僕だけが知っている、君の7
こんなことしたって、別に同じだ。そう言い聞かせていると空が淀んできた。今日雨降る予定じゃなかったのに、なんて言う声に走るブルマらが、止まる。私が立ち止まっていたからだ。
あの日も雨だった。いや違う、あの日も「雨になった」のだ。
『ねぇかみさま、いるんでしょう?』
「都結ちゃん?何してるの、早くいか」
『【”何処に生きて居るの”】』
何処で見ているの
【”何を喰らって其処に息してるんだ”】
「へぇ、僕を見抜こうとするその意思の強さ。流石に」
感化出来ない、か?
「…それとも、感化した末路か。」
「…っ、」
「はは、君よく動いたねぇ?下界の、いや宇宙の中立者か。」
「お下がりください。」
「君には要がない。その子に用がある。」
「早く行きなさい!!!」
そう叫んだウイスの言葉により、都結もまた逃げるように走る。世界は灰色で時間が止まっているかのように思えたが、違う。これ一応止まっていない。全員が動いているのに、まるで違う世界に入り込んだみたいだ。そう、本当は一枚ではなくて二枚に重なっていて、その裏側に来てしまったみたいな感じ。離れていく。同じ形に戻らなければならないのに、なれない。
怒号のような音が繰り広げられるも、この狭い通路の中を一体どうやって走れというのだろうか?人ごみを避けながらも走るが、それでも速度は決して遅くない。とにかく気を使って走ろうとするも、下手に気を使えば向こうが気付くことだろう。此処は走ってこの突き当りを右か、左か、ええい!右が良いけど左に、と曲がって走ったばかりだった、
とん、と胸に当たる。
『っ、ごめんなさ!…あれ?』
何故当たれる?
避けてはいたが、避けなくても人は確かに当たらなかったはずなのに。グルグルと大きな音が鳴る。ダメだと言えば、止まるも、彼の首に何かが入り、小さくなった。
『っ!!!!』
「まさか此処まで成長出来るとは…ちょっと危険、か?」
黄色い目が此方を見つめる。これみたことある
『しとり』
「おい」
「流石にちょっとねぇ〜」
すっと彼女の後ろに回り、指紋認証を解除し、強制的に寝かしつけた。一応サワアらでなければ効果は発動しないようにしていたのだが。ぶわりと大きな圧が掛かる。都結は触れた者の胸元で気を失っているから。
「おお怖い怖い(コレを其処迄大事にして隠しても其処迄開いて居ちゃあ、意味がないよ)」
神官よ
「急げ、直ぐ来るぞ。」
「分かってる。」
「何方に向かうご予定ですかね?」
「っほらきた!!!」
「その子を放しなさい!!!」
背後から出て来たコルンとヴァドスに、杖を掴み移動を防ぐが、コルンがすっと抜けて都結の方に向かい飛びあがる。胸元には大事そうに小さな子犬が寝かしつけられていた。その子に見覚えがあった。
ーおや?随分と可愛らしい子ですね。此方は?
ーん?嗚呼、そっちは従妹の犬でさ、本当にそっくりでしょ?
私の飼ってたお犬なの!名前はね?
