カーテンコールはくれてやる1
それから、少ししてカンパーリさんが来て。カンパーリさん処の惑星に飛ぶ途中だった。現在コニックさん。正確にはクル様に用があったのを思い出して用事を済ましている時だった。余り動いては、とおろおろしているクルに大丈夫だと笑っていた頃。コニックはカンパーリと話があると言って席を外している。その間少し椅子に座って…としようとしてた時だ。
ぐらりと身体が違和感を感じる。眩暈がした。
『…あ』
「どうしました?」
『ごめん。多分すいはした。』
「すい?なんで」
ごめん言い間違えた。
”破水”した。
その発言は同時だった。クルが即座に走って行く。エアはおろおろとしていたが、案外こっちはまだ冷静でいれた。
『エア様聞いて。』
「な、なんでしょう!!!」
『綺麗なタオルやお水を沢山用意して欲しい。後は我儘言うならベットとかも。出来れば気持ち硬い方がベスト。』
「わ、分かりました!」
それしきお安い御用です!そう言って目の前に白い医療用のベットが出てくる。もう界王神らにある程度の知識を教える代わりの絵を描いていて良かったとこの時ばかり過去の自分に感謝する他はない。ベットに上がる前に、跪いてしまう。一気に来た。まずい。本当に出る。
バタバタと足音を立てて入って来た声がする。今もう言葉の認知がほぼ出来ないから困ってしまう。
「都結様!都結様っ、…エア様何時から!!」
「本当に先程です!今ありったけのお水やシーツを出していて…!」
「私はお父様にお伝えしてきます。クル様」
「ええ、第三の。後は頼みましたよ。」
そう言って第四が捌ける。破壊神もこれでは見ているだけも苦しい。バンと音を立て外に出て来たモスコに、驚く暇もない。
「何をすればいい」
「汗が出れば拭ってやって頂きたい。」
「それだけか?お前が出してやるのは出来ないのか。」
「ええ。流石に破水後だと既に遅いですからね。」
こんなことだったらさっさと出してやるべきだった。痛みを伴うとは聞いていたし、都結の体格上外に出してやる以外は考えていなかった。母体が持たない。覚悟をしなければいけない。
「…っは」
思わず笑ってしまう。あれ程の星々を破壊して来た身だというのに。出来るのは手拭い程度の補助しか出来ない。手が震えて止まらない。怖いのか。この神が。恐れひれ伏すとでもいうのか。手を取った子が大丈夫だという。まだ陣痛は始まっていない。少し波が強くなっては引いているだけなのだ、と。
『だ、いじょ、ぶ…っふ……ふ。…っ覚悟は出来てる。』
「…責任が取れん」
『いいよ。居てくれるだけで、責任、っとって、ぐっ…!!』
「都結様!!!」
痛みが急に来る。急いで他の神々をと招集するが、それでも時間は掛かる。ドパリと水が股から出てくる。膝を付いている状態から動けないのだろう。動かしますよといったカンパーリに首を横に振る。今は難しいと。だがそのままで居るのはまずい。無理矢理にでもとおもったカンパーリがエアに声を掛ける。エア自体浮いて二人で動かせばいいとカンパーリが告げれば、直ぐに動く。
吐き気が来て、真っ青になる。楽にしていて下さいと言った声が優しい。腰元を優しく触ってやれば、苦しい表情も幾分か和らいだ。落ち着き始めた頃、バンと扉を壊す勢いで入ってくる。
「都結!!!」
「始まったと。何時から」
「大体10分は経過しています。少々動きが早いかと。」
「大丈夫じゃぞ都結。わらわは此処におる。」
そう言ってヘレスが片手を握った。それにもう片方の手でも握ろうとしたが、直ぐに踏ん張りが来る。呻き声と共に身体が強張った。あ゛あ゛と野太い声と共に頭が肩より下に落ちた。身体を上げ起き上がろうとするのをサワアが肩を掴んで仰向けにして止める。ヘレスにはそのままで居させ、もう片方の手をモスコが手に取った。
腕を使って振るおうとするが、身動きが取れる訳がない。両方の手を一体誰が掴んでいると言うのだろうか?
