逢いたい図案は頭の中7
「あら、」
「おっと、何してるんだ」
ごめんなさい。と言って下に落ちたコップに手を掛けるが、触れるなとルトラールが言えば止まる。
「あ、嗚呼すまない…強く言ってしまって。傷付くといけないから。」
「分かってるわ。ありがとう。」
「いい…にしても不吉だな。二つも同時に割れるとは。」
両方もつからだろと言うルトラールに、似たようなものを買ってくるとルメリアは答えるが、きっと二人共気付くぞ?という。
「ん?変な音がしたな。」
「ええ、何か切れたかしら。」
プチンと音がした。部屋に響き渡ったその音から、ふわりと心臓いや、胸を変に撫でられた感覚に、ひやりと止まる。
「…誰だ、私達の子にそんなことをした奴は。」
「誰と言いましても、私達は貴方のお子に救われた三回忌の約束を果たしに来ただけでして。」
そう現れたのは身長の低い方の子だった。名乗りもしない、ふわりと出て来た子に、ぎろりと睨みつけるしか出来ない。ふむと言った彼女、いや彼がそっちですかと目を向けたのはルメリアの方からルトラールに、変わる。
「…ほぉ?貴方も随分と血が濃いものですねぇ?ま、別にいいですが。流石は三回忌、我々の願い故のものですかね。まぁ此処に残るって余程通常が良かったとお見受けする。まぁ〜〜〜〜〜あ〜〜〜〜の子ですからねぇ〜〜〜〜〜〜〜。」
出来れば王家に産まれて欲しかったのですが…も〜〜〜〜ど〜〜〜〜してこんな面倒なそれも中間よりも下の方に出てくるのやらも〜〜〜〜〜〜これだからシビアな選択しか出来なくて困るのこっちなんですからね?いやあの子ですからどう考えても困らせに来てることでしょうかね。間違いないですかね。もう間違いないってことにしますよ居ない貴方が悪い。
そうブツブツと目の前で愚痴を吐かれて、目をぱちくりとしか出来ないルトラールに嗚呼失礼と言ってこほんと咳払いをした。
「私の名はそうですねぇ…ノエシスとお呼びしても。嗚呼ノエマでも構いませんよ?正直どっちでも良いんですがね。」
「のっ!?!??!!?」
「嘘、」
「嘘じゃないですよ〜。」
そう言って出て来たのは、ルメリアの背後だった。正確には隣、か。抱き上げられ、意識の無い姉であるエフェメラルが胸元にすっぽりと埋まって眠っているのが見えた。身体を動かしたくとも動かせないのは、彼等の力だろう。
「一応血族というのもありますし、我々律儀な性格故、貴方方にも一応ご報告を、と思いましてね。」
「…その子が粗相をしたようで、責任は私が」
「ルトラール!!!!」
「煩いお前は黙っていろ!!!!」
「そんなことしても無意味ですよ?星の中立者…おっと、目の色が変わりますねぇ?」
やはり貴方でしたか。ルトラール。
「お子は実に優秀な子として育てられておるようで。」
「…何が言いたい。例え神々としても、子に何をするかによっては、恨むぞ。」
「おお怖い…あの子を凌駕することが出来れば、の話ですがね。」
「何?」
「我々の三回忌は”ある子の維持”を司っておりました。そして今回も”維持を望んだ”ということです。」
言いたいことは分かりますね?と言えば、はっとした顔のルトラールがそのままゆっくりと顔を落とした。目を閉じて、下に少し、更に頭を下げた彼に、話を続ける。
「加えてその子は言った”これ以上の願いなんて何処にも生きれない。最大級の願いです。もう誰もの願いを叶えたくない程の結末をお見せ出来ることになりましょう”と、ね。」
「チッ、あの馬鹿…なんてことを……!!!」
「例えほら吹きだとしても、良い結果には変わりない。ご神託に選ばれたお子の片割れであるものですからねぇ〜。此方としても、その願いは非常に、美味でした。期待をして、その願いを”続けることに”致しましょうと。」
それは、もう自分らがこの世の理から一度外れるに等しい状態だった。どんな願いをしたらそうなる。巻き込んでしまうのだと思ったが、大体の察しはついた。大方自分らを鍵として、彼女の精神を守る盾にでもなるつもりなのだろう。エフェメラルは妹思いの可愛らしい子だったからな。
何処に居ても何をしていても、何時だって傍に居て助けてあげる。
