夜間飛行のカーテンコールを7
熱が下がらない。そう連絡を聞きつけてか、アゲートが急ぎ入った。
「何時から」
「既に三日は経ちます。」
「…ちょっと賭けにでるか。」
大神官様。そう言えば瞬時に飛んできた大神官に流石に驚く。
「何用でしょうか?」
「お忙しいところ恐縮ですが、彼女を惑星に「それは出来かねますね」大神官様…!」
「彼女の状態もまだ惑星がどういう状態かも、未検討でしょう?」
「だが彼はいや”あのお方”はこう仰られておられた。」
ある程度策は掴めた。恐らくだが、都結自体が惑星に入らないとこの熱は治らない。そもそも向こうでとって来たウイルスだろうからだ。暫く養生させなければいけないだろうし、それにアゲート単体でも惑星自体には入れている上に、向こうから了承を取って来たのだ。
「”彼女を寄越せさもなくば”」
「…さもなくば?」
一体、どうなさるのでしょうか?
びしり、と亀裂が大きく走る。顔を上げれない。上げたら殺されると思ったというか、脳裏に過ったのだ。あげなさいという彼に、びくりと反応する。圧が、此処までとは思わなかった。
『…んん、っ、は、っ、ふ』
「さもなくば…彼女が死んでしまうから、と。」
「……」
「いっ、如何、致しましょう?」
仕方がないですね。ただ私も立ち入ります。構いませんね?
はっ
「では我々も」
「嗚呼いえ、貴方方は仕事に戻られて結構ですよ。」
「はい?」
いやですが
私もこう見えて飛べますから。
そう抱き上げた大神官がニコリと笑った後、小さく言葉を言い放てば、綺麗に三人が消えて居なくなってしまった。
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「此処ですか」
「…本当に来られた」
「彼女を、という気持ちが伝わったようでしたからね。」
辿り着いたのは、先日掃除をしていた城とはまた違う処だった。廊下を歩いて行けば、綺麗な水が漂う場所に出てくる。中庭だろうか?中央にくぼんでいるひし形に彼女を入れてしまえば、ふわりと花びらや蔦が下から出て来たではないか。息も暫くしたら落ち着いてくる。
「…あんなに、苦しそうだったのに。」
「どういう原理かは推測が付きませんが、ひとまず良かった。」
もう熱はなさそうで、目を醒ました都結に、声をかける。
「おはようございますみい」
『…りと?』
「、」
『えへへ”すぴりと”だぁ』
眉を上げて、へにゃりと緩んだ笑みを零す。そっと抱きしめてやれば、んんと声が出る。嗚呼、そうだ。
「…ええ、そうですよ。」
『いるね?』
「そりゃいますよ、生きてますから。」
『ずっと?』
「ええ、ずっと。」
だからもう少しお眠りなさい。今日は付いてやりましょう。
ほんとに?
『目が覚めても居てくれる?』
「ええ、お約束致しましょう。」
『なら、おねんねする!きてきて、良い処があるの。』
ふわりと風が巻き起こる。ありがとうと言ってからお花さんと声をかけた。
『”私達をあの場所に連れてって!”』
そう言えば、ビュンと背中を軽く添える様に花びらを当て、空に飛びあがった。気分はジェットコースターである。ぶわりと花びらから飛び上がった先は、下には色とりどりの花畑が見えた。嬉しそうに笑ってありがとうまたくるねと言えば、何処か嬉しそうに見えた。この惑星自体、本当に自我を持っている様にさえ見える。それはまるで、
「不思議な絵本の世界」
大分前ではあるが、この惑星から離れた時に、とある者達が言っていたのを思い出した。其処は絵本の様に生物だけでなく、木や花が自我を持って動いたりするのだそう。そんなバカな話があってたまるかと思った。だが、その世界の主を寂しく求め追いかけているだけで、本当はその場に生きて居たいのだろうと、思ったことを口にした老人が居たが…いや、まさか、な。
どうしてその情報を知っている、なんて聞くのは野暮だった。
「綺麗ですね」
『でしょう!?すぴりと見て見て!雲さんだってふわふわで乗れる〜!』
「乗せて貰えるのですか?」
『くる?』
良いって!言ってないけど!
