逢いたい図案は頭の中8



「感情の制御、ですか。」
「”えぇ、もう三か月程でしょう?此方に来て我々も貴方方も随分と仲良くなった。ちょっと踏み込んだ力に手を出そう、と言いますか。これが出来るか出来ないかで今後が変わりますのでね。”」
「…ちなみにその出来た暁には?」
「”正直最悪死亡する可能性は覚悟しておきなさい”」

と、言いたいところですね。というのは、現在コルンの元に来てから約三か月が立とうとしていたとある日のことだ。急にルトラールが出て来て話があると言ったので、少々面倒ではあったがコルンが何名かの天使を呼び、緊急的に通話会議を執り行っていた。丁度手が空いた者から入ってくる感じなので、徐々に集まってくるかもしれないが…余り期待はしない方が良い。

「してその力は?」
「”再起動リブート”」

何度も繰り返していることを、現実でもやるというものだ。それにはコルンがぴしゃりと「なりません」と反論した。

「それはあくまでも何かが起きた事情により仕方がなく執り行うものでしょう?何もない時にしたらそれこそ意味がないどころか、元も子もない話になってくる。」
「”何度もしていると?”」
「無論」
「”ふむ…ちなみに、彼女の師匠は?”」
「私ですが」

そう言ったコルンに、嗚呼〜〜〜〜〜とルトラールがとんでもない発言をする。

「”あの子犬がよくもまぁ立派に吠えて”」
「何故そんな話になるんですか!!!!!私犬に成り下がったことは一度もありませんよ!?!?!?!?」
「まぁまぁ、それで?ルトラール様、貴方一体何をお考えなのですか?」
「”なに、とは?”」
「でははっきりお尋ね致しますね?…その子の何を知っているのでしょう?まるで再起動ソレが出来なければその子は今すぐにでも死に絶えてしまう、いや、死ぬかもしれない土壇場で確実に死亡してしまうことになる。と言いたそうですが?」

そう言ったのはサワアだ。ぎろりと、上から見下ろし言った言葉に、おおと身震いしては笑って応える。恐怖を感じ取ったからこその笑みだ。そう思いながら答えを続ける。

「”今は深く言えない。が、時が来たら言ってやらなくもない”」
「なんですかそれは」
「”身勝手の極意をしたことがあるのは、あくまでもこの子の意思とは違う位置だ。危険信号を出したから、仕方がなく別の人格が咄嗟に産まれて反応したまでのこと”」
「アプルさん、ですか。」

そういうことだ

「”ま、此方での指導が出来なければの話だ”」
「何方に連れて行くのでしょうか?」
「コルンお兄様…」
「我々が辿り着ける場所に位置しておられないようにお見受け出来ますが…?」
「”君らは優しいからね”」
「いいえ、中立を守る者です」
「”同類だよ。類は友を呼ぶ、とはきっとこのことを言うんだろうねぇ〜〜〜〜”」

どういう?そう首を傾げる天使らに、ケタケタと笑うしかない。

「”ま、火曜日から木曜日の三日間のみ彼女を借りたい。”」
「水曜日それもひと月に一度。」
「”あ〜はいはい、分かった分かった。それで手を打とう。”」

よろしいのですかという声に別に構いませんと答える。

「私が引きずり戻して差し上げればいいのでしょう?」
「”…血は濃いよ。”」

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その意味を思い知らされている。世界は切り替わり、半円の薄暗いドーム状の場所だ、上には宝石になれていない鉱石がキラキラとまるで花を咲かせる様に地面に向かって広がっている。周りも不規則な結晶が草の様に生えているが、それでも動ける場所はおかしいくらいに開けていた。

此処はとある惑星の洞窟での場所。ルトラールの知識に導かれて、やって来たのは本当に存在する場所だった。確かにこの子の想像では、あり得ない筈なのに。それは偶然か?それとも


「”立てそんな感情で誰かが守れると思ったら大間違いだぞ?”」

そう言うのは正真正銘ルトラールご本人だった。深い青色が反射されてか、水色の様な光をみせていた。まるで見た目はエフェメラルであるが、その本人はコルンの隣で立ち尽くし観察し続けていた。手は顎に当てられ、じっとまるで睨みつけ、そのにらみで人を殺すかと言わんばかりに、じっと見続けて黙りこくっていた。怖いくらいに、何も言わない。息すらも分からない程に静かなのが、また妙な不安を掻き立てた。

息を荒げつつも、身体を動かす都結の姿。黒髪に染まりあがった彼女は本人で。でも逃がさんと言わんばかりに背後に攻撃を淹れ続ける。

「”逃げ道なんて何処にも無いいい加減現実を見据えて前を向け”」

力の根元を見ろ。お前は受け入れられるはずだ。そう言うように言い聞かせ動いた結果がコレか?はっ、この私すらも欺こうというならば、お前は本当に、いや、お前を見続ける”ソレ”は可哀想なものだな?

