だからねぇ神様、お願いだから一人にしないで2



コルンの叫びにより、全員集合とはいかない。流石に人数が人数なのだが、広い二階建ての一軒家だからこそリビングと二階の廊下に何人かが座り込んである意味修学旅行の規則会議みたいな集合となった。

「単刀直入に申し上げますが、現在都結さんの体内には私との子がおります。」
「…は?!?!?!?!」
「え、はっ、あ、いやそもえ????」
『だけどね〜、余命的に多分子が落ちるんじゃないかなあ〜?って思ってるので私は自由気ままに動く方面にシフトチェンジしました。』
「あの発言を許可頂いても?」
「構いませんよ。」

なんです?モヒイトさん。そう言った大神官に下からではあるがモヒイトが声を上げた後席を立った。

「この場で公開をなされるということは、そう言ったご決断の元、なのですよね?」
「そうですね。その意味で捉えられて構いません。」
「では私も。」
「なんでしょう、アワモさん。」
「先程都結さんからお聞きしました。子が落ちる、とは一体どういうことでしょうか?」

嗚呼それは私からと手を上げたので、頷く大神官に軽く手すりに乗り上がろうとした都結の衣服を軽く引っ張れば後ろに軽くしゃがみつつ手すりの下にある棒に手を取り声を出す。

『医者と話をして決めたんですよ。もしもこの命が続いたその時は。』
「…その時は?」
『子をきちんと育てる。まぁ確率はかなり低いだろうから、難しい話もきちんと話を通しています。』


ー子供が?此処に?
ーええ、微弱ではありますが、反応が出ましたし、検査の結果子供が宿っていることが分かりました。が、


『詳しい詳細は知りたい方にきちんとお話しますが、現段階でこの場をお借りしてお伝え出来るのは三点のみ。一つが「余命宣告」私の余命はほぼ決まっていて、大体三か月程度のことらしいです。』

決まっているのに?何て声が上がるのも無理はない。ほぼ毎日のように通っている先生からも違和感があって断言したいのに踏み込めないような顔をしていたのだ。なのでこっちも断言し切らない様にしてみている。これは賭けにもなる話ではあるがな。

『その次が「子供」の件ですね。つわりって言って結構苦しい状態があるんですが、その山を越えれないのでは?というのが医者との判断です。私の場合母親がそのつわり自体非常に強かったのでね。恐らくつわりで死を遂げかねないと。』

身体が弱いというのもあり、仮に生まれて来た処で大神官と、天使と人間の間に産まれた子である。早々柔な子として産まれる訳がない。仮に生き長らえたとしても、都結自身が耐え切れないのは目に見えていた。口に手を当て青ざめる者達には、目を逸らしてやるしか出来ない。気付いた者が、怒ってくるのも然りである。

「ですがそれは余りに時期早々な話では?まだそのつわりとやらも来てなさそうに見えますが」
『実は意外と来てるんですよね』
「は!?!??!貴方あの!!」

手を上げた大神官にすぐコルンが黙る。あの状態でよくもあんなことを、と続けそうだったので、だろう。想像させたくない大神官は意外にも執着心が強いと見た。まぁそんなのどうでもいい話である。都結は其処迄気に留めず、話を最後まで終えることにする。


『そしてその最後が「したいこと」なんですよ。』
「したいこと????」
『さっきヘレス様に滅茶苦茶怒られちゃって僕半泣きなんです。』
「そらお子がいる前提で誰がベットの無い雑魚寝へ駄々をこね勝ち取って喜びを分かち合えると思うかこの戯けが。」
「ヘレス様……」

まぁさらっと侮辱したくなるのも無理はない。というか色々と諦めている都結に対して大神官とお子が可哀想なまであるくらいだ。流石に子が出来たら夢ではないことくらい分かるだろうと思っていたが、そんなことだったら都結ではないと言い切れるくらいに、とち狂っていると思う。都結はそんな状態になったとしても夢だと信じ切っていた。だから適当に扱えるのだろう。これが現実だったら本当にヘレスの言う戯けでは済まされない話であるがな。

