だから私の望みを叶えておくれよ1




ラヴィット?


『嗚呼、造語だよ。アクアヴィットとラキアって酒があってね。何方も候補だったんだけど、ラキアって感じなんだけどラキアって言葉では足りないなって思って作った造語。因みに英語でラヴィットは兎って意味なんだよ。地球からは月を見たら兎がお餅をついているように見える。』

それは永遠とも言える程、長く末永くという餅を。兎は世界中で幸福の意味をもっている。が、悪い意味もある。長い時間という意味があるらしい。まぁ正直それは別に悪い話ではないと思っている。


『単に”理解し得ない程途方もない時間に己の意志を呑ますことなく、兎の様に飛躍進歩して明るい未来を切り開いて欲しい”って意味合いで付けたんだけど普通にアウトだったよね。人間じゃなくて天使なので中立に沿った方にしたら良かった。』

そしたら私みたいな無謀なことしない子に育っただろうに。
まぁ多少ってところな気がしますけどね。

『どんなことしたんです。』
「とりあえず貴方のご想像通りってところですよ、”お母様”。」
『待ってごめんマジで鳥肌たっだ!!!』
「……人が態々、対応を変えてやっているというのに、」

貴方と言う方は、本当にもう!!!!!
だからごめんて〜〜〜〜!!!

「謝罪があれば警察は要らぬと貴方も散々申し上げていたでしょうが!!!!」
『それでコルンさ…嗚呼分かった分かった。コルンがまたヴァドスと一緒って珍しい組み合わせだね?なになにできた?』
「……本当に鳥肌を立たせることばかり仰られる。」
「ほほほ、実現してみせましょうか?」

おや、其処迄距離を取らなくとも。
貴方が言うと実現させそうで怖いんですよ…!!!

「おや?コルンさんともあろうお方がこの私に倒されると」
「いやそれは断じてあり得ない話ではありますが。時と場合がありますので。」
『で?』
「おほほほほ」


お子、授かっておられますよね?



「都結様??????????」
『えへっ☆』
「えへっ、じゃありませんよ!!!!!!!!」
『あっちなみに出来ました事後です。』
「はあ!?!?!?!?!?!!?」
『お名前アプルコールちゃんでーす略してルコちゃん!』

可愛いでしょ〜と言って笑う子は、髪色は白いが、ヴァドスらと似たような肌色だった。今度は大神官の力を濃くしたのだろう。だが、都結の目付きにそっくりで、肌色を変えたら割とマジで同じではと思えるほどだった。こっちは成長が兎に角遅く、早生まれだったのもあって今漸くママを堪能している処らしい。職場に子供を入れる阿呆はこいつだけで良いと思ったコルンだが、恐らく都結以外にも人は居るだろう。

『アプリコットに名前近いから避けようかと思ってたんだけど、本人自ら許可貰ってね。アプルコールって名前決まりました。本当はもっと短くアプルってしたかったけど〜』
「全く同じ名前いますしね。」
『そうなのよ〜』
「さらっとお子を抱かないで下さい。処理が追い付かない。」
『るこちゃ〜ん、コルンお兄ちゃんだよ〜わ〜〜〜!!!』
「手を無理矢理振らせないで下さい…!!!!」


本当に懲りない子だ。あの件から、月日は多少経っているが、それでも、である。だが今度こそ落ち着いたのだろう。ラヴィットも仕事に就いている。先日稼いだ金で花を買って帰って来てくれたくらいだ。多少の親孝行を、と言うが、それでも生後3年程度である。生後と言って良いのか少々怖い話はこの際流し捨てておこう。

漸く都結側の仕事も落ち着いた。後は処理をとにかくこなしたらいいのだそう。書庫は移動直後が忙しいだけであり、あとは慣れたらもうお手の物。何だったら趣味に転じても良いくらいらしい。まぁ都結は割とアクティブな処がある。クリエイティブなところも忘れないで貰いたい。話を纏めている処も時間を忘れそうになっては子供の面倒をみて〜の繰り返し。

