海から草原へ
『…と、いう訳です。現在起きている内容として、仮説ですが
不特定多数でもなく、ただ似たようなことを考えている人で
尚且つ知っている範囲内の人間が白い空間に飛ばされています。』
現在は更に三日が立った午前中のことだ。
カウンセラーちっくなことをした次の日
滅茶苦茶しんどくて流石に休んだのだ。
次の日ちゃんと資料を纏めれたのでお呼びしました。
大体の内容はこうです。
『お題の内容は互いに知っているもの。
そして思いが繋がった状態で発生します。
時間的には大体一時間程度。
外の時間は一秒も経っていないもの。
そして華神である華やらの種は現在検出されていない。』
と言っても仮説ですし、これから分かる範囲でも変わりますが。
そう言うメルに、ありがとうございますと大神官が答える。
「私の方でも探しましたが、
コレと言った資料は出てきませんでした。」
『ということは…誰かが消し去った、とかは?』
「在り得ませんね。もしそう言った類が起きれば
此方に何かしら報告が入る様に設定しておりますので。」
『成程。なら無理か。ふむ、困ったねぇ。』
「私達天使でも反応に入るとは…大神官様全王様は?」
「今の所大丈夫ですよ。付き人さん達も話をしていますが……。」
大神官様?と言ったコニックに、メルがガタリと音を立てて席を立つ。
コツコツと駆け足になって反対側に座っていた大神官様の元に駆け寄った。
「っメル様?!」
『すっぴーごめん。ちょっと頭覗かせてね。』
「…ええ、すいません。」
「何が起きて。」
『今秒で帰って来た。』
「っなんと!!!」
『意識は?バイタル、正常かな?胸に手を当てても?』
「構いませんよ。」
そう声を掛けてそっと右手を置いて目を閉じる。
核があるかどうか、そして痛みが正常か。
全てを調べ尽くす。記憶にあるものも、念には念を入れて。
『…はぁ、良かった。一応大丈夫そうだね。』
「ええ。」
「何をお調べに?」
『華樹神らの核になる種が蒔かれていないかどうかの確認。』
「っな!?!?」
「そのようなことが!!!」
『一応悟空ら私が此間見た奴らに飴あげてたけど、
全員舐めてるの確認してるよね?』
「え?ええ」
『アレ華樹神の種を消し去る効果あるから
舐めてなければすぐに言って。
下手に種が確立されると今すぐこの場から消えて
廻廊に叩き落される可能性もある。』
「っそれを早く仰ってください!!!」
どうしてそういう大事なことをというコルンに
そりゃあ飴ちゃん皆舐めるだろうしと言うのと
メルがこっちに記憶を持ってきているというのもあったのだ。
この記憶は中央に位置するあの華樹に持って行くお土産みたいなもの。
イレギュラーは全て向こうで処分するというものだ。
『ってわけでコレ舐めて貰えます?』
「ありがとうございます。頂きますね。」
『スピスさんお相手は?』
「全王様でしたので、飴を二つ頂いても?」
『わかりました。後で部屋に来てもらえます?データ取りたいので。』
「わかりました。では後程。」
そう言って席を外す彼に、ふぅと声を上げるメル。
指を鳴らして衣装を切り替えるのに、いや手慣れてますねと声がかかる。
『そうです?』
「ええ、そのようなお仕事をしてらしたので?」
『なりたいなぁって思って辞めちゃったその一ですよ。
カウンセラーとかお医者さんは。』
「そうなんですか。向いてそうにみえますがねえ?」
『……そうなら、どれ程良かったかな。』
ふわりと昔の記憶が思い浮かぶ。
誰もが見てくれない、知らない。その時間だけ、見てくれた魔女。
彼女の様な人に、なろうとしてもなれないものだ。
あの人の様な人ならば、こういう時どうするのだろうか。
嗚呼駄目だ、会いたいとか思ってそれこそ巻き込むのは困る。
考えない様にしておかないと、忘れたままで、保管しておくのだ。
そうしたら、迷惑なんてかけないだろうから。