それ、大丈夫なんですか?
そう笑った後、そっと乗ってしまえば、雲も花なんてそっちの気の速度でスピードを上げていく。数分足らずで目的地に到着した。雲からそっと降り立った場所は、最上階に近い庭園だった。こっちと言って言うが、お前そこまだ穴がと言うこともなかった。ドアを開ければ別世界、いや…
「うそだろ、」
「綺麗な部屋ですね。」
『ね、リト。』
「ん?どうしました?」
まるであの場所みたいだねと笑って言う。都結の髪がふわりと巻き上がった。
『まるであの日の時間に巻き戻ったみたい!』
ね、そう思わない?リト?
『どうしたの?』
「嗚呼、いえ…そうですね。そう思わせてくるような場所ですね。」
『えへへ、でしょう?私こっちにいるから、いつでも遊びに来てよ。勿論全王様も』
「わかりました。今度ですね。」
そう指を繋いで約束を交わす。嬉しそうに額を摺り寄せてきゅうきゅうと音を鳴らせば、ふふっと笑みが零れるが、咳払いの音でびくりと都結が飛び跳ねた。
「俺が居るの分かってやってるだろ」
『あばば』
「っふふふ、すみません。余りにも可愛らしいことをなさるのでつい。」
『!?!??!?』
「はぁ…まぁいい。」
都結の体調も、都結自体の身体が、気が影響しているのではない、この惑星自体が力を貸したというのが分かった以上、この惑星に居た方が寧ろ安全までもあった。そこで、だ。
「一つご提案が。」
『提案?』
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「よいしょっと!!」
『すみません、色々手伝って貰って。』
「別にこれしき構いませんよ。それよりもこれで全部ですかね。」
あの倒れた日から、一週間程が経過した頃。無事に回復したことを伝え、数日後にコルンらも仕事が落ち着き、ひと段落した辺りだった。それぞれの宇宙から荷物を回収し、移動し終えたばかりだ。自分が持っていた荷物が予想以上にあったため、断捨離もしてきたくらいである。
「本日から此方に住まわれるのですよね?」
『ええ、一応菜園も完備出来てますし、お水さんもほら!』
こんにちわ!
そう言えば嬉しそうにちゃぷりと音が立った。もう生きて居る以外に説明が出来ない程だ。
『皆嬉しそうだし、私も嬉しい!』
「…ま、良いですか。」
「コルンお兄様此方に居られたのですか。」
「おやウイスですか。」
其方も終わりましたか。
ええ、あらまあ
「随分と可愛らしいお姿になられてまぁまぁまぁ〜〜!!!」
『えへへ、これが元々この国の正装だったらしくてさ。』
以前ドレス姿で歩きの練習をしていたことを覚えているだろうか?あの衣装が、まさかのこの国での通常だったことが図書館で判明したのだ。カチューシャもばってんも外しているが、少し寂しくて今すぐにでも付けたいくらい。なのを我慢している。だって似合わないから。
肩も広く出ているドレス姿で、背中も結構開いている。その為黒いブーケで保護をしてやるしかない。昔からこういう仕来りだったらしく、特に王家は基本的にこのドレスを着用していたのだそう。メイドとして来ていたエプロンドレスのような衣装は、実を言うと本当にメイドさんだったらしく、本当に稀に紛れ込んで仕事をしていたりする子達も中には居たのだそう。…それはそれでなんだか可哀想だなメイドさんがではあるが。
「まだ調子も完全に戻られていないですから、余り無理もなさらないで下さい。」
『大丈夫大丈夫!皆心配性なんだって〜!』
「貴方に関しては振り切り過ぎてるから心配なんですよ。」
普段ならまだ臆病で周りも気にしての動きだから何も言わないが、流石に周りが見えなさ過ぎて危なっかしいことばかりだ。少なくともコルンが今見ている間で三度もこの惑星の植物達に助けられているのは見ている。そうでなければ時間を巻き戻すところだったことが一体数え出したらどれ程あることやら。