書庫の隣に部屋があり、其処にずっと都結は暮らしているのだそう。部屋には確かに入ったことはないコルン達ではあったが、ミルクを飲ませるからと席を外す。彼女自らが部屋に呼ぶことはない。が、倒れて居られても困るので、渋々コルンはヴァドスと一緒にあとを追うことにした。

部屋には簡素な、という訳でもない。色んな切り取られたであろう絵が壁に点在して彩られているが、だ。

「貴方本当に懲りませんね。ビビる程に。」
『それはどうも。』
「褒めてませんからね???」

絵は殆どが天使と言う訳でもない。知らない人間の絵やら、世界が保存されていた。此方は?と指を指して聞くヴァドスに、嗚呼と答える。授乳中に身体を動かすもんじゃあない。本当に忙しない。コルンは流石に見かねて軽くタオルケットを被せてやった。目に悪い。誰かそれこそ悟空等らが急に瞬間移動で来たらどうするのだろうか。

嗚呼この子のことだから、いっそのことと言って記憶から除外しかねない。もう言い聞かせても駄目なら放置しておけばいいのだろうが、この子の場合言い聞かせているということを聞くパターンが拭え切れないのだ。それに期待を込めても意味がない気はするが、期待はあって損はないのだ、がだな……。


『それで?二人してどうしたの。』
「嗚呼実は…」









『は!?リキールとシャンパが同時引退!?!?!?』
「ええ、丁度時期が被りそうで…」

で、破壊神の候補を、と相談に、か。
誰か良い人間は居りませんか?

「何でしたら一定期間で構いませんので、彼らのお力をお借りしたいと思っていたのです。」
『あ〜〜〜〜…っで、きなくもな』
「いからやろうz」
『……こんな感じで滅茶苦茶に出てくる奴で本気言ってます?』
「…ちょっと考えさせて頂きたいですね。」
「んでだよ!!!!」

そう言って出て来たのはティーナだ。本当に自己主張が激しい子はこうやって物語を修復したらぽんと出てくるようになってきてしまった。恐らくこれは他の物語も描いたら恐ろしいことになるぞ〜。この世界、割と主人公パーティー会議とか出来なくないな。ははは、わらえねーーーー。

「っつーか破壊神なら候補生居ねぇのかよ。」
「正直リキール様に関しては引退をなされないかと思っていたんですがね。キレが悪く、先日も一度巻き戻しをし、何度か此方で対処したこともありまして…」
「嗚呼、通常通りに出来ずってところか。スランプなだけじゃないのか?」
「すら…?」
『あ〜スランプ知らない民か。トランプは教えたんだけどね。』
「お前本当に言ってること分かってるんだよな??????」

確かに似たような言葉かもしれないが、びっくりするくらいに違う話ではある。どうしてそうなったとティーナも困惑し、腕を組んで睨みつけてくる始末で。苦笑いでごめんと話を流す都結。これくらいがコルンらからしたら楽にもなる。そう言う意味でもこっちに相談しに来たというものだ。

「シャンパ様もビルス様が引退なさられるとして、其処迄長くは考えていないと言われておりまして…」
『まぁそっちは分かっていたから、候補生は何名か居るけど…あれは?サイヤ人のえっと〜』
「キャベさんですか?彼は破壊神に向いておりませんし、他の方も望み薄かと。」

それもそうか。

『ん〜だ、せなくはな、いがな〜ちょっとティーナ!誰居る!?アンダルシアは?あ〜んだるしあああああああ!!!!』
「ダルメシアンみたいに呼ぶでない。」
『おおノリが分かって来たか。』
「お前のとち狂った話に永遠付き合わされていたらそらそうもなるわ。」

そう言って出て来た赤髪の女性がため息を吐いた。一応第六に近しい神々を配属は出来るが、まぁ期待はしないで欲しいとのこと。

「言えることは一つ。あくまでも我々の管轄は都結自身に起因しておる。」
「ええ、破壊としての活動以外は休息させる様に順守するつもりです。」
「ならよい。二人程度、いや最悪三名とかになっても些か問題なかろう。」
『わー許可下りちゃった。』
「下りなかった方が良かったか。」
『きゃっかーーからのきょかーーーー』

阿呆。そう言われつつも、都結が軽く手を振って引き出す人間は、だ。華を持っていた人間らを…と見ていたのだが?

