もしもし、神様?いるんでしょう?3



食事を終えて、食器も片付けて。

『風呂の準備を?』
「えぇ、お任せ下さいませんか?」
『…とりあえず水の温度設定は。』
「既に此方で学びました。」

そう取り出したのは取扱説明書だ。いや、お兄さん日本語読めないでしょうがと言えば、そうですねと言った大神官。

「ですが絵もありますし、貴方の操作も見ていましたので。」
『嗚呼後ろに来ていたのは単に操作を覚えるだけだったのか。』
「なんだと思っていたので?」
『人恋しさに?』
「ひ」

随分な言いようである。これが子供達に、破壊神らに知れたらぞっと顔を青ざめることだろう。クスクスと笑いだしたら、何がおかしいと怒りだすので、すみませんと謝って手を見せてしまう。

「おかしなことを仰るもので、つい。」
『そうかなぁ〜?』
「そうですよ。」
『例え神様だとしても、父親だとしても。会話出来る感情はお持ちのお人であるのは間違いない。だからてっきり、私は貴方が元の世界が恋しくて一人だけの空間に居るのが耐え切れず私の近くに居たと思ってたんですが。』
「……、」

本当に随分な言いようだ。まるで犬猫の様な話である。テレビとやらを見せて来たというか、付けられた処でビルスの様な姿が見えて、動物の話も聞いてはいるが。その様に見られていたとは、嗚呼本当に、おかしい。今度こそ笑ってしまえば、なんでぇ!?なんて素っ頓狂な声が聞こえて、更に拍車をかけてくる。

嗚呼本当におかしい!この私がそのような存在と同等に扱われるとは!

肝が据わっているのではなく、恐らくこの子は

「いえ、なんでもないですよ(…きっと、ありのままの私を見て接してくれようとしているんでしょうねぇ)」

それなら納得がいく。荷物を持たせないように自分でやろうとするのは、客人としても見ているから。でも、自分が知らないことは率先して彼女が教えに行く。それは、自分が出来ないからではなく、自分が知らずに後悔することに向かわないよう、守ってくれているのだ。ありのままで生きれる様に。生き抜いて、そうして、

元の場所に戻せるように。

置いて行かれると分かっていても。それでも、今を、今だけは、此処にいるから。己の寂しさを相手の価値観などに隠しきれると思っているこの子が本当におかしくてたまりゃしないのだ。嗚呼、確かにコレは、癖になる。今の職場の子達が羨ましい程だ。慌てふためいたら全く違う方向に考え出すし、それも全部顔どころか声に出していること、分かっていないだろう。『大神官様に絶対言えないけど』なんて言っているが、全部聞こえちゃっているんですよねぇ〜これが。まぁ良いんですけどね、可愛らしいので。

ほんと、可愛らしいことをなさるのですね、貴方は。

「それにしても此方はなんですか?先程買われていましたが。」
『嗚呼、入浴剤ですよ。最初は癖の無いものが良いと思ったんですがね。』

手に取って説明してくれたのは風呂の中に入れるものらしい。匂い付きが殆どなのだが、何の匂いが好きかどうかもわからないので、お試しパックというか、何種類かが入っているものを買っていた。娯楽用品ということか。いやだとしたら申し訳ない。

「貴方のお好きなものをお入れになりましょう。」
『いやいや、流石にそれは』
「私がそう、お願いをしたら、どうします?」
『あう』

困ったように眉を下げる。どうしよう、なんて顔に書いているようなものだ。嗚呼、本当に、お優しいのですね。貴方は。私が少しでもこの場所で楽に生きれる様に、手を尽くそうとしてくれること。私は分かっていますよ、痛い程に、伝わってきます。だから、私は貴方に返してやりたいのです。

貴方の好きになさっていいのですよ。
だってこれは、貴方の人生なのですから。

「それに、救いの主の好みくらい把握しておかないと、ね?そんなことまで言わせるのは貴方くらいですよ?」
『ひゃい!僕は全部好きですけどこの緑でお願いします!!!!!』
「ふふ、では入れちゃうようにしますね。」
『よろしくお願いします!!!!!!!』