そう言い聞かせて育てていた子だ。…似たような願いを言ってしまったのだろう。テレポーテーションの場所は限られている。今でこそ普通に使えるが、それは祖先が範囲を広げ血を引き継いで来た努力のたまものだ。人間で言う処の電車や汽車の線路のようなもの。道を整備し、誰でも使えるようにする。特定の移動は勿論、自由に行き来できる自動車での走行は、こっちでいうテレポーテーションと変わらなかったし、外に出る処は所謂飛行場みたいなところだった。
彼女が願った場所は、その飛行場の旧跡地だったというだけのこと。
それに気付くこともなく、願いを、それもこの半月の日にしてしまっただけだ。嗚呼、本当にドジをした。ちょっと時間が変われば、三回忌の時間にも入らなかったことだろうに。
そしたら三回忌の時間から外れ、もう二度と願いなんて叶わなくて良いと判断されたことなのに。
「信託で[[rb:覚醒石 > かくせいせき]]の使用も昔の様にされていました。実に大変良い状態。流石は真面目で礼儀正しい彼女の血族。あの子はそう言う処本当に嫌というほど根を曲げませんでしたし、ここら辺は其処迄心配していませんでした。強いていうなら時期を見誤るところでしょうか?まぁ彼女の性格上、少々心配癖もあって言うほど約束を破る、なんてこと、あり得ないと思っていたので良いですが。」
「…願いは」
「そんなの言う訳がないでしょう。」
こんな甘美な願いを、人間に、ましてや願いを叶えたかった者に言えるわけもない。
「ただ貴方方はルールの中に組み込まれる。それだけのことですし、その道を一度味わって頂き、その後本来願いを叶えられるだろうお子の内部にて生存させます。」
”同じ様に、同じ時間に、同じ形で、永遠とも見紛う時間の中に”
【”嗚呼ようこそ此方側へ”】
”お待ちしておりましたよ、数多に駆け走る星の中立者よ”
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意識が戻る。ハッとした場所には、ルメリアが倒れていた。ルメリアと叫び意識が戻るのに安堵しているのもつかの間だった。
「…エヴァネセント?お前、なんで」
願いを言った者の相手、即ち此処はエヴァネセントの中に居るはずだ。エフェメラルが願ったのだから、いるとしたらエヴァネセントなのに、しかもエフェメラルまでいる。これは一体どういうことだ。しかもエヴァネセントは起き上がらないというか、そもそも息すらして
「っ嗚呼、そんな、そんなの…!!!!」
触れて世界が見えた。そっと抱き上げ、頭に頬を擦りつけることしか出来やしない。その後の世界が見えたのだ。エヴァネセントは結果として、一度だけ力が芽生えた。維持を培ったのだ。一瞬とも言える場所に手を掛けた子の髪色は黒く染まり、目の色も黒くなってしまう。闇に手を掛けたというのだ。なのに、それなのに、
今迄見たこともない程の、嬉しそうな笑顔だった。
まるで此処が帰る場所だ、なんて言いたそうに。笑って呟いた。
”貴方の傍なら安心出来る”
なんて随分と酷い殺し文句を言う者だ。誰が育てたんだ。誰が。こんなの現実じゃない、こんなの現実じゃないこんなの、こんなの現実であってたまるものか。耐え切れない。いや、耐え切れなかったというか、耐えさせることすら、奪われて一体何と言うべきだろうか。
『”意識の蘇生を顧みます。異常が発生しました。消去します。”』
「は?」
急に目覚めていた子が、とんでもないことを言う。何をと言えば、周りに広がっていた映像が消えていく。
記憶を消去し、力に変換しているのだ。
「っやめろ!!!」
そう言っても目を醒ました子は止まらない。頬に手を使って掴んでも、軽く髪の毛を引っ張ったり身体を抱き直したりと、ありとあらゆる方法を取っても、彼女は反応を示さない。嗚呼、目の奥が見える、信じたくない。星の、形が見えた。横線に切り替わる。停止の目だ。力を使ってはならないというか、使い方を教えていなかったはずなのに、一体誰から盗み聞きしたのだろうか。
『”異常を検知しました”』
そう言って表示されたのは、記憶にも残されていない世界だった。
うっと言って泣き出した人の身体を抱きしめてやることすらできない。この子の身体を抱きしめ、顔を上げ表示された世界を見てやるしか出来なかった。
綺麗な青い空の下で、若草の上に腰を掛けた人々の中に紛れ、でも確かに生きていた。
白髪の子が見えたのだ。
「”再起動を開始して下さい”」
「っエフェメラル!!!!」
「”正常に戻して”」
