Novel - Carla | Kerry

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愛はいつも計算4

act 8.



メルが何も言わなかったのは
勿論ダリの心境を聞いたのにもあるが…


実はその前からずっと根を張っていた。
何故メルが翼を広げずに歩いたりするか。


それも裸足で。


それはメルが地に触れることで
この場所で話している
奴らの会話を聞けることが出来るから。

魔樹特有のものだと思えばいい。
言わば家系魔術。

触れた人物を作り出すことが
可能なのはその派生というか


その力を付けるための、予行練習であって。



『(何時も煩く思考を巡らせているから
人の騒音が凄く落ち着いてコレが良いな)』


なんて思ってしまう。


これ食べたいアレ食べたい
これどうだったそんな言葉が飛び交う。



周波数を合わせて意識を集中したら
その子達限定の言葉を取る事だって造作もない。



…勿論これを土壇場でしているわけでは無く。



メルがバビルスに居ても
たまに裸足になって歩いているのは
実はこの力を付けるために
メル自身が行動していたのだ。

それに、カルエゴは気付いた。

それも隠していたのに。

全く、流石番犬である。
ダリにすら気付かせないようにしてたというのに。

まぁ勿論ダリにバレる前に服は直していたし

バレた所で元々裸足好きなので
基本部屋では付けていない。

そこら辺は言いようがあるのだ。
本音裸足好きって言うのは合ってるし。

まぁその分裸足でないと出来ないというデメリットがある。
だが、今回の靴は特注でリルに頼んで作ってもらった
靴底のボタンを押すと底が開いて
指の付け根部分だけが地面に触れる様になっている。

それでこの場所一帯の範囲であれば言葉を聞けるというもの。
つまり他の悪魔の情報を丸聞こえというもので。
ストーカーも人権侵害もへったくれもないのである。

まぁ魔界だし。良いよね。法律ないから。
そう我ながら悪魔に染まっているなぁと思いつつ
メルはカルエゴに説明する。

『光満ちる場所と言うのは
即ち光が集結する場所
それは日が沈み映った時に
集結する湖の近くにある祠の鏡!!』

「でかした!!」

そう言ったカルエゴに
メルはコクリと頷くが声を上げる

『っ!!駄目!!!』

そうカルエゴにぎゅっと
しがみつきシールドを張った

下からの攻撃に何事かと思ったが、
すぐに上から声が聞こえる


「ーその手を離せ」



「…はっ誰がするか」



そのドス低い声に、誰かがすぐに分かって。


メルはぎゅっと
カルエゴの胸の中にうずくまった。





知らない。知らない。気付かない。




そうしてそのまま?





「ふいっ!させませんよ!!!」

そう植物がメルの足を掴み引っこ抜く
するりと抜けた腕に手に声が出ない

手を伸ばせ伸ばせ伸ばせ!!!

『〜〜〜っ!!!いやぁああっ!!!!』

「っ!メルっ!!!」

「おっと!こっちのことは無視か、なっ!!」

「なっ!!これはどういうことですか!!!」

「それはこっちのセリフだよ。
何僕の物勝手に奪おうとしてるの」

場合によっては教育しなおした方がいいかな?
そう言うダリにニヤリとカルエゴは笑う
それはそれは、どうぞやってみろと。

+++++++++++++++

メルは植物からのツタを外そうと
必死で手を藻掻く

「ふいっ無駄ですよ♪私の植物は頑丈です」

『っ!!ラファイア!!』

そう火力を凝縮して放つが一切燃えないし通じない。
そりゃそうだ。生きていて水分があるのだ
大抵の炎では燃えることは不可能である。

効果が抜群なのはゲームやアニメの仮想世界なだけだ。

地面に足がついていないから
根を張る事も出来なければ
宙ぶらりんになっている為、
このまま時間が過ぎれば
頭に血が上って意識を失うのは間違いない。

優勝と言ったカルエゴのニヤリとした笑顔に
どうしても叶えて上げたいと思った。



それならこの攻撃を
何とかクリアするしかない!!!



だとしてもどうする!?


私に何ができる?


「ふいっまた閉じこもるんですか?」

なにを

「メルさん、単刀直入に聞きます。
貴方はダリ先生のことをどう思っているんですか?」

『…………は』

「私はダリ先生のことを慕っていますよ。勿論愛として。」

その言葉に嘘だと言いたかった。
でも私が言える権利はない。
彼女が決めた意思で欲だ。

血が頭に登らない様に動いていた身体が止まる




何?私は何を?




