透き通った振り子時計
「前回のあらすじ、あらすじまとめしていました。
どうも皆さん。いつもエフェメラルがお世話になっております。
第2宇宙の天使ガイドを務めさせて頂いておりますサワアです。」
現在エフェメラルことメルが次の世代交代時期に突入しています。
三世代目、三期に突入し始めた処から話が始まって行きます。
それでは。どうぞ、ごゆっくり。
ガチャリとドアを開けたサワアにコルンとメルが顔を向けた。
「お二人とも此方にいらしたんですか。お食事が出来ていますよ?」
「すいません、彼女を呼びに来たんですが、少々話し込んでしましましたね。」
「おや、貴方とあろうお方が珍しい。」
「何処かの誰かさんが面白い話をしていましたのでね。」
『むう、こういうのは大事なんだぞ!?』
はいはいと言ってコルンはサワアの後に続いて行く。
客室から出て、そのまま歩いて一階の食卓へと足を運んだ。
ガチャリとドアを開けたサワアが「おや」と声を上げる。
それにコルンとメルも気付く。
「クノフィリス様ではないですか。お早いご到着ですね?」
「まぁな?様子は。」
「この通りピンピンしてますよ。」
『ふん!!』
ピンピンと言われたのでぴょんぴょんと飛び跳ねるメルに、
それは良かったとクノフィリスは答える。
ん?待って?
『クノフィリス様絡んでたの!?!?!』
「貴方が取り込む栄養以外の成分は彼女に一度見て貰っていますからね。」
『媚薬もかい!!!!』
「気持ちよかっただろう?」
『うぐっ……そ、それはその………
ソノセツハ、アリガトウゴザイマシタ』
世話になりましたと片言になりつつ、コルンの後ろに隠れて言うメルに、
クツクツと笑ったクノフィリスが良い良いと笑って答える。
「一応これが理様らとも協議した結果の薬剤一覧だ。
風邪薬から何から何まで全部そろえている。」
まぁインフルみたいな流行風邪は流石に引かないと思うし、
其処迄対策はしていないが、基本的な所はな。
そう言いながら手渡す彼女の箱は、もうただの救急箱だ。
強いて違うなら上の箱と十字マークがこげ茶色なくらい。
他は白色で、蓋は銀色の下から上に弾いて開ける蓋止め。
そこそこ大きい気がするが、気のせいだと思いたい。
ガチャガチャと音が鳴るのは恐らく液体が多いのだろう。
そちらは?と言ったサワアに
嗚呼こっちが先程使っていたものと色違いを持ってくる。
「こっちが夜伽用」
『ばっ!!!!!』
「効果は五種類。反応もチェックしてるな?」
「ええ。これを。」
そう何かを書いた用紙を提出する彼に、
メルは暴れるが、コルンが制してくれている。
「余り暴れないで下さい。貴方の場合此方で作る物は
全て効果が効き過ぎるとお話を聞いています。
我々天使が出すものですら危険なのですから。」
『いやだとしてもアレも出すのはちょっと恥ずかしすぎるんですが?!』
「…ふむ、まぁ良いだろう。これなら使っていて構わん。」
「ありがとうございます。すいませんいつも世話になってしまい。」
「いいいい、こっちも研究し甲斐があるからな。
それに、元気そうな顔を見れてこっちも気が楽になる。」
薬剤は相手に使う為にあるというもの。
救いの手でもあるのだ。それが破壊に転じては以ての外。
ある程度の効果は考えられるが、
実際起きるのはやってみないと分からない。
蓋を開けてみないと分からないのだ。
その為、結果が自分の想像通りであれば
尚のこと、いいだけのことで済むだけ。
「此方側からはある程度しか見えないからなあ。
考えていたことが違っていたらこっちも手を打たねばならない。」
『あう…』
「まぁこれを使うってことは、余程やらなければいけないのに
