無理矢理にでも優しい
前回のあらすじ
コルン様と一緒に結婚式の話を盛りまくってた。
以上。
それから数日が立ったある日。
『…案外一向に来なかったりするんだな。これ。』
もうひたすら緊張してわくわくが途絶えたのだ。
いや諦め〜〜〜。そもそも他の子達がどうなってるのかとかも気になるところ。
あれから天使らに通達して全員飴ちゃん口の中にぶち込んだのを確認しました。
きちんと彼らの気を察知する力なんぞないので呼び出してしましたが、
全員分きっちり華樹神方面に向かう兆しは一かけらも見つからなかったのでよしです。
よし。
よしじゃないが。
『いや暇とかそう言うのではなくてだな。』
なんなら現在進行形で天使さんおりますし。
後ろを振り返ると此方を向いて首を傾げるヴァドス様。
いや可愛すぎか。
「どうされましたか?エフェメラル様何かお困りごとでも?」
『現在進行形でお困りごと発生しています。助けろ下さい。』
「ふふ、お先に言いますが、私が居るから困ってる
等というお戯れはおやめ頂けると幸いです。」
『うううううん分かってらっしゃるじゃないですかやだなぁもう!!!!』
おほほほと笑って居るヴァドス様。可愛い。
あっそう言えば。
『サワアはちゃんと寝れるって訳ではないけど、天使って皆寝れる?』
「睡眠は必要ありませんので、基本的に寝ませんよ。」
『…やっぱり?』
「ええ。それがどうかされました?」
『…い〜んや?』
なんでも。
そうメルはペンをくるりと回してからタンと音を立てた。
サラサラと書いた文字に、何を書いているのです?
と言われてなんでもと答えた。
こんなの現実では叶いっこない願いだ。
今更何を望んでいるのだか。
こういう願いですら、可愛らしいとでも言うのだろうか?
浅はかな願いばかりを考えて、
本当に叶えたい願いから遠ざかる者を
愚かと言わずしてなんという。
天使の皆と一緒に大きなベットで寝転がって
たわいもない話をして笑いながら、
そのまま寝てしまうだなんて。
そんな夢物語、願い事ですら叶えられてはいけないというのに。
書いた後、すぐに消しゴムで消し去った。
こんなもの、幻の中だけで笑って居るくらいが丁度良いというもの。
結婚式といい、パジャマパーティーといい、
本当に私の頭はお花畑で彩られているらしい。
酷い時間が時々脳裏をかすめていく。
此処が現実だと。早く目覚めてしまえばいいと。
駄目だよ。泣かないで。
そう言い聞かせる。
首を触っても、痛みなんて引かなくなった。
慣れ過ぎてしまったから、悲鳴を上げるしかできない。
嗚呼弱すぎる、弱すぎてしょうがない。
『…ねぇ、ヴァドス様。』
「なんでしょう?」
『……いや、いいや。』
「そうですか?」
うん。
さっきから声に出そうとして止めることばかりだ。
そう俯いているメルの隣にそっと座り、ではとヴァドスが話を振る。
「一つだけ、してみたいことがあるのです。」
『え?なに。』
「サワアお兄様が貴方と一緒に優しいお顔で寝られておられたのをみて、
本当に。本当に、少しだけ。羨ましいと思いまして。」
『…それは、寝れるという意味で?』
「勿論それも含めてですが、貴方と共に。という意味も含めてですよ。」
ニコリと笑う彼女に、メルは首を傾げる。
「私も貴方と共に寝てみたいと思うのです。」
『睡眠…?』
「ええ。シャンパ様にこういうお話をするのもまた違うと思いまして。」
『嗚呼だから私?いやでも、寝るっていう感じは凄い難しいからなあ。』
「そうなんですか?」
『多分ね、身勝手よりも難しいって思うかも。』
コルン様とか、モヒイト様辺りは凄く苦戦しそう。
そう言うメルに、ほうほうと首を縦に振るヴァドス。
『意識を飛ばす感じに等しいからねえ〜〜。
プライドが高い者であればあるほど難しいかも。』
「でしたら我々全員不可能に近いというものでは?」
私はまだしも、他の方達もそれなりにプライドが高いと思いますし。
いや〜〜それは在り得る。滅茶苦茶在り得る。
『寧ろ天使全員が寝れたらもう私びっくりしちゃって泣いて笑っちゃうよ。』
「おや、それ程ですか?」
『むーりむりむり!!出来る訳ないって。』
そんなこと、叶ってしまったら。
私は今度こそ、泣いてしまうだろうから。
真実は残酷なのだ。
叶わないと言いつけて、指を指してくる。
胸の奥底に向けて、言うのだ。
叶わないもの。だと。
おかしいよね、無理だって分かっていたのに、
それでもしたいって思っちゃうんだよ?
