もしもし、神様?いるんでしょう?5



それから小物を買って、昼食をショッピングモールで頂いた後、だ。上の方にと言われて来た処は部屋に置く小物類だ。ライトなどの点灯物に不必要では?と言えば要るということを聞かない。…後で金銭の中身も見せて貰うとするか。流石に少々危なっかしい。1人はいいが、相手に偏る思考は破滅を起こしやすい傾向なのだ。

まぁ嫌と言ったら近づいて問い詰めたら落ちるだろう。ちょっと下から覗いただけで顔を真っ赤にしてくるのだ。触れたら一体どうなることやら。全く、本当に面白い子だと思う。クツクツと笑っていたら聞かれたので思い出し笑いですよと答えてしまう。

『待って誰の』
「貴方のに決まっているでしょう?これ程面白いことはないですからね。」
『あれ、』
「なんです?食べないなら食べますが良いんですか。良いんですね、じゃあ。」
『待って待って待って待って待って待っておいこらちょっとまてよ!!!!』
「あ、美味しいですね。はいどうぞ。」
『んぐっ』

いやうまいけど。
ならいいでしょ。

「それとも、こんな私は嫌ですか?」
『いいえ大好きですありがとうございます。』
「ふふ、ならいいじゃないですか。」

急に崩して話をしてきたので、もう心臓が破裂しそうなのだ。家に帰ったら話し方を戻して貰おう。もうこんなの息出来ないくらいに辛くなってしまうのは止めて欲しい。ちらりとメニューをみて、これはと聞いて指を指した大神官だったのに、嗚呼それはと目を向けた瞬間声を止めた。

『まだ早いですかねぇ』
「そうですか。」

それは英語だった。ローマ字に手を付けるが先か、いやこの際英語を覚えて貰った方が楽かもしれない。ドイツ語なら猶のことである。普通に見て見たいんだよ。ドイツ語ペラペラ大神官様とか誰徳だよ。私得です。ありがとうございます本当にいつもいつも。

『嗚呼でもアリだな。』
「何がですか?」
『帰ったら試したいことがあります。付き合って下さいね?』
「」
『…付き合ってくれる?』
「えぇ、いいよ。」

なんて言ってくれるので、もう心臓が持たない。都結はお会計と言って席を立った。それに大神官はクスクスと笑う。嗚呼、玩具になっている。完全に、だ。全王様が悟空を玩具と思っても見ているなら、大神官様の玩具は私かよ。良いよ別に、お前が笑ってくれるならば何でもなってくれようではないか。

『(嗚呼でも今だけは嫌だな)』

貴方に会えるその日の向こう側に行けた日には
その日には、そうなってもいいのだけれども。


何処にもいない、絵画の中にしか生きて居ない、貴方の世界になんて。
貴方は連れて行ってくれるんでしょうか?ねぇ、大神官様。


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家に帰宅した後、流石にアレは止めてと言われるので、とぼけてしまえばその口調ですよと答える。

『ほんっとに止めて下さい!びっくりした!』
「貴方が必要としたことでしょう?何を今更。」
『だとしても急にどうしたんですか。店長に何言われました。』
「何もないですよ。」
『いいえあります。』
「ないです」
『あります』
「はぁ…頑固ですね、ほんと。」
『じゃあ当てますよ。』
「別に出来るならどうぞ?」




『”怖かったでしょう?知らない人が自分の本質を知っていたことを知った瞬間は”』



その言葉に、少しも顔を動かさない。それにご名答か、なんて言うのだ。恐ろしいったらありゃしない。彼女は感覚で生きて来たのだろう。孫悟空と似たような者だ。彼も周りの空気を何となく読んで話をする傾向がある。だが全部は分からないし、其処迄気に掛けなくて良いと思っているからこそ、こっちも野放し出来るというものだが。この子に置いてはそうはいかない。

この子は環境ゆえの察知能力が非常に高くなっている。相手がより良い気持ちになり、自分のことから放す様に仕向け動くのだ。そう言ったということは、彼女が言いたいことはこうだ。



”だからお前は知らなくて良い。私を知ったらお前は私を捨てていく。私の親と同じ様に。”


そう言いたいのだろう。あの店長とやらから話を聞いたところ、どうも彼女の親は片方しかいないらしい。それも、父親のみだ。何がどっちでもいいだ。最初から、貴方は、

「(貴方はそうして誰にも触れないように触れてくれないように息をしてきたというのですか)」

こんなにも幸せなのに。誰かに見守られ誰かに助けて貰えるなんて、中々ないし、そう仕向けられるって言うことは自分が動かなくて良いと言っても過言ではない。それは此方として非常に助かる人材で、正直言うと喉から手が出る程に欲しくなっている。日に日に、貴方を知って、である。なのに、この子は未だに、この期に及んで拒絶しているのだ。

