壊さないで





前回のあらすじ

理の中身が分かりました。

いや〜〜〜滅茶苦茶してきた気しかせん!!!
とりあえず悩みは綺麗に吹っ飛んだのでよし!!!

「何も良くありませんが???」
『ぴゃう』
「これは一体どういうことですか???」

現在帰って来て滅茶苦茶問い詰められていました。
あうあう、愛しのパピ君は何処へ……!!!!

えんえん、えんえん、助けてえーりん!!

「呼んだ?」
『ん?』
「ん?」

ぽんと頭の上から出てきた女性に、メルと問い詰めていたコルン&サワアが叫び声をあげた。
メルは驚き過ぎて彼らの間に入って震えあがっていた。

「いや〜〜〜久しぶりに外に出たというか、
感触があるというか。いいね!!!お外!!!!」
『ぎゃあああああなんかでたあああああああ!!!!』
「お化けじゃないんだから。」
『似たようなもんだろがい!!!』

おかしいな、一応此処の神様してるんだが。
そう言った彼女にはっとメルは驚いて彼女に聞きたいことを聞いてみた。

『待って待って待って待って、ねぇねぇえーりんえーりん!!!』
「…一応私エリンなんだけど、まぁいいか。なぁに?エフェメラル。」
『私ってどういう状態の人間なんですかね???』
「だっ」

空からずっこけ、いや落ちてきた彼女がだああとこっちに向かって顔を近づけて突っ込みを入れる。

「貴方未だわかってなかったの!?!?!?」
『えへっ?』
「褒めてもなければ流せれないからね!?!?
全く、彼女らの感情を純粋に受け止め過ぎてるけど
まぁ私の管轄が管轄だから仕方がないというかなんというか。」
「えっと、あの…もしもし?」
「ああはいなんです?」
「ひょっとして貴方が、こちらの世界いや、
この世の理の主でしょうか?」

そう聞いたコルンに、ええ勿論と彼女は話す。

肩下まで伸びた少し明るめの緑色の髪の毛を揺らして答える。
左側に緩く三つ編みをして前に束ねているが、一部だけで
ほぼ束ねておらず癖っ毛がぴょろぴょろと跳ねている。

深い緑色の瞳、その顔は幼く、おっとりとした幼子のようにも見える。
茶色の蔦に葉と白い花がちらほらと大きく付いた花冠を被った彼女。

神官に近い衣装で、肩から後ろにのみ被さるローブの様なものを付け
中は恐らく華神らと同じ様に二の腕と胴体が切り離された衣装だろう。
服の中は深い緑色の色が見える。腕は格子状になった腕輪を付けていて。

腰元はベルトから下に白い衣服の間から深緑の下地が見えていた。
首元に鎖のような、葉のような紋章を付けた首輪がみえる。

「初めまして、皆さん。現純環の理【中期】第三代目、至純しじゅんを持ち虚空に生きとし生ける者。
白亜はくあことエリンです。ヴァイスでも構いませんが、この子は覚えれなくてエーリンって呼んでますが…。」
「…ひょっとしなくても、正式名称的にはヴァイス様で、お間違えないと?」
「ええ。」
「メル???????」
『あぐ!!!だ、だって!!ヴが出てこないんだもん!!!!』
「カランコエという者はご存じで?」
「ええ。一代目の方の力を持った者ですね。あちらがとても強かったので、私も少々堪えていましたが。」