嫌がって駄々をこね続けていたってことだろうが?」
『っ!?!?!?!』
「ほら言ったではありませんか。ご自分の首を絞めるだけになると。」
こういう処だったのか。いや流石にソレは知らない。
サワアとて彼女らにメルの生態を詳しく教えたくもないだろう。
コルンにすら一時期やきもちを焼いていたくらいなのだ。
まぁ仕事というか先のことを考えて、仕方がなく今は放置しているだけだろうが。
一緒に愛でるなんて、ひょっとしたら全く考えていないのかもしれない。
いやそっちのほうが彼らしいので、いいっちゃいいが。
『うう、が、がんば、る、ね?』
「まぁ何かあればすぐに連絡してくれ。って言ってもこっちは仕事に入るし中々出れなくなるが。」
『え゛仕事?あれ大学生だったんじゃ』
「月日が違うんだよ。こっちでは君が来てからもう二年は経過してる。」
そうなのか。
「卒業してから大学病院に入るからなあ。
院に行くつもりだったが、院でも病院に入るって聞いて
スカウトを貰ってしまってからねえ。」
「それは良かったではありませんか。おめでとうございます。」
「ありがとう。って訳で私も余り世話が焼けない。」
困ったものだねぇと言う彼女に、いやいいよとメルは答える。
『お仕事、無理しない程度に頑張ってきてね?』
「…嗚呼、貴方の仰せの通りに。
まぁこの薬剤一式足りなくなったらすぐにこっちへ来て欲しい。
それくらいの移動は彼らに許可を取ってある。」
「わかりました。一声お声がけをしたのち取りにまいります。」
「じゃ。」
そう言って彼女はそのまま部屋から出て行った。
作ってくれていた料理が冷めてしまったが、
すぐに温め直せばいいと言って、料理を食べることに。
+++++++++++
『いや、本当に物がない。』
「そう言えばキッチンらの食材はどちらから仕入れておられるのですか?」
『基本的に食材はブルマさんから調達してるんだけど
いい加減何とか種から作った方がいいんだよねぇ。』
「種は貴方が創造するわけにもいかないんですよね?」
そう、本来種を作るのは華樹神及び華神らは原則禁止されているのだ。
勿論模倣とかもアウト。とにかく種自体を生成すること自体が禁止。
然し、こんなこと、種から華を咲かせた者達が分かる訳もなく。
普通にティーナ様達と種から作って遊んでいたのが
よく許されていたのだと思えば、緩くなっていたのだろうか。
それとも引継ぎ状態だったのだろうか?いやそんなことはないはず。
いずれにせよ、此方側から種を作れない。
樹木を育てる方向性は間違ってはいないが。
『そうなんだよねぇ。その為現地調達して、此処で育ててみるしかないんだよ。』
「ならそのブルマさんとやらにお声を掛けてしまえば?」
『…それは嫌なんだよねえ。』
「何故?」
『だって種があれば、ブルマのすることってなあんにもないじゃない?』
今彼女とのつながりは自分の食べ物を調達してもらえている状態。
こっちとて食材から貰えるのは結構助かるというものだ。
食材を育てるということはそれなりの気も消費する。
蓄えられる華樹自体が無い現状、維持は間違いなく難しいだろう。
出来たとしても、華樹自体がある程度成長した当たりからするのがベスト。
『私は皆と繋がっていたいんだよ。ずっとずっと。ずーっと、ね?』
「随分と欲張りになられましたねぇ?」
『最初からなんだけどねえ。』
欲張りだから、押さえつけていた。綺麗に閉まって。閉じ込めて。
鍵をかけて丁寧にしていたのに。こいつらと来たらこじ上げてしまった。
一緒に居れば居る程、欲深くなるから、人間は困ったものなのだ。
本当に神様、よく上に居る処をこんな不完全にしたものだな。
そうした方が、多分もし上が濁った時、戻しやすいからなんだろう。
