Novel - Carla | Kerry

HOME > 花畑のモルグ > NOVEL

Novel

憎めたらいいのに

act 9.

メルと身体を起こして数日。
顔色は良いものの、笑顔は見えない。
寧ろ…

「メル…目、赤くて辛そうだよ?」

ずっとぽろぽろと涙を流し続けている。
起きれば涙を流し、寝ていても少し出る。

夢を見ているようだ…
ダリと、一緒にただ笑って過ごす時間を。


それは、今のメルにとって、悪夢であり。
すぐに癒える傷ではないだろう。


「食べれる?」

こくこくと頷いたメルは食事をする。
幸いなことにこの場所の食料は豊富だ。
此間帰ってきていたのもあり、
掃除は一日で終わったし。

ちょっと奥を開拓している。

「そうだ!食べたらさ、北側来てよ!」

『???』

+++++++++++++++

「ほら、これなーんだ!!」

『え…お米!?』

「そ♪お米作ろうと思って!」

いやー農家って楽だよねー
そう笑うリルにメルはきょとんとする。

『でも苗』

「実はこの場所、
私ちょくちょく帰ってた時にね?
バビルスから種を頂戴していたのだ〜。」

『おおおお!!!』

「だから一通りの食材は育てれば出来るし
魔力で育てて時間短縮も出来るよ。」

『食べる…日本料理…』

「あはは!!そうだね!!!
…此処にはもう私とメルしかいないよ。」

『だったら…ねぇ、名前で呼んでよ。』

そう言ったメルにリルはぴたりと止まる。
それはダメだと首を横に振って

『どうして?』

「彼らが来た時、
君の名前を知って
君の身体を縛るのは良くない。
本名は絶対に教えてはいけないんだよ。」


だから駄目。


『…そっ、か。ごめんね。』

「ううん。
本当は沢山呼びたいけど、
いいよ。ゆっくり居よう。
もう忘れていいの。」

『…ありがとう』

そう笑いながら、また貴方は涙を流す。
…嗚呼、あの時と全く同じだ。

灰色の世界で、
母親が貴方から
そっと離れて出ていったあの時と。

あの時は…十数年単位で彼女のサポートをした。
今回は…どれ程の時間がかかるだろうか?
…濃度を濃くして置いた方が良いかもしれない。

あと、彼らが寄り付けない様に。
そしてすぐに入ってきたことが分かる様に。
対策はしておいて損はない。

幸いなことに、肌に触れていたのは
何もメルだけではない。


リルもまたダリ達に触れていた為、
攻撃するのには申し分ない。

…此処は、絶対に守る。
私が、肉体として出て来たのなら。

+++++++++++++++

メルから6割程魔力を受け取った。

割ときつくて重いが、
戦いは割と憶えている。

メルと死合をする度に、
メルもキレが良くなってきた。

もうこの場所に来て3か月位が経った。
向こうはまだ数時間程度だろうが。
メルのキレも精神的な成長も早い。

一人称がメルを卒業したのだ。
無事卒業。えらいぞ〜〜〜!!!
沢山褒めてケーキも作って食べた。

少しずつではあるが、笑顔を取り戻しつつある。
うんうん、やっぱり涙を流さない方が良い。
可愛らしい姿をしているのだ。

残りメルの試練まで、半年。
その時まで、とにかく
力の使い方は憶えておかないといけない。

メルはリルを作り出して
リルから攻撃の操作や技術を学ぶ。


反対に、リルはメルから
薬草や植物の知識を教えて貰っていた。

お互いがお互い好きな言葉を言うので、
過ぎる時間もアッと言う間だった。

ただ、穏やかな時間が過ぎていき
朝が来ては夜がすぐに来る。
でも、のんびりしているのはいけない。

朝は五時半に起きて六時に動く。
朝食は食べて、仕事の時間を
とにかく鍛錬と勉学に充てた。
勿論適度に植物に栄養を
与えるためにも作業は欠かさない。

もう実写版牧場物語である。
メルは嬉しそうに笑って
土を素手で掴み泥団子を作って遊ぶ。


…この時間が、続けばいい。
このまま成長すれば、割と穏やかになる。
が、メルの力が魔界にどれ程影響があるのか。

…そして、私リルにも影響が及ぶのかが分からない。
勿論…


警戒していることだって、起きる。

「(外の応援が来て
この場所がバレるまで
最短でも3時間。)」

大体ではあるが、今現在外の一時間は中の一か月だ。
なのでそろそろ気付いて中に入ってくる可能性が高い。

そう思っているとブザーがブーと音を鳴らし始めた