『だって〜狭い部屋でも女子会したかったし〜〜〜』
「それくらい別に今回でなくとも何時だって、」

そう、その”いつか”が来ない可能性が高い子が、今の現状なのだ。ソレをしったヘレスが口に手を当て下を向いたのを見て都結はふっと笑ってしまう。嗚呼そう思うだろう?なんて細い目でよく言うものだ。今の体勢だって恐らくキツイことだろうに。顔が最初見た時よりも青い気がしなくもないのは、恐らく気のせいではないだろう。大神官に目を向けたコルンに、気付いた大神官が都結の方に声を掛けた。勿論その後のことは、である。


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『何故こうなる。』
「そらこうもなろうて。」

狭い狭い言っていたら以外にも隠しゾーンがあったのをコルンが見付けてくれたことで部屋割りが完成した。ベットの位置には一応深夜何かがあっては困るから、とヘレスが一緒に寝ることになった。ヘレスは大神官に譲っていたのだが「私は何時だって構いませんが」と含みを入れた辺りで都結が阻止をしたところ、襲いかねないから無難なヘレスに面倒を見て貰おうという話になったのだろう。それ以上は気付いたら終わりだと思ったヘレスは考えるのをやめている。

因みに流石の全員はきつい為、隣の部屋に誰が行くかと話をしていたらビルスがリキールと共に出ると声を上げてくれた。以前ビルスがブルマの子の面倒を見ている際、人間らに動物の毛が母体に余りよろしくない話を聞いたのだそう。そうだっただろうか?なんて考えている間に彼らが捌けてしまう。嗚呼あのもふもふ…まぁ赤子が出たらのオマケでいいかもう。少なくともエフェメラルがもふもふ堪能してることだろうし。

という訳で、雑魚寝になるのは大神官、コルン、サワア、ウイスの四人になった。布団を敷いているコルンらに手伝おうとベットから出ようものならヘレスに止められるし、トイレとあればサワアが付き添いでトイレに入る手前迄手を取って歩いてくれる。介護かな??????気のせいじゃないよな????????

「お子が出来たこと光栄に思いますし、余命宣告で唸った、とあれば期待はして良い同然。貴方の身体がか弱いのは見てわかりますから。これしき頼ってくれた方が喜ばしいくらいですよ。」
『うう』
「ふふ、ヘレス様らも内心喜ばしく思われていますから。どうぞそれ以上ご自身を蔑ろになさらないで下さい。」

お子をお産みになりたいのでしょう?

そう言ったサワアにびくりと反応して振り返る。わなわなとする都結にクスクスと笑った後、軽く横髪を耳にかけ、軽くリップ音を立ててやれば終了である。都結の顔は火照ってしまったまま部屋に帰ることとなったし、赤い顔に何をしたとコルンに言われなんでもとサラリ交わすサワアは都結自身の彼等として解釈自体は一致したので良かったと別の意味に紐づけ解決を図ったらしい。まぁその後どんな気分だったのかは都結のみ知り得ることであった。


まぁそんなことがあったとしても、料理くらいの手伝いはする。ある程度運動はしていないといけないのだそう。だとしても包丁を持たせるなんて恐らく大神官が許可したとしてもコルンがまず許可しないことだろうし、まぁ事実していない。どうせなら散歩してきてください。その間に作りますからなんて言われ、ほっぽりだされてしまった。


軽く外を歩いていると、なんだか前に会った時みたいだねと都結が言えばそうですねと大神官が答える。


「まさかあの時から好意を向けられているとは、私もまだまだでしたね。」
『いやいや、嗚呼でもあの時大神官様も其処迄好きじゃなかったんじゃないの?』
「おや、この私の恋心を鷲摑みにした貴方が良くもそんなことを言えるものですねえ?」
『おっとー?』

おっとー?なんて言い返す大神官に笑い出す都結。クスクスと他愛もない話で笑ってくれるのは、恐らく都結しかいないことだろう。お子が産まれた先を、都結だけではない。あの場にいた全員が待ち望み出した。人の奇跡は恐らく確定へと歩むことだろう。少なくとも全天使は従事してくれることを大神官は確信していた。

