どうか触らないで、
「と、いう訳なんですが。お二人とも??」
「『いっそのこと殺して下さい』」
「ふふ、出来る訳ないでしょう?」
子供で居たのは丸二日。その間は各天使が彼女らのお供をしてやった。
戻った二人の記憶は一切無く、どうしていたのかを聞いたので
ウイスが最初から回していたビデオを見た後のこと。
サワアは頭を軽く押さえて恥じらい、
メルは膝を抱えて両手で顔を伏せて恥じらっていた。
『いっそのこところせぇ!!!たのむ!!!ころしてくれぇ!!!!』
「駄目ですよ〜〜それにしても可愛かったですますわ〜〜!!!」
『嗚呼やめてええ!!!黒歴史だよこんなの!!!!』
「全くですね。確かに面倒を見て頂いたのは助かりますが…」
「消しませんし誰にも見せるつもりもありませんよ。」
ご安心出来ませんので消して下さい。
流石にそれは…
いやにしてもだ。
「まさかコルンお兄様の取り合いをするとは思わなかったですね?」
『あう……どうして、どうして僕って子は!!!!』
「私も流石にアレは驚きましたよ。もっと他に居たでしょうに…。」
『…補足を致しますと、恐らくコルン様があの中で
一番しっかりしていて、尚且つ分かってくれそうな人だなぁ
と思ったんだと思われます。』
メルは幼い自分の姿を見てすぐに察した。
嗚呼これは大丈夫だと、言ったのだ。
いやにしても、ギャン泣きは可哀想だろうて。
ウイスさんほんとごめんね。
そう謝るメルにいえいえとウイスも謝った。
「まさかあれ程ギャン泣きされるとは、おもいませんでしたけど。」
『う゛!!!ごめんて!!!!ほんとにアレは高い場所に驚いたのと
サワアに守って貰ってたのが外れて傷付くのを見て怖くて泣いたんだなぁ……と』
「言ってて恥ずかしくならないで下さい。こっちまで移るでしょうが。」
『同罪にしよ!!!!』
「しません」
『ああん酷い!!!!』
にしても面白かったですますねーとマルカリータが話す。
「まぁもう一度は流石にしませんが。」
『でしょうね。あんなの良く覚えてたな私…アレしかも日本の古い伝統系のわらべ歌だよ。』
「ほぉ?あれも日本とやらの文化ですか。」
『まぁ、他にも言ってたかごめは…うん。』
何ですかその含んだ言い方はというコルンにあ〜と嫌そうな声を出して説明をする。
『大人の宗教的儀礼を子供が真似た子供遊びの一種ですよ。
かーごめかごめ。かーごのなーかのとーりいは。
いーつーいーつでーやぁる〜。よーあーけーの、ばんに。
つーるとかーめが、すべったー、後ろの正面、だぁ〜あれ?』
っていう感じの奴でして。へーーー。
『円になって中央に一人おいて。周りの人がそう言う言葉をかけ、
背後に居る人の名前を当てるゲームです。』
「そんなものが」
『言っておきますがこのゲーム。陰謀説から遊女説から色々ありまして。
その意味もかなり奥が深くてですね…えっこれ全部話していい話?』
「別にというか、聞く感じでは?」
あっだめだと。はぁい。
『かごめの歌にも種類があります。基本はかごめかごめ、籠の中の鳥は。
ですが、鳥が鳥居つまり神社、神様の前にある門の事を指したりもします。
夜明けの晩にが夜明けの番人だったり、鶴と亀が滑ったではなく統べるつまり
全てをという統べるになったり。後ろの正面誰が後ろの少年誰だったりと。』
「ものすごく多いではないですか…」
『籠の中の鳥は、肉体に自己同化し、肉体に閉じ込められた人。
いついつ出やるは、何時になったら肉体が自分でないことに気付くか。
鶴と亀が統べったは、陰と陽が統べる即ち目覚めた時。
後ろの正面だあれ。これは自分とは一体誰なのでしょうという
人の精神的目覚め、開悟を歌っている説もあります。』
と、いうか、これはかなりキツイ話。
メルは何時になく嫌そうな顔で、真剣な顔持ちで嘘だろと低い声を出した。
「どうしたのですか?」
『説だけでなく、日本語には意味がある。かごめかごめ。
これは即ち竹で編まれた籠の網目を表します。籠目の形は六角形。
六芒星という形。六芒星は悪魔のシンボルとされているので。』
「っな!?!?」
「そんなものが」
『籠目籠目は、囲め囲め。つまり皆で人を囲め、
その真ん中に居る者を守れという意味。
籠の中の鳥。それは加護の中に居る鳥。』
「…幾ら何でも当たりが良すぎるのでは。」
そう、この話。この物語に酷く類似していて怖いのだ。
『籠の中の鳥は、鶏を指している』
「…っそれってつまり!!!!」
『籠の中の鳥は真ん中。つまり目隠ししている者。
鬼となった人を籠の中の鳥に喩えているんだけど、
在る点を六芒星に結んで出来た図形の中心に存在するものをさすこともある。』
流石に考え過ぎだとは思うが。
『とりはトリ、つまり最後の締めを行う者を指す。