救いなんて求めていない。なのに救われたいと縋る、愚かな人間だろう。そうして自分が貶して、捨て去る時こそが、彼女の幸福になるならば。取る手段は一つしかない。



「だから?」
『え?』
「だからなんだって言うんですか。知られているのは貴方伝いで何となく気付いていました。貴方分かりやすいですからね。」
『いやそういう』


絶対に貴方をそんな幸福になんて知らせない。



それは最悪の時間に耐え忍ぶ為の最終手段でしかないのだ。
数多もの危険性を慣らし、何処に行っても生きれる様になんて、しなくていい。

ドキドキして居てくださいよ。私しか見えない程に、胸を一杯にしていて下さい。そんな世界に手を伸ばすくらいならば、こっちを向いて息すら忘れてしまえばいい。そうして貴方が其処を見なくなるならばそれだけでいい。救いなんて要らない癖して、その綺麗に飾った額縁にばかり触れ続けて、一体何が要らないだ。必要だから飾った。違わないでしょう?



その額縁にの中にしか、貴方は生き残れなくなってしまったから。



ならば、私の前だけでも、出て来て下さいよ。本当の、ありのままの貴方を教えて下さい。きっと怒るでしょうし泣くでしょうし、笑ってしまうことでしょう。それでも私は貴方を見捨てませんよ。この世界でも気は極々僅かではありますが、きちんと巡られている。発動しないのは、恐らく発動自体の条件が全く違うからでしょうし、発動出来ない環境に位置するからでしょう。

貴方は違った。行きかう人々とは違った。色んな人間が居た。色を、一つを灯している。皆何かしらを抱えている。なのに、貴方は違ったなのに、貴方は、貴方には何処にも、何処にも




何処にも無かった。貴方の色は、気は、何処にも、ないのだ。





それが怖いと言ったらこの子はどういうだろうか。「何を当たり前のことを」なんて言うだろうか。私が言っているのは、敵を撃つ為の気ではなく、精神の気なんですよ。其処を取り扱わねば、力として表現なんて夢のまた夢物語の話です。何かしたい。こうしたい。そういった想いの気がなければ、形になんて出来る訳もない。そう、怖いんですよ、私は。






貴方の感情が、何処を探しても見当たらないことに。





数時間前”経験したから”なんて発言をした。それは「生きて来た中で知った知識上」という意味であり、彼女本人の感情からではない。発生場所が全く違うのだ。通常の人間と。そして、同時にそうおもった。





どうしたらこんな子に成るのだ。





彼女に一体何を言い聞かせたらこうなった。こっちのセリフだと強く思った。だがそれを言ってどうなる。これ程仲良くなって、次笑うなんてことはあるか?恐らくないだろう。警戒心の強い彼女のことだ、一度知れば後はもう、諦めた方が良い。それ程に対策を練ってくることだし、一発でダメなら次はもう、恐らくは。

何故こうも想うのか?確かに命の恩人という点ではそうだが、それだけではない。精神の中に自分という勘定がない。それはそもそも無くしているというものなのだ。




この子はその額縁の中にすら自分は居ないのではないか?


それが恐ろしかった。今迄培ったものは、人形か鏡だったという者だ。幻滅して、人が出ていく気持ちは分からなくはない。何だかんだ言って今は天使ではなく身体は人間。如何せん不自由はあるが、感情面も強く左右されるとは思わなかった。命の恩人だけじゃあない。我が子の様に見えるというのも、間違ってはいない。それだけじゃない、それだけじゃあ、ないのだ。





其処は地獄って言うんですよ。貴方が生きたいと縋っている場所は。




なんて言えたらいいのに。言ったらきっと、もう話さなくなるだろう。今度こそ「人形」としか喋れなくなってしまう。時々当然かのように言うが、本当に欠落している。何故知らないこっちが此処まで知っているのか分からなくなってくるくらいだ。頭を抱えた大神官は暫くして、ちょっと寝て来ますと言って席を外すことにした。これ以上居ても良い気にはならなかったからだ。

あの子は怖い。危なっかしいのだ。何時だって死んで良いと思っている。友人を持たないようにしているのだろう。そうしたら死んだ時泣く子は居ないから。そもそもいないんだから、ということか。嗚呼違う、なんて言うのだろうか、分からないが、それでも、こう、駄目なのだ。その場所は、いけない。手を取ってこっちにと引きたくもなる。その感情を、私は知らない。