本当に面白い子だ。ちょっと弄るとすぐに声が裏返る。慣れた時が少々つまらなくなりそうだが、その時は別の方向から責めたらいいか。なんて恐ろしいことを考えている大神官のことなんて、つゆ知らず。都結はというと、普通に風呂の先の話を考えていた。一応下着を、購入はしている。こちとらジェンダー、伊達にトランクスも着たことがあるんでね。

『(一応下着は両方置いて置こう。片方が残っていたらそっちが好みか、いや数日様子見だな)』

子供用に近い処で購入しておいてよかった。自分の体格に近いと思っていたし、恐らくサイズはぴったりか、ちょっときついかもしれない。正直私が着たら、恐らくぶかぶかだという範囲で買っているが…どうしようこれで少し余裕があって良いとか言われたら。私泣くぞ。一緒だと思ってたら違いましたとか泣いちゃう私。

「さて、次は何かすることがありますか?」
『そうですねぇ、流石に歯磨きやらは昨日説明しましたし、ドライヤーとかの説明もしちゃったしな。』
「……。」
『(何時もだったら絵を描いたりして時間潰ししているが、彼が居る状態でそんなこと出来る訳がない)』

本人居るから愛で倒したいです。なんて口が裂けても言えないし、思っているのが伝わって…ん?

『大神官様』
「なんでしょう?」
『今私の考えていることが分かりますか?一つ言葉を繰り返していますが。』
「…それは私の知っているものですか?」
『いいえ。恐らく知らない言葉かと。』
「……分かりませんね。因みに答えは?」
『スクリュードライバーです。』

全く知らないでしょう?そう言えば、ええ全くと答える。

「それはどういったものですか?」
『特に意味合いはありませんし、私も正直分かっていませんので、調べないとお答えできません。』
「おや、そうでしたか。それで、何か分かりましたか?」
『えぇ、顔に出たり、仕草で判断されている、ということが分かれば此方は構いません。』
「…ひょっとして、私が心を読めると?」
『視野に入れましたよ。でも、もしそうなら最初の段階で行動が変わるな、と思って。』

もっと行動やらなんやら早かった筈だ。まぁ私の顔がコロコロ変わっていたことだろうし、それでまだ早く決められたんだろうが。

「読まれたくないので?」
『そりゃあ、まぁ…』
「もし読めるようになっても、なるべく読まないように致しますよ。」
『出来るんですか?』
「えぇ、貴方だって見える物を一々視野に入れて、認知するなんてしますか?」
『いや、しません、ね。』
「それと同じ原理です。其処にあるだけ、と捉えるだけで中身を知ろうとしなければどうだってない。それが出来ないと、頭の中が混乱しますからね。」

それもそうか。だってその場にいる人の心の中が手あたり次第読めたらそりゃあ困るだろう。読めるとは言っても、読まないことが出来なければ力の大会でなんて大変なことになっているだろうからな。

『…あ、なんかすいません。強制しちゃったみたいで。』
「構いませんよ、人は誰しも隠し事ありますし。」
『お風呂が沸く迄、ゲームでも覚えますか?』

私が居ない時に、貴方が手持ち無沙汰になんて、ならないように。

だって今は二日目。貴方が来て、初めての一日が過ぎ去った日だ。明日と明後日は休日だが、その後は仕事がある。この機会に、使い方を教えておいて損はない、が、だ。それよりも。

「ええ、是非」
『では少々お待ち下さい。』

少しずつ覚えさせてしまえばいい。

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「此方は?」
『”神経衰弱”と呼ばれるカードゲームです。』