「ーっ!!その子らに何をした!!!!」
”パピ”っていうの!パピヨンってお姫様が飼っていたとっても可愛いお犬さんだからパピ!後ね、おとおさ
「(今分かった、貴方が大事に化け物を飼えた理由が、嗚呼遅い、この私が此処までだったとは…!)」
ギンと金属のような音が不規則にも鳴り響く。向こうが確実に弱い筈なのに、何故こっちが、はが立たないか。それはすぐに分かった。白い髪色の人間が都結から出て来て、その者が彼の背中に手を置いた。まるで援護だ。其処が協力関係にされると、結構厄介になる。
彼等の攻撃が来ない。それはこっちが完全に避けるからというのもあるが、向こうは捕らえたかった者が手の内にあるからだ。誰だ、誰がその者を巣食っている。アレが彼の言っていた
ー古き
「お前が古き神とやらですか…、彼女を何故生かす。」
「”ほぉ?こっちが見えるのか…成程その位置に置かせるとは、お前も罪深き生命体よなぁ?”」
「っ、」
「”止まった方が賢明、だとよくわかったな?一応言っておくがお前もだぞ?ローズ”」
我々はあくまでも、一致した協力関係なだけ、のこと。
「”我らが希望はあくまでも願いの一つに過ぎやしない。…っくくくく、こんな期待値しかない宝石を一体誰が殺してやるものか…!!!!”」
「(奴が命を救った、とでも言うのか)」
アゲートではない、彼等神々が力を使っての蘇生をしたということはそれはそれで、れっきとしたルール違反だ、が。彼等の管轄はその位置に重きを置かれていたらしい。処罰がないということは、即ちそう言う事であって。
「…何が狙いです。その子に何がしたい。」
「”見たいのだよ”」
「見たい?何をです」
「”この子が絶望で色を全て綺麗に失うその最中から色鮮やかに満ち溢れた希望の最中に至るまでよ”」
それは、人が最も生き延びられない精神の位置だった。
嬉しそうに笑いおどける彼女の顔が何処かから来て、過った。蝉の鳴り響く音が耳を掻き消してしまう。ケタケタと笑っているのか、口を大きく開く彼の下から、ふわりと風が吹きあがった。ミンミンと蝉が煩くてかないやしない。
『いいよ?見せても。それでお前が”生き延びられる者”で在れるならば!』
「なりません都結!!!!!!」
その言葉を告げた直後、都結はパンと手を叩き言葉を連ねる。ごめんねなんて酷い言葉が脳を過った。蝉の音が消えてしまう。その言葉なんて蝉の音で掻き消して欲しかったのに。
ー私貴方のことがやっぱり好きなんだよ。
ならば、それならば私の言うことくらい、一つでも聞いて欲しかったのに。
『”再起動を開始します”』
端的に告げた彼女の胸元の光はオレンジ色に光り輝いた。
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空へ飛びあがった都結は下に居る者らを確認した直後、余りしたかなかったとぼやきながら言う。
『するっきゃないよな!!!!』
これ以外の策は分からない。
手に力を込めて空間を綺麗に切り裂いた。さぁ出て行け野郎共。遊びのお時間だ。エフェメラルと叫んだ声により、彼女が下から手を伸ばすものだから、腕を掴んで抱きしめ綺麗に溶かし込んでしまった。髪色が変化する。青い髪色に代わり、エヴァネセントが上から落ちて抱きしめてくれた。痛みでどうにかなってしまえればいい。
溶けてまた、白に戻る。黒色なんて知らないくらいに、綺麗な白に。
「っ(おっっも!!!!)」
音なんて立てず、ただ凛と動く。想像はコルンだ。身体の作りが違うが、それでもやる点が、軸さえ間違って居なければ良いだけのこと。あの世界では彼自体動いていなかったが、此処は現実。実際動いてる処をよく見て居たし、敵の思考を自分と同じ様にすればいい。相手にやられたくないことをするのではなく、自分が相手になり、そして自分が「最もされたいこと」を成し遂げればいいだけのことだ。
