つらい
『んにゃあああああああ!!!!』
「おほほほほほ!!メルさ〜んこっちですよ〜〜?」
現在無事に熱も下がり、体力もついて来たということで
ひたすらにウイスさんを追いかけています。
いやタッチ無理なんだが?????
かと思えば後ろに回られて軽く抱きしめられて顔が豹変するするするはする。
その反応をただただひたすらに見ているのだ。
怒りはしないが、ぎゃふんとしてみたい気持ちは大いにあるというもの。
とある日の昼下がり。現在メルはウイスと一緒に軽く遊んでいた。
最早この感じ天使らの憩いの場みたいな立ち位置に入ってそうだが…
まぁその点は当たっているだろう。
疲れている顔など一切させていないが、
自分と遊びきった後は目の色が変わっているのを私は知っているのだ。
暗く、どす黒い、落ちそうな眼に、にやりと笑ってしまう。
その目が輝き、温かな目に変わったソレを見て、
笑みが零れない方がおかしいというもの。
変えているというよりかは、
引き戻して上げれているのが、何よりも嬉しいのだ。
そっちではない、こっちに、
ずっと居て欲しいという場所に、居てくれる。
優しい天使らは、言う事を聞いてくれるのだ。
『(ほんとっ、優しいけどっ!!!)』
するりと手が触れないこの感覚をとにかく再認識させていく。
恐らく彼等も分かっているはずだ。だから触れさせない。
触れられる現実でも、夢ではないのだと。
でも、夢だ幻だと思えばすぐに触れてくるのだ。
此処は違う、自分が創り出した、虚像の空間だと。
白い世界に目を向けだすと、彼等は同じ行動をする。
嫌になる程に、ぎゅっと包み込んで来てくれるのだ。
お前は此処に生きているのだと、言い聞かせる様に。
行かないでと、言いたそうにぐっと噛み締めて。
優しく包み込んでくれるのだから、胸が痛くなる。
皆みんな、そうやって上からそっと私を抱きしめてくれるのだ。
背中から包み込むように、優しくしてくれる。
気付いたら彼らの頭に乗っかっている輪を取ろうと手を伸ばしては
また彼等もふわりと浮いてメルの身体から離れる。
その繰り返しをしているのだ。
咳き込んだり、時間になればサワアから止めの合図が入る。
本当にその繰り返し。強いて言うなら人が変わるくらいだ。
そう言っていると本当に止めの合図が入る。
ぜぇぜぇと言って倒れるメルに起きて下さいと言うウイスは鬼です。
「この程度で倒れていたら身が持ちませんよ〜?」
『うう』
「ですが割と長めに遊べるようになったのは良いことですよ。
前はこの半分以下程度でギブアップしてましたし。」
「何なら吐血してましたからねぇ。」
「ヴァドスお姉様ではないですか。もう交代の時間でしょうか?」
「少々早く辿り着いてしまっただけですよ。ウイスさん。」
『下から失礼こんにちはヴァドスさん』
「ふふ、ごきげんよう、エフェメラル様。随分と弟に遊ばれましたね?」
分かります?そう笑うメルにええとヴァドスが笑う。
少なくともメルは人がしかも女性が来て
大の字を描いて寝るなんてことはしないのだ。
もう軽く疲れ果てているのは見てわかるというもの。
遊ばせすぎですよとヴァドスが注意するのに
ウイスはそうですかねぇと上を見て話をしていた。
その間にメルは身体をくるくると回して軽く起き上がる。
身体が大分温まった頃合いだ。そろそろいい加減調整を決めても良いだろう。
『サワア、適当に遊んでいい?』
「別に構いませんが、何をするつもりで?」
『この空間の耐久テスト。』
「…吐血しない程度であれば。」
許可も貰えたことだし、やるだけやってみるか。
後ろなんてしらんしらん。
確か創造をしたらと指を鳴らして愛用していたヘッドホンを作り出す。
形、形状の肌触り共に良好、スイッチを押すと通信すると音が出る。
まさか其処迄形を作れるとは中身をばらしたいがすれば戻せないので却下。
もう一度指を鳴らし、愛用していたスマホを作り出す。
一応中身までは綺麗に再現できない。
電気の通信も割と此処通しているが、
アプリ的な物は自分で思い出しながら入れ込んでいく地道な作業だ。
暫くにらめっこをした後、メルはスマホをタップしながらこれとこれととぼやきつつ
座っていたサワアの隣にスマホを置いて軽く走り出す。
さ!いっちょやってみよ!!