とは言っても、通常の神経衰弱とは違う。実はこれ、幼少期にやっていた祖母直伝の知育ゲームなのだ。遊びながら自然と言葉を覚えられるので、とても効果的である。シンプルイズザベストである。用意するのは紙とペンだけ。出来れば色ペンがあれば尚のこと良い。後はハサミだが、別に合っても無くてもいい。折って切り取ったら良い話だからね。

カードサイズに切り取ってから、同じ数同士枚数を整える。最初は3枚で、の方が良い。説明も兼ねてだ。通常は9枚程がいいかな。ダミーも含めたら、説明だけでも9枚がいいか。カードを裏表で分けて、片面を平仮名1文字書いてしまう「あ」「い」「う」みたいな感じの文字だ。他の用紙には、関連するその文字が含まれた簡単な単語を入れる。今回は例題として、彼が知っている範囲で行う。

一応単語の横に簡単な絵を描けば視覚的にも覚えられるし、私も絵を描く勉強になる。まだ書いていない大きなスケッチブックを急ぎ持ってきて、スマホ片手に絵を描いて行けば、じっと見続けてくれる。こと、数十分。

『できた…!!!!』

ちょっとしたルール説明用の簡易ゲームが登場である。

「此方は?」
『先程言っていた神経衰弱です。気に入ったら追加出来るのもあって、これが良いと思って。』
「どうやって遊ぶものですか?」
『ご説明します。』

まず、カードを裏返してシャッフルをし、机に並べます。
順番に二枚ずつカードをめくり、ペア、つまり同じ文字や関連する文字を探します。
例えばペアの例として「あ」があれば「あり」なんてね。
正解ならそのペアを獲得し、次のターンに進みます。
最後に多くのカードを勝ち取った者が勝ちです。

『どうでしょう?』
「いいですね、早速やってみてもらっても?」
『えぇ、嗚呼〜「ど」かぁ…』

これかなぁと思って開いたものは違うものだった。

「これは、お鍋、ですかね?」
『そうですね。良くわかりましたね。』
「絵で判断したまでですよ。…ひょっとして、この文字がこれですか?店で見た時とは表記が違いますが、此方では似たような言葉が多数あると?」
『…よくわかりましたね、いや、恐れ入った。』
「ふふ」

いや、物の数秒でこっちの手がバレてしまったら降参である。

「ですが一人勝ち出来ませんよ?」
『勝たなくて良いのです。』
「私に覚えさせたいとは、貴方も本当にお優しい方ですね。そのうちその優しさに殺されますよ?」
『もう何度も殺したんで良いですよ別に。』
「…生きています、よね?」
『精神を、ですよ。はい持った。』

そう言っている間にこっちが一枚持つ。

『自分自身なんて幾らでも作って殺せばいいんです。そうして勝ち取る未来が見えたら良い。』
「随分と自己犠牲な考え方ですね。此方で身の危険はないのですか?」
『ほぼないと言って過言ではありません。自ら命を落とす子が後を絶たない程に、平和なんです。』
「自ら手放すとは、惜しいですね。」
『そうとも限りませんよ。』

否定され続けたら、人間すぐに駄目になる。それの修復でのコスパを考えたら、死んだ方が楽なケースは幾らだって出てくる。決して生きるだけが救いではない。人によっては死ぬことこそが救いなことだってあるだろう。生きる事だけに美化なんてしてはならない。本質を知ってこその、人生だ。決めつけは時に人を自らを滅ぼしてしまう。それこそ、自殺に追い込む、なんてことはよくあるもので。

よくあっては、いけないものなのに。

『はいあがり。こんな感じです。どうでしょう?』
「これは面白いですが、貴方の手を煩わせるでしょう?」
『と、思うじゃないですか〜じ〜つはこっちにとんでもないメリットがあるんですよねぇ〜!』
「?」

