残響響く、それは夢幻のように1
あのキラキラした宝石が散りばめられた夜闇を堪能した二人は、朝を明かした。大神官は正直寝なくても構わなかったのだが、彼女の処で培った睡眠とやらを少し作り見様見真似でやってしまえば、本当に出来てしまっていたことに気付く。彼女の話を聞いて気が付けば目を開けたのだ。確実に眠れていた、ということだ。
余り癖にならない方がいい…が、まぁこの長い時間の中、こういった軽い休息程度ならば構わないか、と思えるのはこの場所自体が穏やか過ぎる故のことだろう。いい加減叩き起こさねば誰かにこんな愛らしい処を見せつけ、惚れさせたら溜まったもんじゃない。そう思った大神官は起きて下さいと都結の肩をシーツごと揺する。
んん、とかなり高めの、それも甘えた声が出て来た。反応の返し方からして、もう誰にも聞かれたくない声ではあった。深いため息を吐いた後、早く起きなければ襲いますよ?と茶化して言えば、んんと声が続く。
『やぁだ』
ねぇなんでほんとなんでとバタバタする音に、ふわああと欠伸をしながら何してんだと上の部屋に居たアゲートが扉を開けるが、その後は勿論、言うまでもない。
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「どうしたのそれ」
「聞くな見るな推し測るな」
「いや図るも何も聞いただけだし…」
そう言える程には、でかでかと頬が腫れていたのだ。虫歯ですよと大神官が適当にあしらうのに、冗談だと思わない神々が可哀想に思えて来た。半泣きの彼が本当に虫歯ではなかろうか、と頬を手で摺り寄せ嘆いている間、朝食も済んだ皆は帰ることになった。
都結とアゲートがこの惑星に住まうことになり、惑星自体にも番号を、ということでならばと都結が提案する。
『第一宇宙と第二宇宙の間に位置する惑星を”1.5”とするのはどうでしょう?』
12と1の間を0.5刻みで数えるのだ。だとしたら、此方は"8.5宇宙"ということでしょうかね、なんて声が出るが流石に小規模過ぎて宇宙にはという声も出たが、案外それでいいかもしれないと言ったのは大神官だった。
「少々宇宙が多くはなりますが、それでも管轄者を統一してしまえばいいだけのこと。」
『わあ頑張れーあげーとーーー』
「お前の仕事だろうがどう見ても。」
まぁ仕事はやるが。そう言ったアゲートになら決まりで、とハイタッチをする。しゃーなし、と言った処だろう。頬は既に腫れなんてなくなっていた。流石に0.5刻み、というのもあり、かなり小規模。銀河も一体幾つあるのやら…と言いたくなる程の量を互いに分け合い分割する話が持ち上がった。
混ざり合ってる処に、というのだからまるで混濁者だよね、なんて笑う都結に、そうだな、としかアゲートは応えてやれなかった。さて、と言った彼が声をかけた。これから仕事が山の様にあるのだ。多くの宇宙に居る神々は出払ってしまったが、だとしても残ってくるのは近所の宇宙二組だ。
「何かお手伝いがあれば先にお伝え願えますか?」
「其処迄で…あ〜食器とかの後片付けを任せられるか?一応手伝うが」
「何かご用事がありましたら其方を片して頂いても構いませんよ。それくらいでしたら此方も出来ますし。」
ですよね?都結さん。
ふぁい!!