神が悪魔に変わり、この世の秩序が消えかける時。
そんな時に、一点の光で元に戻せるように。
ちょっとした面倒も、加えて遊ばせているのだろう。
物だって完璧に作り過ぎると使いにくいのだ。
だから少しだけねじを緩めて、遊びを作る。
ずれるその感覚が、丁度良い「完璧」になる。
不完全こそが、完璧そのものなのだ。
『ま、クノフィリス様達は人間で暮らしているし。
本当に回す時はまだまだ先らしいからね。』
「我々が神になりあがった時こそが本番ということですか。」
『そういうこと。その前に色々お勉強しないといけないらしいけどねぇ〜〜!!』
「付き人とは天使と似たような立ち位置ですよね?其処迄することがおありなのでしょうか?」
『わーーからん!!ただ各宇宙の天使ガイドの様に、破壊神が優秀ならやること無いとかそういうやつでしょ。』
「…それ結論から言って貴方私に多忙であれと仰られてるのですが。」
ふふふ。
『出来の悪い弟子ですから。ねえ?』
「ご安心を。今からその甘えた根性を叩き直して差し上げましょう。」
『え〜〜〜やだあ〜〜〜〜。』
「やだではありません!第一その口調はどうされたのですか。」
『え?嫌?』
「うぐっ!!!…い、やでは、ありませんが」
「ふふ、コルンさんは外でそのような顔をされることを心配しておられるのですよ。」
そうにこやかに笑って困る様に言うサワアに、
そうかなあとメルは頬を少し膨らませて言う。
カチャカチャと音を立てた方を向いたら
其処に白黒の犬がいて。ソレを抱きしめてそのまま膝の上において抱きしめる。
食事が終わったとしても、犬をそこにというコルンに、犬が首を横に振った。
どうやらもう諦めて欲しいと言うことだろう。
コルンは何も言う事はないとため息を吐いた。
「全く、犬にまで呆れさせているではありませんか。」
『えへへ〜〜〜ぱぴ〜〜かわいいねぇ〜〜〜!!
あ〜あ、パピが付き人だったらいいのになあ。』
「そう言えば三期つまり引継ぎの時に付き人とか必要なのでしょうか?」
「といいますと?」
「そもそも付き人はお守役でもあるもの。各場所で付き人も居てそうですが…」
「付けても良いし付けなくてもいいって感じかな。」
「ヴァイス様!」
『えーーりん!!!!』
はいはい。貴方本当に好きだよね。そうカラッと笑うえーりんことヴァイスに
メルはうんと言って椅子から飛び降りて犬を抱っこしたまま近づいて笑う。
心なしか腰から尻尾が出てきて横にぶんぶんと振られている感じがみえなくもない。
「基本的には付くんですが、この子のご両親の様に
敢えて隠しているタイプもなくはありません。
契りを交わすのは二期のみですが。」
「…それ、逆に一期にさせるつもりは無かったのですか?」
「っふふふ、お熱い者がおられましたので。ついでですよ。ついで。」
「つまり私は完全に巻き込まれたってことですか。」
この方達に。
そう隣に立つサワアに、メルは後ろを振り返った後、
そのままコルンの隣に立ってサワアと二人で挟んでしまう。
「長い付き合いになりますねえ?」
「既に長い付き合いですよお兄様。」
「おやそれはしつれい。」
「まぁその子が良いならって感じかな?どう?してみる?」
『いやいや、犬がそんな付き人なんて出来る訳ないですって〜。
そもそも喋れないし、いや喋れなくていいけども。』
此処にずっと、おうちで一緒に。
『私は君を追いかけて遊ぶ。それだけでいいよ。』
「メル様……」
『大丈夫おじいちゃんになっても君を何度だって愛でてやるから。』
「それは良いと言えばいいのか、悪いと言えばいいのかどっちです?」
ふふ。
『華樹神って基本的に何をするのです?