夢でなら、幻でなら、許されるというならば。
それでも、やっちゃいたいなぁって思っちゃったんだ。
浅はかな感情。本当に、憐れで何も言えなくなってしまう。
消しゴムで消した処を見ては、そっと目をそらした。
其処を見ただけで、もう私は泣きそうになっているのだから。
どうしようもないものだ。
嬉しそうに笑って皆で話す情景が目に浮かんで消えてなくなった。
そんなもの、有り得てはいけないというものだ。
本来天使は睡眠等は勿論、人間から遠くかけ離れた存在であるべきもの。
大神官がそういう風に作ったならまだしも、
人間の様に使うつもりがない前提で作っているなら話が別なのだ。
その軸から外れることは、許されない。
許しては、いけないというものだ。
『寝なくて良いよ。夢を見てしまったら、もう終わりと思ったらいいくらいだ。』
「そうなのですか?それ程夢というのは恐ろしいものですか?」
『うん。間違いなく恐ろしい。少なくとも、
中立なんて感覚が消えてしまうくらいには。』
「おやおや、それはとてつもないことですね。」
夢で本気になって戦ったら、天使らはどうなるのだろうか?
消滅なんてされたら本当にただ事では済まされない。
やはり彼女らに眠るということは、意味を成してはいけない。
そう言い聞かせては、胸の何処かがズキリと痛みを生じる。
最近本当に多くなった。まぁ架施を変えてしまったのが大きな原因なんだろうが。
胸を触るメルに、痛みますか?とヴァドスに聞かれてうんと答えた。
『架施を変えてしまった以上はね。
小さな痛みですら、そこそこの痛みを伴うんだよ。
今まではそんなこと、無かったんだけどね。』
「そうですか。」
そうなるまえに、殺してたから。
気付くことすら、させなかったというもので。
逃げていたのを、面と向かう様になっただけ。
ただ、それだけなのだ。
『消さないといけないのになぁ。消せないんだよなぁ。』
「おや、ではどうするのですか?」
『だと言っても貴方に言うって訳ではないよ?』
「おやおや、そういう話の流れではなかったと。」
そうだよ。
期待なんてしてはいけない。
絶対に、間違いなく。
期待なんぞしてしまえば最期だ。
真実が残酷なことを告げるのだ。
不思議だよね。天使には距離を置いて、他の子達には近づくんだよ?
それは逆に言えば、貴方達天使がどんなことよりも大事なの。
触れてしまえば、綺麗に泡となって消えてしまいそうで?
違う、触れてしまって、その身体が触れられないものだと。
触れられない幻想だと知ってしまうのが、怖すぎて辛いのだ。
もしも、これが夢の中でしまったらば。
あの時間に戻って、その画面越しにしか見えなくなってしまったら。
そう思うと、涙が溢れてきて、怖くなってしまうのだ。
ぼやけてくる視界に、目を閉じて無かったことにさせた。
胸がただただ、痛い。痛くて痛くて、たまらない。
この痛みを何とか持ち続け、許してやらねばならない。
今までの分が波の様に押し寄せて、
飲み込まれてそのまま息が出来なくなってしまいそうになる。
手を伸ばしても、水をかいているだけで。
水だけしか、手が触れられなくて。
もう一度、小さく同じ願いを紙に書いた。
首を横に振って、その願いをシャーペンの芯でかき消した。
ぐしゃぐしゃにして。何時しか見ていたサワアの顔みたいに。
クレヨンで塗りたくったように。最初に書いたものが分からなくなる。
『…難しいね。こうなればいいのにとか、考えるのって。』
「そうですか?至って簡単の様に感じますが。」
『そうかなあ。』
「そうですよ。貴方が想っているよりも。ずっと、ずーっと。」
そう言う彼女が、此方を見て微笑んでくれていた。
まるで私がみる前から、最初から笑って居る様に。
嗚呼そうか、寝るのが怖いのは私の方なのだ。
目覚めた時、居なくなっていることの痛みに耐えられなくなりそうで。
『…予想以上だな。』
昔、父と母が一緒に寝てくれていた時。