振り向いたら駄目だ。目を逸らせ。その手を取ろうとするな。
そうしたら、迷惑を掛けずに済む。迷惑だと思っていなくても。
きっとその先そう言い切れることなんてなくなる。
あの日の様に、同じ道を、戻ってしまうのだろう。
心を見つめて生きれる彼らが非常に恐ろしい。
『…私は天使になれないよ。なれる、ものじゃない。』
「メル様……」
『さ、皆元の場所に帰って?』
「ですが、顔色が。」
『ちょっと休めば大丈夫だから。
ほらさっき強く力使っちゃっただけだし、ね?』
「…それなら構わないのですが。」
そう、大丈夫、大丈夫だよ。私。
首を絞めなくたって良くなった。
目を閉じて見ない様にしなくてもよくなった。
耳を塞がなくてもよくなった。
落ち着いてる。穏やかなのだ。
だから、華樹神には、向かなくなった。
太陽はもう、何処にも存在していない。
そう言われている。ずっと指を指されている処が酷く痛い。
その時だった。
「っな!?!?」
「杖が」
カンカンと全員分の杖の音が鳴り響く。
赤く点滅するその姿に、不味いなとメルは首に手を当てる。
久しぶりに来たな。下手なことをするからこうなるんだ。
『大丈夫、大丈夫、大丈夫だよ。私。大丈夫。』
「っメル様、駄目です、お休みになりましょう?」
『待って。』
音が光が強くなる。駄目だ、抑えて。
何処だ何処が強く光ってる。
彼らの杖を右へ左へと見て見つけた杖を見る。
12は必ず時期が時間が関係している。
一月二月、はたまた一歳二歳か、
何かの起因に続いて音が酷く鳴り響く。
胸が、手が痛い。ぶわりと広がり始める華に、まずいなと声が漏れる。
息を吸って。吐く。背中の違和感に指を鳴らした。
元々の衣装に戻せば、背中から白い翼がゆっくりと広がっていく感覚を感じる。
そのまま膝をついて地面にしゃがむメルに、背中をサワアがゆっくりさする。
『っぐ』
「っ、エフェメラル」
口から何か出そうになったのを止めた。
流石に吐くのはちょっと嫌だ。
落ち着け、夢じゃない。現実だけど。落ち着け。
「大丈夫ですよ、吐いても構いません。」
コツコツと音が鳴り響く、各々が目を合わせて動き出したのだろう。
隣から更にマルカリータがしゃがんでくれる時にぐっと更に吐き気が来る。
「よわいね。よわくなっちゃったね。」
「っ誰、で」
「かわいそう、っふふふふ、かわいそうだね?」
「…っ、なん、で」
白い足元がみえる。
ぐらりと倒れると同時にげほっと胃にないものを嘔吐した。
吐いても吐いても、全く気分が良くならない。
カンカンと鳴り響く音が煩い。
鎮まって何も音を聞きたくない。
知りたくない、分かりたくない。
思い出したくも、ないのだ。
「まもられちゃって、かわいそう。つよくないね?よわいね。」
「っメル様意識を強く持って下さい。大丈夫ですよ。」
「おなじことの、くりかえし。まあったくおなじ。かわいそう。」
やめろ、うるさい。うるさい。おちつけ。
息を吸って吐いて、吐きそうになっては、本当に吐いた。
もう胃は何もない。黄色い胃液しか出てこない。
その酸っぱくて嫌な臭いに吐き気が追加でくる。
おやめください。貴方はお呼びでありません。
「そのてはもう、つうようしないよ?わかってるくせに。」
首に手をつけても消えやしない。嗚呼参ったな。
コレの消し方が分からない。黒い蔦を這わせて彼女を攻撃する。
するすると交わしているのだろう、ケタケタと音が鳴っているだけで
こっちの動きも鈍いのがもう手に取る様に分かる。
今凄い吐き気と頭痛で身体どころか思考も鈍いのだ。
不味い本当に乗っ取られたら話にならない。
今此処で来るとか本当に止めて欲しい。
まだ仕事沢山残ってんだよ。
漸く道が決まったというのに、お前なんぞに、お前なんぞに。
【うせろ】
その低い声に、背中を触っていたマルカリータがびくりと反応して固まる。
ちらりと見たその髪の毛にあった冠の色が変化した。綺麗な緑色から、変化する。