漸くお力になれる。というものなのだ。コルンだけでなくサワアまでも張り切った顔を見たのは久しぶりだった。1人だけならいいが、二人同時。それもあの二人が、というのは実は大神官側からしたらほぼ初の出来事だった。それだけではない、会議が終わった後の天使らも割と生き生きとしていた。全天使が同じ気持ちに、なんて。それも意思を持ったまま、ということは恐らく今後いや、



貴方と出会ったあの日からが、初めてばかりなのであって。



くすりと笑った大神官に何思い出したのなんて都結が言う。先程少しだけ無理矢理ではあるが横になっていた都結の顔色はまだ明るかった。会議の最後ら辺は察知したヘレスが駆け上がって来て寝かしつけると言って言うことを聞かなかったのだ。布団を跨ごうと歩くのを見たヘレスが即サワアを呼び、失礼と言った彼の元、都結は姫抱きされたままそっとベットに身体を降ろされてしまった。

それが良かったのだろう、目を閉じて軽く寝ていれたのか、食材を買い出しに行っていた組からの取り寄せで料理をしようと動き出すまで大体小一時間は寝ていたのだ。そりゃあ顔色もすっきりするだろうし、気分も良くなった調子でいつも通りに動きたくなるのも無理はない。が、周りがソレを理解している時点で終わりである。


『私も料理したかったな〜手料理食べたかったよなー僕ーーー』
「おや、もう性別が分かるのですか?」
『いいえ。でも両方言い聞かせようとしてる。分裂しねぇかな。』
「事実上は分裂出来てることでしょうけれども。」
『ちげぇーんだよなーーーそこの段階じゃねぇーーんだよなーーーー。』

そうこう言っていると、お父様と声に目を向けた。前に駆け寄って来ていたのは隣の家を借りていた組だった。

『あ!コニックさんにモヒイトさんではないですか。こんちゃっす。』
「こんにちはって先程会ったばかりでしょうが。」
『えへへってあのーモヒイトさん?』
「はい、なんでしょう?」
『サラッと何なされて?』

運動しなきゃと言う都結に顔色が青いですよ〜とモヒイトが言う。助かりましたと大神官がコニックらに話を付ける。どうやらもう少し歩いたら休憩するか、無理なら背負ってでも戻る予定だったのだそう。ついでだから部屋を廻るのもありだと言う話に、それは良かったとコニックが話をする。

「我々もお声掛けしに向かう予定だった処でしたから。」
『お話?』
「お子の話ですよ。貴方のことですから、コルンさん達の意思も無視して何かなさりそうで怖い話をカンパーリさんらとお話していましてね。」

因みに隣は第1と第3、第4、第9の家である。都結らが泊まる家は真ん中付近であり、反対側に女性陣側が借りている家がある。女子の方に行けば帰れなさそうな上に調子を上げそうな話もコニックらの方で話が上がったのだそう。嗚呼だから先に声を掛けに、と言った都結にええとモヒイトが話をする。

「今では貴方の身体だけではありませんから。まぁそれ以前の時もそうでしたが。」
『えー何を今更。』
「それはこっちのセリフですよ。よくもまぁあれ程くぅくぅと寂しそうな声を出しながらお父様の帰りを待っていたのに。」
『ば、ちょっそれ言わないって言ったじゃん!!!』
「ほぉ?内緒ごとですか?随分と良い話をお持ちのようで。」

後日お話しますよ。そう言ったモヒイトに言うなと都結が言うが、是非ともなんて嬉しそうな笑顔で大神官が言うのにも関わらず、条件反射でおいお前ら言うなよなぁ!と叫んだ都結。そんなに調子を上げないとモヒイトに言われている間、頭を軽くコニックが撫でてやる。髪の毛が明後日の方向に向いていたのを直しながら撫でてやったのだ。

