僕だけが知っている、君の4
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それ以降、アゲートは本格的に武術を身に着けることに。都結に関してはエフェメラルらを呼び出すも獣が許さない。まるで知らせるな、と言いたそうだった。その為都結自身に突き付けられたことは、だ。
『にちじょうせいかつのこうじょうかあ』
「…ええ、そうです。」
その言い方には難がある、が、だ。もうほぼ全員がと言っても良いくらいに大神官と都結の関係性は分かっている周知されてもおかしくない程にでもある。というか、あの日以降の大神官からの圧が非常に怖い。恐ろしいことが現実になった、とでも言いたいくらいである。
下手にこっちが手を出して見ろ。まだ大神官の怒りを買うのは良いのだが、化け物として飼いならされているピクルスが牙をむいてくるのだ。未だに大神官ですら化け物が気を許していない。というか下手したら一番気を許していない気さえする。まぁ気持ちは分からんではない。
だって自分のことを知ってくれた人を、二度も見捨てた様なものなのだ。そりゃあ信頼関係もマイナス一直線であろう。それでも都結は叱って味方だと言い聞かせているが、一向に言うことを聞いて居なさそうである。そう言う処は一致しているのだなぁ、と何処か他人事のように思うしかなかった。だって他人事だし。まぁこれから他人事には済まされない位置に身を置いてしまうことになるんだがな。
基本的な所作法から何からはコルンが請け負うことになった。時々サワアやウイスが面倒を見てやるくらいだ。他にも手を出せばと思ったが、この三人辺りが一番界王神や破壊神らとの相性もいい、ということで可決されたらしい。その為結構な頻度で界王神らとも会話を楽しんだりする。
現在は第八宇宙で世話になっていた都結である。
「それにしても随分と大きな獣ですなぁ〜」
『むぅ』
「…イル。そいつはピクルスって言うらしいぞ。」
「いや分かってはいるのですが…如何せん呼んだら切り殺されそうな圧をですな……」
まぁ気持ちは分からんではない。現在進行形でちょっと動けば牙を向いてくるのだ。都結が見れば口を閉じるし、見なければ牙を出す。その繰り返しで気付いた都結が何度も振り返り、もおおおと笑いながら頬を叩くが、もうあれは遊んでいるのだろうか、それとも遊ばれているのだろうか、どっちがどっちだかわかりゃしなくて見ているこっちがひやひやして叶わない今日この頃です。
「はぁ…だとしても一度浸けられていたとしても、貴方の心臓は現に動いている筈ですし、それに人間の状態が良いとあればある程度、いえもう少しきちんとした身なりを覚えるべきです。」
特にあの大神官と、というならば猶のことである。窮屈だろうが、もう彼が眼を付けている以上、これ以外の選択肢などないと思って貰った方が良い。というか、ない一択である。もしも万が一この子が彼から離れよう、逃げようと思い行動に移す者ならば…いや考えたくもないな。間違いなくこっちに火の粉が降り注がれることだろう。それも雪みたいに。吹雪みたいにである。
「礼儀作法は学校とやらで学んでいるでしょう?その通りになさればいいではないですか。」
『してもいいんだけれども…落ち着かないと言いますか、何と言いますか。』
「慣れですよ慣れ。私だって最初からこうではありませんでしたからね。」
『いずれ慣れると?』
「ええ勿論。理解の早い貴方であれば、猶のこと、ね?」
そう目を細めて見てしまえば、ふふっと笑って誤魔化してくる。嗚呼、そうやってすり抜けるから何時まで経っても成長しないのを、この子は分かってやっているのだろうか?休憩途中だった為、フィンガーレスグローブを置いていた机に手を伸ばしていく都結。黄色の布地を手に装着した彼女は髪を整えていた紐を一度外して、またフィンガーレスグローブを置いてしまう。どうやら髪が途中で気になったようだ。
髪の毛をゆあえる間も、コルンは都結を目で追いながら話をする。
「以前程の戦闘訓練ではなく、主な所作法です。食事のとり方から、話し方ら基本的な作法の方ですから、難しいことは必要と致しません。こうなることも見据えていたのではないのですか?」
『いやまぁそりゃ…そうですけれども。』
「なら腹をくくって下さい。貴方一応言っておきますが、一度死んだ身ですからね?」
幾ら浸けているとは言えど、その身はほぼ生身同然である。心臓は絶えず生きて居るし、中の血液から何から何まで、一応人間である。ただ、太陽の場所によっては薄い水色の肌地に変色することが見えた。その時だけ、ぶわりと気が狂い、精神状態が非常に悪くなるのだろう。化け物も強く反応した為、直ぐに場所を変え、肌の色を保持させ、寝かしつけた。
のが、二日前くらいの話だ。