この子が余りにも強く反応しまして。数日前に驚いて目覚めたばかりで。
数日前?とコルンが考えてはっと気づいたのに、ニコリと微笑む。

「貴方が持ってくれて、本当に助かりました。」
「……っ、なんといえばいいのやら、すいません。」
「いえいえ。」
『ん?ん?ん?ん???』
「エフェメラル。」

そう彼女に言われてから、すぐだ。

「えっ、ちょ、メル!?」
『あれ?なんで』
「ふふ。ねぇ、エフェメラル。聞きたいことがあるの。」

教えてくれる?そう言う彼女に、
腰が抜けた彼女が肩の力を抜いてこくりと頷く。
何かおかしいと思っていたサワアらが口を開こうとした時。

「っ!?!?」
「(口が、開かないっ!?というか声そのものがでない…!!)」

これが、理の力とでも言うのだろうか。
黒くも見えるその目が光で淡いグリーンへと変化する。
力を使っているのだろう。得体も知れない気を察知した。

メルは未だにへたりと座り込んだまま、上を見てぼけっとしている。
力の効果で言いなり状態になっているのだろう。正気とは思えない。

「エフェメラル。貴方はこれからどうしたい?」
『…どう?』
「貴方はこの者達と一緒に居たい?」
「っ!!」

それは、ある意味契約ともとれるものだ。
今ここで、この帰って来た家の目の前で。
彼女は契約を交わそうとしているのか。

次の世界で、この子が理に成るという意思を此処で。

決めようとでもいうのか。

『…居たい。ずっと、ずーっと、一緒に。皆といたいよ?』
「(エフェメラル。)」
『でも、かなわなくていいよ?』
「…どうして?」
『みんながいる今の位置が、私はとっっても、大好きだから。』

嗚呼、まだ言っているのか。
いや、ずっと思っているのだろう。
へにゃりと笑って言う彼女の顔に、
駄目だと声も言えずに顔だけが変わる。

『皆を見ていて、笑って居られたら。私ね?それだけでいいの!』
「…そう。貴方は何処までも純粋に其処しか見てないのね?」

本当に、何処までも。綺麗に澄み渡った青空の中にいる様に。

「…貴方はやはり、何処までも青に相応しい子なのね。」
「(…ヴァイス、様?)」
「…もし、お願い事が何でも叶うなら、貴方は何を願う?」
「(っそれは)」
『なんでも?ほんとに、かなうの?』
「ええ」

ほんとに?うそじゃなあい?

そうこてんと首を傾げるメルに、ええと答える。

『それなら。みんなと、笑って。お花遊びしたいなあ。』

ずっと。ずーっと。

そう言うメルに、そっかと答える。

「…理に成りたいとかそう言うのは考えないの?」
『うん。皆が笑って居られたらね?それでいいよ?』

私と一緒に。笑って居てくれさえいれれば。
私はそれが、幸せであって、満たされて生きていけるのだから。

そう心の底から言う彼女に、そうと言って色が変わって行く。
力を落したのだろう。メルの顔色が少し変わった。

『…あれ?私どうしてすわって』
「エフェメラル。」
『ん?』
「現純環の理が継ぐ。貴方を次の、理へと導かんことを。」

そう言ってメルの頭に白い神々しい冠が被さる。
それに手を触れてわあと無邪気な声を上げるメル。

「華が咲けば貴方が次の理へと成るその役目に次ぐ色よ。」
『じゃあ青色ってこと?』
「…ええ。」
『がんばろ〜〜!!』
「ふふ、気長に待っているわ。サワアと言ったわね?」
「っ、は、はい。」
「全てを司る方を此方へ連れて来てくれるかしら。」
「わかりました。」

+++++++++++

「メルだ〜〜〜!!」
「メル〜〜〜!!」

そうサワアが連れてきたのは、全王様二人と付き人。

そして

「お久しぶりです。ヴァイス様。」
「息災ようで何よりですね。全王も元気そうで。」
「げんきだよ〜!」
「げんきげんき!!」
「ふふ、元気過ぎて二人になっちゃいました?」

そうそう〜とのんびりした声が彼女の周りでなる。
ぐるぐる回っているのにクスクスと笑って居る。

「ちょっと話が早いですが、この子の処遇についてお話をと。」
『っ!』
「メルの?」
「どうして?」
「貴方達はまだまだ幼い。
それなのに狂い咲きで少々早過ぎる開花をしかけています。
その為選択肢としては二択。」