カチカチと音を鳴らす。変えるんだ。今此処には12が存在する。
『ごめん、みんな。』
「え?」
『形状変換を行います。血圧55…っ、はは、低すぎ。』
いけるかなぁと言うメルが、ふわりと息が軽くなる。
「お手伝い程度なら。」
『マルカリータ…っ、サワアまで』
「後で教えて貰いますがね?」
『…っごめん、助かる。』
「たすけてもらえないといきれないんだあ」
可哀想とケタケタ笑う奴に、さあどうだかとメルはぎろりと睨んで笑う。
『感情上昇させます。怒り、喜び、哀しみ、楽しみ。一定に。』
音を取れ、とにかく波を敢えて作ってから一つに戻す為に。
息を吸って吐いて、兎に角静かな場所を探せ。此処と言う場所を。
この地に、生き残る為に別を犠牲にしてこうなるくらいなら。
もういっそのこと、この地を結び付ければいい。
『華の
その言葉に、突如メルの身体から気が大量に漏れ始める。
それと同時に目を開いた状態で意識をと
首に手を当てていた処を胸に移動させた。
『華の
怒り、恐れ、期待、驚き、喜び、哀しみ、信頼、嫌悪。
基盤の書き換えを行います。対象を選択してください。』
翼がふわりと浮かび上がる。
風が下から巻き上がっている様に。
髪の毛もふわりと浮かび上がる。
『…対象、12の時間、天使へと。』
「っ!!!」
『感情本体から時間へ切り替えます。元華の
4つの光、喜び、怒り、哀しみ、楽しみよ。
春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬は早朝。
感情巡り巡る、その最中。混沌溺れし泡沫に、
溶けて消える、
我が願い我が力を、現時刻を持って形状を書き換えたまうことを。』
お前の好きになんぞさせない。
誰が、感情に呑まれるか。誰が、其処に堕ちるものか。
これは私の時間で、私の願いで、私だけが、知るものだ。
誰にも好きになんぞ。させてたまるか。
『現華の
感情巡り廻る、その舞い散る最中。混沌溺れし泡沫に、溶けて消えん、名残の千尋よ。
我が願い我が力、その咲き狂いし
気が足りない?ならばもらえばいい。
力が足りない?ならば作ればいい。
どうしようもないなら死んでしまう。
ただそれだけのこと。
『1で足りぬ、2で欠けて、3を求めて、4に続け。
5で目覚め、6に誓い、7を求めて、8で永久を知れ。
9で絞め、10に惑い、11を求め、12に辿り着き時。』
0へと狂い舞い、戻らんことを。
『我華樹に選ばれし者。我華に誓いし者。
その願い、全て統べて、
今此処に誓おう。今、この場で。時を刻んでしまえばいい。
ひっと影が移動するのに、逃げようとした子を天使が阻む。
うろうろする彼女が可哀想だが、そんなことを許している暇など、此方にはないのだ。
『我は
数多の尊き源成り代わりし存在なる、在るべき、姿よ。』
お前など、小さく捻り潰せる程に、小さいのに。
一体どうしてこんなに困っていたのか。
ただそれは、君をも助けたくて泣いていただけで。
何度魔を作り出しても何度その波に落とされ溺れようとも構わない。
私を一体誰だと思っている。私は一体誰になろうとしている。
身体が軽い。もう気を貰わなくたって大丈夫だ。
瞬時にその影の上にぱっと浮かび上がる。
上から彼女を見下げるのが、実に気分が良い。
『……こんな我でも、お前は弱いと、言うんだろうか?』
「っひ」
『消えろ』
その言葉で、その子供は綺麗に消えて居なくなった。
ばさりと翼を広げた後綺麗に消えて無くなると同時に身体も落ちる。
「っと!!」
『…ご、めん。も』
メル様という声が聞こえなくもない。
がくりと意識を飛ばしたメルが目覚めるのは違う場所で。
…きてください。
「起きて下さい。メル、メル。」
『んにゃ』
「よかった…もう起きないと叩き落す所でしたよ?」
さらっとえげつないことをしようとしないでくれます?