メルはタンタンと手を叩いた後、ヘッドホンをツタで頭に固定する。
走って行って、ジャンプし、降りた所には
「っな!?!?!」
『っ!!』
ニヤリと笑ったメルが何かを言いだす。
今はサワアらとの言語、神々の言語を
喋っているハズなのに、全く音が分からない。それは…
「…この期に及んで日本語ですか。
全く、本当に良い度胸ですねぇ〜?」
「あれがですか?」
「そうですよ。コルンさんが聞いたら説教ものですよ。
全く……帰りたいと言っているような者なんですが。」
笑ってメルは自分を作り出して踊る様に戦いに暮れている。
右手を左手を合わせたり受け身を取って移動したりと練習をしていたのだ。
それも歌いながら、踊りながら目をきょろきょろと動かす。
その視線から徐々に人が増えていくではないか。
「っな!?!?」
サワアやウイス、コルンらが出てきてニヤリと笑みが深くなる。
メルの背中をメルの模倣が押し上げ、空に翼を羽ばたかせ、とんだではないか。
華樹神は本来翼を使ってどころか空を飛べるものではない。
なのに、今現在彼女はこの空間で空をびゅんびゅんと飛んでいる。
それも模倣したウイスらの攻撃を避けながらだ。
口を開けて呆然とする本物らを放置し、メルは嬉しそうに笑って歌うのだ。
その現実に、助けてなんて思ってもないのに歌って。
キラキラとしたその若葉の様な色を灯して、空を自由に飛び回る。
タンタンと作った者達にタッチをすれば、其処から綺麗な華が咲き誇る。
ぶわりと咲いたその華が出た直後だった。
『っごほっ』
「エフェメラル様!!!」
赤い鮮明な吐血、
ぶわりと消えて居なくなる者を無視してメルはその場に倒れ込んだ。
痛いとかそういう規模じゃない。流石に一人から一度に五人はやり過ぎたか。
いけると思っていたのだが、華まで咲かせるのはかなりの気を消耗するのだろう。
華が胸元で咲き誇り、胸の所で血が滲んでいるのを見て、
嗚呼これガチで不味い奴かもしれないと思った所で意識が飛びそうになる。
何か声が聞こえる。でもあんまりわからな
「っエフェメラル!!!」
『ーー』
「〜〜〜っ、馬鹿!!!」
一体なんで馬鹿って言われなければいけないのだろうか。
そう考えているとふわりと空から黄色い花弁が落ちてきた。
ん?花弁?
「…全く、本当に加減と言う物を知らんようだなぁ?」
「だ、え…っ、」
「いやこれは純環の狂い咲き、か?
此処まで自殺志願の強い華を持つ者も類を見ない…ふむ。」
『(なん、してるん?)』
「あの、アニュラス様、じゅ、狂い咲きとはいったい…」
「嗚呼お前らには伝えてないのも無理はないか。
純環の理。それが我らの理が集う者の総称。
お前達でいう「天使」という役割を持つ意味と同等のもの。」
廻る廻る、ずーっと廻る。終わりなんて最初からない。
最初があっても終わりはない。廻って廻る。ずーっと廻る。
「その中でも極々稀にと言うか、もう初めてに近いんじゃがなぁ〜?
純環する中からちょっと早めにとち狂って
咲き誇ってしまうことがあるらしいんだよねぇ〜〜?」
「つ、つまり?」
「無理して力を強めずとも、自ずと華開くというもの。
開花もしておらんというのに、こっの馬鹿。」
『い゛』
何もぶつこと無いじゃん何も!!!