眠らせるか、殺すか。


その言葉に背中を押されたメルだけでなく、
周りの者も顔色を変える。


「選ばれているといいますか、これ以上に無い逸材。
正直コレ意外を考える術はないと思っています。」
「…時期はお考えでしょうか?
いつ頃眠らせるとかそう言ったことは。」
「正直言えば早ければ早い程有難いですね。
華が咲き誇ると収拾がつかなくなりそうなので。」
「……分かりました。メルさんはどうされます?」
『これ、もし殺す。ってなったらどうなるんですか?』
「っエフェメラル様!!」

そうコルンが言うのに、手を出す大神官に黙る。

「そうねぇ。…貴方が余り考えたくない未来になる。とでも言えば?」
『(つまり、眠りにつく意外術がないということか。)』

恐らく、サワア辺りが犠牲になるのだろう。
逸材と言った彼女だが、果実を最初食べようとしたのはサワアだ。
あれがもしも、本当に選ばれた逸材だったとしたら?

これは、生贄とでもいうのだろうか?

本物を偽造した。偽物の生贄。
嗚呼それならば、私はソレに
なりあがってやろうではないか。

『幾つか質問をしても?』
「構わないよ。なぁに?」
『一つ。ルトラール達は何処の人間?』
「…もう少し明確に。」

そう目が細まる彼女に、メルはにやりと笑って聞いた。

『…何処の管轄下に居た華樹神?』
「ほら、言われてますよ?お二方。」

流石に彼女の目は誤魔化せられない。
そう言ったエリンが振り返る。その方向に居たのは

「っルトラール様!?」
「アルメリア様!!」
「…流石に一つ上とか言ってもバレるかぁ〜〜」
「ふふ、私達の子ですよ〜?そんな簡単な嘘に
引っ掛かる訳がないじゃないですか。」
『う゛っ!!!!!』
「…あの、現在進行形で引っ掛かっておられたそうなのですが」

それは如何に。そう言うコルンに
メルは黙っててと苦し紛れの悲鳴を上げて反論する。
それを見て周りは苦笑いである。

「私はアニュラス様よ。元華樹神官からだけどね。」
「僕の方はトベラ様。僕ら二人とも原初の人間だ。」
『やっぱり…じゃあ夫婦っていうのは?』
「其処は決まりというか掟なんですかね?」
「まぁ、なんか雰囲気で回ってるよ。」

どういうことだと周りがざわつくのに対してメルが言う。

『要は理が全王様三人分回してたってことでしょ?』
「ぶっ」
『原初、ゼロイチ、ゼロニ。その間にあるゼロイチが夫婦。
その間に産まれようが何しようが、理の人間は探すという。』
「へぇ〜〜良く気が付いたね。」
『おっっっっとお????あたった?????』
「直感で物事を話さないで下さい。」

じとりと睨まれるメルはそっぽを向いた。

「…本当はね、純環の理の純は純粋という意味を持つ者。」
『えーりん?』
「”一途に一点だけを見つめ廻しても壊れない者”が成る場所なんだよ。
君がしてきた廻廊での、行動だけでなく、0からの感情を含めてね。」
『…一体なんのことだか。』
「大神官」
「なんでしょう?」
「君達は中立。善にも悪にも偏ることはいけない。そうでしょう?」
「ええ、その通りです。」
「では善も悪も全て知った上で。偏らない。」

違う?そう言った彼女に、ええと大神官は続けて答える。

「今居る全ての天使らは全員、善も悪も衆知を集めた上で、
日々仕事に活かしておられると思いますので。」
「メル。君はもし、サワアが誰かに殺されたら怒る?」
『何を急に。』
「いいから。」
『…本当のこと?』
「うん。」