そう思っていると、この白い空間に違和感を持った。
『えっと…今どちらで?』
「…貴方が意識を飛ばした後、
コルンさん達と会話をしている最中です。」
一応先に、先程していたことをきいても?
そう聞いたサワアにはぁいとメルは話をする。
『あれは自分に掛けていた封印みたいなものでしてね。』
「…貴方とんでもないことを良く自分にしますよね?なんです?ドMなんです?」
『その言葉を一体何処で知ったかは後で聞きましょうか。そうねそうですよね。』
さらっと爆弾発言を聞いた気がする。
サワアはそんなこといわない!!!!
たぶん。そう思っていると続けてと声を掛けられる。
『で、
要は華の願いに掛け渡す、願いに繋げて鍵を作ったものだよ。』
「外すとどうなるのですか?」
『あの子供いたでしょう?あいつがものっっすごい悪さする。』
アレは所謂自分の感情その者なのだ。
そもそも何故私が生き延びてこられたかというとだな
ああやって一人自分を創り上げ、完成させた状態で
全部向こうに投げまくっていたから。
その分積もり積もった罪悪感から痛みが
波の様に不定期で押し寄せてくるデメリットが生じる。
そこでそれをも閉じ込めちゃおうということで、
この
『これがちゃんと効力を発揮出来れば彼女が出てくることはまずない。』
「ですが何度か出てきていましたよね?」
『ええ、でも本来願いは強い意志によるもの。
私が願っていたのは確かに強かったけど、
書き換えが行われたことで少々ずれた。』
そう、歯車がずれたようにね。
『その為その分効力を発揮できず、彼女が頻繁に押し寄せることになった。』
「…ということは、彼女は貴方が放置していた廻廊でのお残しだと?」
『そういうこと。時間を掛けて消化するつもりが、
予想以上に縋る時間が少なっていたことにより、そのまま強く発動。
貴方達天使の杖に入れていた感情のリンクは
この
「嗚呼だから全員の杖が一斉に音と光を放っていたんですね。」
そういうことだ。
『ちなみに、春はあけぼのっていう
アレは春、夏、秋、冬で起きるものを良しとしたもの。
春はあけぼのの時間がいいよ。
夏は夜の時間帯が良いよって言う意味。
4つは喜怒哀楽、即ち感情を四季と繋げ、
何処かの感情に繋げたら波を増幅させると同時に
波を落ち着かせる反対の場所を繋げて考え続け、
力をコントロールしていた。』
これが、私の一番長い時間で培った、
一番良い取り扱いだったのだ。
「では、廻廊途中ですよね?その話は。
書き換えなくてもよかったのでは?」
『予想以上に外に出ている以上、
彼女に乗っ取られて私が消えるのは
勘弁して欲しかったからね。』
「嗚呼、だからあんな殺意しかなかったのですね。」
『待って?殺意マシマシでした?』
「ええ、何人か驚いて固まってましたよ?」
うううううううう。
「まぁそんなことでしたら皆さん納得されるでしょう。
貴方が蒔いた種っちゃ種でしょうが。」
『反省します。』
「ある意味好都合だったのでは?