寝る前はそりゃあもう幸せに満ち溢れていた。
嗚呼もう一番幸せで、これ以上にないくらいだと。
このまま目覚めた時も、おはようと言って起きられるのだろうと。
嬉しそうに見てくれる二人を感じながら、言い返せるのだと。
思い込んで目覚めた時の、あの残酷が胸を痛めつけて止めない。
左右を見ても、寝る前に見ていたのは幻かと思わんばかりに布団の姿すらない。
起き上がって周りを見ても、何処にも存在しない。
あるのはただの、置手紙すらない机に置かれた食べ物だけ。
胸が痛くて痛くて痛くてたまらなくなる。
置いて行かれた。
おはようとあの大きな手で頭を撫でられることもなく。
あの寝る前の時間すら、幻で夢であったのだと。
本当は寂しい感情を胸に抱きながら
今日も一人ベットで目を閉じて眠りに落ちていっていただけで。
あんな優しい時間なんて、存在すらしてやいなかったのだと。
そう思わせるくらいには、残酷さを突き付けてきて。
辛くて辛くて辛くて、酷く、痛い時間を。
小さな箱の中に息をするしかない。その時間だけを。
その時間こそが、この華を咲き誇らせる力になるとは思っていなかった。
穏やかになればなるほど、この華は本来の力を出せなくなっていく。
天使らとこうして生きていられるのも、時間の問題なのは分かっていた。
「何がです?」
『…思った以上に酷いってことだよ。』
「おや。私に癒せることは出来ないのですか?」
『そうだねぇ。誰にも難しいかもね。』
「それはサワアお兄様ですら?」
『うん、きっと。そう。』
そうであってほしい。
願いが叶えば叶う程、私の力は徐々に消えていく。
ただでさえ少ないというのに、本当に力の使い方を忘れる処じゃない。
その存在ごとが綺麗に消えて削り取られて行き続けるというものだ。
恐らく、白い部屋に入れば入る程、私は。
『(皮肉なものだな。叶えなければ、生きれないなんて。)』
生きる事すら難しいことになるというのに。
華樹神というか、華神らの時間はもう撤廃する予定ではあった。
だが、あの理の感じをみるに、どうやらそう簡単にはいかないらしい。
そもそも破壊神と界王神が産まれたらそれで終わりではなかったのだろうか。
次の世代に交代するというのも、それはそれであるとおもう。
だから、少なくとも私の世代では。
この破壊神と界王神が命を一つとして生きる。
破壊神の元には天使が。この世界をずっとずっと、
見守り続ける神様として生き続けるべきだと思っている。
そのためにも、今はとにかく生き抜かねばならない。
そうだ、そうするために、私は生きていると思えばいい。
ずっとずっと、目を閉じて眠り続ける時間。
其処が、私の生きる本来の時間で。
そう思っていると、ふと手が触れる。
まるで其処には連れて行かせないと言わんばかりに目を見つめてくる。
大丈夫、大丈夫だよ?今は行かない。そう、今は。今も。今では。
ちらりと紫色の目がじっと見つめてくるのを見つめてみた。
やっと見つめてくれたかと言う感じを見て、すっと目をそらした。
++++++++++
ヴァドス様から何故かクスお姉様に交代しました。
何故ですか。午後からお仕事あるそうです。そうですか。
『いんや私もお仕事したい〜〜〜』
「そう言えば貴方の位置は結局どうなるのですか?」
『ん〜華樹神自体が古い神様みたいなものだし。
今を生きるってなったらクラス的には大神官様の地位で良いのではって思っちゃってる。』
「ではお父様のお手伝いをなさるとかはどうです?」
それなら私達とも交流ありますし。
そう言うクスに、嗚呼それもありだなとふと思った。
ここぞとばかりにコルン様からのお勉強を想い出す。
確かに、それなら……。
『ちょっと直談判してみようかな。』
「おや、割とあっさり。」
『え?何?』
「いいえ、なんでも。ですが次の理になれば話も変わるでしょう?」
『嗚呼予定だけどこの状態を維持することにしてるよ?』
「ああそうで……え?」
『え?』
え?