前に聞いた様に華神らの統括からなにからです?』
「まぁ統括という意味は基本的に華樹神官の方かな。
種を蒔いたものと、その願いは華樹神。
華樹神官は蒔いて芽吹いた後の子達の育成って感じ。
付き人はその間で、両方出来る様にさせるけど。」
「ほぉ、それは割と苦労しそうな立ち位置ですねえ?」
面白いことにはなるだろうが。
『まって、じゃあ定期的に毎日仕事するってことは?』
「まぁ基本無いですね。」
『…貴方どうやって生きてきたの???』
「理はそれに加えて華樹神らがきちんと役目をはたしているかどうか。
そして次の理が出来るかどうかを各世界ごとに見回りに行く役目です。」
『あ〜〜〜〜長い旅するのか。一人で?』
「一人で。」
『っしゃ!!!!!!!!!!!!』
そうガッツポーズを出すメルに、ニコリと笑う彼女。
嬉しそうにしているが、それも寂しそうにだって見える。
彼女は、ある意味一人なのだろう。
「…貴方らは華神らを携えておられていたのでは?」
「申し訳ありませんが、私が司った子達は12人だけ。
他の子達は知りませんが、一期の者達であっても全員で48名です。」
『春夏秋冬一年丸々って感じか。』
ということは?まてよ?
『あれ、ルトラール様達って原初のみ?』
「正確には三つですね。貴方が一つ持って行ってしまったので。」
『嗚呼あの子達が!?!?』
「なので本来はその切り離しをしなければなりません。
なんなら貴方が司る原初も、一度見にいかねばなりませんし。」
嗚呼廻廊のことか。それは流石に撤廃は無理なのね。
「悪魔らの件ですが、一応保留にしております。此方で管轄しているので安心を。」
『ね、一つ思ったんだけどさ、私が暴走してた時あったでしょう?あれってなに?』
「私とのリンクがキレた時に出来るものかもしれませんねえ。一応後で探っておきますよ。」
貴方は本当に異種ですから。そうなの。
「廻り巡って同じ場所に戻ってくるのですから。
此処まで何度も戻ってくる子達ならばいっそのこと
理に巻き込んじゃったほうが良いと思いまして。」
「巻き込まれちゃいましたね?」
「ええ、全くです。」
『あれ!?なんで?!?!』
とんとコルンが場所を交代するとメルは右と左をぶんぶんと見て驚く。
クツクツと笑う周りに、メルはふんふんと怒っている。
「もし仕事が欲しいなら言って下さい。やろうと思えば腐る程出てきますし。」
『いいんですか。』
「まぁ、アニュラス様が困られていたくらいなので、少しずつではありますが。」
『やた〜〜〜〜〜!!!!』
「普通仕事でなれば困るのが通常なんですがねえ。」
「お仕事したらいい子って刷り込まされてるのでしょうね。」
良い子でいれば、貴方が迎えに来てくれると。
そう笑うヴァイスに、少し照れてそっぽを向くためにメルの方を向いたサワア。
きょとんと首を傾げるメルに、そうですねえと答えるだけこたえる。
『貴方達って悟空達みたいにこう強くなり続けたりするの?』
「ん〜あの子達を其処迄見ていませんが、基本的にこの世界は
力がほぼ全てを制するというもの。ハリボテでも形があれば
正直何とかなったりしますからねえ。」
「と、言う事は、火事場の馬鹿力で乗り越えてきただけだと?」
「そういうことになります。」
まぁと言っても本当に強いんですよ?