「殴ってもおかしくない阿保なことをするからじゃ。
全く、純環の狂い咲きとか一体何時見たことか
あの膨大な資料から漁って見つけた所で一件じゃからなぁ〜〜〜!!!」
嗚呼もう面倒を起こすなお前は!!!
「狂い咲きって、時季外れに咲く花のことですよね?」
「嗚呼そうじゃ。本来華は在るべき時に咲くもの。
じゃが偶に極稀に、時期を外れて咲く者がおる。
華神らも極稀に咲いて、華を願いに束ねて死んだ者もな。」
「え、じゃあ…!!」
「いんや、コレに至っては話が全く違う。
しかも狂い咲きするってことは一度消えたりするからなぁ〜」
「普通にまずいのでは?!?!!?」
理が消えるって、普通に危険なのではと騒ぐ者らに耳を塞ぐ。
嗚呼そう言われてもなぁと声を上げたのは
「オルニス!!!」
「…あ〜〜〜いうと思ってた〜〜〜」
「っいつの間に?!!?」
そうウイスとヴァドスの間からぬっと出てきた者にぎょっとする二人。
頭を掻きながらメルの状態をじーっと見た後はぁーとため息を吐いて
上で頭を悩ましていた者に向かって答える。
「だ〜めだな。限界とっくに超えてる。
ん〜ちょっと色々試してみれば何とか軌道修正出来るだろうが、
何が起きるかほぼほぼ分からん。それでもいいならやるが…。」
「それは、この子が消える、とかにはならないと?」
「痛みや苦しみにはならんだろうが、周りにも影響される可能性もある。」
「お願いします」
この子が消えるくらいならば、それくらい受けて立つというもの。
血まみれになっている状態でも、ぐっと抱きかかえるサワアに、
宜しいとにやり笑ったオルニスが不敵な笑みで答えた。
「エフェメラル、今から一度無理矢理にお前の力を増幅させる。耐えろ。」
『っえ、ま、っぐ!!!!!あ゛゛゛゛』
トンと胸を押した彼と同時に、メルの身体から翼が出て胸から白と黄色の華がちらちらと光り輝きだす。
尋常じゃない痛みを伴っている様に見え、止めろという周りに手を上げて止めている。
「耐えろ。これくらい痛みにすら入れていない癖に何を悶えている。」
『っあ゛゛゛゛っ、あ』
「…一度限界まで上げるか、いや、半分だな。」
ピンと指を鳴らしたオルニスに、メルの目が変わる。エメラルドの様な光が白くなった後金色に染まりあがる。
髪色も白く変化し、頭から緑色の細い葉と枝が出始めるではないか。
「止めろ」
「あいよ」
上からの言葉にトンと胸を押す。するとその効力も消えたのか、
色も戻り、姿も何もかもが元通りになった。
ばたりとまた倒れたメルは今度こそ気を失って倒れていた。
「…これで一応処置はしておいた。
後は此処から大体一か月前後立て続けに
色々起きるだろうが、お前ら耐えて欲しい。」
「そしたら、どうなるんですか。」
「華樹が余りにも咲かないから
荒治療で無理矢理活性化させておいたんだ。
このままじゃ腐って消えるところだったし。」
さらっとえげつない話を出してくる。
「まぁ要はショック療法みたいなもんだ。
物理的にも精神的にも与えたから記憶の誤差やら何やら出るだろうが
これで芽も出てきたことだろうし、後は野となれ山となれだ。」
「あ、ありがとう、ござ、います?」
「ほんと、まだこいつがこっちの方に手をかけてなくてよかったなぁ?
本来これはこちらでもグレーゾーンの判断なんだがねぇ。」
流石に芽を摘むわけにもいかない。
管轄内と無理矢理置き換えて処置したんだ。
まぁある程度叱ってやっておいたらこっちは良い。
というか罰則に近いことも絶対出てくるから
そっちの方が耐えれないかもしれんが。
そう軽く説明してから二人が消えた後。
メルが目覚めたのはそれから三時間後くらいの事だった。
+++++++++++
『(ひぇめちゃ怒ってる)』
出来ればこのまま寝て居たかった時間が私にもありました。
いや調子が良かったから調子に乗り過ぎたのは反省してるよ?