『なん!?うんそうだね!?』
「…こればかりは彼女の勘に救われた、という処でしょうかね。」
「ふふっ、そう言うことにしておいた方が宜しいと思いますよ?第8の界王神よ。」
そう言ったモヒイトに、第八の界王神が深いため息を零した。都結は首を大きく傾げ、身体をも横に倒して困惑の意思を見せている。身体は柱を支えとして曲げられるところまで曲げ切っている。勢いよく顔を上げれば、ふらふらとするのも目に見えていただろうに。何してるんですか、なんて言ってコルンが近づき指導に入る。ある意味いつも通りの日常であった。
「まぁまぁそれくらいにしておけ。保護者にバトンタッチしておいた方がいいだろ。」
『誰が保護者だ』
「俺だよ俺俺」
『新手のオレオレ詐欺だったら丁重にお断りしますが!?』
笑って冗談を言う都結に、更に乗ろうとするアゲート。案外この二人の相性は非常に良かった。今回で衣装整理が入ったようで、数日前というか、昨日パーティーをした際に着飾ったバレエスタイルの衣装は外交用の衣装だったらしい。成程だからあれ程着飾ってたのか。
本来はまぁ全部で行けば四種類くらいあるらしい。今回着たバレエスタイルが正装で、まぁ所謂部屋着・お出かけ用・後は作業用衣装である。姫になる地位のものが作業用、とはこれ如何に…なんて声も出るが、まぁ決まってお転婆娘が代々引き継がれていたらしく、それには全員が「ああ」と都結をみて納得の意思を声で表した。
勿論作業用と言うのが不思議の国のアリス宜しくのエプロンドレス姿だった。大神官の服と同じ色合いの衣装だが、それでも少々形は違う。エプロンもフリルなんて一切ない。それが世話人の衣装であり、作業用の衣装でもあった。違いはどうやらリボンについている宝石と、後は布の色で格を表していたそうだ。因みに宝石が無い方が見習いである。
勿論言うまでもなく、お転婆なのでしょっちゅう宝石なんて付けることなく、外に出ていた為静かに掃除し、気付いたら姫様だった。なんて顔を青ざめ、ぶっ倒れる使用人なんて腐る程出ていたらしくて、だな。その後無事廃止していたとのこと。それはそうなる。
「それで、其方が部屋着、ですか?」
『言って良い?どう考えても部屋着じゃなくてお出かけではと思うんですよモヒイトさんどう思われます?』
「よくお似合いですよ。」
『おっと話聞いてませんね????』
お兄さん?
ふふ、貴方程ではありませんよ。
ちょっと待ってお兄さん????
落ち着いたブルーのストライプ模様が全体を引き締めるクラシカルなワンピース衣装だった。胸元には白地のレースで装飾が施されており、襟元をなぞるように一本だけ紺色の線が引かれている。その間には、ひし形の宝石が少し厚めのリボンであしらわれ、止めていた。
腰元も似たようなもので、一本厚めのリボンで巻き、左前に大きくも、横長に細いリボンを留めていた。宝石は少し胸元よりも大きめで、リボンの長さはスカートの白いレースと同じか、下手したらスカート部分よりも長いくらいで切られていた。スカート部分には白と黒のフリルとレースが幾重にも重なり、知的でかつ上品さを醸し出す落ち着いたワンピースだった。
腕元はこれも作業着と同じように手首の部分が長めに取られ、2つボタンが内側に付けられていた。五月半ば頃のような季節柄というのもあってか、中はタイツ等履かず、ただくるぶし上を大きく包み上げたレースの靴下を履いている。その上から黒いベルトを一つ付けたワンストラップシューズを履き、登場する都結。若干照れを誤魔化す為に笑っているが、顔のあどけなさ加減からして、バレバレである。
黒い帽子を被り、外に出る時は手提げ鞄を持ち歩くとの話を聞き、いざ持ってみたが、うんと言った第一声で笑うしかなかった。
『駄目だこれ、お嬢様学校に行く恰好だ。』
今日は昨日髪の毛を巻きに巻かれた為、三つ編みで居るのが苦痛だったために何もしていない。若干跡が残っているくらいの髪を後ろに戻してはくるりと一回りしてみる。ふわりとスカートが上がるが、これやっぱり中に何か着ておいた方がいいだろうか?だとしても絶対着たら着たで私大股歩きしかねないが。
「したらしょっぴきますよ。」
『わあつらたにえんのやばたにえん』
「誰がお茶漬けですか。」
そう返してくれるのも、調教故、なんて思っていたら鉄拳が降って来ました。うえんいたいよお。
「ふん!要らぬことを考えるからですよ!全くもう無礼なこと極まりない…!」
「まぁまぁ彼女ですし」
『モヒイトさん何気に毒づくよね。』
まぁ言いたいことは分からんではない。そう言っていたらぶわりと風が巻き上がった。思わずスカートを下に押し付けたが、多分大丈夫なはず。まぁ別にみられた処でど
「(どうなるか、分かっていますかねえ?)」
『ひっ!!!!!!!!』
「都結さん?如何されました?」
『…あげーとお』
「なんだそんな泣きそうな声で。」
出来るだけ下着の上も履いておくことにした。短パンと言うか、ちょっとしたものがないかと聞けばないというので絶望である。うう…今度見繕っておこう。何時もは其処迄考えていなかったが、昨日のことを思い出したらちょっとそれどころではなくなってきてしまっている自分が情けない。嗚呼思い出したら恥ずかしいのでするなら彼らが居なくなってからだ!知らない知らない!私昨日何も知らないもんねーだ!!