意外にも都結。案外人の手自体は嫌いではない。寧ろ信頼する人の手は好きなくらいであって。まぁ家に入る頃に成れば都結もぐったりして入ることになる。その状態に軽くモヒイトらが破壊神に怒られるが、事情を説明したらすぐ納得してくれたのだった。


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ソファーに寝かしつけた。流石にベットを、とは気が引けたのだ。軽く休憩を、としたら勢いよく起き上がった都結に何事かと思った。 ばたんと身体を地面に打ち付けたのだ。その状態には周りもぴりつく。

「っ都結さん!!!」
「袋を!!」
「今取って来ています!」

モノを戻そうとしているのだ。トイレにと走ろうとして倒れた衝撃で丸くなる。息をして、嗚咽を出す都結の背中をコニックが大神官と共にさすってやるしか出来ない。タオルやらティッシュ等の用意をしてくれた周りの反応は早かった。どうやらカンパーリが他の破壊神らに教育していた処だったのだそう。成程通りで対応が早い訳だ。

大丈夫ですよなんて声を掛けてやる。まだ動こうと手を地面に付くものだから、コニックの方に腕を掴み立ち上がろうとするのを片手でいけませんと静止する。

「そのままで構いません。」
『    』
「大丈夫、確実に楽になる迄お傍におりますから。」

迷惑なんて感じていない。そう言い聞かせてやれば、粗い息も徐々に落ち着きを取り戻していく。それに追加で嗚咽音が響く。ぼたぼたと落ちるのは唾液と涙だった。余程辛いのだろう。顔色もかなり悪くなった。唇の青さが物語っている。嗚咽交じりに話しをする都結に、良いと。無理しないでと声をかける。


…だいじょうぶ


『だ、い、ろふ…だいろふ、らから』
「っ、」

それは、子に対して?周りに対して?それとも己に対してだろうか?もう片方の手が胸元をさすったあと、腹をさすり始める。その手に大神官の手が合わさったのを気付いたのか、笑みが零れ落ちる。顔色は未だかなり悪い方ではあるし、これ以上動かすのは危険だと判断したかった。少なくとも帰りは抱き上げて帰したいものだ。

まだ動こうとするところ、恐らくお手洗いは確実なのだろう。借りても?と言った大神官に勿論と声を掛けた。


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「遅かったですねどこいっ、」
「すみません、コルンさん」
「…事情によりけりでぶっ叩かれる覚悟がおありで。」

勿論と言って中に入れさせて貰う。コニックが都結を抱き上げ家に帰したのだ。ゆっくりとサワアに手渡しをする。紺色のタオルに口を当て、ぐったりした顔で帰ってくるとは聞いていなかった。目を閉じ、ほぼ寝ている状態なのは分かった。身体が少し動いたのと、あとは目を開けて閉じた時だった。涙がぼろりと零れ落ちたのだ。

「散歩をしていたら丁度モヒイトさんらと出くわしましてね。部屋に入ってすぐに体調を崩されたのですよ。」
「そうでしたか…」
「まぁ出くわした、というのが良かったのか悪かったのか分かりませんがね。顔色も最初よかったのですが、嫌な予感が走って無理矢理抱き上げてました。その後家に入ってすぐソファーに寝かせていたんですよ。」

その直後だったので、まぁある意味救いだったのは途中で抱き上げたことからだろう。礼を言うコルンにいえいえとモヒイトやコニックらもそんなことはないと半分気持ちは受け取って否定する。当然のことをしたまでだ、という意味だろう。

「流石に食事は『たべう』都結さん…!」

すぐに起き上がろうとする都結に、見ていたヘレスも都結の身体に触れる。抱き上げていたサワアも目を丸めた。ぼろぼろと涙を流しながら、ごはんと言うのだから仕方がないですねぇとウイスが呑気な声を出した。ビルスに命じられたらウイスも動くしかないらしい。コルンらと話をして粥を作っていて正解だった。因みにコニックらはうどんを作っていたのだそう。両方食べるとか言い出したので一応食わせた。その後きちんと戻してしまったのは悲しい話である。







泡沫の白昼夢


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