嗚呼、其処迄は知らないだろうな。…まぁ其処迄言っていいものか。まぁいいか。

『私絵を描くのが好きなんですが、好きなものってどうしても偏るんです。』
「まぁそうですね」
『ですがこれって、まぁ分かった通り”大神官様がこの世界の物を認知出来るゲーム”なんですよねあくまでも。』
「…ひょっとして、絵の上達として?」
『その通り!此方は当たり前のように見えているので、嗚呼そんな物があったな。って思い起こせるし、態々描かなくても分かるからいいや、って無視しがちなんですがね。』
「貴方は半強制的にでも絵を上達でき、自身の好きな絵をよりよく描けるように。私は貴方の世界にあるものを知れる。成程、確かにフェアですね。」
『でしょう〜〜!?!?どうですどうです!?』
「よろしいでしょう。では、よろしくお願いします。」

よっしゃ、私の勝利。マジで天才だと思うこの私。

こう言う処だ。こうやって「人が納得出来そうなものに隠して」しまうというものが、良いのだ。本当は、違うんだけどね。お風呂をと言われて、先に入浴剤を入れられているのを感じつつ風呂場に入る。昨日は頂いたからと、背中まで押されたら流石に拒絶なんてした日には全天使に土下座しないといけない未来しか見えないからな。

湯船に浸かりながら、今後のことを考えつつも、先程のことを思い出す。

『(この世界の文字を知って本当の私から一番遠い場所に連れて行けばいい)』

そう、狙いはそこなのだ。数多もの知識に埋もれさせて、本質を綺麗にすり替えてしまう。明日は小物類を買いに行く予定だ。流石にこれは考えていたことだし、ついでに服の着心地も知りたいところである。後で神経衰弱のバリエーションは増やしておこう。要らない用紙というか、使わなくなったコピー用紙とかを使えば良いし、最悪手持ちのことを考え、一部くらいは追加で買っておこう。破ったら継ぎ接ぎに出来るし、燃えたらくっっそ難しいのにすり替え、更に遠ざけることだって可能だからだ。

知らなくていいよ、大神官様。
私のことは、知らなくて良い。
知って消えるのは、もう、

『(貴方みたいになって欲しくなんてないのだから)』

温かな温もりが、涙腺を攻撃してくる。彼が親だからこそ、恋しくなるのはこっちなのだ。ずっとずっと、恋しがっている。でも、彼に抱きしめてもらって、同じ様になんて、愚かな行為だ。どんな罰なら償えるか分からない。だからしないよ、しない。貴方の代わりなんて、何処にもいないのだ。

今すぐに会えるのに、貴方は何処にも生きてやいない。

私が会いたいのは、ただ、その瞬間に生きていた貴方その一人だけなのだから。

『(風呂しか考えられないのは苦痛だが、致し方がないな)』

何時だって隠してきた。私は教員も騙しているのだ。ラスボスを騙せたら、とんでもないことだろう。知らなかったなんて驚かしてみたいものだ。変な楽しみが増えてしまったではないか。どうしてくれよう。

それにしても神経衰弱はいいな。単語でのしりとりも可能だろうし、説明もさせて覚えることも出来る。もし他の子が来ても大神官様が快く気に入ってくれたのになぁ?なんて言えばなんですって?って絶対食いかかってくるだろうよ。うわぁ未来しか見えない。楽しみが過ぎる。まぁ来ないだろうけどね。

制限時間を作ったり、テーマを決めたりするも自由だ。遊びの中で読む、記憶する、発音するということが出来るのは良いし、何が一番良いって、元の世界に戻った時、全王様に提供できる遊びになれるからだろう。あの感じから察するに、恐らく見たことがない、いや発想がなかった。みたいな感じだろう。惑星のおはじきをさせているくらいだ。恐らく日本文化は多少ある。

だってローマ字の逆文字なんだもの。

『(問題はローマ字を教えるかどうか、か)』

此処は避けた方が無難だろう。一応言ってはいるが、正直ローマ字として扱うとしたら高速入力をするためだけだろう。パソコンを扱う、それも単語だけの調べる〜とかならタブレットを扱っていたならば、ひらがなで事足りることだし、それにローマ字は平仮名一文字入れるのに最高三文字も入れないと表示しないし、場合によっては使用できないものもある。