「落ち着け。息をしておればよい。ただ息を。」
そう言われ、都結の息も荒さが徐々にではあるが落ち着きを取り戻す。涙をボロボロと零していく。左右に居てやる破壊神が適度に拭いてやり、身体が動く度にその手や肩を掴んでいる破壊神や天使が動く。耐えろ。今は耐えてくれ。子も頑張って出ようとしている。
踏ん張っては息を吸って、また踏ん張って。そうしている間に、頭が出たという声が聞こえた。
「ヘレスお前行け。」
「じゃが…」
「この場で一番心を許せる奴は一体誰だ?」
「…すまん。ペル!」
「嗚呼!!!」
任されましたぞ!そう言った彼が手を握る。強く掴み始めた処でヘレスが声を出した。
「頭が出て来たぞ!サワアお主もこい!!」
「ですが!…っ分かりました。エア様、しっかり掴んでいて下さいね。」
「はい…!!」
呼ばれたので行くしかない。考えたサワアはすぐにヘレスの元に近寄る。子の色は都結の色に近い色だった。息を吸って、吐いてと言う界王神に従い、兎に角痛みに耐えながら息を吸って吐く以外ない。踏ん張っては落ち着いてを繰り返す。機械的に繰り返さないと頭がどうにかなりそうだった。これでは死んでしまう。
「死んだらどうなるか、分かっているでしょうね」
嗚呼本当に酷いと思った。そう言われたら踏ん張る以外術がない。温かな陽だまりが一瞬見えた。その瞬間、その時だけ痛みを忘れた。温かな温もりが、風と共に肌へ注ぎ込んでくる。白い髪色の子が”かかさま”なんて言っている姿が見えた。嗚呼、もうすぐだ。貴方の知らない場所で、私は
命を芽吹かせた
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頭が出て来たら後はあっと言う間だった。子が無理矢理蹴り上げようとして出て来たのだ。案外すんなり出て来た子に、白いタオルで身体を抱き上げてしまうサワアに手慣れておるなと若干引き気味のヘレス。サワアは知識を知っていた迄のことだったのでそのまま伝えたのだが、それでも引かれて困惑していた。
「ほらあか、ご、」
みいゆさん?
くたりとして動かない。ねぇと揺すった。片手で赤子を抱き、サワアが声を掛ける。
「赤子ですよ。貴方が産んだ赤子です。都結さん、起きて下さい。今寝ては」
無理矢理出て来た。それで人の精神が保てる訳がない。意識がない。目を開いている…昏迷に陥っている状態だ。よく頑張りましたねと言ってやるしか出来ない。いや、これでいい。一応生きている。そう、生きているのだ。
「…よく頑張りました。」
「っお」
「ゆっくり寝ていて構いませんよ。」
その言葉に、安堵したのか息をゆっくりと吸って吐いた後、都結がそれから動くことはなかった。
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「失礼します。」
「コルンさんですか」
「無事出産をしたと知らせを聞きつけましたが…」
これはどういう状態でしょうか?
「あれから目覚めて?」
「いいえ」
そう言ったサワアの胸ぐらを勢いよく掴むコルンに、何もするつもりはない。したいようにさせる。それ以外ない。
「…一応心臓は動いていますし、栄養も取らせています。」
「私の記憶が正しければ既に二週間は目を醒ましていない筈ですが?」
「それは」
「お父様は」
「認知しています。」
貴方、仕事は?そう聞いたコルンに黙りこくるサワア。暫く続く沈黙に、此処は良いからとコルンがそのまま掴んだ胸元を放して突いてやった。
「面倒は見ます。」
「っや、ですが」
「その状態では目覚めが悪いでしょう。顔でも洗ってくるなりしたらどうですか。」
「…それ程ですか?」
「ええ。」
「…すみません、では後を頼みます。」
「(あの子が随分堪えるとは…貴方何したんですか)」
コルンとてサワアの立場だったら滅入るだろうが、それでも異常ではあった。まだ天使だから許されているだろうが、意外とヘレスはピンピンとしており、なんならペルに言って協力し、惑星の破壊や創造の話をして時間稼ぎをしていたくらいだった。使い物にならん。とは言わない処、ヘレスも可愛げがあるとは思うだろう。何だかんだ言って彼女も都結の傍に居てやりたいところだが、自分が居れば逆に落ち着かないと考えれば答えは自ずと一つしかない。
「はぁ…貴方が目を醒まさないとお子も困ってます。」
一応ミルクは何とか作って出しているが、それでも限度がある。もう母体も限界が近い。このままでは