そう言われて、メルは答えに迷い出した。
意外も意外。その言葉も意外だった。

『多分、怒らない。』
「っえ?!!?!?」
「何故?」
『そうあるべき姿だから。』
「…本当に、良く育てたね。」

酷いくらいに。恐ろしいくらいに。
そう言いながらメルの頬を触る彼女に、メルは片目をつぶって頬から伝わる温もりに片方の目も閉じて感じる。
あたたかい。気持ちいい。

「じゃあ君はどうやったら怒る?」
『どう?ん〜大事な人達のこと貶されたら?』
「馬鹿とか嫌いとか?」
『そんなんじゃない。もっともっと酷いもの。』

そう。

『その汚らわしい心を持つ眼ですら見るに値もしない存在ごと全てが醜い。』
「…ほんと、どうやったらこうなるの。これ。」
「私らは幼い頃しか見ていませんので。」
「君そのまま天使として多分生きていけるよ???」

まじかよ。理にすらも太鼓判押せるんかい。

「どうです?この子。滅茶苦茶天使に向いてません?」
『わっちょ、え!?お姉さん?!?!』
「ええ、前々から思っていましたが、
とても天使向きになられて
正直喉から手が出る程に欲しい逸材ですよ?」
『お兄さん?!?!?!?!』
「ですが、在るべき場所に在る。そうでしょう?」
「…此処まで完成されちゃあ、ねぇ?」
『本当に何のお話するんですかねこれ!!!!』

私生きるか死ぬかの選択じゃないの!?!?


「じゃあ君はもし、自分の命か人の命なら、一体どっちを差し出せる?」
『自分』
「痛いとしても?」
『命だけならたやすいじゃない。』
「っエフェメラル様?!!?」
「正気ですか。生命を絶つのがどれ程の苦痛か、貴方ご存じのはずでは。」
『存在しているのに、存在していない方がずっとずっと苦痛だよ?』

あの冷たい場所には、もう、居たくない。
光りだと思っていた場所が、一転して暗闇に変わる。
時間は変わらない、戻らない。忘れさせてくれない。
ずっとずっと、此処に居座って指を指してくる。

お前は変わらない。変われない。変わることなど、出来ない。

『本当の死は全ての存在から自分が消えること。
命が消えて人の中に生きるならば、それは死ではない。』
「…ほんと、何処でそんなこと覚えてきたんだか。
ではもう一つ。神は存在する?」
『しない』

言い切るねぇ?こんな神様に囲まれたど真ん中で。

『いるわけがない。』
「ではなぜ?」
『神様は完成された存在。欠けた存在は神ではない。同時に、救われないなら神など要らない。』
「なら神様は要らない?存在しない方が良い?」
『いいや、それもまた違う。必要か不必要では片づけない。』

片付けたくないのだ。

『不完全が集まって完成になる。一つの存在として呼称出来る者ではない。
だから神様は何処にも存在しない。私の願いすらも、叶えて貰えない。』

叶えさせるつもりすらも、ないのだけれど。

『でもいるよ?神様。』
「おや、それはどこ?」

ここ。

『このなか』

胸の奥にある、感情の底に位置する者。
救いは何時だって、架空にしか存在しない。
空想の中に生きている、泡沫ですら生きれない場所にしか。

『私が神様。私が私の、神様だから。だから神様なんて何処にも存在しない。』
「…自分を外して、か。」
『だぁれも、叶えない。叶えさせない。私が私だけを救い、私だけが生きるだけ。』

そう、ただそれだけなのだ。一点それだけさえ見つめていれば、なぁんにも、辛くなんてないでしょう?

