ねぇ、ルーシー。私を知っていますか?4
『うーん。』
「どうしましたか?」
『気は分かるんですよね。でも操作が難しい。』
まぁそらそうでしょうね。
「貴方は精神が不安定です。アイティさんは数時間で習得しましたが、彼女は元々貴方を守る為に外で生きて居ましたし、加えて維持を強く持ち得る子。あれ程安定して居たらすぐに習得も出来ます。それに戦闘系の子でしょうから。」
寧ろあれ程早くないと話にならないという。対して都結は真逆。回復とあれば習得は先でも良い。
「まぁこのままでしたら三年いや五年くらいは掛かるかと。」
『…そっか。』
「(貴方の寿命には、とは言えませんね。)」
流石に聞いていないコルンでもなかった。近くに居たから猶のこと伝わった。知っている者も含め、機械的なものは元々着手しようとは思っていたが、気乗りしなかった。だが、助けてくれた恩人が困っている。それもそう言った関係で、とあれば話は別だ。寿命も限られているにしては短すぎる。
機械に強い第三宇宙を筆頭に、各天使らも調整を重ねている。来週末には基盤を作り、テストとして持ち込んで来てくれる話を聞いている。その間に食事や日常のルーティーンだ。出来るだけ部屋は彼女の部屋にと思ったが、止めた。あの場所を彼女は作り上げたいことだろう。1人で、気を使ってだ。界王神に相談したらそりゃあもう途方も無いと言っていた。まぁ思った通りだ。
「どれくらいかかると思います?」
「そうですねぇ〜正直十年は軽く見積もった方が良いかと。」
「ですよね(叶わないと分かっていた、か)」
嬉しそうな声だった。それはもう、聞いたことがない程に。その声を貴方はあの人は聞いていたのですか?あの人だけに、見せていたのですか?その紅茶もケーキも調べたのですか?意味も全部お知りだったのでしょうか?だとしたら何故魔法を解いてやらないのです。きっとお父様は貴方に解いて貰いたいのですよ。貴方が鍵を握っています。貴方が解いて上げて下さい。扉を開けて出迎えてやって下さい。その部屋に出迎えて下さい。我々天使は私はこの誰よりも強くなれるだろう天使である私ですら出来ないのです。
貴方が創った理想郷で、貴方が魔法を解くというならば。
私は鬼にだってなりますよ。だって貴方が望んだことです。
だってこれはあのお方が唯一望んだ貴方とのねが
「立ちなさい。まだ訓練は終わってませんよ。」
『うぎゅ…痛い。』
「これしきで弱音を吐いてどうするんですか。まだ三回程払い落としたばかりですよ。」
『かてねぇ』
「勝とうと思わないで下さい。この私に勝つだなんて数億年早いですよ。」
『じゃあ数億年前から来たら私は勝てる???』
「阿呆。そんなこと出来たら時間操作で一発アウトですよ。消滅されたいのですか。」
そう言えばやだあと声を上げる。はぁ…現在アイティはリキールの手解きを受けている間だ。基本的にアイティは全破壊神と連続で戦って勝利を前提としている。其処で全員から承諾を貰ったら今度は天使。最後に大神官と闘って許可が出れば、新たな神の力として確立する場所に。都結はそのサポートに任命される話で通った。
とあれば、ある程度の組手は出来なければならない。というか、出来なくとも自分の自衛程度はと思うが、思う以上にこの子、どんくさい。絶望的なのだ。人間としては割と良いが、それはあくまでも人間の範疇での話。神々の中では話にならない。これは別の策を講じた方が良いなと考えて居れば嗚呼アレが良いのにとぼやく。それに声が出た。
「”エンジェルチョーカー”?なんですかそれは。」
『ん?嗚呼直訳で”天使の首輪”って独自の道具ですね。私が想像で作ったものでして。結構面白く設定作ったんですよ。首元に取りつけるもので、全天使らの気を宝石の中に組み込み自在に扱うものです。』
「ほぉ?他には?」
『後は天使を五分だけその場に瞬間移動させること、とかか?まぁ〜場所とか指示をってことも面白いですよね。五分だけ強敵の天使を召喚出来る。何とかして!とかだったら本気で戦闘しなくてもいいですし、消滅対象にも入らないかと。とは言ってもまぁたかだか五分間ではありますがね。』
首輪は特定の人間が付けて外すしか出来ない仕様にしたら、本人が外すことも外敵の人間が外すことも出来ません。GPS所謂何処に居るかわかる的な形がいいなと。自分から瞬間移動も考慮したが、それだと気をそもそも扱えないと話にならない。
気を使えたとしても、此処で大事なのは天使から借りているという位置だ。モノを借りているだけなので扱えないするとどうなるか。答えは単純。瞬間移動は脳で気を形を正確にその場所に移動するものだから、普通に位置ズレで肉体が粉々である。
『まぁ一分程の時間を巻き戻しとかも入れてましたが、流石に力がな〜と思って付けてたんですがね。現実的ではないな、と。五回でしたが欲しいなら三回が限度かな。それがどうかしました?』
「ふむ。もしも欲しいと言えば貴方は付けますか?」
『そりゃあまぁ。大神官様からえ待って待って待って待ってちょっとこる』
「聞いていましたね?皆さん。どう思いますか?」
待って通話してたの!??!?!