「まぁそれくらいか、な。」
そう出してきたのは部屋着と言うよりかはパジャマだった。一応夏と冬用があるらしい。いやここ春夏秋冬あったのか。因みに夏仕様もあるのだそう。今着ているのは全部冬仕様というか、春兼秋仕様なのだとか。待ってそれ言いだしたら結構な衣装あるのでは????
まぁパジャマは白いロングワンピースだ。腰元は同じ様にリボンであしらわれている。全てに置いて白である。丈がコルン達よりも長めで、胸元が若干空き気味なのをリボンで留めている。バルーンのような手首の裾自体は可愛らしいが、これ全体的にみたらホラー映画に出て来そうな幽霊衣装となんら変わりないのでは。ほら洋画のホラー映画とか定番でしょうこんなもの。
突如だった
バチンと音を立て、世界が切り替わる。一瞬の出来事だったので、警戒を強め身体を回した。その先には、
『(だれ、だ)』
ひし形の子、だった。と言える程に、彼女の周りにはひし形の形があしらわれていた。額を中心としてか、覆うようにひし形の線が天使の輪の様に斜めに浮遊しており、目の中も同じようなひし形の光が見えた。長い髪の毛は、ほんのすこしだけウェーブがかけられていた。
ーで
『え?』
「”壊さないで集めて混ぜてそしてそのまま微睡んで”」
「都結さん?」
『』
「どうされました?」
『い、や…』
白昼夢を見ていた。のだろう、きっと。余りに突然だった為、もう声も出なかった。昨日の疲れが出たのでしょうと言ったコルンに早く言えばと周りも騒ぎ出す。都結の顔もかなり青かった。服を着替え、そのまま寝てしまえという周りに大丈夫だというが、彼らが言うことを聞く訳もない。都結の身体を抱き上げたコルンが部屋に連れ戻していく。勿論彼等の知る、部屋である。
服はいつの間にか先程の白いロングワンピース姿となっていて、何時の間に着替えさせたのかと思っていると額にキスが落ちる。
「おやすみなさい、良い夢を。」
『や、わ、たし、まだ…ね、ないも…』
「…ねました?」
「ええ、そりゃあもうぐっすりと。」
少し目を細め聞いたアゲートに、コルンが答えた。先程見た都結の記憶から推察するに、恐らく白昼夢であるのは間違いなかった。だが、それを深く考えさせるよりも寝かしつけた方が良いと思ったコルンの判断は正しいものであって。アゲートに聞けば同じ様に見えたと言っていた。よくよく見たら彼も少し、いやかなり青白い。
「っと、大丈夫ですか…!」
「ああ、心配ない。ちょっとふらついただけだ。」
「ですが、貴方もかなり青白いですよ…!」
流石にベットに寝るのも悪いし、かと言って彼女の傍から離れる訳にも、そう言う彼にはこっちで請け負いましょうと言って声をかけたのはモヒイトだった。破壊神達は先に帰ると言っていたので、界王神にそのまま帰らせてしまう。自分達は彼らが少し心配なのもあり、残る予定ではあったし、その件に関しては仕えている破壊神は勿論、界王神やなんだったら大神官様も了承済みである。
「お部屋は何方に?」
「…とりあえず隣でいい。流石に距離は取りたくない。」
一応近くに護衛用の小さな部屋は在った筈で、其処に簡易ベットがあっただろうが、綺麗にはしていない。多少煙たくなるかもだが、あの塔の方に帰る訳にはいかなかった。此処からは少々遠すぎる位置にあるのだ。出来るだけあの部屋は見せたくない。それはアゲートも同じ気持ちだった。
だってあの都結の笑顔を見せつけられたら、それ以上のことは言えなかった。熱が上がり、もう死に耐えそうになっている彼女を抱き上げた大神官の温もりを知る時の顔も。彼女自身の身体が回復した時の顔も。そして、目を醒まし、大神官とベットでくつろぎ笑っていた時の顔も。
全て、天使らと話をする時の顔ではなかった。あの顔こそが、都結自身であり、その者なのだ、という証拠でもあった。嗚呼これは守ってやらねばならないと、何処か血筋が物を言った。そうしないと、今度こそ断絶してしまうのだと。後ろ指を指されている想いだった。