ため息を吐いたコルンに都結はケラケラと笑うだけだ。気候は春を想像出来た。周りも桜のような花々が見えたのもあったが、その温度もまた、である。気温は大体最高でも25度前後だった。夜は冷えても15度くらい。比較的に温暖で、そして気持ちのいい風も巻き起こってくる。下手したらそう思っているのではと思える程だった。
今日は殆どの破壊神と界王神が天使と共にこの城に居る。なんだったら今日一日泊ってもという話まで出ている始末だ。調理場は広く、既に何名かの天使らが話をしていた。其処に居たのはマルカリータやクス、そしてコニックの三名だった。
「おや、皆さんお揃いで。」
「何をなさられておられるのですか?」
「先程裏からかご目一杯に入れられたものを見つけまして、どう調理しようかと考えていた処なんですよ。」
「これは…また、」
『うわ、キャベツ、それも春キャベツだ…こっちレタスってうひゃ……』
ちょっと誰!も〜〜と言って都結が近くの窓を開けてちょっとと声を上げた。
『も〜誰一体!こんないいの貰っていいの!誰ちょっと出て来てよ!!!』
「いや、それで出てくるわけが…」
『なら伝言!”沢山お野菜くれてありがとう!でも皆の分も残しておいてね!こっちはこっちで頑張ってみるから!”』
甘やかすな、ということだ。まぁ今回は家にと住みだした祝いでもあるんだろうが。だとしても、地球とそう変わらない植物ばかりの自生は流石に驚いた。調理も向こうでしたものを採用することになったくらいだ。それで天使らが向こうの話でもちきりになっていたのだ。嗚呼だから珍しい面子で、とコルンは納得した。普段だとマルカリータとクスはまだしも、コニックが参加なんて見たことがなかったからだ。
「嗚呼、成程貴方達入れ替わりでしたか。」
そう、コニックの後にクスが、担当していたのだ。マルカリータは大神官様の次に移動してきた為、都結の味を知っている。調理の種類が増えたので、どうしようかと考えていたらしい。だが、調味料はない。塩やら砂糖は作れる可能性があるが、流石に醤油や酒は勿論、ケチャップとかマヨネーズは暫く難しいだろう。
普通に茹で野菜やら、サラダに、と思ったが、ドレッシングないとなぁと思っていれば部屋に入って来た。
「おおいたいた、コニック!」
「キテラ様ですか、如何致しました?」
お前ーーってるか?
ええ、ありますけど。
『…えへへ』
「おや、随分とご機嫌ですね?お召し物も大変お綺麗です。」
『いいでしょ!これね、中こうなってるの。』
「っ、これ!」
貴方ねぇと困りながら止めるコルンにクスクスと笑うのは、一番上の長女であるクスだった。いやいや、ダジャレなんてそんな思いつく訳がないですよねえ???
「なっ、なんですかお姉様、そんな笑う処ですか?」
「っふふふ…ええ!だって貴方がそんな慌てふためいて対応するなんて見たことありませんから。」
「…そういえば、確かに何時も都結さんの時はぎょっとしていますよね?」
「なっ!!いっ、いやそれは彼女が単に予想外のことをなさるからであって…!!!」
後身なりも我々らのお父上であるあの大神官様の正妻にもなれるお方ですよ!?そんな不躾なことを素でなさらないで下さいと言って聞かせているだけであってですねってどうして笑うんですか!!!
「いえ、何時になく必死だなぁ、と。ひょっとしてやきもちですか?」
「は!??!!?!?」
『わ、お顔まっか。まっか?????』
「ええ、まっかですねぇ〜っと!」
お兄様危ないですよ〜都結さんに当たったらどうするつもりだったんですか。
煩いですよ!お前達が要らぬことを言うからでしょう!!
「全く、都結さん参りますよ!!お父様がもうすぐご到着なさられる筈です!御迎えに上がる予定でしょう!?」
『ふふっ、あ〜〜い!』
いうならはいでしょうが!
えへへ!
誤魔化さない!!