太陽が入る処であれば、何処でも良いらしい。逆に言えば太陽の無いところ、そう例えば全王宮等の場所は生きて居れない。身体の肌の色を克服さえすれば生きれるだろうが…それも一体何時になることやら分からない。時々大神官が様子を見に来ているが、本当であれば彼の元に戻してやりたいのはコルンも想っていたことだ。
身体の状態が非常に不安定。
何せ種族の過渡期に位置しているお子なのだ。それも、恐らく太古に生きていた神々らのお目見付き、であろう存在。早々下手に殺すなんてことはしないし、なんなら生き返って来て驚いているくらいである。
あんなに死にたがっていたのに、それでも尚此処で生きようとするのだから。
「私は確かに厳しい面があるでしょうが、貴方に出来ないからと言っているのではない。単に大神官様…いえ、お父様と添い遂げるとあればそのような恥晒しを少しでも無くして欲しいだけのことです。」
『恥だと思うから晒しているのでは』
「貴方だってきちんとした場所では身なりを整えるでしょう?面接で私服で構わないからと言って寝間着で行くようなことをなさらないで下さい、と言っているのと同じ位置ですよ。」
ただ少し、見ていて欲しいと思う。礼儀やらの作法はその延長線だ。それでもしないというのは、その子がその位置に居ないと生きれないから。恐らく力の源とも言える場所なのだろう。中枢は切り替わっている。それはアゲートが教えてくれている。間違いなく、成長はこれからする筈だから、何も出来ないとは逆におかし過ぎるのだとかなんとか。
まぁやってみて損はないだろう。
「ほら、もう一度歩いて下さい。」
現在は歩き方から徹底的に指導していた処なのだ。しかも、それなりの正装に身を包んで、のことだ。この状態で大神官に見られでもしてみろ。間違いなく恥ずかしくて隠れたいと思っているんだろうし、まぁ現に伝わってくるのは分かる。だがそれ以上考えないでほしい。教えるこっちの身にもなって欲しいのだ。
ドレス姿で
そう…ドレス姿で、である。
というのもだ。
都結の衣装の状態を色々検討した結果、一応大神官と、というよりもどっちかって言うと腹心に近しいことになるならば、また違う位置の方がいいのでは、という話も持ち上がった頃の話である。
「まぁ動きやすさ重視であれば私の衣装を、というのも考えれませんが…」
「彼女の位置は大神官という位置ではない、そうでしょう?」
会議中、今後の方針を決める時の話である。全天使らを交えた会議を開いていた。因みに都結本人も居たのだが、二日前の話。そう、途中から暴走して強制的に寝かしつけるしか出来なくなったので、寝かしている間に話が進んでいたのである。
「それに彼女は服から気を変えかねません。精神体が不安定である以上、下手に着せ、意志を固定化させたら、後の始末に追われかねませんよ。」
「ではどうしましょう?」
「いっそのこと我々らのようなものにしますか?」
「それだと天使と見間違えかねません。下界の人間と交流を図るつもりは一切ありませんが、外に出る懸念がある以上、其処ら辺も込みで手を打っておかねばならない。」
「示しが…それこそエフェメラル様らのような衣装はどうでしょうか?」
それだと華に近しい者になりましょうね。新しい力を育てかねない。良くも悪くも過渡期は危険であるのだ。華のような神々を出して見ろ。間違いなく転覆は出来かねるというか出来ると言っても良いくらいの位置に持って行きかねない。勿論都結も大神官らも、そういうことは考えていないその為、一番遠ざけたいのは華の持つ衣装ら全てだった。
とは言っても良い所は取っていく。そもそも大神官の服を取り入れたあの可愛らしい衣装は採用してやってもいいが、多分彼女のことだからおこがましいと言って固まってその場から暫く動かなくなることだろう。何だかんだ言って執筆者本人もファンなのだ。エフェメラルと話をして談笑するのを楽しみに待っていたことだろうし、その日がもしも来た時、同じような衣服だと彼女も混乱してしまう。
現実と夢の区別は、多少なりともしてやっておいて損はないだろう。
かと言っても、界王神らや破壊神らの衣装…をリメイクしてもたかが知れているだろう。故に新しい衣装を、とも考えたのだ。通常だとまぁ華奢な姿でもあるし、下は浅葱色の長袖ドレス、コルンらのような状態の上にエプロンのような角ばった白い布を被せてしまえばいいのではという案が出た。
脇部分は繋がっており、胸下、大体腰元↑辺りで黒い布を巻きつけ縛る。最初は慣れないなら後ろでリボンにでもしてやればいい。白いエプロンのような布は前と後ろだけで切って左右は動きの邪魔にならないようにする。そしたらコルンらの胸にかけている帯に似た形は取れる。
まぁ要はメイドみたいな位置だ。確かにそれなら外に出しても見習いだからという説明も出来る。まぁそうなれば後は行儀作法だ。出来ていなければ意味がないが、見習い駆け出し、ということで無理矢理言いくるめれば何とかなるはずだと信じていこう。胸元には大きなひし形の青い宝石のような印をつけて別枠として知らしてしまえばいい。