『悪も善も全て纏めて息してしまえばいい。そこに残るのはただの骸だけ。それすらも愛してしまえば、もう何も痛みも苦痛も全て纏めて生きればそれで終わり。』
「…人間も境地に行けば狂うって?」
『狂わせたのはどっちだか。』
「…ま、それもそうだね。でも君も君だよ?助けてって言う癖して手を伸ばす場所を違えている。」

其処には誰も手など取ってくれるところではないのに。
其処ばかりに手を伸ばして、一体何を言うのだろうか。

「改めて問う。理になっても?」
『救いが無ければ。』
「…ほんと、君一体どういう生き方したらそうなるの?」
『誰かが言ってたよ?自分の人生は自分だけしか生きれないって。』
「そりゃそうだろうねぇ〜私も腐る程人間から神から何から見て来たけど、君程まで完成されたものはない。」
『完成?不完全の間違いでは?』
「え?」

『私は馬鹿で皆と比べたら劣っている。欠けた存在。それが全て。』
「…いやいやいやいやいやいやいやいや」
「ほんとに貰ってもいいの?これ。」
「寧ろ此処まで来て捨てれます?」
「いんやむり。捨てたら拾う人いるだろうけど。」
「おやおや、バレていましたか。」
『怖い話をそこしない。』

というか完成させてるかなぁとメルは思いながらコルンとサワアの間へと戻る。

「ええ、貴方はもう完成している。それはこの神々全てが頷ける程には。なんなら身勝手の極意なんぞ普通に扱えるはずですよ?」
『え゛いやいやいや、流石にこれらと一緒にしちゃ駄目でしょう。私勝てたことないのに。』
「貴方の中に勝つという意思が存在しないからですよ。わざと負ける様に誤作動を送らせる馬鹿がいますか。」
「っえ?!?!!?」
「メル様?!!?」
『げ。ばれた。』

はぁとため息が成る周りに、メルは苦笑いする。

「確かに、思い当たる節が多々ありましたが
…そもそもの話だったのですね。」
『優しいからほら、うん。』
「優しいとかそう言ったうんぬんを越えてますよ。」
「寧ろ勝敗が嫌なのは自分が勝った後の相手を見たくない。そうでしょう?」

悔しい感情は、自分だけが持てばそれでいい。
笑って居る姿だけを見つめられる。それが自分だけでいい。
なんと強欲で、ソレしか見えない者なのだろうか。

「普通勝ったら嬉しいとか思うんじゃないのか…」
「彼女に関しては寧ろ捻り潰してそこら辺に
叩きつけて更に足で踏みつけてるんではないですかねぇ?」
「そんないう?」
「ええ。あの子をどれ程見続けて来たとお思いで?」

幼い頃から今の今まで。あの落ちてきた時間からずっと見ているのだ。

「話を戻しましょうか。エフェメラル。」
『ん?』
「人から外れて神になるか。人に居続けるか。」

貴方はどちらを選ぶ?そう光の球を出して問う彼女。

「片方は全ての者が貴方を忘れる。」
「っな!?!」
「貴方の事は貴方だけしか知らない。勿論この記憶も全て。」
『もう片方は?』
「貴方も皆も全員が知って今の状態を維持する。」
『…ぱっと考えたら前者が一番良いのか。ふむ、困ったな。』
「いやどう考えても後者でしょうが。何を言っているんですか。」
『コルン様こそ何を言ってるんですか。後者は凄惨な結末しか出ないわ。』
「おや、ばれちゃいましたか。」
「え」

目を閉じて笑う彼女に、当たり前だとメルは腰に手を置いて答える。

『大方妊娠して子供産むときに腹切られて出血多量で死ぬとか
花冠の約束をして冠渡す前くらいに倒れるだとか
誰かが侵入してきて切り殺してくるだとか、
拉致るとか何だかんだするんでしょうが。』
「色々突っ込みたい内容なんですが。」
「突っ込んだら終わりですよ。コルンさん。」

此処は黙れか。

まぁでもどうするんだろう、これ。

『一応質問なんだけど。』
「ん?」
『理って正直何をするの?ほら天使とかだと破壊神つまりは各宇宙の星々を管轄する奴の役を見るみたいなものじゃないですか。まぁ多分その宇宙に全部やらせると反乱すると怖いから自分の手持ち入れて監視するって意味もあるだろうけど。』
「サラッと怖いことを言うな…」
「でも事実でしょうし。」
「え?」
「おや、気付かなかったのですか?何故天使がわざわざ出向いてまで管理をしているのか。」

