ねぇ、ルーシー。私を知っていますか?7
それから次の日だろうか?おはようございますとドアをノックして入った処だった。時刻は午後昼を越える処だった。あっと言って振り返った姿に目を止め、持ち込もうとしていた新しいタオルを落としてしまった。
『おはよ、さわあ!』
みてみて、おそら、とべたの!どこにでもとんでいけるよ!
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「…本当に空、飛んでますね。」
「飛んでますね。」
「飛べましたね。」
「飛べてますね。」
「ええい煩いぞお前ら!!!!」
そりゃあそうだ。あの気が見えなかった子が、だ。突如として気を見つけ空を飛びだした。今何時ですかと聞いたクカテルに、聞かれたコルンが確かとはっとする。
「104日後…嗚呼成程周期ですか。」
「どういうことだ。」
「彼女らは8を刻むときに息をします。その途中で進化を遂げる。」
「その感覚が大体104日前後ということか。」
「そういうことです。」
此処で空を飛ぶことを覚えた。気を使ってではあるが、それでも大分低い。大体高くても30p程度だろうか?コルンと並ぶ程度だ。顔が隣にあって尚わかるが、本当に小さい。顔は勿論だが身体もだ。ちょっと掴んで力を入れたら折れるのは間違いない。そう思える程に、改めて思った。まだ大神官様の方がしっかりしているだろう。まぁそうでもないと困りものだが。
『みてみてビルス様リキール様!』
「ん?」
「どうした」
『へへ!コルン様くらいに身長伸びた〜!』
「ぶっ」
「怒りますよ」
「なんでだよ!理不尽だろ!!!!」
笑わずでいられるだろうか。無理だろう。えっへんと両手は腰元に置いて鼻を伸ばしている。可愛らし過ぎたのか、一部の天使がダメージを負って両手で顔を塞いでそっぽを向いて見ないようにしている。サワアが何処と肩が震えているので、多分彼は笑っているだろう。石を飛ばして叩いてやれば「いてっ」と声が出た。ざまあみろ。
「もう少し飛べるだろ。ほら。」
『わわ、ビルス様身長伸びた?????』
「違う飛んでるんだよ。いい加減分かれお前は。」
「お前とはよろしくないですよ第7よ。彼女は都結様です。我々だけでなくあの大神官様をもお救いになられた方。」
「だが気は前と違う。あの状態だったら僕でも倒せるか『無理だよ』ん?」
『貴方はあの人を倒せない。』
へぇいうねぇ?そう目の色が変わる。ゾワリとして少し下がれば、胸元をツンと叩いてくる。
「君は僕を倒せない癖に」
そうだ。そう。その通りだ。でも
『此処を止めた人は間違いなく誰も倒せないよ。』
「じゃあ君は大神官様を倒せると?」
『倒せる。』
言い切った。
言い切ったのだ。それがどれ程の驚愕か、この破壊神らは分からないだろうが、コルンは分かった。もう、こんなこと、医者に言えば嘘だろ?というだろうし、見せたら見せたで発狂してよっしゃとガッツポーズを入れ今晩は飲み会にでも持ち越すことだろう。それ程に、嬉しいこと、喜ばしいことなのだ。彼女が未だかつて、言い切るなんてなかった。
彼女自らが考え言い切るなんて。何処にも
『此処を私が止めたらすぐだよ。私はやり方を知っている。』
その言葉に止まった。嗚呼、これは、喜ばしくない。悲報だ。
『あの人は私と同じやり方をした。ならその倒し方も私は知っている。』
この子は依り代にしている。彼の依り代に、なりたがっていた。
『今育った私その者こそが、止まってしまうことだよ。』
「…それ、意味あるの?本当にそれだけ?」
『それだけ!』
「じゃあしだっ」
『別にしてもいいけど、多分出来ないよ。今は未完成だ。大体20%や、良くて8%程度だ。』
だから今は駄目。そう言うが、では、その「いつか」は来るのか?貴方はまさかその「いつか」の為だけに
「やめなさい」
「…コルン?」
「許しませんよ」
貴方はその時を止める。そして彼は思い出し、彼もまた時を止め、彼は生き残る。貴方は人間彼は天使。貴方は時を止め、そのまま死んで消えて居なくなる。彼は時を止め、そして最期は
「その様な世界、私は絶対に許しません。」
待ち望んでいるのだ。もう分かった。この子は最初から考えていなかった。遠い軌道線だけを見させてきて、その場所は全く違う方向に飛んでいくのを知らせない場所だけを示していた。特徴を見せているだけで、本質を隠していた。のが、今気づいた。予測は大きく違う処に居た。何も喜ばしいことはなかった。何一つも。貴方との約束が出来なかったその日から。
貴方はその心を額に飾り死ぬことだけを望んでいる。
それが分かったら話は別だ。其処ではない。其処に褒美はない。何一つもそれは作り物だ。偽物で、偽善で、何も完成されてないなんなら完成よりもっとも遠くに離れたものだ。違う違う違う違う何一つとして望んだものじゃあない。貴方が望んだ液晶の先には貴方も生きていたはて、思い出せ。
あの二人が共に映った写真は何処にあっただろうか?