取りこぼしが無いようにみんなを追い上げ閉めるもの。
籠の中の女、妊婦の中にいる者。それはつまり』
「…待って下さいまさか、胎児だと」
『そう。子供を孕んだ女性そして中に居る子を奪われない様にという意味もある。』
まぁ言っても俗説が多すぎる話だ。
『夜明けの晩。つまり夜明けは夜の終わりであり、朝の始まり。
晩は夕暮れと夜であり、真夜中過ぎを表している。
夜明けの番人であり、籠の中の鳥、つまり鶏。』
「夜明けの晩には、夜明けから晩に至るまで、
朝早くから夜遅くまでの時間経過も表していると?」
『その通り、夜明けの晩、それはつまり、
光を見る前のことであり、
胎児からの視点では臨月、産まれる前の段階に当たる。
朝が始まりなら晩は終わり。夜が明ける終わり。
夜明けともいえる晩だから午前4じ前後の時間帯を指す。』
そして朝と夜、時間の概念が通常とは狂っている状態をも表しているのだ。
つまりそこは、現実の世界ではない。
「では鶴と亀がすべったとは?」
『鶴と亀は日本で縁起の良い生物です。
その二つが滑るつまり転がるということは
良いことが悪いことになる吉兆、凶兆。
統治していた者が消え去るという意味。
内容は少し違いますが、ずるずると引っ張ったや
するすると突っ込んで入っていたとかも。』
そう、鶴と亀が居なくなる。
それはつまり、長寿の象徴である二つが無くなり
死を表すという意味もあるのだ。
『鶴は空を飛ぶ、天の意味。亀は泳げるので海の意味。
天海が統治つまり裏で操るという意味もあります。
天の象徴と、地上の象徴、
それが対称性が破れることを指しているのです。』
後ろの正面は真後ろに誰がいるの?と聞いているもの。
つまり鳥の加護の中に居る、鶏の背面背中を表す。
転じて逆の存在、影の指揮者、憑りついていた存在を表すものだ。
正面は神、後ろは葬られた死者を表すこともある。
身体は正面を向いているけど、首は後ろを向いて、
私を殺したのは一体誰?と聞いて居たり。
または死んだことすら気付かずに、
目の前の首がない身体は一体だれのものだろうと
疑問に思っている様子を表すことでもある。
『かごめかごめの歌詞は多様性があり、
その論理のおかしさが聞く人を面白くさせ、
そのまま流行となった説もあります。
そもそも籠目はおかしいのですよ。』
「どういうことですか?」
『後ろの正面って言葉自体が逆です。』
「確かに言われてみれば…」
『歌の冒頭で一人目の見えない子を複数の子が囲み囃し立てます。
格子状で隙間のある籠、牢屋の意味や取り囲む意味。
籠の中の鳥は鳥類のカモメ、鳥が取り囲まれている。
取り囲まれソレはまるで籠の中のようだから籠の中の鳥。』
「なんだかきな臭くなってきたですますわね……」
『いついつでやるは、鳥はいつ籠から出るのか。
答え合わせは一体何時になるのか。という期待を持った者。
それと同時に鳥が誰かと会うことを指している。』
「…確かに、出ると確実に言い切っているのも不思議ですね。」
『夜明けの晩、夜が明けている晩というのはおかしい。
そもそも夜の事を晩と言うのでね。この矛盾から、
朝と夜の順序が逆という倒置を用いて疑問と混乱を誘っている。』
鶴と亀が滑ったのは、鳥は鶴だった。カモメから変え、
鳥が出会ったのは、亀だったと拍子抜けを誘い、
縁起の良い鶴と亀が滑って転んだという失敗を持たせる二段構えだ。
『後ろなのに正面。誰が真後ろに居るのか当てろ。
お前は違う。じゃあ誰が後ろに居る?』
私は一体、誰なのだ。
『此処で面白いのが遊女説。』
「いや全く面白くないのですが。」
『一晩中男性の相手をさせられた女性が
一体何時此処から抜け出せるのだろうと嘆いていると
次の相手をする男性が後ろに見え隠れしている。
という自由のない籠の中の鳥という悲哀を表すもの。』
「サラッと酷いこと言わないで貰えます?」
驚くのも忘れてしまう。
『まだある。祭っている神様を指す説もあって、
その神様は宇宙最初期に現れた創成神。
6という数字は神が六日間でこの世界を作った
完全数というもの。ねぇ、12の半分っていくつ?』
「……いやいやいやいやいやいや」
『そう6。時間や空間の概念は一定ではないという説。
他にも陰謀説があって』
まってまってまって。
「あと幾つあるんですか。」
『2。続けるよ。』
「止まらないんですね。」
『長いっつたでしょうが。良いから聞く。』
嗚呼はい。
『籠目は籠の女と書いてお腹に籠を抱きかかえる女性。
つまり妊婦を指すもの。お腹の中に居る子供。
妊婦のいる家は相続争いの最中で、一人でも相続が増えると
快く思わない者もいた。』
「…待って下さい、え、まさか。」
『出産予定日である夜明けの晩、階段を降りようとした妊婦は