そう言えば身体がぴたりと止まる。

「”ソレは意味がない”」
【”ナニが意味等無いというのだ”】

はっと瞬時に思った瞬間なんて、許されない。怒号の様な音が成り立った後、ルトラールの身体がリキールの真横を突っ切った。地面をゆっくりと歩きながら来る者の、気は、一体、誰だ?

確かに都結の筈なのに、どこか違うまるで別人それは

【”この世の理に縛り付けた神々の成す結果は何時だって砂の様な味をさせてくる”】

反吐がでる。だから神々は信じないのだ!!!

【”希望で手が汚れてこんな汚れ等落ちやしない”】

お前は一番分かってくれている筈だろう?なのに何故其方側に寝返る。何故この子を私を、見てくれないというのだ。

【”私は今でも貴方のお子で生きたいと願い止まないというのに”】
「”え”」
【”再起動リブート”】

その言葉で、都結の髪色が変化した。真っ白に透き通り、目は青一色に染まりあがった。今は真夜中いや真昼間なのに、外は昼間なのに、目は青く染まりあがる。それだけではない、髪の長さも背中程迄伸び切った。まるでその姿が正真正銘その者のように。

気の色が、色濃く、変化する。辿り着いた場所は、神々をも、分からなくなる程の、綺麗なまるで絹を束ねた様な繊細なもので。









【”私は”普通”のお人で生きていたかっただけなのにな”】







リブート、その言葉で地面から蔦が生えルトラールの姿を捕えようとしては避ける。ルトラールが交わしているのではない、蔦が交わしてルトラールの動きを常に鈍らせ続けているのだ。混乱する彼の動きに対して不規則に正解と不正解を叩きだす。触れては離れてを繰り返し、何がしたいのか、分からない。が、ルトラールは分かったらしい。顔を上げ、固まった。






彼の目には一体何が映っているのだろうか?






「”…っ、”」





手を伸ばし、切る。其処に彼女はいやしないのに、だ。触れられない位置に居て、もどかしい。動こうとしても蔦が邪魔で、身動きなど取れやしない。その位置でなお彼女は話す。



【”この子は生きておるよ。ずっとずっと、お前のお子として。”】



ケタケタと何処かから声がする。ねぇねぇと幼子の声が反響して、ルトラールの気が一瞬だけでも爆発的にはじけ上がった。本気を出したのだ。焦った顔がちらつく。笑い声の最中、ふと影が見えた。何時の間に子供が紛れ込んで

「”そいつを守れ!!!!!”」

そう言った途端だった、さくり、と子供が刺さって溶け消える。時間を巻き戻したコルンの手により、子供が維持する。先程見えたその笑みが、悪魔とも言える程に、弧を描き、彼女の姿が化け物に見えたのは、恐らく間違っていない。

「どういう状態ですか!言っていた話と違う!!!」
「”ティーナごめん”」

そう言ってエフェメラルが伏せ、床に手を置き、片方の耳に手を掛ける。前を向いて、その視界には彼女が映し出されていた。







「”【”異常値”を確認致しました。これより”適宜修正”を開始致します。開始まで残り1分間の調整時間を計測致します。構えて。】”」



行け。


その端的な言葉で、エフェメラルの前から、ティーナやフィズらが飛びだしていったではないか。まるで夢の、物語の中みたいだった。華を散らしつつも、蔦を使って蔓延らせ、攻撃の手を緩めない。気を使用する様な形だが、それぞれ気が質が違う。本当にまるで、都結の中に複数人が眠っていたかのようで…いや、これは。

「(眠っていた…いや、何かしらの原因で”強制的に寝かしつけられ封印させられていた者達”という事ですか?)」

貴方は、何を、飼っているというのです。その身体の中に、何という、化け物を、生かしているというのですか。都結様、ねぇ、教えて下さいよ。私の知る、言葉の中でのみ。で勘弁願いたいところですが…