そう言うモヒイトに、シドラが少し震える。

「寧ろメル様が其処に気付いていたのが驚きですよ。」
「私もです。良く気付いていましたね?」
『いや私なら絶対すると思って。だって各宇宙から出てきた奴に全部任せてたら言わないヤツも出るだろうし。』

ま、そんな奴行動で何となく読めるからしなくても大体わかるだろうけど。

『で、管轄的にはこの世界と他のも含めた三つを統括して管轄にって感じであってます?』
「大体正解ですよ。」
『理はこの世界から出すってわけではない、んですよね?』
「ええ。まぁ向こうの二つはあくまでも交換条件で貸して貰っている場所みたいなものです。」
『ああ、駐車場みたいなかんじか。』
「……そのノリで考えられると後がまぁ、いいか。うん。もういいよそれで。」
「理を呆れさせないでくれません???」

もう何処まで行けばきがすむのやら。

「それで?神か人か。」
『人ならざる者か?』
「…うん。なる気ないよね?ないんだよね???」
『わあ〜〜〜〜。のびーるのびーる!!!』

両手を取ってそのまま上に上げる彼女に対してメルは呑気な声でケタケタと笑って答える。
きゃっきゃと嬉しそうにする彼女に、はぁとため息を吐いた。

「大神官」
「はい。」
「超超超特例になるけど、これから02の最終に切り替える。異論はないね?」
「ええ、貴方様がお選びになられるのですから。」
『切り替え?電車の切り替えみたいな?』
「ん〜違うね。君に分かりやすく言うとそうだなぁ…歯車の切り替えみたいな感じ。」
『げぇ』

君、とんでもない顔するんだね。

そう言う彼女に、嫌そうにひたすら嫌そうな顔をするメル。
とてもじゃないが理に対してする顔ではないのは間違いない。

『相手は?』
「引継ぎ対象なんだから私が華樹神官になるかな。
その後は君が理になってから決めるんだね。
一応中間期はもう確定でいいよね?」
「ええ、このお方が良ければ。」
「分かった。その方向で叩きこむか。」

とりあえずだ。

「千年くらいはおねんねしようか。」
『…せ?』
「うん。」
『せ???????』
「うん、だから千年。」
「割と短いですね。」
「ええ」
『長いが????人間の寿命十回分だが???なんなら十一回分くらいだが????』
「貴方は人間として生活し続けたので仕方がないかもしれませんが、元々長生きですからね?」
「まぁ天使のハーフって言ってもねぇ。」

あっそうだとメルが急に驚いた声を出して手を叩いてから叫ぶ。

『ルトラールとスピスさんの間柄って結局これどうなの!?!?兄弟なの!?!?!?』
「正確には違います。」
『わあ!!!!!!』
「なにやら嬉しそうですね…」
「ええ」
「ルトラールもアルメリアも、何方も理の大樹から出た過去の神々ですからね。」
「っそうなんですか!?」
「ええ。天使の位置ではあるのですがね。」
『嗚呼、あれか。高橋とか山田とか苗字が同じでかなり遠い親戚みたいな感じのやつか。』
「その一々下界の例えで言うの止めてもらえません?」

無理。
無理ですか。

「そんなとこそんなとこ。
その間から産まれたのがまさかまさかだからねぇ〜〜。
いや〜〜〜一々下界を一通り見るのも苦労するもんなんだよ?」
「理の大樹から出て来られる方に次を任せるとはいかないのですか?」
「それがねぇ〜実は出来ないんだ。」
「そうなのですか!」
「各下界に人間として降りた者が対象でね。一応この子もハーフだけど対象ではあったし。」