私とマルカリータさんが居なければ
貴方あの場所で息絶えてたでしょうに。」
ううそれはそう。
『力使ってごめんなさい、そしてありがとうございました。』
「いえいえ、どういたしまして。お役に立てて良かったですよ。」
深くお辞儀をするメルに対して、
サワアも改めてお辞儀をし返してくれた。
ふふ、本当こういうところが好きなんだよなぁ。
「にしても12と8って違うのでは?」
『嗚呼、元々4つの感情に全て4で統一してたんだけど、
それだと増減しか出来ないから、今回から四季から少し外れ
時間に変えてみたんだよ。8はプルチックの感情の輪から。』
首を傾げるサワアに、メルはペンと紙を取り出して説明する。
これは円錐を逆さまにしたような色彩立体型の感情を見せたものだ。
8つの基本感情があり、其処から16の強弱派生、24の混合感情から成り立つもの。
『24って時間に計算すると1日の時間分がある。』
「…それを半分にした状態、ということですか!?」
『そういうこと。これを花びらと仮定する。』
円錐の各段を作って花びらにする。
これは大きく分けて三層。それぞれの感情の強度を表している。
強さは外側から花びらの中央に向かってより強く。
ひとつの感情だけでなく、両隣の感情をも共鳴することで
その増幅効果を更に綿密に、緻密に扱えるようにしたものだ。
弱い感情の段階で気付いていなければ、
感情は案外容易に強く深くなっていく。
その弱い感情を知り、強さを知っていれば
自分の意のままに、自分で導くことが出来るというもの。
『私が今までしていたのはあくまでも感情を遮断していたもの。
それを今回は弱い場所すらも全て纏めて受け入れる方向性に切り替えた。』
「成程、そうすれば貴方の力はより扱いやすい状態になったと?」
『いえーす。』
だからこそ、弱い感覚すらも
取り込めるように、
あの時私は切り替えたのだ。
正直最初にしていたのは
あくまでも耐えるだけのもので、
綺麗な書き換えではなかった。
『本当はしなくてもよかったし、
私が居なくてもよかったなぁ
って思っちゃったんだけどね。欲張っちゃった。』
「欲張っちゃったんですか?」
『皆とずっと居たくなっちゃって。』
私もその場所に居たい。
願わくば、永遠に。その時に居たい。
だから、何時か在ったはずの自分に、手渡すなんてもう出来なくなった。
枠を作っていたのに、その枠は自分が愛してしまったのだ。
大変可哀想なことをしてしまったが、もうどうしようもない。
あの子を捨てるというよりかは、
あの子ごと何とかしようとしているのだから、
本当に困った子供だと思う。私って子は。本当に。
どうしようもない。
「では書き換えた後の言葉はどうなるのです?」
『……いっちゃう?』
「ええ、力を与えた借りが。」
そう言う彼に、ため息を吐いて答える。
『一度付けている華の
後が悪さしたら駄目だから解除した。掛け声は適当。その方が気合入るから。
最初付けていたのは首元。首は人間切ったら死ぬからね。
心臓とかもだけど、生きている間に感情を殺すという意味で首に設定してた。』
「そんなことを…」
『生きている間に感情を殺さなくてもいい。なら生かせばいい。
ということで首から心臓の方に今回人事異動しました。』
「…そんな下界の人間が場所移動するみたいに簡単に言いますけど、
とんでもない力の移動を察知してますからね?
私とマルカリータさんが全力で入れてアレなんですよ?」
ふふ、だから私調子が良い時にやろうと思っていたのだ。
こっそり一人でというメルに、
だから一人にさせろと煩かったのですねとサワアがぼやく。
うるさい!!!
『華の
4つの光、喜び、怒り、哀しみ、楽しみが
春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬は早朝に設定し、
良い処と悪い所を照らし合わせながら感情を切り落とそうって意味。』
感情巡り巡る、その最中というのは
華を願いを持った力がその身体に魂に流れ続ける状態を指す。
混沌溺れし泡沫に、溶けて消える、
此処は華の願いが儚いことを指している。
願いを持っている間は長いけど、その願い以外の感情に溺れたその瞬間。
泡沫の様に一瞬で、その願いは溶けて消えてしまう。
玉響は玉が揺らぎ、かすかに触れ合うようすから
生まれた表現で、「非常に短い時間」を表す言葉だ。
短い時間、それは一瞬をもさす言葉。
『形状を変えましょうとして、
切り捨てから切り上げに変更したみたいな感じかなぁ。』
「そんな計算の様に言わずとも…
もう少し言い方があるでしょうに。」
『簡単な方がいいんじゃないの?』
「だとしても内容がえげつないで…待って下さい。
今の
がしっと掴まれていや、あのと目を逸らすのに、サワアの声が低くなる。
ひぃ!!!怒らないで怒らないで話す話す話しますから!!!
『春は
これは季語というか季節の言葉が日本の文化でありましてね。ちなみにこの部類はコルン様にお伝えしていません。』
「何故ですか。」
『あんまりにも私が覚えの悪いことなのと、理解がきちんとできていなかったので。』
「それを詠唱に何故使うんですか。」
『あ〜〜んだって、かっこよかったからぁ!!!!』
そう言う問題じゃないでしょうに。
「春昼というのは?」
『春の昼間と書いて春昼。春の昼間は穏やかな気候が通常なんですよ。
夏の空蝉は古語の『現人(うつおしみ)』が変化したものといわれてて
今まさに生きている人を示す言葉になっています。』
「…続けて。」
『秋の不知火は、何処か忘れたんですが、何処かの海と海の沖かな?