「こっいつら、透けるぞ!!!!」
「”見てないからですよ。ちゃんと認知すれば触れられるしちゃんと殺せる。破壊をしても構いませんよ。とは言ってもやってもやってもキリがないんですがね。”」

そう言って飛び降り軽く影を切り落として着地したのはルトラール様だった。うおおおと言ってリキールとイルの間に落ちた顔はやけに涼しい。異常な程に、だ。

「”エフェメラル危険信号”」
「”濃度5と言っても充分良い。外れた。今外れた!!!!外れた、多分これ持たない!!!ととさまもう中戻るよ!!後良い!?!?”」
「”いいよ、いっておいで”」

お前ら何時ものと言った声に、おうと声が響く。

「”始まり巡るは時の時間我らの願いを司る大いなる神の導に則って喚く幼子落ち着かせて”」
「(詠唱?)」
「”時よ星よ、数多の光、息と視、活ける数多の情よ。律者聖なる身の者に、今こそ星風せいしょう息吹かせん”」


我が名は”ルトラ”星に見紛い星極せいごく束ねし環の者よ!!!


「”春よ夏よ秋よ冬よ季節に見紛い、
惑いし所為よ 消えうる時すら見忘れて
春の花影、夏陽炎、秋の月夜に冬蕾”」

やがて廻る、春の為。貴方に会える、その陽を”まとう”



「【”いつか終わるその日まで”!!!!!!!】」



芽吹きし春を、飛び越えん!!!



「【”停止線”】」



端的な言葉により、手から光が放出される。それが網と変化し、身体を掴もうとする最中、ふと都結の姿が変化する。ぐにゃりと代わり、翼の生えた大きな姿が見えた。何をもっている。


何が起きている。


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「「「”副作用”!?」」」
「”えぇ、今は停止位置に寝かせているので、そのまま強制的に睡眠へと導いています。お疲れエフェメラル”」

ただいま、ほんと、つか、れた

「”あ〜〜〜もう無理一生一歩も動けない”」
「”っくくく、良い動きをしたね?流石はお姉ちゃんっと”」
「…む?姉?どういうことですか。確かエフェメラル様は”一人っ子”であられますよ、ねぇ?」

ルトラール様

そう言ったコルンの目に、流石にバレる、か。そう笑うルトラールに、エフェメラルがため息を吐いた。事情を説明するしかなくなったのだ。他言無用だと言ってもこのままだと全員にバレるのも時間の問題、でも、その時間稼ぎがてら、色々やりこなせばいい。


事情を説明したら、ば、だ。


「…まさかそのようなことが。」
「”おや、すんなりと受け入れられちゃった”」
「色々辻褄が合うんですよ。時系列的にも的確です。貴方方が形を維持して、気も何もかもを自在に扱う道理も分かる。」
「まさか神々の仕業だった、とは考えれなかったが…」
「一応言っておきますが、我々天使でもこのような知識は一切請け負っていません。」

まぁ、もしもあるとすれば…大神官様の書庫くらいでしょうか?
大神官様の?

「そんなところがあるのか。」
「え、ええ…余り貴方達にお見せする場所ではないので、こういった話は本来しませんが、場合が場合ですからね。」
「このままでは宇宙も何者かに壊されると?」
「といいますか…いえ、余りこうして模索するのもよろしくない。とにかく向こうへ」

それは止めといた方が良いぞ?

「”こっちだ”」
「え?あ、ちょ、ちょっと皆さんどこへ!」


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「此処は…?」
「あ〜や〜っと普通に息出来る。長かった〜〜〜」

洞窟を抜けた、いや中間の場所か、湧水がはびこっている根に伝って流れる場所が、水からか光で幻想的な場所を見せつける。洞窟内の菜園、庭園とも言える様なこじんまりした場所で、気が完全に色濃く感じられた。


「改めて自己紹介、としようか。アタシの名前はティーナ。華を持つ者としての人間”の前に生きていた”もの」
「”の前に生きていた”?一体どういうことですか。」
「全員生きていた者、ということですよイル様。」
「コルン様…ですが、」
「そうですよね?ルトラール様…いいえ、こうお伝えしたらお判りになられますか?」



