかないことになって居なくて
本当に良かったと思う。
『それに取り戻してくれた時
凄い嬉しかった!!』
ありがとう!そう笑うメルに
イチョウは首を横に振った
『まぁ離れた時、凄い痛くて
…其処からはカルエゴ先生の方かな。』
そうメルがちらりと
カルエゴの方を向くと
カルエゴは軽く頷いた
『彼からイルマ君を
奪って剥がしたあの時。
アレに意識持ってかれて』
自分迄
何かに引っこ抜かれた感覚があった
『そこからは殆どの方が見た通りで、
翼の色は浸食し過ぎていて
身体何かに乗っ取られた感じで
気付いたらエイト先生を…』
「いや僕も不注意だったし」
『そこからはもう意識の格闘でした。
電気のスイッチを高速で
付けたり消したりしている感じで』
攻撃を受けては攻撃して
とにかく暴走を
一人で食い止めるように動いた
『超超緊急用で精神特訓は
前からしていたんですが
最近疎かにしててまずいな
って思って焦ったんです…』
でも、それでよかったんだって
今は思います。
『スーちゃんの背後に入った影をみた時
もう胸の感覚なくて
…貴方が泣きそうな顔してたの
きっとあの時から胸抉られてたのね』
そう寂しそうに笑うメルに
スージーは前を見た後
そっと俯きコクリと頷いた
『心臓を…なんてね。
言ったからちゃんと喰らいついた。
スース―しなかったから服の中を
食ったのは流石にビビったけどね!』
「…メル」
『そこからは不思議だった。
もう本当に。ポロちゃんに
名前呼ばれたら身体勝手に動くし』
真っ黒な世界に一人飛ばされたと思ったら
雑音が煩いからキエロと思ったら
ダリ先生の愛の告白だったとは思わなくて
「…え?待って?」
『え?』
「なんて?」
『え?いやずっと愛してるよ
って多分言ってた。
雑音消えてったけど。』
「…???」
『最初名前も全部聞こえなくて
ずっと言い聞かせてくれてたから
私戻って来れたかと思ったのに』
「や、一度しか言ってない……かな」
『…じゃあ無意識の方か』
「いずれにせよ
無事戻って来てくれて
本当に良かったです。」
「ほんとほんと!!!」
『流石に次はないけどね〜!』
「…もしあのままだったら?」
そう言ったロビンにカルエゴが
「帰って来なかっただろうな」と答えた
それに声を上げそうになったロビンに
オリアスが止める
メルがため息を吐きながら答える
『想像通りですよ。記憶もそのまま消えて
この場所に戻れなかっただろうし。
敵になってこの魔界を滅ぼす一つになってた。』
「…っ!!」
『どーーーーーして!
私が、よくよく
自分を責めているか分かる?』
「え?」
『その消えた世界、真っ暗な世界に
一つだけの点だけを思い浮かべる。
それは確実に残っていて。』
その世界を…掴む声が必要だった。
「っ?メルちゃん??」
『私は今まで自分で戻せると
思い込んで作っていた力を
皆さんが必死になって
私を黒を白に変えてくれたんですよ。』
ありがとう
『前の世界の時間が報われた感じがした。
この場所に…いて良いんだって思えた。』
「良いんだよ
居てくれないと
悪周期になっちゃうよ」
皆
そう言ったダリにメルは笑った
「そーですよ!
誰がダリ先生の怒り
鎮めるんですか!!」
「というか普通に
俺やイポス先生
片足突っ込んだけどね…」
『え゙』
「それ言ったら
僕も突っ込んだよ。」
「僕も君見つけた時キレたよ」
「ふいっ私もですよぉ」
『…あれれ?』
割と皆切れてた????
「ま、バビルスが焼け野原に
ならなくてよかったよかったー」
『いやいやいやいや私魔樹ですよ!?
あの人の居ない場所に居る魔樹ですよ!?』
「ん?それがどうしたの」
『だから……この場所、いても』
迷惑かけちゃうから。
もう、大人になってしまったから。
そう翼を広げて中央で止まるメル
翼の根元には蔦が花や葉を生い茂らせて
キラキラと光りに照らされていた
そうぎゅっと服を掴むメルに
息を吐きながらスージが席を立って
メルの両手を取った
「ふいっ、メルさんはあの時
私達を守ってくれた。」
『っ!!ちがっ!!!』
「ではどうして
エイト先生の首を絞めずに
ご自身を殴ったんですか?」
どうして私をそのままにしておかなかったんですか?