「…ほんと、嬉しそうですますよね。」
「ええ、昔よりも今の方がずっといいと思うんですがね。」
そう喋るのはマルカリータと残っていたウイスだった。調理は天使ら全員で、という話をしていたので、大神官が到着しないと話にならない。というか、調理器具が綺麗に居なくなるのだ。姿を今では忽然と消して何処にも見当たらないさえもあって困っている。
『あ!来た!!』
その声に、ふと顔が向く。ガラス越しに、大神官が先に到着してきたのだろう。何かを話していけば、界王神らが何名か集まって話しをしているのが見えた後、瞬時に消えて居なくなる。恐らく彼らが飛んで迎えに行くのだろうがだとしても破壊神が何名か消えていったのが、気になる。
「皆さんお集まりの様で。」
「お父様!!」
「では準備を致しましょう。レシピはありますか?」
「いやそれがですねあったとしても現在ちょうりき…おや」
此方にあるではないですか。
いやですが確かに…
「貴方はこの子達が足を生やし、何処かに雲隠れしていたと、でも?」
「いっ、いえ、め、滅相もない…!」
「ふふっ」
そう笑った大神官は都結を呼ぶ。あーいと野太い声で反応した自分の声に笑ってかけ走って来た。何します?私春キャベツのサラダしたいという彼女に、ドレッシングないでしょうがとコルンがツッコミを入れる。
『大丈夫。ウイスさん。』
「はいはい、一応取り揃えてまいりましたが、これ本当に伝わるんでしょうか?」
『まぁ物は試し、成せばなるぞよ何事も〜ってことではい!!!』
食らえこれがうちの好きな味ですが!!!
ちょ、
「何してるんですか!!嗚呼そんな勿体ない!!!!」
「…嗚呼考えましたね。ある意味発想の転換とでも言うべきですか。」
「え?お、お父様って」
ああああああああああああああああああああ
そう叫ぶ天使に何事かと何名かの破壊神がやって来た。大神官も同じ様にドレッシングの蓋を開けては軽く一部地面に落としたのだ。後どれがあります?と言った彼に、これとこれもと都結が指示をする。
『ん〜多分全王様胡麻ドレ好きになると思うんだよ。』
「おや、案外貴方の好きな和風ドレッシングとやらがお好みになられる可能性もありますよ?」
『え〜?あ〜んなくそ酸っぱいの嫌がると思うけどな〜〜〜。まあ私が食うからいっか別に。』
「そもそもサラダに胡麻よりもう少しましなものあったでしょうに。」
ええ?アレ?嗚呼和風醤油ドレッシングのこと?
「ええええ、それですよ。」
『ほんと好きだよね〜アレ。あの後2Lの安売りしてたからって全部食うだろと思って買ったじゃん?』
「買いましたね。」
『あれさ、結局使い終わったのモヒイトさんの所だったんだよ!』
も〜二つ限定で600円に騙されるんじゃなかったよ!激安だったの賞味期限も近かったからさ〜急いで食っても減らなくて!
っははは、そりゃ面倒事を押し付けてすみませんでしたねぇ?