「メルさん貴方はどうなんですか?
傍に居て愛情を受けて、満足ですか?」


『…やめて』


いやだ。知らせないで。
その箱は開けてはいけない。


「ダリ先生と一緒にいて愛されて幸せですよね。
それでも貴方は突き放すなら、
一緒に居るなんて…ズルいです。」


傷ついてる。


そう感じた。


ダリの言った言葉が妙に合わさる。





…カチり





なんて



音が聞こえたのに聞こえないふりをして。





『やめて』



お願い言わないで。

気付かないで。

知っているの。


分かっているの。


感づいていたの。



これは仕事だとこれは違うと。






これは…願ってはいけないと。






「メルさんがその気でないなら
全力で奪いに行きます。」


『やめてって』


「メルさんの好きを、何故言わな」


『っ!!分かる訳ないくせに
そんなこと言わないでよっ!!!!』


そう手に力を強めて一気に植物を切りつけ
スージーの首元に光を当てる


『…決められたことに真っすぐなの。
コレが“約束”これは契約。だから守る。』


「なら何故そのまま居るんですか。
奪わないんですか?」


『ふざけないで踏み込まないで貴方なんて…』


「嫌いと言うのですか?」




言いたい。



…そう、言えればどれ程、良かったか。




『…スーは、ダリのこと、好き?』


「はい」





その即答に、メルはふっと息を吐いた。




…嗚呼。



良かった。




『…ダリの事は好意は持ってるけど
親愛に近いよ。だから良いよ。』


「っ!?…メル、さん?」


『ごめんね』


そう言ってメルはすっと身体を縮めて前に走る
それに待ってと植物を出すも裸足になった
メルの足や身体を捕らえる前に切り刻まれて消える




パタパタと足を前に出していく

息を吸って吐いて吸って吐く
それだけで、
目の前が見えなくなって、
胸が痛くて堪らなくなって。




浮上しては堕ちてを繰り返した先は。




地獄でしかないのを




私は知っていただろうに。




居たい。なんて、思ったからだ。




『…帰ろう』

この場所に、私が居る必要性は。もうない。
リルも私から離れてくれたし、きっと幸せになる。

痛い。この痛みを剥がさないといけない。



ーまた逃げるんですか?