大神官との関係性を外に出さない為だ。
「恨みつらみが向こうまで行かないとは言え、騙されてくれたらいいのですが。」
「多少の牽制にもなり得ましょう。流石にメイドと言えば其処迄気にも留めないでしょうから。」
「仕事が立て続けに、とでも説明出来ます。この方向性ならば我々も口出しが容易いです。」
全王様や大神官様のメイドとあれば、それなりの身なりやら礼儀は必要不可欠。故に元々居た天使らが口出しをして、作法を覚えさせるために居候兼花嫁修業をしている、と言えばまぁ誰もがあ〜〜と言ってくれることだろう。ただ、である。
問題は正装。恐らくだが、都結の力は藍色で間違いないであろう。あの色が変化する処、衣装の色も染め上がる形も決まっていると見た。もう面倒だからドレスはいいか?と言えば、そういや以前作っていた話を、と大神官が掘り起こした。
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「おや、可愛らしい衣装ですね?」
『ひあっ!!!!』
変な声を出したのも無理はない、背後から声をかけたのだ。すいませんと言っている大神官に対して、都結は心臓に手を置き、いえと端的に答えを返して床に軽く突っ伏しかけていた身体を起こした。
『何様ですかね。お兄さんさっきまで力の大会みていたのに。』
「何をしているか気になってしまいまして。それにある程度見たら思い出しましたし、何となく最後は分かりましたので。」
『ええ〜お兄さんもしかして大体分かったら最後まで見ない派だったんですか。』
「酷い言い方ですね?貴方が見ないで途中から捌けたのが原因でしょう。」
それで?そう言って覗き込んだところには、藍色よりも深い紺色のドレスが見えていた。どっちかって言うと、黒に近しい紺色だろうか?バレエの衣装だよと答える。
「ばれえ?なんですかそれは」
『踊り子と言ったらまた印象が違うけど、綺麗に着飾って踊る人達の言い方って言うのかなぁ〜?まぁそんな感じ。』
「分からなければ検索、ではなかったのですか?」
え〜また彼氏みたいなこと言う〜もう〜
彼氏とやらはそういうことを言うのですか?
そう言う事だけじゃないよ〜
『恋だの愛だの言ったり嗚呼でも言わないでずっと居るのが家族ならば、彼氏はそれまでなのかな』
「ではこれもれっきとした彼氏、とやらで、はってどうしました?」
『心臓が痛い。』
「大丈夫ですか?」
『助けて欲しい。全く持って大丈夫じゃない。』
えへへ〜大神官様と〜?えへへ〜
…気持ち悪い顔をなさらないで下さい。
『うわっ!神様からの愚痴…!ありがたやー!!!』
「はぁ、生きてますよー現に目の前に。幻でもなんでもない。」
そんな変な話を流していく。画面に映されていたのは、白い髪色を後ろに流した女性が映っていた。少し高いヒールを履いて、すらりと生足が見えるような姿のドレスだ。星屑のようなキラキラがドレスの夜闇に光っていて綺麗だと思えた。胸元は白いデザインもあれば、胸元から後ろの背中下のラインまで線を引き其処から下まで隠しただけの、少々肌が多いものもあった。どうやらそっちは寝間着だそうだ。
背中は翼が生えた時に邪魔じゃないようになんて設定迄入れ込んでいるらしい。そのまま下に下がったら全部見えかねないのに。こんなものが好きなんですか?と問えばそうだというのだ。流石に金銭やらなんやらで着れないけど、いつか着て歩いてみたいと言っていたし、なんなら寝間着になんて勿体ないというくらいだ。
胸元は金色の装飾で帯を巻き、胸元中心にはひし形の印。又は三角でも良いという。背中、胸元後ろにはひらひらと蝶々のような布を落としておくドレスを見せる。丈は肘上に見えたが、これは浮かんでいるから見えるだけであって、恐らく肘下程度で留まっていることだろう。下の方は緩やかなレースで、金色の印も其処迄しつこくない。
首元の装飾やら、耳元後ろから伸びて頭のてっぺんにある黒い髪飾り。そして後ろは白い葉を添え、編んで纏め上げた軽いお団子頭の子だった。髪の毛の一部にはレースやらが付けられてていて、とても華やかにみえるが、それでも落ち着いた色だからか、けっして目が痛いことはない。寧ろワンポイントがそれぞれ活きており、目に留まるくらいだ。
腰元はドレスとして繋がっているのか少々音の波みたいなギザギザは見えるも、下に行けばレースのふわりとした形が可愛らしい。左右に広がったレースの下にもまた服が見える。これくらいならば着て活動するくらい出来るんだろうと思っていたのだそう。
『足元も大体3センチからまぁ盛っても5pの厚い底の靴だったら私履けるしね。こういうのはいざって時に着た時、泣きっ面を書かないようにするのがコツなんでさぁ!』
「はぁ」
『大神官様はどんな子がお好み?』
「こっちの方が好みですね」
『ですよね〜その服可愛いし』
着ますか?