『っ、それ、は』
「メルさんは私達を守る為なら、
自分の身体を犠牲にしてでも。と守ってくれた。
…私たちは貴方を責めているんじゃないんです。」
「君がそうなる所まで
管理出来なかった僕達が悪い」
『っ!!違う!!
私がちゃんとしてな』
「それはない」
そう言ったロビンに
うんうんとエイトやオリアスが頷く
「もし君が迷惑をかけて
居なくなれば終わると思って
この場所から出ていこうとするのなら…」
全員で止めるよ。
そう言ったダリにメルは首を傾げる
『な、んで?…だ、って、
わた、し…せい、と、まもっ』
「守ったよ。
それに沢山時間稼ぎしてくれた。
アトリに悪に染まらずに」
ただひたすら足掻いた。
それで染まったらどうしようもないから
教育はしただろうけどね
そうくシャリと笑うダリにメルは首を振る
『だ、っ、すー、ちゃ…ごめ、
こわ、かったよ、ね?ごめんね?』
「〜っ、いいんですよ…ふいっ、
本当に…優しい子ですね貴方は。」
そうスージーにそっと抱き着いて
ワンワンと泣いたメル
+++++++++++++++
「さ、今日は帰ろう。」
『お疲れさまでした』
「ゆっくり休んで下さいね」
「俺達のこと気遣って
出てったら怒るからね!」
そう言われながら
私はダリと一緒に手を繋いで歩く
『…ごめんね』
「いい…メル、僕にどうして
名前言ってくれなかったの?」
『…だってダリ何かしら
使いそうだったから。』
「流石にしないよぉ〜♪
ね?ね?だから教えて???」
そう笑うダリにメルは首を横に振った
下手にこんな場所で言うのは悪いからだ。
「にしても驚いたよ…最初見た時は
もう、心臓止まるかと思った」
ーだれ?
『ごめんね』
「ううん、こうして戻ってきてくれたし
…メルも怖かったでしょ?」
『うん…ごめんね、ダリの言う通りだった。
悪い悪魔さんも居るって、今回で知った。』
「うん。言ったでしょ?」
『…私、悪い子だからって言い聞かせてさ
黒く染まっても戻れるからって思いこませてた。』
でも、戻って来れたのも
奇跡に近いだけであって
貴方の傍に、
こうして戻れたのも、
貴方の力であって
『私…浅はかだった。』
ふわりと浮いた絶望は、
何度も作った偽物の絶望よりも
とてもとても、恐ろしいものだと知ったから。
「うん…でも、無事で本当に良かったよ。」
『通信鬼、使えなくてごめんね』
「いいよ、見てたけどさ?
あの速度は明らかに君の
反応出来る速度を余裕で超えてたし
他の悪魔でも反応出来るか
と言われると言えないし。」
『…強くなりたい。』
「うん。エイト先生達に
お願いしてもらおうか。」
コクリと頷くメルに
よしよしと頭を撫でる。
それにコンコンとノック音が入る
「はーい…って」
「ダリ先生!打ち上げしましょー!」
「悪いけど今は…」
「そう言うのも含めてですよ!!
ほらメルちゃん!!行くよ!!」
『っ!?』
そう呼ばれてきた所は
「心臓破りお疲れ様パーティー!!」
『!?』
「いやーメルちゃんの鈴
マジで助かった」
「ダリ先生からの
指示された後に全員に通達するの
マジメルちゃん
ダリ先生みたいって思った〜!!」
『!?!?』
「あ、メルちゃん
これ食べれる?」
『!?!?!?』
「くっ…くくく」
そう笑いだすダリに
メルもつられて笑ってしまう
『ふふふっ、ははははっ!!』
「〜っ!」
『へへ、分かりました?
私、ダリ先生の指示
ずっと聞いてたので真似たんですよ!
的確だったでしょ?』
「的確過ぎて逆に怖かった。
マジで居たんだもん。」
『へへー!!もー
めちゃめちゃ強くしたんですよ!!
リルのおかげです!!』
「ふふっメルの努力の賜物でしょ。
お疲れ様…おかえり。」
『〜〜〜っ!!!ただぁいま!!』
カチャ
『ん?カチャ??』
「カチャ?」
「音した?」
「いや?」
『(気のせいかな?)』
まぁ良いよね!
この場所に戻って来れたから!!!
パチン