「炎?」
『ご紹介します。炎を司るフォティアちゃんと』
「…森の守護リーティアです。」
『フォティアちゃんはコルン様で、リーティアちゃんをヴァドスさんにお預けします。』
「この子達初めてみますね。」
『私の別作品で生きる元神様ですからね。』
「は??????」
『あっちなみに最古の破壊神で、力も破壊ではありますが消滅に向けた方向性は一緒でも扱いが違います。フォティアは炎を使った方面が得意で、リーティアは木の葉系に変換した消滅方法です。互いに力の向け方や使い方が本当に違うので、戦闘の組手やら苦労するかもしれませんがご了承下さいませ。』
「何やってるんですか何を。」
『合計80名前後居ます。』
「頭とち狂っていると言われても過言ではないですよ。」

そう言われても困る話だ。一応次の話も良い感じにまとまっているのだ。今度見せるから許してと言えば、構いませんけどと言われる。待ってマジで成立してって僕怖いんだが。

「ふっ、お自身の発言に責任を持つことを覚えて頂くいい機会ですからね。楽しみにしておりますよ?ねぇ?創作者様?」
『ひえ』
「こいつ燃やして良い?燃やして良い???」
『だめだよーソレね、コルン様。』
「こるんさま」
『天使さんだよ』
「もえる?」
『燃えるけど〜燃やしちゃだめ〜〜〜』
「あの危険人物を投げつけるのはやめてくれません??????」

とんでもない子を持たされている気がする。大丈夫と言って咳をすれば火炎がその場を舞う。


「…僕偉いから。」
「どこら辺がですかね?????」
「むう燃やしてない!」
『そだねーーー』
「甘やかしと優しさは違うと貴方言ってたでしょう。努力は何方に嗚呼明後日の方向を見ないで下さい。頼みますから…頭がまた痛くなってくるでしょうが…!!!」

ケラケラと笑って、そのまま軽く談笑をする。最近何をしただの、リキールらは今後どうなっていくのか、とかだ。リキールに関しては休職という手も考えている。まぁ彼がどうするかは別問題だが、だ。そのまま辞めて貰っても構いやしないが、ちょっと心配な気がしなくもない。まぁ彼のことだから…

『(確か狐の寿命って猫よりも気持ち長かったか?…あ)』

寂しいな。そうおもった都結に、子が泣き始めた。嗚呼ごめんごめんと言ってあやす。悲しんではいけない。本当は良いのだが…


アカキツネの生存は野生だと3〜4年程度。人間の飼育環境では大体


『もうそんな時期か』


10年程度とされています。



何故か無性に緑髪の女性に会いたくなってきた。彼女に会ったら、この時間も変わるのだろうか?なんて思ってもいないことを考え、その日はゆるりと過ぎて行った。

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まさか猫よりも寿命が短かったことを思い出すとは思わなかった。まぁリキールからしたら「俺がそんな柔な奴だと?はっ、甘く見て貰われたものだな。」なんて吐き捨てるように言ってくれることだろう。現在はお子が眠り、自分ももうすぐ寝る処だった。