非常に使い勝手が悪い上に、コスパが悪すぎるのだ。これで私が「コスパや互いのフェアを尊重する良い子」がレッテル貼れたことだろうし、避けている理由がこっちにあるとは思いもよらないだろう。少々あくどいが、こういう人間なんだ。許して欲しい。

『(神々の言語を習得するいいチャンスだからな)』

まぁ機密事項が読めることになる、なんて絶対私を逃がさないことになるだろうが、でも元の世界に戻られたら私としては正直勝ちである。向こう側になんて行けるわけもないだろう。行ったら凄いよ。あれこれフラグにならないよね?

とは言っても、向こうが教えてくれるわけないし、こっちも文字を見るなんて機会は恐らくないだろう。一応知っているとしたらローマ字程度だし。まぁサラッと前に言ってしまったとしていても、こんな濃厚な毎日で忘れることだってするだろうしな。よし、風呂からあがったら、色々手をつけるか。

そう思った都結は風呂から出ることにした。

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「お風呂頂きました。」
『いえいえ、私の後で大丈夫でした?』
「えぇ、随分と良い香りがして、とても落ち着きました。出来れば今後貴方の後に入っても?」
『いや私としては構いませんが』
「では構いませんね。」
『いやでも』
「二言はない、ですね?」
『ひゃい』

うう、客人それも大神官様という上の方を後になんて、心の中の私が許していないんだが、それも分かった上での返事っぽい。はぁ、本当に狡い人だよ。お前って奴はほんとによぉ、このショタパパが…。

「それで、今は何をなさっているので?」
『嗚呼なんでもないですよ。所詮趣味です。』
「………。」
『嗚呼分かりました分かりました。小説ですよ。』
「小説?貴方物語にも手掛けているというのですか。」
『えぇっとですね、引きません?』
「ひく?何をですか?」
『拒絶というか、そういった類ですよ。』

するわけないでしょう?何て言ったので、爆弾発言を投下した。

「え?」
『ほらーひいたーーーーー』
「嗚呼いえ、聞こえなかったので、すみませんもう一度。」
『だから”天使達と出会った時どうなるかの妄想小説を書いている”んですってば。うわ〜言語化したらくっそ気持ち悪いな私。』
「……ちなみにその中に私はおりますか?」
『普通に登場します。』
「ご拝見しても?」
『読めませんよ!?というか読めるに値しないですが!?!??!』

一応R指定は省いているとは言っても作者。全部見れる。未公開も全部網羅できる。その為、このパソコンを扱われると結構困る。こっちは確認用なのと、面倒だからで使い始めただけであって、普段はこっちで入力はしていない。一応ログアウトして、中身も消去してしまう。

「何をなされたので?」
『証拠隠滅』
「え、消したんですか?」
『まだ貴方には早過ぎるんでね。嗚呼言っておきますが、これ、データ消去といってもログを消すだけです。存在事抹消する訳ではありませんのでご了承を。』
「てっきり私が見ただけで消したのかと。」
『ちゃんとバックアップはありますし、其処ら辺ご心配なく。』

それにパスワードもある。彼が此処に辿り着けるかどうか、気になるところだがな。意味合いもしっかりしているから、解けるものなら解いてどうぞ、だ。此処まで知れたら、大体の私が推察出来てしまうし、もしその時はきっと、

『終わりだろうがな。』
「え?何か仰いましたか?」
『いーえなんでも。』

どうか知らないでね。その鍵を開ける暗号なんてものは。その先にある、世界なんて、知らなくていいよ。貴方が知るのは私が居なくてもこの世界で生き抜ける知恵だけでいいのだ。それ以外は干渉してはならない。

貴方が中立を守る様に、私も中立を覚えていきたいのだ。

『歯を磨いて寝ちゃいましょうか。明日も出かけますし。』
「どちらに?」
『ふふそりゃあまぁ』








泡沫の白昼夢


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