「貴方が思い描いている行事も、近々執り行ってみたいことですし。」
『行事?何のことだろうか。』
やりたいことが沢山あり過ぎてどれを言っているかわかりゃしない。
「ふふふ、でもそれは最後に取っておくとしましょう。」
そうこう言っていると、コンコンとノックが入る。
失礼しますという声に入って来たのは。
+++++++++++
『白い箱の様な空間???待って待って、
華樹神らの管轄外でってこと?!!?』
「ええ、此方の方で何度も出現しています。」
声を掛けてくれたのはティーナで、
此処だとアレだからという訳で
現在中央である理が住まう場所
三つの世界が均等に見える場所へと移動していた。
会合を執り行っている処でも、
華樹の上にある円卓に腰を置いているメンバーは
現在メルが指示をした長である者達。
プラティア、アルトリアの二人。
ティーナはアルトリアから。
プラティアはフィズを付けて来ていた。
メルはコルンとサワアを付け、
エリンと一緒にこの地に座って話す。
「基本的に外に出る為にはお題があって、
それをクリアするまで出られないものです。」
「一応こっちでは既に数十廻ってる。」
『げえ、それ滅茶苦茶まずいのでは?』
「どういうことです?」
「本来白い部屋というか空間自体は今此処に在る状態の赤子。
即ち統一される場所の卵が幾つも存在しているんですが、
其処に入れるのは本来華樹神になる候補者のみ。」
ですが其処迄多いのは少々話が違うようにも見えますね。
そう言うエリンにメルもこくりと頷く。
『私が居た所は大きな額縁に絵が無い処から始まったし。
廻廊を続けて最後廻ってる時に時々入って行けば
千切れた紙をくっつけて完成させるパズルだったもの。』
「それで在ってますよ。本来の願いと、
その旅での力を合わせ続けるところ。
此方側に採用出来るかの耐久試験でもありますので。」
『本当に試験ばっかだなここ。』
「仕方がないでしょう。管轄が管轄なんです。」
そりゃそうかもしれんが。
「それで?」
「ええ、それで、此方つまりCではお題目を一通り調べてきました。」
「こっちもです。目を通して頂きたいのと、
貴方達の方で何かないかと気になりまして。」
「今の所は我々天使ですら話を聞いていません。」
「帰り次第急ぎ対応に取り掛かると致しましょう。」
『…お題が妙に普通なのが怖いねぇ。』
其処に書かれていた内容は、至って普通。
相手と会話しろ、手を繋げ、髪をむすべ等の
至って日常生活で送るだろう行動だ。
それも一人で入るのではなく、
必ず二人で入っているというのがまた違う話だ。
「理が違う方向に向いてるのかもしれないわね…。
分かった私もちょっと此処で整理して調べてみるわ。
そうだメル、パピも借りて良い?」
『え?ああうん、別にいいけど、何するの?』
「こっちで暫くその子の魂が良いかどうかも調べて置くから。」
帰り次第連れてこっちに戻って来るわ
と答える彼女に了解とメルは答える。
こうなったら結構忙しくなってくるな。
「大体その対象者は?」
「全員がまばらです。神々から下界の人間からですよ。
こっちでは今妙な噂まで出ている始末ですからね。」
「妙な噂?」
「部屋に入った者が華を咲かせた。異常事態。」
その言葉に、メルはガタリと席を勢いよく立った
それ本当と言ったメルに、ええとアルトリアが答える。
「それはつまり、華神を作り出す力のある部屋ということ。それ即ち」
「この世界のどこかに、別の華樹神が居る、とでも?」
「それなら猶更緊急事態よ。華樹神はあくまでも多くて三人。
本来各世界に一人しか生まれない様にしているハズ。
でも現在は二つの世界に華樹神が産まれることはほぼほぼ
ないはずだろうから…」
「どういうことですか?」
それは僕からと手を上げるアニュラスに周りの目もそっちに向く。
「元は華樹神自体この土地自体一人だったんだよ。
でも途中から余りにも華樹神の力が膨大で、
一つの世界に放置するのはきつすぎる。
それに堪えたのか、本当に別世界から移動する子達が増えてね。」
「嗚呼元々華樹神らは全員別世界の人間とお聞きしていますが。」
「元はこの土地に居た者で、こっちに戻って
次の場所を間違えて入って行っちゃっただけなんだけどね!!」
「だあああっ!!!!」
いや〜〜困った困った!!!