ニヤリと笑みが浮かんで消える。思考を消したのだ。代償は此処だ。
化け物という命に首輪をつけ、抑え込んでいる筈なのにも関わらず、何故都結自身が此処まで動けるのか。それはコルンらが指導していたものは勿論だが、
「っおま、まさか!呪いの欠片達さえも手駒にしてたのか!!!」
『”おやま、手駒とはこれ如何に。石を持つ意志を繋げる者らが落ちた場所も可哀想だな?”』
「は」
『”この子は全てを見ていない故にお前の見る世界ではない”』
景色に映らない程に大きな獣を飼いならした都結の世界は。何処までも広い世界を見渡していた。
『大丈夫、僕らはずっと、僕らのままだ』
そして一つを見つめられる者だ。目の前に映るのは赤いお人ただ一人。ゾワリと悪寒を察知とっても遅い。杖を作り出し、手を掛ける。環は蔦のような形を浮かべ、三点の三角錐が球体の周りを浮遊し続けていて。宝玉が青に光り輝いた直後だった。
「そこまで」
間に入った浅葱色に、呼吸が止まりそうになった。
「流石に、どういうことか。お話くれますよ、ねぇ?」
ノエシス
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「流石に数十億年も放置とは、貴方もとんだ偉い手になったもんですね?」
「お、とうさま…」
『っぐ』
「”…ローズ”」
引け
「っですがこの機会を逃せば貴方が」
「”ひかんかならばお前の望みすらも食らいつくしてやろうか?”」
「っひ」
「ローズ引くよ」
「シトリスだが!!わかった」
そう言って二人が消えるのに、待ったのは大神官だった。何故と言う彼に、圧が入る。何も言わないということは、それ相応の、という事だろう。何もこれ以上言うことはない。
「”我々は古来から人の願いを叶えてやっていた。綺麗な願いが多く我らも非常に気分が良かった。”」
だがある日を境に人は願いを己の欲望以外に使う事しかしなくなった。それ以降、キラキラとした光なんてものはなかったし、仮にあったとしても中は空洞すすけて使い物にならなくなった。
「”そんなある日だ、ふと一人の子が願いをボヤいた”」
ー嗚呼貴方と共に生きれたら良かったのに。それでも私は貴方と違う位置に産まれて良かった。これから何度も巡り合えたらいいのに。
「”その続きが知りたくて知りたくて堪らなくなった。その子は多くなぞ望まなかった…!たった数億年?数十?これ以上の価値を一体誰が見つけてやらいでか・・・!!!”」
「…そのまま神々に引き込む役割を貴方はになっていた筈。」
「っえ、」
「”可哀想にお前は分かっていやしない。…ま、したらこっちが消し去ったから別にいいが。”」
「、」
「”そう怖い顔をするでない。それに私が位置するのはあくまでも、神官お前ではない。”」
私の知る、大神官であるのだから。
「”お前の位置ではないよ。子供がしゃしゃり出る者でもない。”」
「私は現在大神官としてこの宇宙を守り続けております。貴方の位置に、充分、相応しいと思いますが?」
「”…それ程の月日が経っていたか。まぁ熟成もしはする、か。”」
ふと都結の方を見下げてみれば。意識を落としていた彼女の身体をぐっと力を入れ、放さないようにするヴァドスが見えた。ぎろりと、コルンやウイスらも警戒の色を見せる。
「”エヴァネセント、いやエフェメラルよ”」
いるだろうと言った声に、反応する。ふわりと都結の中から出て来た者達がじっと神を見上げていた。
「”…何故このようなことをなさるのですか、神よ”」
「”何故とは、お前が望んだことだろう?今更後悔しても遅い。”」
「”ですが三回忌、一度汲んだ筈。あの時に切るのが礼儀。”」
「”切る?嫌々何を言う!ソレはもっとずっと、よりよい高みに位置する神へと成り上がれる存在だ!!!!”」
人間なんてありふれたところに位置するには非常に惜しい惜しすぎる魂!!!!