「ですが貴方だってあの味お好きだと”言っていた”でしょう?何を私だけのせいにして。全く酷いですねーそう思いません?ディールさん。」
『あー!そう言うんだ〜!私元々和風醤油ドレッシングの方じゃなくてイタリアン派だったんですけど〜!』
「嘘おっしゃい。貴方元々胡麻ドレッシング派だって言ってたでしょうが。何記憶改変なさってるのです。阿保臭いことは向こうだけになさい。」
「お父様!??!?!」
流石に声が出てしまう。もう切らすなと周りに言われるも、いやあれは突っ込む以外他ないだろうとコルンが切れた。
『ねぇディール!コレ全部調味料作れないかな?まぁこの際なんだっけイタリアンする?』
「和風醤油が絶対良いですって。」
『じゃあ和風醤油ありったけ欲しい。後ね、塩と砂糖はまぁ10キロあればいいか。』
「何作るつもりなんですか。魚の塩漬け焼きですら一キロも使いませんよ。」
でも後々欲しくなるから。
貴方が作る話だったでしょうが。
「まったく、ディールさん、余り彼女を甘やかさないで下さいね?幾らこの土地に長く住まうと言えど、余りやり過ぎるとすぐに死に絶えますよ。」
『あああああ!!そんなこと言わないでよすぴもう!!』
「すぴ…?」
「(彼女、嗚呼見えてお父様のお名前を知っておられる方なんですよ)」
「(っなんと・・!それは本当ですかウイスさん!)」
ええ、とテレパシーを通じてアワモらに声をかけた。丁度マルカリータやアワモの時は都結の精神もかなり不安定だったので彼女自体名前を口に出さなかったのだが、ウイスが来た時には名前を呼んでいたのだ。
「(ですが不思議なんですよねえ〜)」
「(何がですか?)」
「(確か彼女元々声に出す子では無かったハズ)」
そう、都結自体、スピリトと名前を呼ぶのはなかった。大神官が隣に居ても、周りに知らせたくないからというのもあった。その為スピスという名前で呼ぶことはあっても、だとしても、こういった機会では極力避けている処ばかり見ていたが、その理由もすぐに分かった。
『なんか知らないんですけどこの土地でそう言った隠し事しにくくてですね。やろうと企んでも全部失敗に陥っていて、今絶賛困ってる最中なんですよ。』
「困ってる割には思った以上に勢いが良いですね。」
『そっちとこっちは別問題なんでね。』
惑星に喰わせたのが良かったのか知らないが、いつの間にか新品のドレッシングが幾つも落ちていた。どうやら受取れ、らしい。本当に中身まで全く同じとは…一体何処で生成してくるのか気になるところではある。そもそも食っていいのだろうか不安になるレベルだ。
「では手分けして食事を作りましょうか。」
貴方はこっちで、そう言う大神官にはあいと照れくさそうに都結がくっついて行く。何だかんだ言ってこうして皆で料理なんて初めてだ。それも彼女の居た世界での食事を担当なんて、である。天使達は三人一組で調理を行う。全部で5班になる。とは言っても都結と大神官は二人だけだ。
お二人で出来るんですかと聞けば、おや出来ますよねぇと都結に声をかけた。
『ん?嗚呼いけんじゃない?私ガチ本気で皆と調理したことないからさ。』
「おや私の時もですか?」
『お兄さんの時ってっふふふふ、待って待って、貴方やってたこともう忘れたの?お兄さんさ〜私が包丁で指掠って切ったの怖くてそれ以降キッチンに立ったら鬼の形相してたじゃ〜ん!』
「っ、!」
「あんなぼたぼた切ったらそりゃ誰でもそうしますからね?次手切ったらただじゃ置きませんよ。」
『待って私死ぬの。』
「死よりも苦痛を味合わせて差し上げますので、そのつもりで。」
わーきんちょうするーと棒読みで言う処、本当に肝っ玉が深いというか、太いというかなんというか、である。
「それ切れます?私切りましょうか。」
『嗚呼いいいい、自分で出来る。大体乱雑で良いよね。』
「人が多いですし、量もありますからね。人手要ります?」
『んーーー今はいいっしょ。最悪ピクルス召喚する。』
「あの、子犬を抱いて見る未来しか見えないんですが…」
それに犬の毛が入ったら大変でしょ。そこはアゲートさん辺りで我慢なさい。
犬以下かよ。俺の扱いはーーーーー。
「ほらきた」
「ほらきたじゃねぇ。誰が嘘つきだ。」
『それはほら吹き。』
「「おおーーーーーーーーー」」
『お前ら後で覚えとけよ!??!?』
おおじゃねぇよおおじゃ!!!
「ええ?いま来たくせに一体何をおっしゃられるんだか。」
『誰が今来た産業言えっつたよ。んなネタ知っとる奴はもうインターネット老人会もデビュー五十周年終えてる頃の人間だぞ。』
「さらっと脳内で人を死なせないで貰って良いですかね。」
一応調理場なんですよ。
そう言われ、はーいと声が伸びる。もうそれ以降は、ご想像通りである。