昔から調子よければ詰める様にしていたのが此処で裏目に出るとは思っても居ませんでした。
現在お布団の中から圧を二つ、いや三つは感じる。
先程まで居てくれたウイスさんも交えて、
お師匠様まで来ておられます。
「で?どうします?この子。」
「はっきり言って下手な叱りや
反省文では間違いなく反省しませんし、
普通にあのお方たちが仰られていた
罰則に基づいて放置が一番かと。」
「嗚呼、そっちの方が堪えるかもしれませんね。」
え゛゛゛゛流石にそれは。
何も無かったことにされるのだけはちょっと勘弁願いたいんだが…?!!?!?!
こっちのもやもやが非常に高ま…いや、自業自得か。
「声も出そうにありませんよね?まぁ喉まで花が咲き誇ってるので無理もないでしょうし。」
え゛゛゛゛ほんとに。
「身体も負荷がかかり過ぎて今体中どころか我々まで影響与えてるくらいですしねぇ〜。」
そう言ってメルの見えるところまでサワアが身体を浮遊させて見せつける。
胸元と腰、そして頭の所に自分と同じ様に華を咲かせていたではないか。
しかも、違う華まで混じっているのに身体を動かそうとして痛みで動かせなくなった。
「嗚呼無理して動かない方が良いですよ。
本当に体中と、ここら辺一体貴方が知っていそうな
華だらけになっているので。」
「それに貴方の言いたいことは全て華になっているので
反省していることから何から何まで把握できます。
ディアスシアにカンパニュラ、カリフォルニアポピー、
ハシバミ、何なら15本のバラまで咲かせてるんですから…。」
ラズベリー…いやもういいです。
だから良いですってとコルンが言う。
「お兄様方はこの花の意味がわかるのですか?」
「ええ。ディアスシアは「私を許して」または「私を信じて」
カンパニュラは「後悔」「誠実」」
「ハシバミは「仲直り」「和解」15本のバラは「ごめんなさい」
……カルフォルニアポピーは「私を拒絶しないで」」
拒絶しませんって。そう泣いているメルの涙をそっと拭ってコルンが言う。
「反省しているのは充分わかりますし、元々感情を誤魔化したり
気付かせない様にしていたのはこうなることを知っていたからでしょう?」
シャクヤクの華が咲く「恥じらい」 「はにかみ」 「謙遜」
これをみるからに、恐らく『恥ずかしながらそうです』
と同意しているという処か。
いや本当に恥ずかしいのだろう。滅茶苦茶顔が赤くなっている。
「寧ろこっちの方が反省になるでしょうし、
これを機にもう少し詰めずに
余裕を持って行動することを覚えて下さい。」
ふぁい……。
もう一体どんな花が咲いているのかこっちでは全く考えられないのだ。
コルンだけでなくサワアも花を覚えたとか話をしていたし、
一体自分の心がどれ程見られているのか分かったものじゃないが…。
うう、猛省中である。
+++++++++++
本当にこの子はどうして此処まで純粋なのだろうか。
コルンはふとルトラールから教えて貰った花言葉が
今活きていて本当に勉強してよかったと心の底から思っていた。
この部屋に華を咲かせた種類は大よそ15種類程。
そのうちの9割が反省や悲しい辛い等の
言葉ばかりで埋め尽くされているのだ。
花弁の広いアネモネは「見捨てられた」 「見放された」
薄紫色の五弁花を咲かせるイヌサフランは
「私の最良の日々は過ぎ去った」
しかもこの花、名前の由来はサフランとよく似ているからだが
イヌサフランの「イヌ」は動物の「犬」のことではなく
「似ているが役に立たないもの」という意味合いのもの。
六弁花のサフランは 「過度をつつしめ」 「濫用するな」
歓喜という言葉もあるが、そんな話題でもないから
此方の意味合いが強く咲いていることだろう。
キンセンカは茎先から長楕円形の
お椀の花から八重の綺麗なオレンジ色の花を咲かせている。
花言葉は 「悲嘆」 「寂しさ」 「失望」
極めつけは白やピンクのかわいらしい花を咲かせるエリカだ。
ヨーロッパでは荒野に多く自生し、
英語で「荒野」という意味を持つヒースと呼ばれることもある。
荒れた大地に咲くエリカがどこか寂しげに見えることから
「孤独」「寂しさ」という花言葉が付けられたものであって、ですね。
いや、其処迄反省しなくてもいいんですが…。
というか、逆に此処まで隠していたとすれば
「嗚呼成程、元々こうやって考えていたのを
ずっと伏せる為に貴方あんなに笑って居たのですね?」
「お兄様?どういうことですか?」
「エフェメラル様、貴方前に私へ仰っていましたよね?