「頼む…」
「…分かりました。では」
「ええ」
アゲートも衣装を変え、執事のようなものを着飾っていた。背中は大きくひし形で布を切り取られている燕衣装だった。背中にベルトで縛り上げられる箇所があった。腰元から二つに分かれた布は膝裏まで伸びている。貴族が着そうなと言えばその程度で終わる程の、本当に何処にでもありそうなありふれたもの。それでも、この城は常にひし形の紋章を何処かしらに付けていた。
その時だった、ふわりと風が動く。アゲートが倒れそうになったのだ。気付いたモヒイトが急ぎ腰元のベルトを掴み、胸元で支えた後声をかけたが、応答が一切無い。一応呼吸は出来ているが…だとしても、様子がおかしい。気になったコルンが声をかける。都結のことを気に掛けたモヒイトに気付き、しまったと焦り部屋へ戻る。
「…何方様でしょうか」
そっと都結の頬に手をかけた子がコルンを見る。
目はひし形に切り取られていた。
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「何方様でしょうか」
「”戻って来た”」
「なにがでしょう?そちらの方に触れるのはお勧め致しません。いや、出来かねます、ね。」
「”「安定」と「土台」”」
彼女を贄にでもするつもりか。杖を持ったコルンに、続けて彼女は言った。いずれこうなる、と。
「”糸が絡み合って変わる様に私達は完全に溶けて区別が付かなくなる者”」
「離れないというならば…此方から行きますよ!!」
「”それは氷が水に戻る様に。ある一定の形に入れば同じことを繰り返す者”」
コルンが攻撃をした時だった。ふわりと風が巻き起こり、綺麗に彼女は切り裂かれた。ただ、声はする。気も気配もするのに、まるで見えない幻を切っている様にさえ感じた。急ぎ都結を抱き上げ距離を取る。彼女は未だ目を醒ます気配はない。
「”約束は果たされる。物語が始まるように終わりは必ずある。”」
「何が言いたいのです。彼女等を元に戻しなさい。」
「”満ち欠けの様に戻るよ。”」
いつか必ず。同じことになる。近いうちに会えるよ。そう言って消えた彼女に、何も言わず、ただ都結らが目を醒ました。
事情を説明すれば、同じ様に白昼夢を互いに見ていた話をする。都結もそのひし形を持った子と話をしたらしい。ただアゲートは違っており、彼は黒髪の男性と交流をしていたそうだ。都結もコルンが見た彼女は、白い髪の色だった。まるで苗字変えたみたいとぼそり言った言葉に、声が止まる。
『げっ』
「苗字?貴方水向ではなかったのですか。」
「都結さん???」
『あばばばばばばばっば』
いやでも憶測だから。
だとしても今は言うべきでしょうが。
「ほら言いなさい。今すぐに。私の気が、変わらないうちに…!!!」
『あうあうあうあうあうあうあうあうあーーーー』
じつはかくかくしかじかでして。
「…貴方羽黒という苗字だったのですか。」
『うう。』
ごめんな大神官様。約束秒で破って。マジでお仕置きとか本当にされそうで怖い気がしてならない。半泣きの都結が粗方の事情を説明する。父方の生き残りが当時助けてくれた人達から「楠瀬」という苗字も貰っただけであって、本来は「ハグロ」という名称の人間だった話だ。それに関してはアゲートも待てと声を上げた。
「俺も同じだ。俺の母方が「シロサキ」という名称だった。」
「…読めましたね。」
「ええ」
ハグロは漢字にしたら羽黒、即ち黒の羽根である。それに対してシロサキは漢字にしたら城崎とも呼べるが、白崎とも呼べなくはない。髪色が黒いのは名前由来だ、としたら都結の母方が白い髪色だってなれば話が分かる。元々黒髪の遺伝も持っていたからこそ、顔もそれなりに黒い髪色でも合いそうな顔つきなのだろう。