そう驚く都結にええとコルンが答えた。都結が飛びつくように杖を持っていた方の腕に飛びつき叫んだ。ニヤリと笑ったコルンが此方を向いて話しをしてくれる。
「貴方からの話を早々お聞きすることはありませんから。それで、どうします?」
”賛成しますね。現状来て一か月程度。”
「その状態で気を察知することは愚か、気配を気付くも専ら野生の勘頼り、とは話になりません。我々の気を扱えるとあればそれは良い話でしょう。」
「まぁ気をそもそも扱えるかどうかの訓練もまだでしょうし、其処も懸念点ではありますが…」
「ですが、我々程の高密度で高濃度に耐えられる宝石がこの世に存在しますかね?」
「嗚呼それでしたら”作る”というのはどうでしょう?」
そう提案したのはウイスだ。宝石を物理的に作るとあれば話が変わってくる。物質も必要になってくるのでこの世で固い物を持ってくるのと、後は加工して曲がったり出来るものも必要になってくるだろう。各天使らで手分けして宇宙の隅々まで見てやれば、きっとカッチン鋼よりも強固な宝石が出来ることだ。あれはどっちかって言うと貴金属の為、宝石には成り得ない。まぁあっても宝石の器程度だろう。それには採用していいだろうが。
「良いですね、ソレでいきますか。つかえそうなものがあれば持ってきてください。」
「わかりました。」
『わあ話がまとまってら。カッチン鋼があるんだから対義でキラリン宝石とかあるのかねぇ〜』
「……キラリン鉱石だったらありますよ、?」
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「嫌まさか彼女が言ったことが本当に現実と化すとは…」
「摩訶不思議ですねぇ〜〜〜〜」
そう天使らが少し考え抜いた三日後、持ち合わせて来たもので、本当に出来上がってしまった。青い宝石だ。光に当てれば色を変える。太陽の温度で紫色や赤色に変化するようなものに出来上がった。まさに都結の目の色そっくりだ。今は色が変わるが、いずれは色落ちするだろうと都結は言っていた通りになった。一か月も経たないうちに色を落とし、今はほぼ黒い眼になっている。
コロコロと色を変える彼女が羨ましそうに見えた。最初気を扱えていたのも今では点で使えなくなっていた。絶望的だ。天使が小さく作った気を、ともいかず、此処で登場するのが
「お?気を持たせろ?」
「僕の気じゃこの子の手に余り過ぎる。小さくしても神々の気は神々の気。」
「悟空さん達人間が限りなく小さくした気の方が相性がいいんですよ。」
「それで俺も連れてこられたのか。」
此処は第七宇宙。大神官にも許可を貰い、特別に都結がアイティと離れて移動を伴った。今は怖くてウイスの後ろに隠れ切っているが…
「それでその子がウイスさんの後ろに居る奴ですか?」
「えぇ、数か月私が居なくなったお話を覚えていますか?」
「ああ!居なくなって困ったんだぞ〜?」
「その時に大変世話になった恩人です。」
『そんな!私そこまでっ』
「しー…それ以上自身を否定されるならば、怒りますよ?」
『ひ』
そう言われて、何も言う訳もない。しょげた後、ちらりと上を向く。ウイスの目を見て聞くのだ。
『何処にも行かない?』
幼子の様だ。歳は上だろうに。その言葉に、少し快感を覚える。今は大神官にも求められない。自分だけを、求めてくれることがこれ程までいいものだったとは…これは怒られるな。手を出せば、間違いなく。あの睨んだ目以上のことになるだろう。
「えぇ、何処にも。」
『…えと、これ何処までどうするんですけね?』
「まだ挨拶が出来てませんよ。」
嗚呼そっか!
『私の名前は都結…そう、都結って言います。貴方は?』
「オラは悟空!孫悟空っちゅーんだ!こっちはクリリン!」
「クリリンだ。警察官をやってる。」
『わぁ、お巡りさんだ!猫ちゃんもお家に帰らせてくれる人?』
「ん?あ、ああそりゃあまぁ困った人がいれば、猫も帰りたいところがあるだろうしな。」
いいね
『(私も帰らせてくれたらいいのにね、そんなの願っていないのに。)』
「(…貴方の望む場所は何時だって可愛らしい場所ですからねぇ。そして残酷。)」
小さなあの箱庭の中だけを望む人間。アレは、毒だ。もう毒されて助けてやれない。ふと思ったのです、都結さん。その願いが叶った後、貴方は一体何をなさるおつもりだったのですか?
貴方の”帰る場所”は本当にその箱庭の中ですか?