笑う時は必ず怖い時に笑うものだ、と。」
その言葉にメルの顔がぞっと青ざめていく。
嗚呼そうか、貴方はそうやって自分を守っていたのですか。
周りがこれ以上、悲しくならない様に。
自分の感情を知ればきっと、辛くなるだろうから。
ずっとずっと、心の中は寂しいままだったのだろう。
うんと嬉しそうに笑ってみせているだけで、
本当はそんなこと全くなくて。
解放された愛されている幸せだと思い込ませているだけであって
本当はそんなこと一ミリたりとも思えなくて、
だから、そんな自分の気持ちに気付いて欲しくなくて、
怖くて不安だから、笑い続けていたのだろう?
「寂しければ寂しいと言えば誰もが傍で貴方の言葉を待ってやります。
普通此処まで我々そんな優しくないのを貴方も分かっているでしょう?」
いや、だからこそ謙遜しているのかもしれない。
天使らの仕事は主に破壊神のサポート。
こんなところで油を売っている暇などないと思っているのだろう。
ましてや天使であるサワアの引き抜きなど言語道断。
怖い辛い、嫌だと言った花も咲き始めている。
見放さないし、見限るつもりも更々ないというのに。
この子というお子は本当にもう、分かってくれやしない。
いや、分かるのが怖いだろう。
怖くてたまらずに、先に手を打って打って打ちまくっているのだ。
そうしてしまえば本当なんて見れるわけもない。
だって自分から見えなくしているのだから当然というもの。
「あ〜〜〜〜、どう、しましょうねぇ???」
「そうですねぇ〜何しても分かってくれそうにないと言いますか、
理解して落ち着いた時に起きる現実を兎に角遠ざけたくて
しているだけと言いますか……。」
「別にこれしきで嫌うなんてするわけもなければ
貴方が何処かにいこうものならば足でも翼でも
ありとあらゆるところを切り落としてまでして
監禁してもいいくらいなんですが……」
「…サワアお兄様?流石にそれは止めましょう?」
いやだからしていないと言っているではありませんか。
いやですから……。
「足のケンを切ってしまえば生活的には支障なくとも
いずれは自分で歩行もろくに出来ませんし。
まぁそれくらい本気でやろうと思えば出来ますが、
貴方が生きる為にはしない方が良いと思ってしてないだけのこと。」
…別にやろうと思えばすぐにも出来ること、承知して置いて下さいね?
そう言ったサワアの顔はコルンらには見えないが、
メルのゾッとした顔を見てすぐに察する。
頷きも出来ない彼女が申し訳なさそうにする中、
いい加減泣き止んで下さいと涙を掬い取る。
「プライドが高い貴方にはこれくらいが
丁度良いバツになるでしょうしねぇ。」
「高そうに見えませんけどねぇ〜〜?」
「そりゃあ綺麗に包み込んでしまっているので
見た目からでは一切わかりませんよ。
花言葉やその意味合いなどを取れば
すぐに考えていることはわかります。」
逆に言えば、ずっとひた隠しにしていたことが今現在バレ続けているということ。
コレが一か月以上続くとなれば彼女の顔はどう転がるだろうか?