「コルン?どうした本当に」
口に手をあて、息をのみ止まる。ゆっくりと息を吐いて、彼女の目を見た。弧を描いている…嗚呼、策士め。腹黒狐はお前の方か。コレは罠だ。私を、嵌める罠。引っ掛かる訳がない。お父様を尊敬しているこの私が、貴方がお父様を陥れたのだと思わせるよう、そして私が怒りに貴方を敵意として見つめる訳がない。全てお見通しですよ。その心を私は読み解ける。
貴方は優し過ぎた。
栞は消えています。なんて口が裂けても言えなくなったではないか。これは決定打になる。間違いない。この子は大神官様を生かす為なら本当になんでもする。というか、する為に空を飛べるようになったと言っても過言ではないだろう。このまま回復も力もつければいずれは貴方が本当に望んだ世界に行く。到達する。間違いない。これは、これはいけない。
「こっちですよ。そっちじゃあない。」
『違うよこっちだよ。私の生きる場所。』
「違います。」
腕を掴み首を振ったも言うことを聞かない本当に言うことを聞かない。据わった目は、あの人にそっくりだ。髪を結んだ二つの髪紐は何もない。捨てたと言っていた。でも知っている。腕に二つ付けているのを。その「捨てた」は貴方の持っている「愛情」でしょう?ですがその心にありますよ。其処にあるのです。見ないふりをしているだけで。ありますよ。
我々は天使ガイド。導く者達です。
「其方は貴方の生きる場所じゃあない。」
ゆっくりと彼の肩で眠り醒めなくなる世界なんて連れて行くものですか。
『ん〜ん?違うよ。此処だ。』
「それは痛みです。嫌だ、というものです。言わねば分からないでしょうから言いましょう。」
『違う。』
「それは貴方が慣らす為です。あの方も我々も悲しくならないように少しでも軽減するための「慣れ」に「成ろう」としなくてよいと言っているのです。だから其処に行かないで下さい。」
『行かないよ、何処にも。』
「今は、でしょう?その影を置いて貴方はすり抜け出て行く。それをするな、と言っているのです。」
思ったことは言いますよ。この私は。あの文章に描かれたように、貴方が想像した通りの世界の様に。私は本当にその、ありのままなのですよ。
エフェメラル様。
華を持った神のお人を、作った者。
都結さん。
貴方の気持ちそのままが、私その者です。
『大丈夫。』
「では答え合わせをしましょう。”だいじょうぶだいじょうぶ、どこにもいない、ばらあとみきよ、めゆのよのこ”これは言葉遊びでもある。我々の言語は貴方の言葉の反対側です。二つに区切って中央を放置します。反対から読めばこうです。」
このよのゆめ、よきみとあらば、いないもにこど、ぶうょじいだぶうょじいだ
だが、これでは読めない。だからこうだ。
「”この世の夢よ、君とあらば。何処にも居ない。大丈夫大丈夫”」
これが貴方の守り。貴方の真意。この儚い世が夢であっても、それでも君が居ればそれだけでいい。これは貴方に渡した言葉です。私が好きだった惑星の言葉でした。黒髪のお人が告げていた。狐の神様に嫁入りへ行く前に。狐の子を見つけて言った言葉でした。私が選んだ神の前に、見た人が、言った言葉。
例えこの世界が夢の様なひと時だとしても、それでもいい。貴方が居ると信じれば、それだけでいい。
だから何処にも居ない?大丈夫?ふざけないで下さい侮辱も大概になさいよ。この小娘が。怒られたいのですか、叱られて、またあの時間に逆戻りされたいというのですか?そうして助ける人は何処にも居ない。貴方が望んでいる人は貴方を想いそして我々天使らを想い自ら封じた。貴方の責です。貴方が解き放たなくてどうするのですか。
何処にも居ないならば、居るところまで走り掴み切って下さい。
その標にだって、なってやれると言っているのが、まだ分からないというのですか。
「茶色は母の髪色、黄色は貴方が初めて触れた希望の色。ワインレッドの服に身を包んだウイスさんを嫌がったのは母と思いたくなかったから。ウイスさんとしてみたいのに、母を思い出してしまう自分が嫌だったから。優し過ぎるんですよ。」