『あ、駄目?』
「え?ああ、いや、駄目、ではないですが
…それでよろしいのですか?」
『うーん、良いと言うかなんというか……。
よく考えたんだけど、昔の方が良いからって言ってさ
ぜんぶぜーんぶ昔に戻すのは良くないと思うんだよ。』
昔だから成し得たことだって沢山あるだろう。
それが過去の形を、絵画に残して綺麗にあるからこそだ。
光り輝いてそれがいいと思えるのは、綺麗に残せているから。
『昔があってこその今だからさ?私はこの先どうなろうとも
一緒に笑って居られる時間があれば
それだけでいいなぁとは思うんだよね。ほんとさ。』
「…えらく素直ですね?」
『くぅねぇだからだぁ〜〜よ?』
「っふふふ、それはそれは。嬉しい話ね?」
そうニコリと笑うクスに、メルは少しだけ目を輝かせた後、くすりと笑ってみせる。
それでも、その願いは他の者達から比べるとかなりちっぽけなものだ。
「寧ろ貴方がこの場所にずっと居続けるとは思わなかった。」
『そう?』
「ええ。…帰って来てくれて、本当に嬉しいわ。エフェメラル。」
『…くぅねぇ。』
「ふふ、あの子も元気になって一件落着ね。」
『あの子?どのこ?』
「貴方の旦那様よ。」
だん?だ?…そうメルはきょとんとした顔から一変して顔を変える変える。
真っ赤になった顔を白い布で身を包んで隠して椅子の上で丸くなってしまった。
それに可愛らしいと思いつつも、あえて言わずにクスクスと笑ってみせる。
「途中から本当に諦めモードだったのよ?
それこそ貴方をウイスさんが見つける処辺りくらい。」
『え?そう、なの?』
「ええ。正直手遅れになりかけてたってところだったから、
本当に良く見つけたって内心喜んだくらいよ。」
あのまま行けば、恐らくメルが想像していた現象に陥っていたことではあるだろう。
サワアとヘレスがくっつけば、それはそれで問題になるというもの。
本来破壊神と天使がくっつくなんてあってはならないものなのだ。
普通に仕事にも支障が来るというものだ。
そもそも私利私欲で神が宇宙を動かして良い訳がない。
「サワアさんは天使を引退させられる処だったでしょうし、
ヘレスもまた破壊神の座を降りる状態になっていたでしょうね。」
『はえ……そんなの絶対やなんだけど。』
「だとしても貴方に関係のない時期になっていたでしょう?
貴方が想像しているその「現実」を見ていた限りは。」
そう、それは。そう、なのだ。
「12の時間を渡り歩いたその後。
貴方はサワアさんの姿を見ることもせずに、
この地に舞い降り、そして誰にも見られないまま
華樹神になって姿を消すつもりだった。違う?」
『…そうだよ。ご名答。確かに私は12を渡り歩いて、
その額縁に全てを捧げるつもりだった。』
そしてその白い空間に、全てが包まれて。
いや、その時間だけを愛するだけにしようとした。
12の時間を神々の中に捧げて、
代わりに残すのはサワアと二人で花冠を交換する時の時間のみ。
またこうして、花冠を交換しようと約束をしたあの日の時間。
それだけがあれば、永遠に生き続けられるというのに。
それを彼等はさせて等くれなかっただけだ。
まるで、これが正しいと言わんばかりに。
彼等は私の背中を手を押してとって引っ張り上げてくれた。
抱きしめて、もう何も怖いことはないんだよって。
言い聞かせてくれている気がしなくもない。
私はこの場に生きてはいけない存在なのだ。
12の時間から、外れてしまった、華樹神。
こんな私がずっと生きれるというのも、貴方達のおかげであるもの。
ならば、この命。貴方達の生きれる時間に捧げるのが
道理というものではないのだろうか?
少なくとも、私が生きてきた
あの時間で培った答えは、此処なのだ。
この暖かくて狂おしいくらいに狂ってしまった、陽だまりの中に。
ずっとずっと、閉じこもっているのではなくて、此処に居るだけの時間を。
私は彼らと共に生き続けていきたいと願ったのだ。
そして願わくば、その時間が永久に続ける様にも。
次の理では、この世界で想像すらしなかった
世界を作ってしまえればいいとさえ思う。
『まぁ理のお勉強は緩やかにするって言ってたし、
その間はとんでもなく暇なんだから
適当にしておいてっていうのが彼女の本音なんだろうね。』
「では千年後を楽しみにお待ちしておりますか。」
『そうしておいてもろて。あと私千年間どうなるんだろう。』
「普通に眠るだけでは?今の貴方は天使にかなり近い状態ですし。」
『え?』
「え?気付いてなかったのですか?」
ええそうですが????