なんだか知ったら本当に連れ戻してしまいそうで、怖かった。


だって私は



「(嗚呼、この世界から自分の世界に入れたいのですか)」

それは禁忌も禁忌だ。時間操作はもってのほかだが、別世界になんて、もうとんでもない大罪だ。とは言ってもこっちも大罪人ではある。向こうに行った時の処罰がどうなるかは、考えるが。それよりも私が居なくなった後の子が心配で堪らない。私が居なくなったら居ないを理由に自ら命を絶ちそうで怖いのだ。別に構わないと思っていたが、なんだか嫌になって来た。

親心だろうか、分からない。横になって暫くしていたら日が落ちていて。何時の間にと思って部屋から出たらソファーに横たわり寝ていた。

「全く、風邪引いたら困るのは貴方でしょうに。」

本当に目が離せない。子供達でも此処まで手を焼いたのは中々いない。メルスでも割と利口で言うことはそこそこ聞いてくれていた。まぁ正義感が強く、それに伴った行動を除いて、にはなるが。比べたら圧倒的にこっちが言うことを聞かない上に手を焼く。別に死んでもいいのに、良い筈だったのに。

「失礼します」

ぐっすりなことを良い気に抱き上げてしまう。流石に軽すぎやしないか…?いや、最近子供達の身体を持ち上げていなかったから、そう比較は出来ないが…まさか、自分と同じ体系とかほざいていたが、本当にそう思っていたのか?いや、それが事実ならば、本当に叩いてしまおうか考える程に華奢な身体だ。正直身長はこっちの方が高いし、身体つきも此処までじゃあない。もう今度半裸の姿を見せて証明してしまおうかと思ったが、見せたら見せたで卒倒しそうだ。嗚呼、それはそれで面白そうなので今度やってみたくはなるが、してしまおうか。

「(部屋に入らまいと思っていましたが)」

物が多い。だが、ふぃぎゅあ、というものはほぼない。壁に何かのグッズが飾られていたり、パソコンとやらも何台かある程度で、絵の資料なのか本もいくつかある。何処にでもある、ちょっと絵描き好きな部屋と言った処だろう。寝かしてしまい、シーツを被せたら気になるものが見えた。今度聞いてみるか。

「(本当に、どうしてあの子達を其処迄みるんだか)」

不思議なものだ。まだ出会って二日程なのに、もう数か月前まで会って話していたみたいに思える。まるで昔本当に会ったみた、いな…

「…そう言えば、以前迷い込んできた子が居ましたね。」

だがあの時は髪色は白く、眼の色もまた違っていたし、だが、彼女の声を高くすれば確かに似たような感じではあった。大分前だが、以前「気が異常に澄んだ子がいる」という連絡を聞きつけ、気になり発見した第8の方に様子を伺った覚えがある。大体人間で言うと、5歳前後だろうか、呼びかけても首を傾げては周りを走ってはこっちを見て止まり笑いを繰り返すばかり。

ー如何致しましょう。本来は破壊する予定の惑星でしたが、流石にこの質を見てご相談にと。
ーこの子の親は?
ーそれが分からないのです。それだけではありません、全てが分かっていなさそうなのです。

まるで、別世界から迷い込んできたみたいに。

ーとあればどうしましょう。消滅、というのも難しいと思いまして。
ー…成程、確かに別世界の神々の管轄でしたら、こっちが手を出すのは止した方が得策ですね。
ーほら言ったでしょう。リキール様、絶対こういった場合は大神官様にお尋ねするべきだと。
ーお前名前は

そう言ってしゃがんだリキールに対して後ろに行くものだから尻尾を避ければ止まる幼子。じっとリキールをひたすら見るので、耳も下がる。下がったらこんどは幼子の目が輝きを増していく。もう、ターゲットロックオンである。痛い痛いと言えば痛くしないように、撫でて軽く寄り添うだけに留める。

ー言語が一切通じなさそうでして、ですが元の場所に戻してやりたいのです。
ーそうですね、こっちでも調べておきましょう。その間此方で面倒を見てやって下さいませんか?
ーそれは構いませんが…
ー人間の幼子ならば以前クスさんが面倒見ていたのでご指導受けてきなさい。ソレとなりに連絡もしておきましょう。
ーすみません、恐れ入ります。
ーあいてぃ

え?そう言ったのはリキールだ。腰を下ろし、彼女の背丈ほどの高さ近くまで下がった状態で対応している処に目を向けた。

ーあーああいてぃ
ー名前、で、すかね?
ー恐らくは、?
ーあ〜ああいてぃ!!!!