「寝れませんか?」
『…』
「彼等が心配で?」

聞いてたの?
報告は受けていましたからね。

「寂しくなりますね。」
『…何時もこんな感じ?』
「ええ。破壊神はあくまでもその宇宙で最も強い一生命体ですからね。」
『そっか。』

以前狐のことを放送していたのを思い出した。大神官と動物のテレビを見ていた時の話だ。あの時破壊神の話も出て来て、意外だ〜と言っていたのもあった。


ーへ〜狐って犬や猫よりもずっと短いんだって。犬や猫は今では15年程度長生きするんだけど、狐は長くても10年なんだって。これだと下手したら5〜6年が良いかもな。
ーそうなのですか。
ー因みに飼育間だったらゾウは20年。野生なら60〜70年程度だって。逆に長生きする。
ー魚は?
ー多種多様で分からん。

他の生物も気にはなるが、それくらいしか出なかった。


「大丈夫、また会えますよ。魂が消滅する訳ではありませんし。それに本当に寿命かどうかは本人のみぞ知るというものです。私が請け負った話は業務を円滑に行えなくなったということだけですからね。」
『…うん。』
「元気そうならばまた請け負って頂けますよ。その時は快く承りましょう?」
『分かった。』

こうして寝れない時は決まりきって物語の本に入り込み、一人で何かにもの耽ることが多い。夜空一面宝石が散りばめられたような光が見える。このまま寝ても構わないが、流石に微弱でも力は力。塵も積もれば山となるという言葉がある通り、都結の身体にも負担が蓄積されては此方も困るものだ。

『おやすみなさい』
「ええ、おやすみ」

そう言って眼を閉じてしまえばゆっくりと深い眠りに付く。その姿を見届けた後、大丈夫そう?と声を掛ける。


「ええ。何時も見届けて頂き感謝します。アプルコールさん。」
「いいえ、とんでもないわ。私だって彼女が大好きなの。でもお父様も、よ?」

お身体ご自愛なさって?
ふふ、善処致しましょう。

声を掛けたのは大人びた状態のアプルコールだった。彼女も本来ならば成長はとうに来ているのだが、都結の寂しそうな顔を知っている長男と彼女の記憶を知った彼女自らの希望で成長を遅らせ、都結の気持ちに合せてやっているのだ。それにアプルコールも其処迄早く仕事に就きたいとは思っていない。何だったら都結の歩幅に合わせ、ゆっくり選んで確実に事を運んでも良いと思っているくらいなのだそう。

まぁそれに関しては大神官も賛成であるし、このままいけば都結も落ち着いてくることだろう。とは言っても彼女は今の破壊神らたちを愛でてくれている子だ。目に余る行為だって子供のすることでしょうみたいな感覚で放置するくらいである。甘い本当に甘いから、そのまま寝返って殺されていないか心配で困るくらいで。

でも、牢屋に入れるつもりはない。鳥籠のような世界でも、尚彼女は羽ばたかない。それはこの子自らが


「望まれた時間を生きていると理解出来ている子程、聡明な人間は存在しない。」
「ええ」
「…楽しければいいのだけれども。何処か後を追う様な時があって怖いわ。」
「後を?」


ええ


「誰かを望んでいるみたい。まるで、戻ってくる親を待っている子みたい。」
「…そうですか(言われてますよ都結さん)」


幼子が、日向を思い出しながら眠り待ち続ける時間。それを大神官は知っていたし、コルンらも知っている。1人だけを望んでいた。その一人は帰ってこなかった。もう一人望んだ。その人も帰ってくることは無くて。

たった一人愛する人が出来た。

その人は音を立てるばかりで、帰ることはなかった。だから走った。

そして辿り着いた場所は、この子の幸福に溢れた陽だまりの世界だったとでも言えるだろうか?


此処が何処か、大神官は知らなくて良いとぼやいた。


「貴方は此処に生きている」

それだけでいいではないですか。

それではいけないなら、教えてください。

その夢の中で見たことが、貴方の知る真実だと。

そう言っていた彼の言葉を知っているのは彼女のみぞ知り得ていて。








泡沫の白昼夢


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