「昔はほぼ人間と言っても過言ではありませんでしたが、
今は精々6割か7割程天使の域に入っていますよ?
サワアさんとコルンさんの影響が主だと思いますが。」
『……げ。』
マジか。それなら睡眠とか食欲も必要ナッシングに…!!!!
「そんなものなる訳がないでしょう?
単純に近くなっているだけであって、天使にはなりませんよ。」
嗚呼、ですよねぇ。
飛んだ期待をしてしまったものだ。
「…外に出たいとは思わないのですか?」
『皆本当に最近そればっかだね?』
「え?そうなんですか?」
『うん。ヴァドス様も、コルン様とかも言ってた。
ちょっと前だとコニックさんとかクカテルさん辺りも。』
「それ程皆さん同じ気持ちだということですよ。
普通の人間だと軽く気を狂わせているところです。」
『生憎、私はそんじゃそこらに生きている普通の人間ではないものでねぇ?』
ニヤリと笑って見せるメルに、それはそうでしたねとクスは笑って答えた。
『まぁ出たくないわけではない。寧ろ出たいが本音かなあ。』
「おや、そうなんですか?」
『うん。でもそれは皆の宇宙が気になるから
遊びに行ってみたいなぁって思ってるだけであって。
貴方達の傍から離れてもう二度と会えない場所に
出かけて居なくなるって意味ではないんだよ?』
もう、そんな気持ちは無くなってしまった。
持ちたいのに、持てなくなったこの責任をどうか取って欲しい。
『ほんともう……責任、とってよね。』
「勿論。喜んで、全天使が責任を承ると思いますよ。」
少なくとも私は大歓迎ですから。
あらあら〜〜〜〜そら困ったもんだ。
「では千年後は貴方と仕事上の立場としても交流が増えるのですね。
それはそれは、楽しみが一つ増えるというものですねえ。」
『ふふ、でも大神官様困らないかなあ。』
「それはどうして?」
『だって物覚えの悪い私だよ?すっぴーきっと困っちゃうよ。』
「流石にそれはないでしょう。お父様の事ですから、きっと喜んでくれます。」
お母様もそれ程仕事を任していないと聞きますし。
えっそうなの?
「ええ。元々ルメリア様の付き人だった方ですよ?
それを分かった上である程度の範囲しかさせれなかったのでは。」
『嗚呼成程?』
「貴方が就くとなれば、その地位は大神官様の補助、
というよりかは、ほぼ兼任に近い状態でしょう」
『え゛そんないいのか。』
「寧ろ貴方だからこそですよ。
だって貴方、仕事で手を抜いたりできる人ですか?」
『いいえ。無理よりの無理です。』
「でしょう?その癖几帳面で意地っ張りで
癖のある子だと思っていますので。」
『あのーー悪意あります?ねぇ、ありますよね???』
絶対あるよね???
「寧ろあのコルンさんが貴方の勉学に手伝うどころか
率先して我先にと名乗り出たのが意外過ぎて
正直驚いて開いた口が塞がらないくらいの衝撃でしたので。」
『え、そ、そんなに?』
「ええ。寧ろ面倒事はとにかく嫌うタイプですから。
それとなりに、身に覚えあるのでは?」
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ルトラール様のお言葉というのはほぼ借りたもので、
本音は名付けしてくれた貴方のことが気になったのでしょうね。
…まぁそれ以外の方が大きな理由でしょうが。」
『え?』
「本当に貴方という子は。人間でいう処のモテ期、というやつですか?」
『なんでだよ。』
いや、そんなわけが在るわけない。
「そうです?私の視線からだと、モヒイトさんやウイスさん、
マルカリータさん辺りも狙っているとみていますが。」
『………待って。意識しちゃうのとサワアに顔向けできない。』
「ふふふ、それはそれは。楽しみが増えましたね?」
『うわああああん!!!!お姉ちゃんが意地悪すりゅ!!!!!』
そう半泣きの声を出すメルに、今度こそ笑って見せる。
12人中5人とかほぼほぼ三人に二人の勢いではなかろうか。
というか普通に超えてるよな?ライン越えか?
いや考えるな。感じろ。違う。そうじゃない。
「…まぁ、貴方程の清らかな心があれば、
誰でもころっと変わるというものでしょうかねぇ。」
『ん?なんか言いました?』
「いいえ。なんでも。」