だからねぇ神様、お願いだから一人にしないで1
綺麗な三つ編みを編み込んで「よし」という声が出る。
これは私が
「準備出来ましたか?」
『うん!』
何時しか望んだ夢幻の物語である。
『いこっか!ピクニックへ!!!』
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『え?どうしてあの状態で終わらせたかって?』
「えぇ。当時漸くお子も成され、逞しく成長の軌跡を辿りながら余生を過ごす。人間としたら最高の時間だと自負していますが。」
何故あの状態で最終回を迎えられたのでしょう?そう問いかけてきたのはカンパーリさんだ。今この場所には行き先地点というのもあり、乗客が我々天使らの面子しかいないことで話を自由にしても良いと判断したのだろう。カンパーリさんが気になっていたことを問いかけて来てくれたところだった。
本日はお日柄もよく、殆どの天使達が戻って来てくれたから。
「いやまさか余命宣告を告げられても尚外出許可がさらりと下りたとは…不可解なこともあるものですねぇ。」
『いやだってさ、びびるじゃん。洗う予定の洗濯物如く積み上げられてたの発見したからには…ねぇ?』
「いやあの、我々を貴方の汚い洗濯物と同じ例えになさらないで頂けますかね。」
非常に不愉快です。なんてつんとそっぽを向いて話すのは都結の右正面に座っているコルンだった。腕を組み座っていたコルンに対してウイスがまぁまぁと話しかけて来たのはコルンの前にある座席からだった。隣はヴァドスさんが座っているのが此方では確認出来た。
意外にも「いや」で話がまとまっていたなんて驚く都結には眉間に皺を寄せたコルンがこめかみ元を親指と人差し指で押し支え悩みまくっている声が捻り上がって出ていたことに、クスがクカテルと一緒に笑いを堪えていた。
「ですがあの状態は非常に良い終わり方だと思いますよ?」
「おや、サワアさんそれは一体どういうことでしょうか?」
「あの子はあくまでも華を知り得る神々の一人。咲き誇る瞬間こそが美ではない。」
芽生え花を咲かせたその後枯れゆく最中の時間を含めた集合体こそが。貴方の伝えたかったこと。
「”扉を開けてくれる人を待ち望む前に、己から扉を開け続けていろ”だなんて思うことを伝えたかったとは。あんな大作読み進めていて感じ得る読者等この世に存在し得ないと思いますがねぇ。」
『お兄さん滅茶苦茶買ってくれるじゃん。』
「そら準主人公枠みたいな立ち位置でしたからね。サワアさん。」
内心嬉しかったんでしょう。なんて言ってくれるのは都結の隣の更に隣の隣に座っていたマティーヌさんだった。因みに都結の隣にはサワアさんとコニックさんが座ってくれている。サワアさん側にカンパーリさんが座っていたので、そっちの方を向いて話をしていた。
「おや、そう言うコニックさんだってある意味準主人公枠みたいなものでしたでしょう?」
「っな、そ、それは」
『マジでコニックさん可哀想案件だったからなぁ〜』
「何故あんな風に描かれたのですか?」
『単純にコニックさんに想い馳せ過ぎた末路ですね。』
「おやまぁ〜〜〜〜」
コニックさんだったら、きっとそんなミスとかしないだろう。だが私の感覚的にコニックさんだとしてもミスの見落とし一つくらい合って良いと思っている。それはコニックさんだけに限られない。他の天使らや神々だってそうだ。勿論大神官様ですら、である。ガタンゴトンと大きく揺れた後、身体が揺れたのでコニックさんが都結の揺れた身体を支えてやった。軽く会釈をして礼をしながら都結は話を切らすことなく説明してやる。
きっと切れたら忘れてしまいそうだったから。
忘れたら大事なことを伝えそびれ泣いてしまいそうだと思ったからであって。