手を洗って綺麗にしてから部屋に入ろうとしていた

『っ!!!』

「メル!!中に入ろう!!!」

そう手を取ってドアを閉める。
メルいいねそう言って
手を掴むリルにメルは頷いた。

君の力を。私も。
そう片手を絡み合わせる様に握って。

リルと共に部屋の地下に篭る事にした。

パチンと電気を灯す。


「いい?前にも言ったけど、
此処は私達が圧倒的に有利。
敵は君も知っている通り
間違いなくバビルスの教師。」

『うん…』

「ノルマはこの場所から叩きだすこと。
外と中の時間が違うことは彼らは知らない。
最悪自分たちが外に出て
もう一度結界を張ろう。」


『うん…帰らないって、決めたからね。』


「そうそう、その意気だよ
…君は私のものだし」


『私は貴方の者だよ…リル、好きだよ。』


「私も好きだよ…メル。」


そう手を取って頭をぐりぐりと合わせる。


好きだよ。貴方が好き。だから守るよ。






あんな悪魔の中に溺れるだけなんて。




許さない。




地獄を見たいなら見せるしかない。





「さ、多分この場所はバレる。
次のポイントまで身体を移そう。」


勿論音は複数に。
そう言ってパチンとメルを作り出すリル
それにメルもリルを作り出した。

一人、二人ずつ。メルとリル三人ずつの計六名。


さぁ…狂ってしまえ、悩んでしまえ。



お前らが欲しているのは、扱いが難しい魔樹の力。


その手で受け取るのは不可能である。





それを奪うなら、それ相応の覚悟を必要とせよ。



『…敵、確定。伝えるよ』


「おけ」


『ストラス・ダンダリオン・
ナベリウス・マルバス・
イフリート・イポス計六名の悪魔』


「モラクスとサキュバスは?」


『不明多分外で連絡網だと推測…
……ねぇ、とんでもないスピードで
ナベリウスとダンダリオンがこっち来てる。』


「いやいやーまっさかぁ?」



そう地下を浮遊して
とにかく音を立てずに動いているし

なんなら六体もいるし、
他にも地雷やら攻撃魔術やら催眠剤なら
もう出来るもの全部作っているし、


悪魔に効果あるように
此方に効果が来ない様にもしている。


もう時間は沢山あったのだ。やるだけやったわ。



というのに


『っ!?リルっ!!』

そう言ってメルはリルに抱き着き保護をする


すると上から地面が崩れ
そのまま保護膜が咥えられた



「…ほぉちょこまかとネズミが
這いずり回っていたと思えば、本体か」

「全員に告ぐ、目標物遭遇。至急北側奥に。」

「…メル」


『ばっっか!!
今必死にやってるわ!!!』


そうニヤリと笑いメルは力を維持していた

ケルベリオンからの噛みつきに
メルはキープしていた
伊達に保護は鍛えていない。

ニヤリとカルエゴに笑い声を上げた


『やぁ!!来るとは思ってたけど
随分と遅かったんじゃない!?』


「何閉じこもっているんだ。帰るぞ」


『はっ!!やだよ!!リル!!!』


「ゴーズウェイブ!!」


そう手を叩いて保護膜を切った瞬間
土を突きだしケルべリオンに刺した

そのまま着地した途端、
背後からの攻撃をリルが防ぐ


「…会った時は敵だって
言ったよなぁ?
ダンダリオンよ」


「はっ!僕に勝とうって??言うねぇ!!!」


『リル!!!』


「貴様の相手は俺だ!!」


そういって攻撃が来るのを
ㇳッと足に力を入れて飛び避ける

それにダリが魔術で捕獲しようと
するのにリルが攻撃を入れる

短剣にダリは何処に忍ばせていたのか
アイスピックのような短い杖を取り出し交戦する


「ったく!!ほんっ、と、
はなし、っきか、ない、よね!!」


「はっ!!おま、え、がっ、
した、こと、わかっ、たのか!!!」


「…僕何もしてないって。」


「本当に腹の立つ男だなお前は
…メルが優しい子で良かったな?
私が主なら…今頃貴様を八つ裂きにしてたわ。」


「へぇ?
そりゃ、出来るもんなら
してみるんだね!!」


そう攻撃をしてくるダリに
リルはニヤリと笑い指を鳴らす

メルの姿にダリが驚き怯むのに
隙を見たリルは腹に蹴りを入れた


「っ!ダリ先生!!!」


『ぬるいっ!!!』


そうメルが
カルエゴの背中に槍を突き刺す
血がパタパタと流れるのに
痛みで地面に身体を落とした