『私が人でなければ貴方は満足するの?』
「っ、都結さん!!!」
「”そうだといえば?”」
「都結さん、何を言うか分かっていますね?」
怒りますよ。そう言いたそうな大神官の声に、それでも、ふと思いつく言葉が過った。
『それでも耐えれる?それでも生きれる?』
「”…は?”」
「み、いゆ、さん????」
『だって言いたいことはこうでしょう?”美味しい食べ物を知った。だから美味しい食べ物を食べて良くないとお前は言うのか!”ってことでしょ?』
「いや、そ、れを……」
はぁと項垂れたコルンらに対して、ケタケタと笑い転げる神様。おかしいおかしいと言ってそうだそうだと笑い言う。
「”そうだそうそう、っはははは!その通りだよ都結!!その通りだ。ほらお前らよく聞いたか!この子はきちんと利口に言葉を話す。”」
『でもそれ、多分嫌になるよ。私知ってる。』
「”は?”」
『貴方は何時気付くのかな。ありふれた時間が何よりも至高の幸福だったことに。』
私は既に気付いているから、追いかけているのに。貴方はそれでも最初の願いをも見えていないように見えた。私その人のこと、知らないけどよくわかるな。
『その人は種族なんて関係ないと言ったんでしょう?なら答えは貴方が持ち合わせてる筈だし、それ以上なんてものは存在し得ない。』
きっとその子もこう思ったはずだ。
『”貴方とその日に息した私は此処で息づき芽吹いたのだから”』
その時間を知った。それだけで幸福極まりない、宝石のような光を灯すことになることだろう。
『…で、どう?神様、それでも私に多くを望む?高みのその世界に上ったとしても、貴方の逢いたいお人になんて私は生きて居られないよ。』
私はその人ではないんだよ。神様。
『知ってる?幾らやっ』
「っ都結さん!!!!!」
「”うるさい”」
うるさ、うるさい、うるさい、分かっていって分かって言ってそういうのか分かってわかっ
「彼女の仰る通りですよ、ノエシス」
「”ああ!?お前も”」
「その時間でしか息など出来ない。例え今叶えても、それ以上の幸福なんて願った時にしか叶えられないのですからね。」
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それから、落ち着いた神はそのまま綺麗に溶けて消えて行った。一応都結の体内に生きて居るのだそう。此処まで露わになったのは今回は初めてだそうで、エフェメラルらもまた、その一人だった。体内には居るが、いずれ消え去って良いとさえ思っている子達だ。下手に外に出すなんて考えないでほしいと念を押してから、彼女らも消えて居なくなる。
『…ごめんなさい。勝手に動いて。』
「いえ、私らも守れずすみません。」
子犬に変えられたぴくるすはくうんと子犬らしい声を出す。耳もしょげて尻尾も落ちて本当に落ち込んでいるようだ。力になれず申し訳なさで落ち込んでいるのだろうか。それでもあの時駄目だと言って止まってくれた彼には礼を言うしかない。彼がそのまま食らっていたら、暴走して周りの人までも巻き込みかねなかった。
だからあれは最善のことをした、というものだ。
それに、こういうことがあるから、大神官は人間に。ましてや都結と共に何でもない人間になんて成れないというのだ。流石に痛い程思い知らされた。都結も彼に必要以上求めないのも、あの神々が腹の中に居座っているからこそなのだという。何故言わなかったと言えば当然の言葉が帰って来た。
『貴方達に願いの矛先が向かわれるとこっちが困るから…』
まだ自分の位置ならば、エフェメラルら元々生きていた種族の末裔が、都結にも引き継がれていた。それ故、まだ分がいい。こっちが耐えればいい話なのだから。だがコルンらはどうだ。誰もがその位置に居ないし、この一番大事な所は「願いを維持する」という意志の強さと長さだ。都結は生き延びる為だけに、幼い頃から外からも己からも攻撃をし続け、兎に角堪え切れられるように精神を磨き上げ続けて来た。その効果が今現在ずっと現れているのだそう。
『この世界に来てからというものの、何処かソワソワした感じはずっと拭えなかったし、それに色々変な気持ちも抱いてた。多分不安とかそういう圧とかも加味したもの。』
「貴方だから耐えきれている、それが他に向いた時、耐え切れなくなった者に貴方が耐えらない、と。」
其処迄作戦を練っていなかった此方の落ち度だ、というが、そんなのそもそもそうして耐えようとして努力を積み重ねただけでも素晴らしいというものである。
「確かにこれでは相談の仕様がありませんものね、向こうではこういったものは精神疾患と判別なされますし…」
「気が出ていない以上体内、即ち精神内での戦いでしかありませんでしょうからね。」