『他の天使だってそうだろうけれどもね。』
自分のことを純粋な世界から見続け、尊敬してくれる心根の非常に優しい子が。誰かの私利私欲の為だけに汚された処を目前として、一体どれ程の恨みつらみを抱えることだろう?少なくともマルカリータ辺りはそのまま殴りそうな勢いだと思っていたが、どうやら案外そうでもないらしい。
寧ろマルカリータの方が手が出ず、コニックさんの方が手が出やすいのだとかなんとか。いや普通に現実あったらと聞いたら「まぁ間違いなくあれ程の理性は微塵も持ち合わせていることはないと断言出来ますね。」なんて言ったから普通に怖い話が出来上がったのだがな。
『その人の良い処を知って、尊敬しながら対等の位置を願い止まない子が。傷付き倒れていたら殺したくなる気持ちも湧き上がるだろうけれども。』
「けれども?」
『色んな時間を共にした時間の子を思い出したその時。きっとコニックさんだったら時が止まったように感じ取って、そのまま己の劣情さえも抱きながら彼女の精神的ケアに足を運んでくれそうだなぁ〜〜〜』
って、何なにナニ
『何その顔顔は。』
「い〜〜や?」
別に?何て言う前に拳が出た。痛いですよなんて声を無視してそっぽを向いたコニックさん。案外本当に意外な一面であって、少し都結はワクワクしていた。足を前に出し、揺れる電車を筋肉だけで耐えようとしていたのがバレたのか。或いはスカートの中が見えはしたないと知れたのか知らないが…嗚呼どちらかと言えば恐らく後者よりだろうな。コルンが「足を前に出さない。はしたないですよ。」と言ってくれたのだ。
注意されたのでそっと足を降ろしたが、直ぐに上げれば怒った顔になる。クスクスと笑いを堪える音に、コルンが叫んだ。
「〜〜〜っ、お父様!!!もう私には耐え切れません!何故あのようなお姿をもお許しになられるのですか!!!」
「良いではないですか。無邪気で。」
「無邪気と
「時々無知とか入れますか?」
「天気の話に話をすり替えようとなさらないで下さい!!!」
もう半泣き声のコルンに今度こそ周りが笑い出したし、何なら都結に関してはあたりが強くなる。お前が笑っている場合じゃないだろう。みたいな声がキャンキャンと聞こえてくる。指を指し向けて言うとは、それこそ不躾な行為だろうに。都結はそんなことで怒ったり目くじらを立てるなんてことすらしないのである。大神官はそんな都結の姿も好きだった。
だから彼女の好きなことを最優先してやりたかったのだ。
彼女の好きは自分らの知る世界と違う位置から見ていることだろうと思ったから。その世界を自分は見たいと思ったのは事実だったから、だ。親御さんにもお会いし、話をしたのはこの大きな旅の許可を得る一週間前のことだった。
その日は曇っていた。あの日消えた日みたいな景色が広がっていた。
驚くことに母親側の人間も入り、ある意味親戚会議とも言えるピリついた時間だった。その時都結も出席していたし、許可をと考えたのは都結の方だったのもあった。コルンらに事情を説明したのはこうだ。
ー”都結は天使の生まれ変わりみたいな者なのです”
まさか事実上の生まれ変わりだったとは、思いもよらず。本人は未だに信じ切っていないことだろう。なんだったら昨日出て来たチャーハンの出来に良すぎたのか忘れ去っていてそうで恐ろしかったくらいだ。因みに昨日の晩はモヒイトとクスが担当している。都結のやっているSNSとやらのアンケートで堂々ランクインした組み合わせだったらしいからなのだそう。まぁ選び方は人それぞれだが…んん、これ以上は言わないことにしよう。
ー”輪を自ら手にかけ反転し、自身を人間だと信じ切って別世界に飛んだ”