誰かに刺されて背中を押され、落ちてそのまま流産した。』
「っ!!!」
「そんな……」
『だから自分を落し、子供を殺したのは誰だ。
…という母親の恨みの歌という説。
かごめの中で最も有力だと言われるのがこれ。』
「あと一つは。」
『囚人説。籠目は牢屋を指して、籠の中の鳥は囚人。
鶴と亀が滑るとは縁起が悪い。つまり脱走や死刑を表す。
後ろの正面は死刑囚を呼びに来た監視、または脱獄の手助けをするもの。
一体自分はどんな運命になるのか、そして誰が来るのかを解いた説。』
他にもまだまだあるが、コレが現状明らか臭い話しをしていること。
そう言うメルは頭をかいてこれは言うつもりなかったんだがなと答える。
『きな臭過ぎて個人的にこの理を解き明かそう
として考えていた一部分です。どうも皆さんおいでませ。此方側へ。』
「そんなことを貴方は向こう側で考えていたのですか?」
『流石に考えたのは君らが来た時くらい。
つまり12とか13回目の一番目に行った時だよ。
…流石にきな臭過ぎてね。』
全てを書き記している間に、ちゃんと勉強もしている。
読み解いて、自分に当てはまり、尚且つ道が見えるかを見ていた。
『幾ら何でも偶然がかかり過ぎているんだよ。
鳥は鶏だし、赤子を抱える母親もそうだし。』
「確かに貴方の生きていた時間に沿ったようにも見えますね。」
『極めつけは此間来た例の奴。』
「…後ろの正面。」
そう、殺したあの人間がこっちをみていたのだ。
ギラリと光るメルに、周りの天使もギラリと目を光らせる。
『そして解き明かした回答はこう。』
加護を受けた中の鳥、神に選ばれた者は、
肉体に自己同化し、閉じ込めたその力を持った神の人間。
その人間は一体、何時外に出て来てくれるのだろうか?
何時になったら自分が自分ではないと気付いてくれるか?
陰と陽が統べ、目覚めた時。時間の概念が狂っている。
其処は現実ではない。夢と幻、願いと現実の間。
空白にある、その真っ白なユートピアにいた者は。
その、後ろに居る者は一体誰なのか。
この中に居た子供を殺したのはお前か?
悪魔を呼び覚ましてしまうのを恐れて殺したのは正面に居るお前だろう?
『そう、言い聞かせているようにしか、聞こえなくてね。』
「…確かにそうですが、コレの何が意味を成すと?」
『多分この赤子を持った自分を歌ったんだろうね。私が。』
「……発案者は貴方だと。」
『だってそうでしょう。こんなの頭いかれてるわ。』
「あの罵倒するか褒めるかどっちかにしてもらえます?」
『じゃあ罵倒で』
「即決すぎやしません?」
いや良いだろ別に。
『は〜〜〜〜にしてもお前ら全員グルにするつもりなかったのに。
私の守っていた期間返して〜〜〜〜』
「おやおや、そんなものとうの昔に捨ててしまえばよかったものを。」
『だって君ら天使でしょ。管轄外だよこんなの。』
「ですが貴方も同じでは?
本来此処に居るべきではないと彼女らも仰られていましたし。」
『むう』
「…では狙われているとでも?」
『……ま、あの子を見つけた瞬間確定したからね。』
それにしても罰を受けている時に来るとは。
『私そんな子供孕むようなことしてないんだが』
「ぶっ!!げほっごほっ、ごほ」
『きっっったな』
「貴方がふざけたことを言うからでしょうが!!!!」
いやだってそうじゃんか。
『これ絶対孕んだら来るって。絶対来る。もうやだ。
でも子供は早くみたいし欲しいし名前呼びたい!!!!』
「思いっきり欲望に揺れていますね〜〜〜〜。」
「そうですね。」
「否定しないのですか?」
「もう呆れてものを言うのもつらくなりました……。」
そう疲れ果てるサワアに、お疲れ様ですと苦労をねぎらう。
「ではどうするですますの?」
『まぁ日本民謡は他にもある。コルン様』
「なんでしょう」
『私この録画外で何か歌ったでしょ。今すぐ吐け。』
「おや、ものを頼む態度ではありませんねえ?」
『すいませんでしたしゃべろください。』
「…まぁいいでしょう。彼女は「とおりゃんせ」と言っていましたよ。」
そのことばに、やっぱかあと答える。
『コルン様が想像している通りのことで恐らくは合っています。』
「…やはり。」
「何の話ですか?」
『とうりゃんせというわらべ歌があってね。』
それはおいおいでいいだろう。
まぁとにかくだ、一歩前進…か?
+++++++++++
「あのことを仰らなくて良かったので?」
「はて、何のことでしょう。」
「お惚けになるおつもりですか。」
青い花
そう言った彼女に、ヴァドスさんと答えるコルン。
「そのことは内密に。」
「…そうですか。」
メルは最後にコルンに手渡したのだ。
青い、綺麗な華を。
咲かせた華を、渡していたのだから。