その声で、青い世界に行く力すら出来なくて。
メルはそのまま深い森の奥に走った後、
身体を地面に投げ込み消えた。







おねがい、こないで。





+++++++++++++++


「やった!一番だ!!」

そう言ったマルバスに
リルは目を丸くして驚き前に出る
走って行ったあと翼を広げてその方角に飛び


「っきっさまああああああ!!!」


そう叫び手に最大魔力を込めてダリの頬をぶん殴った
殴られたダリはそのまま地面に深く突き刺さる


「っ!!駄目!!!行くな!!!」


「リルちゃん!?」


「リル!!!」


そう言ったカルエゴがリルの前に行き足を止める
横を行こうとするのを掴み暴れるのを防ぐ


「っはなせ!!急いでるんだ!!
時間が無い不味い不味い不味い!!!」


「っ!!落ち着け!!血走って何を!!」


「メルが!!!
メルが帰っちゃう!!!」


「っ!?なに!!!それは本当か!?」


「…やはり悪魔に渡すべきではなかった。」


あの時私が閉じ込め続ければ良かった。
そう低い声で言ったリルに
カルエゴは冷や汗を垂らす


「リルちゃん急に来て殴るとか正気じゃ」


そう間髪言わずにリルはダリに攻撃をする
それにスージーが植物でダリを守る


「…成る程、そう言うことか。なら尚更だ。」


バッとカルエゴから腕を払う


「メルと私はバビルスに戻らない。」


「…は?」


「リルさん!?何を」


「自分のしでかしたことを後悔するんだな…
やはり悪魔に頼ったのが馬鹿だったか。」


「…おい、さっきから何をっ!?」


「カルエゴ先生!!!」


「…メル、大丈夫だよ。
私が付いてるからね。」


そう言ってふわりと黒い翼を広げて
メルの居る方角に飛び出す。


「スーメルちゃんに何か言ったの?」


「…いえ」


「でもあの感じは」


「話は後だ!!追いかけるぞ!!!」


そう言ったカルエゴにダリはコクリと頷いた。

リルの後を追わないと、
話を全て聞いてからでないと不味い。
きっと勘違いを起こしているだろうから。


+++++++++++++++



いやだいやだ。やめてやめて。
いたいいたい。こわいこわい。



そう音がする。



地下に潜っても呼吸が出来ないから。



小さな草木に身体を擬態化させていたのも


すぐに効果が切れる。



身体を丸めてうずくまるメルにリルは声をかけた。




「…メル」

『………』

「帰ろ。
荷物はもう取らなくていいよ。
全部捨てて戻ろう。」


『…え?
でもリルは良いんだよ?
私の事じゃなくて貴方は』


「私は貴方の一部だった。
その痛みを私は一番知っている。」




お願い、私も連れてってよ。

そう言って抱き着くリルに


メルは涙をポロリと流した。




『…もう、むり、なの』


かえりたい。




そう言ったメルに、リルはコクリと頷いた




「流石に何も言わないで帰られるのは困るかなぁ」


「っ!?ダンダリオン…貴様!!!」


「おやおや、えらく他人行儀になったねぇ…」


そう目を光らせるダリにリルはぎろりと睨む
メルはびくりとダリの方を見て固まる


「…メルいいよ、無理しないで。」


『…目を閉じて、耳を塞いで、この』


首さえも絞めて。
そう言って首に手を当てようとするのに
そっとリルが額にキスを落とす。


「大丈夫だよ」


私が傍に居る。そう言ったリルに
メルはウルウルと涙を潤わせる




「(さぁ…一人守りながらこの多勢に無勢)」



間違いなく不利だ。

それもメルが殆どの魔力を持っている為
精々撒けても2人が限界。


6人も残っているのに、
メルの精神的な不安定状態からして
逃げるのは確実に難しい。



さぁ、どうする。



「メルちゃん連れて何処行こうとするの?」


「ただ帰るだけです。
貴方達にもう関係はありません。
この喰うだけ食った屑悪魔め。」


「心外だなぁ〜
我らが秘宝を奪うなら
……“教育”するけど?」


そう睨むダリにぐっとリルは手を握った。
さぁどうする!!リル…




『…』


「…メル、ちゃん?」


『…リル、私ね?
此処で“契約”するよ。』


「っ!?!?メル!!!!
それ、は……いいの?」


『うん。今ならいいよ。
邪魔者を捕らえていたら
いいんだよね?』


「ふいっ?メル、さ、ん?」


そう言ったメルは
スージー達の方を向いて指を鳴らす
すると地面からツタがスージー達を
胸元の所で掴み空に浮遊させる


「っな!?メル!?」

「ちょ!!離して!!!」

『…リル、奪ってよ。』

「〜〜〜っ、メル」


そう抱き着いたリルに

メルは涙をぽろぽろと流す


「メル!!話をきい」


そう言ったダリの口に蔦が回り口がふさがる
それに気づいたスージーが植物を出そうとするが
力が入らなくなっていることに気付いた時はもう遅い


『スー、ダリのこと、沢山愛してね?』


「メル、さん…?」

『私、貴方になら良いから
…もう、もう良いから。』


ごめんね。

そう涙を流しながらスージーの額に額を合わせていうから
ぽたぽたとスージーの頬にメルの涙が落ちる


『あなたっ、なら…、いい、から』


「…本当に、それで、言い訳、ないんでしょう?」


『……でも、望まないなら、奪ってくれるんでしょ?』






なら奪えばいい。



私は変わらないの。




「それは」


『嗚呼…ありがとう。
夢を見させてくれて。
とっっても楽しかった。』


「メル?何を
まるで最後の別れみたいなこと
言わないで下さい」