「ですが、此方に来てからは話が大きく変わる。」
時間が進んだ以上、後戻りなんて出来る訳がない。もう少し語彙力を身につけていれば、もう少しこう、遠回しにでも解決が出来たかもしれないと落ち込む子に、子犬もしょげていた。
「…これからどうしましょう」
「一先ず、流石に此処まで狙われるようでは…」
「ですがお父様流石にそれこそ全王様の」
『帰ろうよ』
くうんと声が上がる。ぱたぱたと零す涙に、帰りたいと小さな悲鳴が上がった。此処でも生きれないならば、私は何処でなら息が出来るのだろうか?何処に行っても、誰かの足手まといになっている。あの日に戻られるならば戻りたい。でも、それではいけないのだ。あの日があったからこそ、今生きて居られる訳であって。それでも私はあの日に戻ってもう一度同じ時間を過ごしたいわけではないのだ。
ただ、その時間を生きたお人らと新しい世界を共に見て生きて居られたらそれだけでよかった。それだけなのに、此処までも世界に宇宙に拒絶させられては、参らないものだとしても、参ってしまう。
かえりたい。
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「…寝付きました。大分泣かせちゃいましたが。」
「…お疲れ様です」
お父様
「本日は此方でお休み下さい。帰られている間にいえ、向こうで上の空になされては全王様も酷くご心配をおかけすることになかろうかと。」
「すみません、それではお言葉に甘えて。もうしばらく此方に居させてもらいますね。」
「ええ、彼女も貴方様とおられたら気が楽でしょうから。」
ぺこりとお辞儀をしてから部屋を出る。ため息を吐いて椅子に座り直した。話はこうだ。
都結の祖先はエヴァネセントその者。そしてそのエヴァネセントの祖先の元が、神様であったノエシスの愛したお人その者なのだそう。エヴァネセントは、まさかの大神官と繋がっていた人その者らしく、その話は都結が何となく察していたのだそう。だから彼女は大神官に強く踏み入れることはなかったのだ。小説らを書いていたのも、恐らくその記憶が関係しているのだろう。
物語の中でなら息が出来る。
皮肉なものだ、その物語に、力に殺される末路を分かっていようとも、それでも願いそれに手を掛ける種族なのだから。とは言っても、三回忌。彼女らが言っているのがもしも正しければ、一度都結は確かに死んだ。三回忌の効果が切れて、彼女は晴れて契約から外れた、ということになる筈だった。
だが、神々がそう許可を降ろさなかった。のが、今回の事件である。都結を何とかして願いに縋らせる為に、恐らく敵にさせたのだろう、彼等も可哀想なものである。兄弟らの後始末は兄がやると言っていたからまだいいとして、だ。問題は神々と、その化け物の末路だ。
「…課題や懸念点が多すぎますね、これは。」
自分だけで抱え込む話ではないことは間違いない。だが、恐らく他の子達も同じように知恵を振りぼっていることだろう。あんなことがあったのだ。流石に何も誰も考えていない、なんて馬鹿な話があってたまるものか。あったらこっちからぶん殴りに行って説教を滾々としてやるというもの。
都結の気は流れは維持しやすいように変化させていた。その維持で、神々らが飽きるのを待ち続ける為だけに、恐らく彼女は母親から突き放された最初の願いに縋っていたのだろう。だが、途中から願いが変わった。大事に大事にしている願いに気付かれ、神々が手を伸ばしたことに、都結自身非常に心を痛めたことであって。
普通で在ればよかった。そしたら貴方を心の底から好きで生きて居られるというのに。
それすらも叶えさせてやれないとは、不甲斐ないが、仕方がないといえばそれで済む話であって。
「…チッ」
面倒過ぎる。もう人間だったら済むのだが、そうはいかない。神々のアレらが、結構厄介らしく、それに目を付けられたが最期。最後まで願いに満足しなければ人を宇宙をも巻き込む爆弾と化すのだそうだ。その面倒極まりないことに気付いた先々代の全王が廃止した者達なのだそう。そう、その残りカスが今浮上しているのだ。
この何が面倒というのかというと、その神々が納得するかどうかの話である。彼らが気が狂うように言ったことに対して、異常な程に都結は冷静に応え、そして笑っていた。怖いだろうに、それでも心の中は嫌な程に、静かでまるで水面が世界を見せた様な鏡のような世界だった。
何もないから、お前が望むも無益だぞ、と。
言っている様にも聞こえたが、恐らくその通りなのだろう。本当に食えないお人というか、何と言うか…
「末恐ろしい者が、一体何を言うのだろうか。」
何処までも真っすぐにその世界だけを見通す者が、今更何を願うというのだろうか?