ルトラール・メートランド様



「【”星の中立者”に位置する王家星屑の創造主蒼の栞”ルトラール・ノヴァネラ・メートランド”】」
「っは!?!??!」
「…よくぞその名前を知っているねぇ?一体何処からの時間だい?…コルンよ。」
「貴方がし」
「”何処”かはその眼で大体想像が付く、教えてやろうか。父親の目を盗み、書庫に一度入ったことがあるね?其処で見た。」
「」
「”無言は肯定とみなしてやろうか?”」
「どうとでも?」

ふっと笑った彼に、リキールはクツクツと笑うコルンの間で困惑を示す。ルトラールとコルンは初対面だと思っていた彼らに軽く事情を説明したのはフィズだ。大分崩して、いつか終わるその日の時間を説明すれば、はぁとため息を吐き、俺に想い人が?と首をかしげて耳も身体も傾けてしまう。イルも似たように反応して、何処か可愛げがあるなぁ、とティーナは横目に茶を受取り作業するアルトリアの姿を横目に向けた。

「えぇ、フェルって子ですが、貴方が惚れるかどうかは別問題ですからね。」
「そらそうだ。」
「ふふっ、でもきっと気に入って下さりますよ。」
「お待ちなさい、もしかして華神ら全員、」
「察しが良くて良いね?」


「全員、元”ノヴァーリス・クラフト”として生きていた者達なんだよ。」




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「驚いた…流石に其処まで、とは…貴方一体何を願ったのですか。」
「ちょっと、ね。」
「願い事は当人と願った先に受け取った神々の二人だけの秘密なんですよ。別に言っても良いですが、巻き込まれてしまいますよ?」
「もう巻き込まれたも同然だろこれは。」
「私達の様に彼女の体内にしか生き残れなくなったとしても?」
「余り下手に突っ込むと第七の様に落ちますよ?」
「……ぐぅ」

何も言えなく困るリキールに、左右からも目が向く。何処にも向けず、目を細め胡坐をかいて冷や汗を垂らす以外仕事がない。

「では混濁者は貴方方の人間で?」
「いいや、アレは正真正銘彼女自体が創り出した者。正確には記憶にある断片を切り取って継ぎ接ぎにして取り繕ったに過ぎない。人間でもいや人形未満と言っても良いくらいだ。」
「とは言っても我々ノヴァーリス・クラフトは本来惑星に住んでいても200名程度しか生きません。長生きしますからね。」
「其処迄反映しなくとも良いと」
「そもそも神々が選出していましたからねぇ…?”間引き”も随分と、念入りに、ね?」
「…その節は大変無礼を。」

そう頭を軽く下げるコルンにいえいえと座りながら団欒を楽しむ。

「過ぎた話ですからね。其処は良いんですよ。」
「彼女がその末裔だと?」
「出なければ覚醒石が反応しませんからねぇ…出来れば封印石があれば良かったのですが…」
「なんだそれは」
「覚醒石は眠っている力を無理やり叩き起こすのに対し、封印石は逆に無理矢理力をねじ伏せる効果をもつんですよ。」
「言い方言い方」

だとしても、いいじゃないかと言い合いだすのに、手を上げ止める。

「…で?その石って確か特殊な種族の者らが作っていませんでした?」
「…!よく知っているね?」
「色々齧りまして。で、あってますよね?」
「単刀直入に言うが、その作った奴が今回そいつを狙っている敵だ。」
「…成程、そう来ましたか。」

このまま都結を放置しておけば、やがて化け物に呑まれ自我すらも残らないそうだ。覚醒石はその攻撃手段であり、力をずっと放出し続ける訳にも行かない。ということで出てくるのがこの封印石だ。こっちは放出したのを閉める。様は蛇口の緩めるのに対して締める動きが封印石の役割なのだ。

「使われたのが覚醒石、それも初代から受け継がれる星のヒビが入った石の筈。こっちも馬鹿じゃあない。そいつの内部からじっと見つめ脳裏に焼き付けたからよくわかる。」
「あれは覚醒石の中でも良くない方を引き当てた。”期待”の石だからなぁ。」
「期待の石?」
「全部で伝わる石は8種類。歓喜・信頼・恐怖・驚愕・絶望・嫌悪・怒涛・期待です。」
「それぞれの石に共鳴された核はその時点で生きた時間から導き出された喜怒哀楽により、次の石で覚醒する内容が違ってくる。期待の石で目の色を失った。彼女が持つ”維持”を破壊されたということは恐れを伴う恐怖に強く反応を示した。」