きらいでか。
『良いですよ流石にじょ』
「」
『……機会があったらで勘弁してください。』
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と、言う訳で、だ。その話を出してしまえば、見て見たいと言って、寝ている間に衣装を着替えさせられ、色々考えた挙句、自分が決めていた衣装と、それと自分も候補に入れており、尚且つ大神官もいいじゃないですかと言っていた衣装の二つが採用されてしまっていたのだ。というか、メイドはまだいい。大神官が言っていたメイドよりもどっちかって言うと天使らの衣装をちょっといい処どりしてみたみたいなのはまだ良い。
何故にドレスを採用した。何故だよ。まぁ私着たかったからいいけれどもさぁ…!?
それにあのドレスに実はフィンガーレスグローブは要らないし、なんならメイドの方も実は要らないのだ。では何故付けているか。決まっているだろう。今の精神安定剤なんだよこのフィンガーレスグローブがだよぉ〜〜〜!!!!間違いなく相性なんてもの考えてないガン無視である。髪の毛を乱雑に解いて三つ編みに戻すもんだから、貸して御覧なさいと言って近寄って来たコルンに首を見せる。椅子に座って。
「そんな乱暴になさらないのです。一言編んで欲しいと言ってくれれば編みますから。」
『…だって〜』
「これ」
『むぅ…分かりました。』
「よろしい」
午前中はメイドとしての。まぁ全王宮での所作を叩き込み、午後は高い地位での所作を学ばせていた。一応ドレスというのもあり、踊ることも叩き込まされる予定である。うう、舞踏会で私ガラスの靴なんぞ置いとかなくても普通の暮らしで充分ですのにおすし〜!!!
あの四角い部屋が恋しくなってくる。歪なまでに四角い小さなアパートの一室だ。カーテンがぶわりと広がって嗚呼そう言えばこの衣装も似たような色だな、とふと思う。中は白だし、胸元も、である。というか心なしか身体も少し細いような〜気のせいか。
「気のせいではありませんよ。貴方数日食事を抜けばすぐにそのお姿にまで戻られて…鏡で見せてみたいくらいです。」
『それは盛大にご遠慮致しますね?』
恐らくだが、彼等は私が鏡に映らないことを知らない。いずれ知ろうものだろうが、まだ此処は秘密にしておきたかった。その為、出来るだけ映りやすい者は避けている。スープ系とか、そういうものだ。一応飲み物とかもぎょっとはしないが、それでも怖かったりする。ここら辺はどうもアゲートが上手く言ってくれているらしい。
腹心になるものは皆”水が大の苦手”なのだとか。
…そうでなくても私は昔から水が苦手であるし、いや好きなのは好きなのだ。あのプールに身も心も浸かっている感覚は最高であるくらいだ。ただ着ていた方が幾分か気持ちが良いというか落ち着く。水に触れたり一瞬だけで終わるのが嫌なのだ。身体もふやけやすい体質だし、なにより暫くすると痒くなるので嫌だというのもある。
本の中に入れるように訓練するにはかなり先だと言っていた。少なくとも化け物、愛しの愛しのぴくるすちゃんをもう少し飼いならし、自分でも気をきちんと操れるようになってからの方が良いと言われたくらいだ。お医者さんか何かかな?君。一応護衛さんなんんだよね?というかメイドに護衛て、それこそ元も子もないというか、身も蓋もないことしてるの、この方々分かっておいでなのであろうか?まぁいいか。
兎にも角にも、私は現在、何故か全王様のメイド役として外では活動する羽目になってしまっていたのである。
とほほ〜〜〜!!!