そのとある時期の深夜、無数の火が明滅し、ゆらめき動く現象を言うものです。
冬は晴天時に雪が風に舞うようにちらちらと降ること。
あるいは山などに降り積もった雪が風によって飛ばされたことから。』
そうなれば、余り意味が無いようにも見えるが。
案外そうではないのだ。
『ようはこういいたかったの。』
人と天使の間に産まれたこの時間。
人間にもなれず、天使にもなれない。
何処にも位置できないその自分が、
せめて人の感情を知ればいい。
でもその感情に溺れないように、
どうかそれ以上の力は抑えて
閉じ込めてみないで触れないで欲しい。
だから4つだけで良い。
怒りを哀しみを喜びを楽しみを
それだけを知り、ソレだけに刻めばいい。
そうして、一番の願いが守られるなら
額縁に飾った綺麗な願いが終わるならば。
それだけでいいと、想っていた。縋っていた。
嗚呼でも、そんなもの、もうしなくたっていいのだと。
メルは思って、あの瞬間でいっそのことと切りかえたのだ。
落ち着いて何が悪い。怒りが哀しみが分からない?違う。
落ち着いて何もないからこそ、自由に動けるというもの。
明るく暖かく穏やかな状態で、
この世に今生きとし生ける存在達が、
無数の願いという魂の炎を揺らめかせる時。
叶えし願えた雪を風が舞う様に降り注がんことを。
『その感情が巡り廻る、廻廊の様に。
時間は終わらない。時計の針の様に羅針盤を置き換える。
その時間に舞い、華を咲き散らす瞬間に、
数多の感情に溺れ、消えていく泡沫の様な泡。』
その泡が、綺麗に溶けて消えなくて、
其処にとどまり残ってしまう。
名残惜しく、その影響が、ただ其処にとどまり続け、
それが長い時間、ただただ深く、残ってしまった時。
『この想う力が、留まったことにより、
後にも先にもいけずに狂ってしまったその瞬間に、
より一層、感情を膨らませ、華の8つに入れて
攻撃や防御に転じてしまおうというもの。』
「要は感情その者を切り捨てるのではなく、
感情丸ごとひっくるめて気に転換しよう、ということですか?」
そういうことだ。
『1つでは足りない。2つでは片喰の様に救いの手を出すことも出来ない。
なら3という完璧を求めて、走り続け3の向こう側にある4へ続けよう。
5で現実に目覚め、6にその願いを新たに誓い、7という奇跡を求めて
8という永遠、無限の時間を知ってしまえ。』
9でその時間に殺されたくなる程に首を絞めて殺したくなる無数の感情を知り、
10で完成された様にみせかけ、まだ此処で終わらないことに惑わして。
11がある、此処は未完成。完成されていないからと走り求め、
そうして12に辿り着いてしまったその時その瞬間。
『0という未来とも取れ、何もない失った過去ともとれる場所に辿り着き時
その感情に狂い舞い、願いを改めて思い知り、最初の0に戻るように願おう。』
私は華樹に選ばれし者。私は華に誓いし者。
その願い、全て統べて、
永劫を追い求め続けんことをこの場で誓おうと言ったものだ。
私は
数多の尊き源成り代わりし存在なる、在るべき、姿を持つ者だから。
『最終地点なんて知らない。其処は永遠に存在する青の時間だから。
頂点なんて見つけない。迷って迷って舞い続けてしまえばいい。』
「…そうして、貴方はその場所を見つけたと。」
『まぁ、君たちの時間を少々取り付けることになったから、
ごめんって謝ったんだけどね。』
「だから謝ったのですか。てっきりこの世の別れかと思いましたよ。」
嗚呼それは私の良くやってる行いが悪いせいだな。
ごめんねと言うメルに、そういうことでしたらとサワアは納得してくれた。