泣きそうな声で、そっと胸に右手を持って行って、握り締め、そのままもう片方の手で肩に触れ、頬と頬をすり合わせる。涙が落ちて、まるでエヴァネセントが泣いているようにみえて、いや、
泣いて良いのに、泣かない子だった。
現実を余りにも直視出来ないと、人は笑いだす。
『”えへへ”』
嬉しそうに、おどけて、周りの反応を伺うのだ。それは、人間の危険信号だった。もうこれ以上はないのだと、宣告を受けていることにさえ思えた。
「っふ、ごめ、っなさ、わっ、た、し」
彼女は戦った。そりゃあもう、戦った。怖くなって一度は逃げても、直ぐに追いかけ、土壇場で力を振り絞ってその先にある未来を勝ち取ろうとして走り切った。その場所は、アプリシティの胸元であって。
アプリシティを庇って死んだ。
それが彼女の死因で在り、そして願いは
”どうかこの日がずっと終わりませんように”
”維持”そのものだった。
ぱちりと音がなり、嗚呼と声が嗚咽が広がり、音を消さないまま残り続ける。
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暫くして、冷静になれた。泣いたらいつかは止まる。人間の作用だ。冷静に落ち着いて考えれば、此処はエフェメラルではなく、エヴァネセントの体内いや、精神の核に最も近しい場所だということが分かったというか、この身体こそが、この子なのだろう。
「こんなにも小さくなって…」
大体二歳前後だろうか?幼子の時に一度、約束を破ったことがある。確かその時くらいからか、指切りをせがみだしたのは。余り風習を覚えるには悪いと思った自分は出来るだけやらないようにしてやった。その代わり叶えられそうなものはどんなものだって叶えてやったし、それなりに幸せなことだったと思っていた。
だが、この子の位置している場所は、そんな場所ではなく、遥か遠く離れた所に位置していて。
嗚呼戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ
戻れるならば戻ってしまえ。過去の最中に生きていたその時間一抹だけの息を吐きださせて。しまえたら、どれ程良かったか。
どれ程楽になったことだろうか。
「…守ろう。」
「え?」
「この子が望んだ結末ならば、どんな世界だって生き抜いてやる。」
そしてこの子がどんなに嫌がっても、嫌って言ってしがみ付いてやるんだ。
「私は”星の中立者”に位置していた者だ。血族は濃い、左手は外、右手は内側の力を巡らせることに特化している。…お前は右側なんだね。優しい子、何よりも誰よりも、その眼に映った世界だけを、その陰からずっと見守っていることだけを望んだ。」
だから選ばれちゃったんだろうね。大丈夫だよ、僕らは、君の大事な、家族で。
ー生まれ変わったら?そしたら私、父様のお子がいいな!
そしたらまた、楽しくお話出来るでしょう?
「僕は君の父で生き続けるからね、もう大丈夫。此処に居るよ?」
そう言えば、嬉しそうに笑みを浮かべて笑うのだ。嗚呼、そんなこと、思っちゃいない癖して、そんな表情をする。いつか泣けるようになればいい。誰かの為にではなく、
「”いつか自分の気持ちに対して泣けるお人に会えればいいね”」
その時こそ、我々の出番だ。
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「生きてるか?」
「な、なんと、か。」
「いやまさか華として神々の場所を維持していたとは…それもほぼ同じ。」
神官様のお子は見ていたが、まさかあのお子が更に子を成しているとは思わなかった。しかも
「別世界に移動出来るとは…あの子が異常だったか。」
そうアイティもといアプリシティもまた、エヴァネセントと似たように力を持っていた。ただ彼女は三つの力で、欠落していたのは
「”防御”を外したとは、またお前ら凄い奴等だな。」
諸刃の剣と言うべきか、攻撃と回復、そして維持とは正反対の”放棄”だった。維持することを止め、手放すことだ。そっちに長けている子だったのだ。一瞬の力を火力を振り上げ、無理矢理に推し通す。回復をしながら、である。戦術もへったくれも何も欠片一つさえ残されちゃいやしない。今で言う言葉で例えていうならば「ごり押しごーりき」とでも言うべきか。嗚呼違う?古臭いだって?煩い煩いつべこべ言うな。
「とりあえず感情は二つに分けて置こうと思ったが、正直言うと裏表を増やし過ぎても悪い。此処は一人で回す。」