では…

「恐怖から罪悪感を抱きそのまま光を追って歓喜の方まで這い上がって来られればまだ期待が見込めるが…」
「環境の状態が余りにもよろしくない。彼女の環に位置する核に成れる者がいませんからね。」
「それが居ると居ないとでは話が違うのですか?」
「違うも何も、我々の種族は核に成れる者がいない、それ即ち力を維持出来ない命にかかわると言っても過言ではない。」
「ま。本来ならば持って三日の命、だっただろうが、なぁ?都結?それともいうべきか?”エヴァネセント”?」
「っな!!!」
『…余りその名前で呼ばないで。胸糞が悪いったらありゃしねぇ。』

おおおお、怖い怖い。悪い口は相も変わらず、かい?

「その感じだと分かっていたが、何も出来なかった、か。自分の中で煮えたきった時間が説明つけず、物語の中に無理矢理押し込んで制御せざるを出来ない自分を呪いたくもなった、と言った処か。」
『煩い』
「と、言うことは大正解、か。」
「ですが何故生き延びておられるのですか?」
「そらもちろん『”維持”をしていたからね。人間と天使と神様の均等な位置づけの最大級にも値する幸福の”維持”を。』…エヴァネセント、お前」

私は違う。いや、正確にはこの子、だけれども。


『…私は二人いる。過去の貴方方が知っているエヴァネセントと、』
「都結自身、か。」
「よくわけられたね、混濁してもおかしくない張り巡らされた糸をかき分けたのか?」
『普通にこの子がかきわけた』
「普通にこの子がかきわけた???????????????」


あの待って、無数に張り巡らされた糸をかい?
嗚呼
あの意味わからない程の量を、かい?
嗚呼


『あの馬鹿言ったんだよ「え?こんなの手を動かしゃあ何とかなるっしょ」つってね。』
「い〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜や、そんなこ…ええぇ〜〜〜〜〜??????」

事実やった上で、エヴァネセントが都結の中で暴れる事も無ければ、都結がエヴァネセントの中で暴れることはなかった。そうであれば、今頃エヴァネセントとしての記憶が暴走し、コルンらに危害を加え、化け物の姿にも変化していたことだろうということだ。だが、何も都結が化け物にならないということが決まったわけではない。

「封印石がない限り、その子が化け物にならない訳がない。時間が経過していけばどんどんと身体に異常は出てくるし、それに気付いたら精神的な要素も相まって速度だって進む。」
「化け物に呑まれた後は」
「まぁまず救いようはないと断言して良いくらいだね。余程の軌跡が起きない限りか、それか願いの球にでも祈ってみるくらい、か。」

いずれにせよ呪いを外すなんてことは出来ない。あれは血族、一度どこぞの神々が呪ったものだからね。いい加減数十億年もの昔を掘り起こしても、たかが知れているよ。
嗚呼成程、したところで無意味だと。

「解放されるのは次の世代だからね。その子は既に終いだ。」
「カミカゼ!」
「いや別にこれくらいは言って良いだろう?それに封印石は勿論だが、本来の覚醒石も掘り起こされた処で開拓者が居ない以上生成することすら不可能なんだから。」
「なんだって!?!?!?」
「じゃ、じゃあ…もう」
『ふふふっ、それ、死ぬだけだね?』
「都結、おま」

黒目の黒髪。染まり切ったその姿に、一同も唖然とする。誰もが私を見て、何処か遠くに距離を置く。それでもあの人は凛と立ってくれていた。もう、そんなところには居ないのに。


私の目にすら留まってさえくれなくなったのに。


『私死ぬならあの』
「馬鹿な考えはお捨てなさい。そのようなこと、私が許すと思うのですか。」
『』
「何か言ったらどうです。貴方は私に言い返す言葉も思いつかないと?」

嗚呼それとも、私への侮辱をあれ程積み重ね、本番で言えるようにとしたのですか?それか、したくなくてあれ程言った?陰口も良い処ですねぇ?

「何か言ったらどうですか」
『いってらくになる?じゃあ言ってあげようか?それでもお前の欲しい言葉なんて、私は何一つもあげてやれやしない癖に、お前は何故それを望む?』
「……なんですって?」
『お前の望む者は私に何一つ残っていない。』











パシンと乾いた音が鳴った、せめて鳴るなら「パチン」とした音が良かった。






そしたら諦め付けるのに。
      (貴方を待ち続けた昼間の準備だって、)







泡沫の白昼夢


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