『お別れだよ。もういいから。』


「っ!!
さっき言った事で
そうなったなら謝ります!!
駄目!!居なくならないで!!!」


『…リル、殺さないで。』


そうスージーの首元に光を当てるリルにメルは答える


『所詮人も悪魔も
生きとし生ける存在だって
…私は言ったでしょ?』


「……ですが」


『リル』


「分かりました。
記憶もそのままで放置します。」


「メルちゃん!!!
何処にいくの!!!」


『リル、手繋いでいこう?
メルね?お腹空いちゃった。』

「…わかりました
行きましょうか
私の最愛の人よ。」


そう言って
リルは深くおじぎをして
メルの方に手を差し伸べた
それにメルは涙を流しながら手を取る。

「次会う時は敵として判断する
…金輪際、近寄るな。この悪魔が。」

そう言って、姿を消したリルとメルに
暫く呆然とするしかなかった。


+++++++++++++++

「…此処まで来たら大丈夫。
ほら、非常食持ってきてたんだよ。」

そう言ってリルはメルに食事を与える。
家に帰るか、ひとまずあの場所なら生活は出来る。
メルに聞くまでもなく、
走った後浮遊してとにかく前に進んできた。


案外飛ばせば家に近い。
それをダリ達は憶えていたら凄いなとは思う。
だがどうせ悪魔、記憶はすぐに薄れていくだろう。


食べた後、すっと身体を動かすメルに
リルは立ち上がりそのまま姿を消した



「…ついたよ」

そう一時的に避難していた小屋にまで付いた。
部屋に入ると泥だらけの足に、
裏側に行って水を汲み足を洗う

『魔力で悪魔を近づけない様にしてる。
効果が切れるのは3日後だからもう大丈夫。』

「そう」

『…本当に良いの?
リル、折角好きな人の前で居られたのに。』

「私は貴方が良いのよ…
あんな悪魔なんて忘れてしまって
私とまた一緒に居よう。」

そう言って抱きしめるリルに
メルは涙をまた零した

本当に、欲しい言葉を彼女はくれるのだ。


「それにしても何を言われたの?」


そう風呂に入って衣服を着替えた二人
真っ白なワンピースのメルと
真っ黒なワンピースのリルに
メルはろうそくの明かりを少し見た後
そっと答える。

『メルね、魔樹として力使える様になって
今日一日ダリ先生達の声聞いてたの。
カルエゴ先生優勝するって言ってたから。張り切った。』


リルにおまじないもしてくれて、
上手く行くって思って。


『でも、途中で声が聞こえたの。
スーがダリに私の事どう思ってるかって。』


そしたらね?


そう言って涙を流すメルに
良いと言って口に出さないで言って
とリルは手を握って頬に寄せた


その音に、リルはブチ切れそうになった。



何が、飼っているだ?ふざけるな。
そりゃメルも傷付いただろう。



『それでね、スーに言われたの。
好きだから
傍に居るだけなら、
奪っちゃうよって。』




嗚呼…それは、確かに。



君なら、こうなる。



泣きじゃくって、ただ首を横に振っている。




『あの、ばしょ、いたか、った、のに』


「…いい、良いよ。もう忘れよう。
というか忘れて。お願い、私だけを見て。」


『…リルっ』


嗚呼…何故君は、叶わない方を向くのだろうか。



「メル、私はね貴方が幸せになるのなら
例えこの心臓が朽ち果てたって構わないの。」



元々貴方が産んでくれた生命なのだから。


だから貴方が泣いてしまうのなら、私はね。



その泣いた原因を殺す事だって構わないよ。


たとえそれが、貴方が愛した悪魔だったとしても。




この手を染める事だって可能だよ。






でも、貴方はそれを、望まない。


傷付いて、勘違いして、そのまま眠って。


貴方が奪うなんてこと、出来る訳がないのに。


そんなことを言った、彼女が…酷く許せない。



もうどう聞いても、正直気分は良くない。
勘違いでしたごめんなさいでは済まない。




それ程、もう今消えかけている。




今、闇に飲まれたら…本当にこの魔界は。

残酷な世界を生み出すだろう。



嗚呼、でもそれでもいいかもしれない。
魔界はとても…厳しい世界なのだから。
厳しい世界を、望んでいるということなら。
割と合っているのではないかと思う。

でもね、

「“契約”はまだ取っておこう。
今は時間をかけてゆっくりしよう。」



幸いなことに、私達の寿命は
アッと言う間に過ぎて朽ち果てる。




それなら、私達はね。


「ほら、君の好きな食べ物を作ろう…
なんなら時間軸を歪ませる事だって出来るよ。」


『…する。』


「…分かった。
外の空間と中の空間は時間がとても遅くなる。
大体外の一日でも中は一年〜三年位」


それでいいね。
そう言ったリルにメルはコクリと頷いた。



よし…なら。



「じゃあこのままお休み。私は作ってくるよ。」


『なら…魔力注ぐね。』


そう言って抱き着いたメルにリルはコクリと頷いた。
暫くハグをした後、そっと離れた。
そのままリルは外に出て、メルはベットの中にうずくまる


「…かなり損傷が激しいが、
まぁ痛めつけた分かろうじて生きてはいると。」

それにしても…ころさないなんて、放置するなんて。
甘すぎるよ、メル。
君を奪いにこの場所に来るなんて可能性は低くない。
私が、守ってあげるからね。もう大丈夫だよ。


…悪魔なんて、許さないから。

そうリルは目を赤く光らせ、
周囲に魔法陣を描き力を使った。
それに地響きが魔界中におきたことを、
リルやメルは知る由もなかった。


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