「でもそうしたら耐えられないんじゃ」
「お前が出した再起動がかなり優秀でね。こっちにも影響が少しでも入っている。一度壊れても何度だって蘇らせてくる。」
最早呪いだよ。
「お陰様で彼女は今も尚同じ状態を保ち続けている。何度転生したって、ね。だからこそ彼らが一度たりとも願いを取りに行かない。」
「…幸か不幸か、贄はなくなった、か。」
「現状はね。だが、これが終わったら、どうなる、か。」
「それをこの子は分かっているのね。」
目を閉じている子。黒髪に染まり切った子が地面に寝そべって息をし続けている。眠り切った状態の子は、時々髪色を白に染め上げたり、目を醒ますことだってあるが、それでも限られた時間なだけだった。
「あの神官の幼子の魂と繰り返していたとは、こっちも聞いちゃいなかったよ。」
そう以前も似たようなことがあったのだ。約束を果たすのは、その契りを仲介を出したのが、あの願いをとせがんだ神様二人なだけであって。
「でも幸か不幸か幸いなのか、アプリシティ様は生きていた。それも、今回は一度身体に融合をして我々の現状を知った上で動かれておられる。」
「だがそれもいつまで持つか分からない。今回が三回忌なんだ、此処が修羅場だ。」
願いを叶えるか否か、でもある…が、遅かれ早かれ願いを叶えなくてはならなくなる状況下に陥れられることだろう。敵が出て来たのを、この広い世界にある地面に足をダンと打ち付ければ、地面からどんと音を立て上がって来た本棚の一部に手を掛け、本を抜き取った。
一つの栞が挟まれ其処を開いてしまう。開いたページには、言語魚が見ていた世界が見えていた。
「一度だけでなく、二度までも覚醒石に触れている。それも、今回は世界を渡った状態…」
「敵ってあの敵でしょう?”ルインベルグ”」
ノヴァーリス・クラフトの敵、崩壊の覇者とも呼ばれる者達の集まりだ。ルイン族と呼ばれており、此方の輝きを破壊させてくる忌々しい者だった。とは言っても、この者達元は友好関係に位置していた、というのもだ、
「彼らの石を掲げられたあれは間違いなく”覚醒石”で間違いない。それも、以前我々が使っていたご神託での石そのものだ。」
亀裂の入った星の様な輝きを見せたもの。それが覚醒石である証だし、それに反応出来るということは、力を眠らせているに等しい者。石を司る者達も、元を辿れば此方側の人間では在った。色々あってわけられ惑星も離れてしまっただけなのだが…それはそれである。
「状況を整理しよう。元々神々と天使の間に産まれた子が、生きていた。天使と共に、神に使えるものが、だ。」
色々あって、約束をしてしまう。二度目の世界では何もなく、三度目の世界では自分達が暮らしていた。此処でエフェメラル(生きていた人間)が約束を継続させてしまい、計六回の三回忌が執り行われることになってしまった。次の時間は何もなく、そのまた次の時間も何もなかった、筈だ。
今見たら、ではあるが…恐らく今後明らかになることだろう。何もない、でこの三回忌が執り行われる訳もない。必ずその生まれ変わった魂由来の何かが起きている筈なのだ。それを覚えていないのかそれとも覚えたくないのに覚えないと縋らないと生きれなかったのか、で話は大きく変わってくるのだが…。
「この今現在がその六回忌に位置しているということだ。」
「けれどもあの惑星は今のところ確認が出来ない。」
「…と、言いたいところだけどね、現状最悪の知らせとそれなりのいい知らせを持って帰って来ましたよっと」
「アプリシティ様!!!!」
上から落ちて来た彼女に、声を上げる。お元気そうで何よりですと言って衣服をパタパタと埃を払い落として歩いて来た子の元に駆け寄った。
「して、悪い知らせとは」
「惑星を発見しました。それも非常に良い状態で、大神官ら、正確には全王様の先々代での願いにより、引き継がれている唯一無二の惑星だそうです。それ故管轄も非常に厳重でした。こっちが探してもひたすらに辿り着けない場所に位置しています。」
「っ、」
「何故行けたのですか?」
「色々伝手を使って、のことです。このことは外部へ漏らさないようにしてください。どうかこの場でのご内密に、です。」
分かった。
「それで?いい知らせは。」
「貴方方が記憶を取り戻したことです…すみません、その節は大変ごめ」
「っいいのです、いいっ、そんなたいしたことなど…!!!」
「エフェメラル、」