「(…なんて、聞いても答える訳もないでしょうがね。)」
今はクリリンの気を持とうとして手放している処だ。怖くて、でも気になっているのか気には顔が向いている。が、腰が引け過ぎている。これでは難しい。時間も取っていることだ。ウイスは都結の身体に触れ、座ってと促してしまう。少々行儀が悪いが、少し股を開き、その中に彼女を入れてしまう。この開いた小さくも広い範囲が彼女の動ける位置だ。まるで箱庭の様だ。
此方を見上げて、首を傾げている。
ニコリと笑って、答えた。
「この中でしたら助けてやれますよ。ほら、クリリンさんの手から受け取って下さい。」
『何も傷付けない?』
「貴方がそう望めば、他人の気はやがて自分に廻ってくる。」
『誰も傷つけない?』
「ええ勿論。」
あの人も?
『(戻ってくるのかな、嘘つき。戻ることなんて私が許さない癖して一体何を言うんだろうね?おかしいね。)』
笑っている。顔は未だに、黒く塗りつぶされてどんな姿かわかりゃしないのに。それでも私は誰かわかる。触れてくれた彼が、私の帰る場所だ。この未完成な時間こそが、私の息づける場所。この狭い空間であれば、生きれる。そうだ、全てはあの日に繋げてしまえばいい。もう一度を繰り返すだけだ。そうして何度も何度も続けた結果、永遠とも言える程、途方もない時間に辿り着いていたことを知るだけ。そう、ただそれだけだ。
『おいで?』
気を友達だと、受け入れてしまえばいい。そう思って両手を出してしまう。黄色くて温かな気が、都結の手に入れば突如として色が変化した。見ていた悟空やウイスも目を丸めたし、渡したクリリンも驚いた。
『ふふっ、可愛いね?優しい、あたたかい。お日様みたい?それとも嗚呼君は五月に会えそうな温度だね?』
まるであの日みたい。
『ねぇ、ウイスさん』
「…なんでしょう。」
『気って何でもできる?気を使えば何だって叶う?』
「…それは、貴方がそう望めば。」
『じゃあ夢の続きも見れるかな?』
あの日は帰ってこないのにね。
『私は嘘つきだ。望んでない癖して望んでる様に見せかけた。』
そう言えば、淡い水色にも見えた光が一気に暗い紺色に変色した。その瞬間ウイスの手が伸び、ばっと勢いをつけ都結の手を離し気を落とす。
「その色はいけません。分かりましたね?」
『うん。…大体目途が付いた。いいね、これ。クリリンさん。』
「な、なんだ?」
『もっかいお願いします。』
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「もういいんじゃねぇのか?もう100回はしたぞ?」
「まだ100回ですよ。あと4回ほどで出来る頃合いでしょう。」
『(大体が分かった。コレは感情にほぼ左右されている。)』
あの温かな時間を思い描けばその時間の優しい気に変化する。嗚呼だから大神官は私の気が心地いいと言ってくれたのだろうか?ゼロが少し見えた時、顔色は穏やかだった。強く彼を求めた時、彼は何よりも大事そうに見つめてくれたのを覚えている。幾らでも再生できる癖して、あの日だけは出来なかった。紅茶の前に座った彼の顔は分からない。
それは、来た日が無いから?
そうかもしれない。その日は出会ってなかった。望んでいるだけだ。その穴を今にも埋めてしまいたい。でも、埋めた後は一体どうするだろうか?もう薬はない。効果が切れて、しまう。あれは一度飲んだら一か月程度で何とかなるが…それ以降は難しい。精神的な維持ができ、尚且つ力を覚えるのは今日が最後。
『おいで、そうだ!お名前を付けたらどうかな?ねぇねぇ、物にも名前があるのに、君は”気”って一つだけだろう?そしたらお名前を付けてあげる!そうだな〜何がいいかな?どんな姿かな?』
クロアみたいに可愛い子かな?クロノアみたいにちょっぴしかっこいい子かな?どんな姿かな?可愛い?かっこいい?イケメン?君は何処だろう?君は誰だろう?
『”スピリト”』
「…っそれは」
『ね、”スピリト”どうかな?』
そう言えば気が一気に変化を遂げる。淡い水色だった色が浅葱色に変化し、ふわりと形を変えた。何処か大神官の様にも見え、その気は何処までも澄み渡っていた。もう例えて言うなら山奥から伝って来た水の様だ。キラキラと輝いて何処までも透き通っている。透明の水と変わらない。綺麗な光だ。
『えへへ、”スピリト”うん、”スピリト”良いお名前だね!私は都結っていうの。沢山困ってしまって、私だけじゃ生きれなくて。皆困らせちゃうの。ごめんね、ごめん。ううん。違う。』
前を向いて手を上げた。
『僕のお友達になって。そして光となって、一緒に皆を助けてよ。私の神様。』
それにこたえたのか、喜んで、と言いたそうに。片側の手を手に取った。片方は腰に回したまま、軽くお辞儀をするように曲げた身体が、此方を目だけ射抜いてくる。
「(”模索するな”…ですか。分かりましたそうすることに致しましょう。)」
だが天使らに通達は確実、か。一応録画を共有しておくか。それ以降、都結が気を使う時は決まりきった。まるで魔法の言葉だ。
”スピリト”お願い力を貸して。私に力を神をも助ける力を。
それが彼女の決まりきった、気を使う鍵となった。
この世界に降り立って一か月と少々。漸く彼女は気を習得した。