その直の子が、そう祖父母らあたりの人間だったのだそう。因みに大神官側ではなく、更にその上らしく、大神官曰く血族ではあるにはあるが、丁度大神官の上の子自体が大きく歳が離れている上に間に何人かいたらしく、都結との繋がり。血の繋がりはないものが判明している。
ー”降り立つ者は仰られていました。”もしも生まれ変わることが出来るのならば、どうか人間に生まれ変わりたい”と。”
ーおや、其処は天使といかないのですか。
ー”いえいえ。天使なんて恐れ多いと仰っておりましたよ。”
願わくば
「(人間の立ち位置から天使らの時間を眺め見ていれば。きっとより多くの世界を知り得る時が来たるだろう…等と、
息を吸ってため息を吐くように感じ取りながら、コルンは都結の話を聞いていた。外を眺めれば電車が景色を切り替えてくれた。広がるのは綺麗な海の景色一択であって。ピクニックと言ったら普通山でしょうがとツッコミを入れたかったが、無言で旅マップの本を指差し近付いて来た時は困ったものだった。
あれ程がん見しながら。ずかずかと近づいてこれる肝が、一体何処に座っているのだろうか?そんな肝があったら、もっと他の方に使った方がきっと良い未来に続いたことだろうに。なんて言っても、きっと都結のことだから目をぱちくりとした数秒後、身体ごと首を傾げ理解の無さを意思表示として見せつけてくることだろう。
嗚呼言っておくが、その後コルンの頭は痛くなった。もう頭痛薬を飲んだ方がマシなのではと心配される程である。
クスに言われると流石のコルンも少し間をおいてから拒否をした。これがウイスやサワア辺りならば即答したのだが、如何せん姉には弱い処、都結の解釈と一致してたことらしい。本人に言ったら嬉しそうにして目の前でズッコケる未来しか見えないので知らせることは今後二度とないことだろうがな。少なくともコルンの口からは、である。
「(…ま、笑ってくれた方がマシ、ですかね)」
確かにエフェメラルの通りになるのだけは避けて欲しいものである。…だが
「(もしも今までのことが全て”現実”だった場合、少々厄介な点があるんですがねぇ)」
一つはエフェメラルらのことである。都結以外にもオリジナルのキャラクターが登場し続けていた。融解、解けて消え、そして新たな形に進化していた姿も確認済みではある。もしも都結の力が【”どこかの世界に存在する者を召喚して同等の猛威を繰り出せる人間”】だったらば。それは天使ら…いや、大神官として見過ごすわけにはいかない話になってくる。
だがそれ以外にもっと面倒な話がある。
エフェメラルらが都結らと共に敵に立ち向かった時間を覚えているだろうか?一瞬しかなかったみたいな話ではあるが、コルンらは額縁の外からしか見てやることは出来なかった。手で触れたとしても、飛びだして来た子の様に中に入るなんてことは出来なかった。そう寧ろこれは
「(我々の微睡みとも言える話)」
天使がそんな虚けをしていると知れたら大事である。仮にも付き人。天使は破壊神の役目をも背負う立ち位置でもある者なのだ。気を緩んでいる間に仕えている破壊神が死んだらそれこそこんな幻もみれな…嗚呼そうか。
「停止した時間を夢見る世界をも貴方は愛したかったのですか。」
「何の話ですか?」
「…嗚呼いや、こっちの話ですよ。」
ピンポーンと改札口で音が鳴り響く。足を止めたサワアに対してコルンが答える。それに続き都結が止まってこっちを振り返り向いてくれたのは良かったが、目線が違う。コルンもまた振り返ってしまう。其処にはこの世界に似つかわしくもない人が立ち尽くしていた。仁王立ちで、だ。
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「いや〜ま〜〜さかビルス様達も此方側に来られているとは〜〜〜!!!」
不可解なこともあるものですねぇ〜〜〜〜!!!!