となれば、恐らくアゲートの力は発動したら髪色が自然と黒色に。都結は白色に変化するということになる。元々髪色は白色ではある都結だが、此処に来てからというものの、染色が本当に落ちなくなったらしく、完璧な黒髪に染まりあがっているとのこと。本人的には染めなくて喜んでいるが、此方としては少々困った話であって。
「力の加減が通常よりも明確になる。それ即ち、敵の判断も増える、ということ。」
「今までは染色でなんとかしていたでしょうから、此方に住まわれる際ついでに色も落とせば、という話も持ち上がったくらいでしたからね。そうしたら力の加減も相手側は分かりにくい。」
『えっ』
「貴方の性格上、人をとにかく弾く。それは確実に人を守ろうとする強い意思からのこと。相手に知らせず、自分の意思を貫こうとする力は戦闘でかなりの優位に立ちますからね。」
其処を買っていたのだが、今回の件でそれが無効となる羽目になる。加えて力を使えば自動的に髪色が変わるということは、それ相応の力の戻し方もバレるということ。それに、彼女の言っていた言葉は気がかりだった。
混濁者が「糸が絡まるように変化」するなら、融解者は「完全に溶けて区別がつかなくなる」と言った処か。
もしそれが本当ならば、栞として精神内を統一していた一部の者とは別の融解者が居るということ。そして、都結もまたその一人だ、ということだ。アゲートはひし形ではあったのかと聞けばどうやら違うらしく、彼自体は槍の矛先に似た形を示していたと言っていた。形を見て、嗚呼と都結が発言する。
『スペードだ』
「トランプのですか?」
「トランプ?なんだそりゃ。」
「カードゲーム所謂遊戯の一種ですよ。四種のマークを13枚揃えジョーカーを含めた52枚で構成されたカードです。そちらを使用し、多くの遊びが学べます。」
我々も似たようなものを彼女と遊びました。
えへへ、懐かしいね。
『あれ楽しかった?』
「そりゃあ勿論。またするならば今度は通常のトランプゲームが宜しいですがね。」
「流石に文字遊びは懲り懲りですよ。」
『あはは』
でも、そのひし形の意味が分かった。此処の世界はトランプの形がメインになっている、ということだ。アゲート自体は別の区画に位置している者の可能性が高くなってきた。とは言ってもひし形も持っていたという話を聞いたので、此方側に近い処ではあるのだろう。本人もその意思を持っていた。
「だが俺の所も言ってたな。まぁ形は違うが。」
「え?」
「”戻って来た。「破壊」と「開拓」”」
安定した「土台」に風穴を開け、進化を促す者。
スペードは本来、力を記すようなものだ。力を使って世界を動かす、そもそもスペード自体の形は剣や槍の矛部分が由来となっているのだ。安定や基盤になり得るひし形はダイヤとすれば、トランプの意味に直結してくる。ダイヤが安定となれば、対するは変革と言ったところがスペードの持ち味である。
スペードは、力を使って世界を動かすもの。安定したものに風穴を開け、進化を促すもの。
とあれば、残るはハートとクローバーだ。間隔としてはハートが感情、クローバーは成長を促すもの、と言った処か、それか回復の方に位置している可能性だってある。都結の性格が維持をしたがるように、アゲートもそれなりに攻撃的ではあった。下手すれば後残りの二人も、きっと近いうちに出会う可能性はある。
というか、これは最早探さないといけない気がしなくもない、が。
今回断念します。
と、言うのもですね。
『惑星さんのお願い聞いてねぇからな私』
「ディール・コップキーノさんですからね?」
貴方また忘れて
いーーーやわーーーすれてなんかなーーーーいですよおおおおお???
いい切るならこっちを向いて言いなさい。あとバレバレですってば。
ため息を吐いたコルンに都結は笑って吹き飛ばした。