分かった分かったと耳を掴まれていだだだだだと言うリキール。もうやられたい放題である。コルンが手に取れば泣き叫ぶ。リキールの方が良いらしい。

ーじゃあ此処にいる時は”アイティ”だな。
ーあいてぃ!!!
ーアイティさんですか、良いですね。
ーあーいおおあーいおおあうあうああああ!!!
ーいだだだだだだだだだっだだだ

そう耳を掴まれた子を見て、笑ってしまったのを思い出した。


「アイティさん、どうしているでしょうね。」

澄んだ気を持った子だった。何処までも澄んでいて、最終的に大体三十年程居ただろうか?だが身体は全くと言っても良い程成長しなかった。最初はリキールの方に行っていたが、途中からコルンが気になったのか、懐いてからは専らコルンばかりだった。幼すぎる為、怪我をしたらと叱るが、叱れば縮こまって動かなくなるし、かと言って躾はしておいて損はない。

だとしても周りの子に、と思って大神官の方に預けるのは良い判断だった。預かればニコリと笑って手を振る。一応分かっているのだろう。

ーあーあああうああー
ー何言ってるんですかねぇ〜すみません私は分からなくて
ーうあー…あーあーあいてぃ
ーすみません、アイティさん。

最初はよく泣いていた。そりゃあもう、あいてぃあいてぃと煩いったらありゃしない程。かと言って消滅なんてもってのほか。元の場所に戻してやらないと、大変なことになる。こういう芽は一度潰したら後が修復出来ないのだ。巻き戻しはこの世界の人間ならまだしも、別世界から来た子も判定に入るか分からない以上、下手に使えない。

背中をトントンと叩いてやれば、ぐずるのも落ち着いてすぐに寝付いてくれる。寝る速さは此方として嬉しい話だった。周りの天使らも「コルンに子供が出来た」なんて言って面白がって面倒をみてくれていた時もあった。一番懐いたのが確かモヒイトさんだったか。対して逆にサワアさんに嫌がったのは驚いた。

顔が似ているからこっちも嫌がるかと思ったが、顔がぎゅっとしかめっ面になっても落ち着いて、途中からは皆に懐いていたし、非常に可愛げがあったのもあってか、帰る時は非常に寂しそうだった。少々長く居過ぎた為、向こうの神々と相談した上、彼女の記憶は言いように改変するとのことで話がまとまった。

まぁ帰る時となったら「こるんといっしょにかえる」なんて言い出して笑い出したのはいい思い出だ。神々の言葉を余り分からなかったが、彼女は最後、非常に嬉しそうに「あいてぃ」って言って泣いていたのを覚えている。名前を憶えては繰り返して言って、よく抱っこをして貰えていた。

頬を合わせて嬉しそうに笑う子を見て、本当に癒されたし、あの子が元気ならばいいのに。なんて思った。まさか、な。


「まさか、ね」

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『あ〜ま〜たやっちゃった』
「何をですか?」
『嗚呼いや、昔から脳の発達が悪いのか知らないんだけどね、言葉を逆に書いちゃうんですよ。』
「言葉をですか?」

ええ、

『例えば林檎って言う言葉があるでしょう?漢字ではえっと…何で私例題にこんな難しいの出したんだよ。嗚呼これこれ”林檎”って書くんですがね、ひらがなは”りんご”って書くんです。』
「それがどうかしたんですか?」
『さっき”ごんり”ってかいちゃったんですよね〜あと時々真ん中から始めたりもするんです。』
「…そうですか。」
『いや〜意味が違うことになるから駄目なんですけどねぇ〜』

あの、つかぬことを。そう尋ねた大神官に、なんです?と都結は聞く。

「”アイティ”という言葉をご存知ですか?」
『”アイティ”ですか?いやっ…知りませんね。』
「そうですか」
『嗚呼でも誰が何のために発言したのかによって憶測は付きます。それでよければ。』
「構いません。」

大体これくらいの子でして、
ふむふむ。

『ひょっとしてこんな感じの子でした?』
「…そうです、」
『あ〜大体二歳から五歳前後の子かなぁ?ちなみにアイティって名前とか?』
「ええ、由来があればと。」
『うーん、言葉自体多いですし、幼子とあれば、分かりませんね。』

幼子は良い間違いをするので。
言い間違い?

『ええ、自分はこう話したかったのに、言葉にしたら違う言葉が出た。又は話したかった言葉が後から出て来て、会話ですら成り立っていない〜とかね。言語をというか、人間を調べるにあたって其処ら辺も調べたことがあるんですがね。勿論自分を守る為だけですよ。』
「何一つお尋ねしてませんよ。それで?」
『わかんないですね。髪の毛が白っぽかったら、恐らくというか、それこそ今度会うドイツ人の子辺りですね。お会いになります?』
「よろしいのですか?」
『異世界からのってワクワクしますし。貴方が此方側に来たのがそう言った理由ならば特定の人間に会う様歯車が向くハズですからね。』
「…だとしても出ていきませんよ。」

それはどうかな。そう言う彼女に、大神官はふむと唸ったのが、数日前。






そして、時間は来た。










泡沫の白昼夢


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