なんて呑気に言っているウイス。事情を説明して何とかなったが、三つのエリアに家を借りてしまう。本日から三泊四日程度暮らす場所だ。因みに避暑地であり、本日の時間は8月の終わりに近づいている頃だった。割と涼しくなってきている時に避暑地は駄目だろなんて都結の発言で本を閉じようとしたところを手で止め実行に移したのは意外にもマティーヌであって。
都結の思い付きは割と良い方向に向く。と彼女が言った通りになる。
パタンとドアを閉め、中に入ったメンバーは第二と第八、それと第七のメンバーだった。因みに都結は大神官とペアである。が、寝る場所は意外にも部屋の広さを確認した都結の発言で混沌と化す。
「はぁ!?男女別!?!?貴方正気ですか!!!!」
『逆に正気じゃなかろうて。至って普通な話だろうに。』
「すみません、選抜というものがありましてですね。」
「なんじゃサワア。お主わらわでは大神官様の
『あんだって???
「知らなくて構いませんよ。」
例え大神官が相手だとしても、知って良いでしょうこの場合。なんてサラッと言うコルンには笑うしかない。因みにサワアがさらりと耳に告げ口をして顔を赤らめた都結にはサワアと言ったヘレスもご満悦な顔をしていた。等と後に都結が談義していたのである。自分の顔見えていない筈ですよね?何処にセンサー付けてるんです?なんてさらっと真面目に突っ込んだコルンは偉いと思う。
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まぁそんなこんなあり、こっちで寝て下さいと言うコルンに対してじゃんけんで勝ち取った都結は御開帳〜と大声出して部屋に入る。
「にしても本当によかったのか?向こうじゃなくて。」
『ん?いやどう考えてもこっちが良いでしょ。人数的に。』
そう幾ら都結でもコルンが怒って言うのは理由があった。走ったりしても、体勢を無理にしてはいけないことも。それと
『向こうは確かにベットが一つあるけれども。ヘレス様と寝るにはかなり窮屈だと察知したから。』
「…お主よく周りに口説き上手だと言われたりせぬのか?」
『いいえ?またなんで。』
「嗚呼いや、すまん。こっちの話じゃ。」
さらりと話をしているが、これも都結から命令である。最初はすぐに敬語やら深くお辞儀をしていたが、都結の目線に耐え切れなくなったヘレスが降参し、それ以降気軽に話をする仲となっている。この話は意外にも前の話で、以前都結が体調を悪くし、サワアらの元に行ったことがあったのを覚えているだろうか?あの時に話が通じたものなので、今では気軽に話をしていはするが、それでも内心の立ち位置は変わらない。どう転がっても都結は大神官の奥方に変わりはないのだ。
「それよりも雑魚寝とはお主も欲がないものじゃなぁ。」
『そらあの中で一番疲れてるの大神官様辺りだろうし、ゆっくり休んでもらいたいじゃん。子供もいるし。』
「そうかそ」
ん?
「…時に都結。お主最近酸いものは好むか?」
『ん?嗚呼昔から好きだよ?』
「いやそうではなくてだな。」
『嗚呼子供のこと?今ね、生後三か月程度だからまだ大丈夫だよ!!!』
『ねぇなんでなんでなんでなんでなんで』
「ええい煩い煩い煩い煩い!!!!」
そうドタバタしながら部屋に入って来た女性陣に男性陣も目が向く。
「お主その件を誰にも伝えておらんと言えば今すぐ」
「こらこらこらこら、何事ですか」
「さっきあれ程口を叩いていたヘレスが」
「いやだっ…ぐぬう」
「お、意外だな。そっちから引くとか。」
「貴方何を知られたんですが何を。」
ヘレス様がご乱心になられるとはまぁある事ではありますが。
おい。
だとしてもこんなところで騒ぐ者ではないと言うのだ。それに続いて『いやだって出来てるの仕方がないし』なんて言うから「は?」と素頓狂な声が出て来た。
「え?今なんと」
『だから赤ちゃんだって。生後三か月。』
「それ産まれてます。都結さん。その発言だと産まれた後の話です。その場合だと妊娠さ、んか、げ…」
「お父様」
「一応知っていますよ〜」
お父様?!?!?!?!?
なんて大声が出るのも無理はない。