もう少し臆病になっていればいいとは思うが、
かと言って何もしないというのは違うこと。
慎重に事を運び、且つ余裕を持って行動をしろというのが本来してほしいことなのだ。
怖気づいて何もしない、見もしないというのは逃げると同等の行為。
いや、今までしてきていたからこそ、気付いて欲しくなかった。
気付かれたら最期。彼女の生活的には、キツイものがあったのだろう。
まぁあの世界を経験したこの三人が言うのだ。普通にキツイ。
親に見放されたらただの生きる術など何処にも存在していないのだ。
あの世界、此方と違って法も細かくあれば、
外に群生している果物などはほぼないに等しい。
一人で野を駆け巡るには酷である生活をすることになるのだ。
ならばその枠の中にとどまれるように、
その思考を見られずに生き抜くことを覚えるが早い。
早い話がみないように気付かない様にするというものだ。
だから彼女はなるべく此方の思考を読まないようにしているのだろう。
そうしたら自分の思っていた想像通りになった時、
心が張り裂けて死んでしまいそうになるから。
それ程、本当は弱く脆い人であるのだ。
周りが称えるのは、彼女が努力に努力を重ねて
耐え抜いて来た策に入っただけのこと。
本質は何にも変わらないから、それに気付いた時の人の目が怖い。
自分らも同じ様に、消えて居なくなると思っているのだろう。
だから涙も流れ続けるし、顔も青ざめたまま震えているのだろう。
貴方に幻滅し、その場所から離れるなんて、しない。
大丈夫。そんなことはさせない。するわけもない。
もしもしたならば、消滅出来る様に大神官様に頼み込んで欲しいくらいだ。
「まぁ暫くは養生することですね。勉学も禁止しますか。」
『〜〜〜〜!??!?!!?!?!』
「通常であればこれに叱りと加えて反省文を腐る程書かせるのですが…
貴方の場合は逆に敢えてしない。
寧ろ知識を止め、休息を整える方が酷だと判断しました。」
まぁ現にそうなっていて、
可哀想なくらいに泣きじゃくってはいるのであるが…。
それくらい反省していればもう何も言うまい。
「なので暫くお勉強はしません。勿論組手も禁止です。」
「あらあら、ものすご〜〜く堪えてますねぇ????」
「普通だとラッキー等と思うんですがねぇ……。」
「ま、努力家のこの子が努力をしなければ
我々が見捨てる等と思い込んでるだけでしょうが。」
「おや、そうなのですか?」
「じゃなければこんなにも顔も花も変わるわけがないでしょう?」
花が正直なのだ。間違えて咲かせる様な子でもなければ、
作為的に行動するような子でもない。
作戦を練ったりするなら話は別だが、
なんだかんだ言って純粋で心優しい子。
反省する時はしっかり反省して次に生かそうとする子なのだ。
いや本当に生真面目とは彼女のことを言うのだろうなぁ……。
「これ程考えるならばそりゃあ気の質も落ちる訳です。
最低でも咲かせる本数が3本迄に落として貰いますよ?」
『!?!?!?!?』
「無茶ではありません。
と言いますか此処まで多種類の花々を
咲かせている状態で良くあの動きが出来たと思いますよ…。」
恐らくこの花一本だけでもそこら辺の下界に住む人間が束になっても勝てない程だろう。
それを数十いや数百はゆうに越えて咲かせているのだ。
尚且つ自分らの咲かせたいだろう華まで咲かせている始末。
今も尚、自分らに対して気を見せつけている
この膨大な量が、彼は半分と言ったのだ。
本当にこの子が開花したらどれ程の力を発揮するのやら…。
模倣、作った人間を数十人軽く移動させて動かしたり
指示もゆうに出来ることだろう。
ま、彼女の脳が追い付いたらの話しだろうが。