「コルンお兄様…?」
「染めたては明るかったでしょうね、この服の色程に。そしてコニックさん程迄落ち着いた。だから我々二人のことはずっと遠くから見つめる。それは母を想ったから。ですがすぐにそっぽを向いた。それは我々二人と母を区別したかったから。」
「それは、」
「マルカリータさんに抱きしめられて泣いたのは貴方の方だ。母とそっくりの身体で、髪を降ろし、茶色く染め上げ、ワインレッドの衣服に染め上げそして三つ編みに一つ」
『やめて』
結べば、そっくりで。
『…何処にも居ない。もう、歩かなきゃいけないと思った。』
「都結さん…」
『幾ら待ったって分かっていた。雨が降る前から分かった。嗚呼コレは叶わない、雨が降って嬉しかった。嗚呼私の考えたことは正しかった、と。分かったから。だからふと思いついたことはなんでも許した全ては思い通りだった。』
「…けど、それは嫌だった。勘ではなく、意志として覚えたかった。」
そうだ。
『私は貴方達を貴方の尊敬する彼を使ったも同然。』
「だからこのまま?はっ、大概にして下さいよ。何弁えたようにほざく。あやかしいと言えば分かりますかねぇ?」
『っ』
「いっちょ前に皺を寄せても怖くなんてありませんよ。そういうものは…こう、するんですよ。」
怖いでしょう?逃げるな。貴方は立ち向かえる。
「中立は介入を、言いたいことは分かります。ですが貴方も彼も、皆が気を付ければいい。」
『何時か来るその悪夢がくる』
「来ないように防げばいい。」
『それでも望むこの望みこそが』
「望んだっていい。だってそうでしょう?」
想いは止まらない。留めても意味がない。だって止まらないものだから。
「お母様に安心させたかったのでしょう?その日、貴方が一番を見つけてきたのをご報告するために。」
『…っ、』
「よく頑張りましたね。偉いですよ。」
掴んでいた手を緩め、離れていた腕が、身体に引っ付いた。そっと頭を撫で背中をさすってやれば、頭を腹に押し付け下を向いて肩を震わせている。気の色が変化する。ふわりとまるで花の匂いが香る様に。怖くなんてない。
「そう、何一つ怖いものはありませんよ。あったらこの私自らが蹴散らして差し上げましょう。」
「っおと」
「何も恐れることはありません。あるのは私と貴方の二人だけです。もう全てが此処にある。」
「駄目、それはあな」
「大丈夫、もう、大丈夫ですよ?私は此処にいま」
『っすぴ…!!!!!』
ふわりと花の匂いが消える。ばたばたと、音がした。
『ん、此処に、いるね?』
「…いませんよ。此処には、向こうにおられています。」
『いるよ、いるの。此処に、此処にも、いる。』
「いませんよ。だから、降ろさないで。」
花の香りが消えていく。続けてやれば本物が来るのに。貴方は酷く恐れている。いっそのこと一日だけ夢をみさ
「おや、どうしましたか?そんなへちゃむくれた顔をして。」
『あびゅ』
「ふふっ」
嬉しそうに笑って手で拭ってくれる。嗚呼、貴方が此処にい
『(いない)』
ボロボロと涙を流している。陽だまりの下で。隣ではそっとマルカリータが抱きしめてくれていた。何時の間に地面に腰を下ろしていたのだろうか?頬が乾いてる。雨でも降ったのだろうか?地面は濡れていた。でも真下だけだ。他は何処にも
「今日はもう疲れたですますよね?ほら、寝てしまいましょう?」
『でも』
「明日はきます。だから今は」
そっと頭を撫でて気付く強制的に寝かせるつもりだ。動いた都結の身体を、サワアがそっと後ろから抱きしめ告げた。
「ごめんなさい」
嗚呼みんなそうやっていう。私は何もしていないのに。謝ってくれなくていいのに。
視界も思考も切られた。
次の視界が見えた時は、息が止まると思った。
「”はじめまして”私の名前はーーーー。」
私はどうやって呼吸をしていただろうか?
上手く笑えているよね?だって私はあんなにも沢山練習をし