そう泣きながら抱き着いたエフェメラルに、アプリシティも目を丸めて固まった。
「ごめんなさい、わたしの、おちどで」
「…貴方には、いや貴方らには伝えていませんでしたね。私はあの子に救われていたのです。」
「あのバカ娘に?」
「ふはっ、ええ、その大馬鹿娘に、ですよ?」
あの子は光でした。眩くて、もう日陰に差し込んだ太陽の光を反射する鏡みたいな子でしたから。
「其処にじっと居てくれていました。それだけで良かった。それでもあの子は欲張りさんでした。なので私も欲張ったのです。」
”どうかこの子の一度を芽吹かせて”
「”そして道連れにしてほしい、さもなくば呪い殺す”…とね」
「神になんたる願いを…」
「それくらいの気持ちでないと叶えてくれそうになかったので。現にこうして貴方方と交流出来ていますし、それだけでも至極光栄なことですがね。」
「それは此方のセリフと言いますか、すみません、色々と。」
「いえいえ、私も血族から外れた身で交換されていたので助けられたのは此方の」
「いまなんと?」
「え?血族から離れた身と」
いや、外された?まぁ似たようなものですか。
「私は元々血族ではない。ルトラール様、貴方様こそが、本来の血族であり、正真正銘の、あの惑星に生きていた末裔のお方なのですよ。」
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「わ、たしが?いや」
「おかしくないですか?私ら子供が二人、貴方のご親族も同じような形。」
「…まさか神々にも知らせないように?」
「恐らくは…とは言っても無駄な足掻き、だと思いますがね。魂由来の導きな上に、書面で騙される神々が居てたまりますかって話ですよ。」
とは言っても忘れられていると言えば好都合でしたがね。
「現に現在の大神官は記憶をそもそも引き継いでと言いますか、忘れ去られていました。其処から更に記憶を自ら封印なされたので、下手したら開放直後に色々記憶を変に引きずり上げてしまうかもしれまんがね!」
「引きずり上げてってお前…」
「ふふっ…ですがこれは好機です。エフェメラル、貴方が先陣を切ってくれたおかげで、その子もちゃんと息をし続けている。」
正直再起動は余り芳しくはない。現状自体が、であるが…だとしても仕方がないことだ。映像を見せ続けてしまう。今は寝ている訳でもない休憩途中な上に、アイティが自ら元の状態に戻って形を覚えておきたいと言ったからこその現状だ。記憶の修正やらなにやらを含め、今は時間を有意義に使える許可が下りている。
これを逃したら次はないと思ったのだ。
「貴方方はこのまま維持をし続けて下さい。その話はコルンらあの子だった子の息子らに渡しても構いません。それなりのフォローは此方でもしてやります。今やるべきは敵がこれ以上此方側に侵入しないこと。」
「そもそも何故奴らはこっちを敵対して?元はと言えばこの種族は一つのものだったのに。」
「色々ありますが、端的に言って”置いてった罪を償え”というびっくりするぐらいの理不尽な想いですよ。」
「本当にびっくりするくらいにとんでもない反感を買ってるな。」
だが、それが原因か何かは知らないが、向こうもこっちの手が分かった以上、下手に大神官が時々面倒をみてやることが出来なくなった。それもあって、大神官は「要らない」と言ったのだろう。面倒が見切れないというのは、元々全王様に仕える者だからである。
ま、その仕えるだろう同僚とも言えた全王の腹心が、今眠っている子その者なのだが…それはまた置いて置くとして、だ。
「外側の人間らは別世界やらの移動や掟破りを恐れていますが」
「ないない!あり得ない程にない!仮にあったとしてもそれは緊急措置。攻撃されたから交わして身体を少しでも鈍らせ逃げる為の攻撃手段となんら大差ない話だ。」
「でしたら構いません。引き続きそのものをお願いします。私は外側から貴方達を守ります。」
「いいよいいよ其処迄心配せずとも、こっちも手を出せるようになっている。何せ今回は【タルパ】として生きれているんだ。こっちの管轄も随分と広くて快適。」
「貴方は貴方の管轄を”維持”して頂ければ構いません。此方も対処なさいます。」
「…それはそれは、此方もそう言われたら安心しますね。」
お言葉に甘えて、では。と言って彼女も消えて居なくなる。外に戻ったのだろう。
「…さて、やるか。」