「全員元は同じ場所なんだよ。
Aの世界に居て、ソレが一度此方に。
此処でAに戻るはずがBとCに分かれちゃってさ。
居心地がいいのか引き寄せられるか分からないけど、
向こう側の神々と契約して、仮の華樹神を作ってた時期があってね。」
「それがアニュラス様の統括されておられた時だと?」
「正確にはトレースのほうだけどね。」
「色々あってね。仮の華樹神を作っていたけど
ソレはあくまで俺の時代で切ったはず。
ヴァイス、お前切ったのをどうしてたんだ。」
「いやいやいや、私普通に切って綺麗にしてましたよ。
そうでなければもっと早くからこういう事態に陥っていたはず。」
「まぁ、それもそうか。」
なら何故今ということにもなる。
「理様が選ぶというより、華樹がお選びになられたと?」
「そんなことはない。いや、あったとしても
こっちに連絡が必ず行く様になってるから
ソレを切られる人なんていないはずなのよ。」
「ドラゴンボールという手は?」
「っ!!!!」
「…まさか、我々の世界で?」
「いえ、貴方方の世界にそういう願い玉は無いのかと思いまして。」
「……無いはず。だけど、一応探してみるね。」
「お願いします。」
そう告げたサワアに、メルは一向に黙って話を聞いていた。
「ん?どうしました?何を悩んでおられるので?」
『……いや、ねぇ、華樹神の仮ってさ、
要はこの土地に華神らを戻す様にする
手を繋いでいく子の事を指すんだよね?』
「え?嗚呼、そうですね。
当時は余りにも迷子だらけで困り果ててまして。
流石に一人では難しかったので、
似たような因子は創っていました。」
『そいつのうちの一つが、悪さしてるとしたら?』
「……それは余り考えたくない話ですね。
要は我々の手をまんまとすり抜けて
地に落ちたということになる。」
「情報を持ってそのまま自分の力で
成り上がった奴がいるとでも。」
「猶更貴方方には気を付けて頂きたい
と言いたいところですが…その発現は?」
「現在全く関係ない方達が巻き込まれていますのでなんとも。」
「…向こうの伝承になれば良いかな、くらいだなこりゃ。」
下手にこっちへ来られるとそれもそれで厄介なこと。
「変な話かごめとかそういう伝承は
こっちの不祥事が何故か放置されて
言葉だけ変わって伝わっているというのに。」
『あっやっぱりそうなんだ。』
「嗚呼そうだよ。気付いてただろ。流石に。」
そりゃ流石にな。
「その手で終わればいい話ですが、
もし万が一、新たな華樹神となれば話が変わります。」
「ちなみに、もしなればどうなるのですか?」
「力が大きい方の勝ちなので、
今だと貴方は間違いなく消滅するでしょうね。」
「っ!?!?!」
「な、なんだって?!?!」
「感情の制御が余りにも波もムラもない。
それは華樹神に置いてしまえばよろしくないこと。
力もないに等しいことですからね。」
『……ま、妥当なところだね。』
「感情豊かであればあるほど、
華樹神の力は増幅し、比例していくもの。
そこまで落ち着いていれば寧ろ天使に入った方が
まだ救いようがあるでしょうが。」
「理が決めちゃったし、そうはいかない、ってね。」
そう言うアニュラスに、ううとエリンが困った顔をする。
このままではメル自体の存在事が
消滅する可能性が出来てしまったのだ。
流石にそれは不味いと、周りがざわつき始める。
『…あれ、其処迄不味い?』
「まずいに決まってるでしょうが。
寧ろどうして其処迄落ち付いているのですか。」
『嗚呼いや、そいつにやらせるとか考えないのかなって。』
「…じゃあ貴方は今まで頑張って見つけて
漸く先まで完成して一息ついて落ち着いたところを
白紙に戻させる様な方に全てを任せられると
本気で思っておられるのですか?」
『あ〜〜〜〜〜それはだめ、かも。』
でしょう?
「華樹神としては反応がないので、
恐らく廻廊手前でギリギリ皆落ちてくれていってるはずです。
人間でいうと精神的な疾患と対応してくれるでしょうし。」
『ああ、可哀想に…人生狂わせちゃう…。』
「まぁ仕方がないでしょう。これは二人の責任でもありますし。」
「…手伝います。」
「すみません……。」
「いえ、俺も余り見ていなかったのも悪かったですし。」
「ではその手筈で。何かあれば即連絡を。」
わかりました。そう皆が答えると、各々が急いで席を外す。
トレースは先に華樹の中に。メルらは一時的に元の世界に戻ることになった。