「天使は夢など見ない」
ふと、以前見ていた小説の一説を口にした。華を保持した子が暗い世界に堕ちた時の世界だ。泣き叫んだ自分のことなんてよく思い付いたものだ。侮辱も程々にして欲しいと思ったが、恐らくあれ程の状態だったら、正直そうならなくもないと何処か納得出来た。此方のプライドを保持させたまま、よく描いたものだと思った。心底尊敬出来る。勿論文章力とかではなく、想像力だけに関してではある。
「夢は人間が持つ特別なものです。それは正しい。ですが」
天使だって、夢は見るものです。
「お目覚めなさい。もう日は真上を標しているのです。」
そう言った時だった。風が巻き起こる。何時窓を開けていたのだろうか?身体が冷えてしまうのを想定していない。いや想定出来ない程滅入っていたと考えたら少々可哀想になってきた。今度彼の好きなものを持って来てやろうかと考えていた時だった。彼女のベットに座った男性が居た。
髪の毛はさらさらとしており、顔は見えない。背中まで伸びたもので顔が隠れているのだ。
「目覚めて下さい。私は生きていますよ。」
『ん』
その声に息を止めた。息なんてしていてもしてないみたいな形ではあるが。日本語的にはその表現が正しかった。
すぐに連絡を入れた。
ー都結様がお目覚めになられました。
その後、直ぐに大神官が子と共に部屋に降り立った。
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『お〜元気にの〜んでのんでのんでのんで〜〜〜』
「…はぁーーーーーーー」
『何どうしたの。』
「呆れてものが言えないんですよ呆れてものが。」
背中越しに項垂れるコルン。あれから意識がきちんと戻ったのは三時間後である。今は食事を軽く摂って、子供を抱き上げていたらはだけ出したので何をするのだと怒ったコルン。まぁ普通に乳をやってやらねばと思った都結。栄養が間違いなくない気がするのだが、栄養だけは取らせていたと言っていたサワアの言葉を思い出し、彼女のやることはそれ以上口を出さないでやっていた。因みに真隣に大神官が座っている。都結のではなく、コルンの、である。何故こっちなのだ。何故。
「彼女の邪魔をしてはいけませんからね。」
「端的に私が彼女の素体を見てしまわない様に監視していると言えばいいでしょうに。」
「おやバレちゃっていましたか。」
「バレバレですし、私は見るつもり一切ないですからね。」
「それはそうと、お子の名前はどうされます?」
『なんか夢でコルン様にずっと会ってたからいっそのことコルンで良いかなって。』
「本当にそれだけはやめて下さい。本当に。」
そう慌てて振り返ったコルンがあっと言う。二人して笑い出したし、もうと言ってコルンが出て行く。それと同時にサワアが入って来た。乳はもういいらしい。けぷと言った子に可愛いねぇと言ってやる。
『なんか髪の毛白ない?気のせい?』
「気のせいではないですよ。地毛が白っぽくなっちゃったんですね。」
『あれでもリト紫だよね?』
「おや」
『え違う?』
「ん?」
どういうことだ。そう聞けば都結が軽く適当に言っただけで、大神官は見せたことがないのだそう。因みに他の天使も都結の知る色は…そう。都結の夢で大神官らの髪色が別の色だというのが分かっているだけなのだ。その感覚に頭を抱えたし、今度こそコルンがぶっ倒れることになるだろう。此処にいなくて良かったと心底サワアは思って苦笑したのだった。
そういう適当なことをサラッと言える神経、本当にどうにかして欲しい今日この頃。本日も良い天気である。
「これからどうされるおつもりで?」
「一先ず此方に居させて頂いて、体調が良くなり次第全王宮へ移動させようかと。」
『わあ婿られる。』
「それを言うなら嫁に嫁ぐ、ですよ。貴方ご自身の現状本当にご理解頂けてます?」
『頂けてます頂いてます。』
「それなら構わないのですが…」
まぁ良いでしょう。体調も良さそうですし。
「そのまま寝ていたらいいでしょう。」
『え?でも私元気だよ?』
「馬鹿言うのも大概になさい。貴方今迄どれ程寝ていたと思っているんですか。」
『多分二週間』
「其処ら辺分かっているならもう少し安静になさい。後次サワアさんやコルンさんの言うことを聞かなかったら罰ゲームしますからね。」
『待って』
「待ちません」
『待って待って』
「待ちませんよ〜ではサワアさんこれにて。」
「ええ」
『ええじゃないがええじゃないが?????』