見てはいたんだけどね、他の奴らも。

「それこそなんだっけ、えーーっとあの黒髪で野菜の…」
「…ひょっとして悟空さんのことでしょうか?」
「嗚呼そうそれ!!!!その子!!!!!その子でも良いかなとは思ってたんだよ。」
「その子でも!?!?!?!?」

とんだところから名前が出てきたもんだ。

「確かに彼は人間にしては純粋ですねぇ。
思考からなにから全てにおいて。
ある意味人から離れた者です。」
『え、私駄目なら悟空とかあるの。』
「出来なくはないかと思っただけ。私の勘は割と当たるからね。
何なら地球は我らの理でも門に値する場所だからね。」
「…こりゃますます破壊できなくなったな。」

そう悩むビルスに、ウイスはほほほと笑って見せる。

「一ついいですか?」
「ん?どうぞ?」
「破壊神や強い者が上にというものは駄目でしょうか?例えばうちのように。」
「11宇宙め…」
「…じゃあエフェメラル、君ならどう思う?」
『んおっ!?!?ん!?!?!?』

急に呼ばれてさぁ戻ろうとしていた身体がぴょんと飛び跳ねる。
ばっと振り返るだけならまだしも、きょろきょろと挙動不審な姿は
とてもじゃないが次の神になる者にみえない。

「強い者が上にあがる。決して間違えない選択だと思うけど。」
『いや駄目でしょ。普通に。』
「っな、何故ですか!!強き者が全てを制す。」
『そりゃ強ければね。心も強く居続けられる?永遠ともいえる長い時間を。天使らの様に。たかだかの力だけで成り上がった、ただの人間が。』
「っ、いいますね。」
『だってそうでしょう?君が言っているその子。絶対その子は壊れる。間違いなく。多分数千年で壊れるよ。私はもっとずっと長生きできる。そうでしょう?』
「そうだねぇ、その子がどんな子かは見てみないと分からないけど。
まぁ君の次が悟空だからねぇ。彼も絶対君じゃないとって言うだろうけど。」

そうかなぁ。
そうだよ。

「申し訳ないが、恐らく此処に居る全ての神々ですらも理に成る権利はない。正確には理になったとしても耐えきれずに死ぬしかない不安定要素だからお断りしたい。っていうものだけどね。」
「成程、そういうことなら。」
「では彼女が今から理に、ですか?前からしていたような…」
「アレは私が中に居たから出来たもので、まぁ仮試験みたいなものですよ。」
『あの鬼ごっこ仮試験だったの!?!??!!?』
「黄金の草花を咲かせたことが合格要素だったけどね。」

アレ皆出来るわけないじゃん?
あはは、そうだよねぇ。

「理を書き換えたのは私が手伝ったから。一部確かに面倒だったから本当に書き換えてあげたのは事実。」
『はぇ〜〜〜〜〜』
「やり方は自分でしただろうし、あの感じですればいいからね?
嗚呼言っておくけど理になったら地に足つけないから。」
『え゛』
「此処はまだしも、基本的な形は華樹神と変わらない。
なんなら下界の人間らは私ら理において姿すら見えないはずだよ。
想像部分に近いというかもうソレになるんだから。」
「ほぉ、そういうことなのですか。」

地に足付けないのは、想像に入るという処だろう。

『待って待って待って待って、エリンエリン。
百歩譲って地に足付けないのは良いとしても、
仮につくとしたらどうすればいいの。空飛べる?』
「飛べなくはないけど、結構難しいと思うよ。飛ばない方が寧ろ無難。
各管轄内の者にさえ触れていれば一応その力で生きれるはずだけどね。」

基本天使とかの方がいいだろうねぇ。君一応天使と人間の間だし。

「足が怪我するかどうかは行ってみないと分からないけど
その前に千年くらいはなんとか切っておかないとね。」
『ええ〜〜〜〜悟空達と会えなくなっちゃう。』
「…それくらいの時間くらいは許されるさ。」