「な、んだ、この…威力、」


『はっ!対バビルス用の攻撃特化だよ!!
私もう一人称メルじゃないからね!!』


「時間の進みが遅いのか、」


「あ流石にバレるか」


「…待って、今何時?」


「…さぁ?何時だろうねぇ???」


そう言ったリルにダリが目をギロリと睨みつけた
メルの時間が残り少ない事は
百も承知しているダリに



それは喧嘩を売ったということ。



「少なくとも君達が思っている以上に
時間は進んだ…
もう戻れないんだよ!!!メル!!」


『あいよ!!!』


そう手を叩いて力を使い
ダリやカルエゴの身体を空中に突きあげる


するとダリをスージーが、
カルエゴをマルバスが受け止める


『チッ!はえぇなやっぱ!!リル!!』


「はいよ!!ラファイア!!!」


「そんな安い炎で
僕の炎に勝てるとでも??」


『リルっ!!きゃっ』

「っ!?しまったメル!!!やっ!!」


そうカルエゴ達に放った炎を
一瞬でイフリートが消し去り

イポスの家系魔術で
メルがイポスの方に飛ばされ
そのまま腕を後ろに掴まれて
身動きが取れなくなる

リルもまたイフリートに
拘束され動けずに
身体を何とか逃げようとする



「こらこら、落ち着けって」


「っは、な、せ!!!
こっっっの馬鹿力悪魔!!!」


「わぁ〜血の気盛ん〜♪」


『リル!!リルっ
やだやだやだ!!!!』


「っ!メルちゃん!!
暴れないでってば!!!」


『いやだ!!私はこの場所が良いの!!!
約束の邪魔をするなら…
例え、例え大好きな悪魔でも!!!』


「っ!?ぐっ!!!」


「イポス先生!?っぐ!」


そうメルが足でイポスの顎を蹴り上げて
怯ませたのを機に距離を取る

それと同時に気が逸れたエイトの隙を狙い、
リルも逃れてメルの元による


『…リル、』


「させませんよ!!」


「…こう囲まれて、逃げられるとでも?」


「…っ」


メル、隙を見て逃げよう。
そう脳内で通信するリルにメルは
OKと通信で答えた。

身体を動かせば間違いなくバレるからだ。


「え〜〜〜っと、
まずどうすればいい?」


「ふざけるなどう考えても
貴様のせいだろうが!!」


「いやいや、ど〜考えても今回は
ダリ先生とスージー先生が悪い。」


「いやでも受け取った場所が
悪いんじゃないの?
って言うか僕、言われるまで
一切気付かなかったから
正直聞きたい位なんだけど。」


なんか仲たがい起きてる??待って??


「ふいっ、私だって
本当のことをお伝えしたまでです」


「スージー先生迄!?
君達反省の色見せてたのは!?」


「なんかこう暴れたら
謝るのも馬鹿馬鹿しくなってきた」


そう言ったダリに
はぁとリルがキレる

「メルの純粋な心に核に
傷をつけて馬鹿馬鹿しいだと?」

『っ!!やめて!!!』

そう言ったメルに
リルがでもと振り返る
そう振り返った場所は…

「…メル」


『いいよ…いいよ』


「…また泣いてる。泣かないで。」


そう腰を落としたメルに
そっとリルは抱きしめて背中を叩く
それにスンスンと涙を流し続ける


「大丈夫、大丈夫だよ。
誰も責めてないし怖くない。
これは夢だよ。大丈夫夢だ。」

「…メル、」


「馴れ馴れしく呼ばないでくれる?
この二か月ずっと泣き続けた子が
ようやく笑顔を取り戻して
前を向きだしたというのに
…それをお前らは…」


『い、いい、の…もっ、ふっ、うっ』


「…よしよし、大丈夫だよ。」


「…ひとまず、
話だけでも聞いてくれるかな。
それから離れるなら離れるで
決めて貰って構わない。」

この通り。

そう頭を下げたダリに
リルは暫く考えた後
息を吐いて答えた


「…場所を移動しましょう。
部屋に案内します。」


メル立てる?そう顔を見るリルに
メルはコクリと頷いた
しゃっくりを上げながらも立ち上がり
リルの手を繋いで前を歩く。

「大丈夫だよ、私がいるよ」

好きだよ。大丈夫。傍に居るよ。いいよ。
そうメルに言い聞かせるように
リルがとても優しく、穏やかな声でいう。

それにメルはごめんねと言って
涙を流し首を横に振っている。


「…アレをみてまだ謝らないと?」

「…すいません」

/utakata3/novel/74/?index=1泡沫の白昼夢